信用保証協会ってどんな機関? ”起業家視点”で仕組みを解説!
信用保証協会と起業家の関わりについて解説します
(2019/02/12更新)
創業時の資金調達は、事業スタートの生命線となる大事なステップです。資金調達に関する話題の中で、よく登場するのが信用保証協会(以下、保証協会)。事業主と金融機関の間に立ち、信用を担保に間接的に融資を取り持つ機関ですが、今ひとつどんな役割を担っているのかイメージし難い、という人も少なくないのではないでしょうか。
保証協会は、経営の様々なステージで利用できる数多くの制度を用意していますが、今回は特に”創業期の起業家視点”で抑えておきたい保証協会の仕組みと関わり方について解説します。
「信用の肩代わり」をしてくれる機関
保証協会は、中小企業や小規模事業者の金融円滑化のため、昭和28年に設立された公的機関です。保証協会の機能を簡単に言うと、融資にあたり事業主の信用を肩代わりしてくれるというもの。
例えば創業直後で資金力・信用に乏しい場合、金融機関から直接融資を受けるのは困難です。そこで、保証協会が事業主と金融機関の間に立ち、「信用保証書」を発行して事業主に代わって金融機関への返済を保証することで、資金力・信用の乏しい事業主が融資を受けるハードルを下げることができます。
万が一事業主が金融機関への返済ができなくなった場合は、返済義務を保証協会が請け負います(これを代位弁済※と言います)。金融機関にとってみると、保証協会は貸し倒れになることを防ぐ保険のような役割があり、実績の無い起業家にも安心して融資しやすくなるため、起業家にとってもハードルが下がるというわけです。
※代位弁済をすると、事業主が債務を返済する対象が金融機関から保証協会に変わる。負債や返済義務が無くなるわけではない。
また、保証協会自体はあくまで保証を肩代わりする機関であり、日本政策金融公庫のように直接の融資を行っているわけではないという点もポイントです。
保証協会を介した融資には
- プロパー融資(銀行などから直接融資を受けること)と合わせ、さらに融資枠を拡大できる可能性がある
- ニーズに合わせた多様な保証制度がある
- 長期の借り入れにも対応している
- 原則、法人代表者以外の連帯保証人は必要ない
- 担保がなくても利用できる
といったメリットがあります。
保証協会を介すると、融資をしてくれる金融機関との関係構築にもつながります。創業当初にプロパー融資を受けることは非常に難しいですが、保証協会が提携している金融機関は地銀や信金、信組などが多く、一回審査して返済実績を作り、信用と関係を構築しておくことで、将来的にプロパー融資の可能性も出てきます。そういう意味では、創業直後の起業家にとって、金融機関とのお付き合いをする第一歩としては非常に入りやすい制度と言えるでしょう。
加えて地域の金融機関は、創業支援を行ったり、融資先などの地元のネットワークを持っている場合も多く、味方につけると融資以外でも事業の強い味方になってくれる可能性が高まります。金融機関との関係を作る入り口としても、保証協会を介した融資を受けることは有効なのです。
制度融資と保証協会の関わり
資金力・信用力に乏しい創業期の主な資金調達手段として、日本政策金融公庫からの「創業融資」と、都道府県・市区町村による「制度融資」の2つが挙げられます。保証協会は主に制度融資で関わってきます※。
※保証協会の保証には、個別の融資について保証するケースと、制度融資の中で保証をするケースの2種類があるが、個別の融資は稀で、創業者は制度融資を利用する場合がほとんど。
制度融資は、各自治体・金融機関・信用保証協会が連携して融資を行うパッケージ商品のようなイメージで考えるとわかりやすいかもしれません。
保証協会が関わる制度融資を利用する上で注意すべき点としては
- 保証協会の保証を使う場合、融資の金利とは別に「信用保証料」がかかる
- 制度融資には各都道府県のものと、各市町村が用意する2種類あるが、これらを同時に利用することはできない
- 金融機関・保証協会と2つの機関で審査が必要なため、直接融資を行う公庫などと比べて融資が降りるまでに時間がかかる(特に初回は2か月ほどかかります)
- 審査の結果、融資がおりないケースもある
といったものが挙げられます。制度の内容についても、各自治体によって細かく異なるため、利用する前に自身が利用する自治体のHPなどを確認すると良いでしょう。
また、各保証協会では、経営相談やセミナー開催など、創業者を支援する専門窓口を設けているところもあります。こちらも必要に応じて積極的に利用していきたいところです。
まとめ
制度融資の利用は基本的に創業者・各自治体・金融機関の間で手続きが進むので、起業家が直接保証協会と関わる機会は多くないかもしれません。ただ、保証協会の仕組みをしっかり知ることで、資金調達への理解を深め、より効果的な計画を立てることに繋がります。さらに詳しい話については、保証協会のHPや窓口での相談を通じて情報を集めることをおすすめします。
(編集:創業手帳編集部)