会議の生産性を上げる!ファシリテーションの目的や役割を徹底解説
経営者や起業家の方々にこそ必要とされるファシリテーションスキルを徹底的に解説します。
多くの企業で「生産性の向上」が課題に挙げられていることでしょう。
特に、何時間もかけたのに何も決まらない会議は、改善したいポイントの筆頭とも言えます。
会議の生産性を上げて、時間通りに着実に議題を進行するために「ファシリテーション」のスキルを持った人材が活躍しています。
そこで今回は、ファシリテーションの目的や役割について解説します。
この記事を最後まで読むと、ファシリテーションの概要が掴めて、次の会議から早速実践できるポイントを学べます。
ぜひ最後まで読み進めてみてください。
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この記事の目次
ファシリテーションとは?
ファシリテーション(facilitation)とは、会議やミーティングをより円滑に進めつつ、良質な結果を導き出せるように舵取りをすることです。この役割を担う人のことをファシリテーター(facilitator)と言い、会議で言えば進行役にあたります。
具体的には、会議のメンバーに発言を求めたり、発言しやすい雰囲気作りをします。さらに、その会議で優先して議論すべき点から話が逸れている場合は、本題に戻すことも求められます。会議の最後には、議論された内容を要約し、メンバーが納得する結論をまとめ上げる必要があります。
ファシリテーションの目的
ファシリテーション(facilitation)が必要とされる最大の目的は、会議に参加しているメンバー全員にその会議を「自分ごと」として認識させることです。
生産性が低い会議というのは、参加しているだけで発言をすることもなく、そもそも「自分には関係がない」と感じているメンバーが多い傾向にあります。
そこでファシリテーターは、会議を開催した目的や議題を噛み砕いして説明し、メンバーに「なぜ自分がその会議に参加しているのか?」を納得させ、自分のその会議での役割を認識させる必要があります。
会議の目的や自分の役割をメンバー全員が納得することで、会議の生産性や効率性が向上するのです。
ファシリテーターがいるメリット
ファシリテーターがいる最大のメリットは、「腑に落ちた」結論で会議を締め括れることです。
ファシリテーターは、年齢や役職に関係なく、その会議の進行を任される役割です。若手メンバーや少数派の意見も汲み取ることで、メンバー全員が納得しながら会議に臨める環境を作る必要があります。
ファシリテーターがいることで、段取り通りに会議を進められるようになるため、時間内に必要な議論を終わらせることも実現しやすくなります。
時間当たりの生産性や効率性の向上が求められる現代においては、ファシリテーションの重要性が増していると考えられます。
それでは、ファシリテーションのメリットを1つずつ解説していきます。
時間内に議題を進められる
会議を進めていると、話が脱線してしまったり、論点がズレてしまうことがあります。
うまく軌道修正をしないと、会議は白熱したが、「結論が何も出ていない」という事態に陥る可能性があります。
このような時にファシリテーターがいることで、会議のゴールに向かって真っ直ぐと話し合いを進められるため、時間内に納得のいく結論を導き出せます。
また、1つの議題の結論が出ずに、ずるずると議論を進めていると、他の議題に着手できないまま、終了時間になることもあります。
議題が複数ある場合は、各議題の開始・終了時間を予め決めることで、メリハリのある会議にすることができます。
メンバー全員が発言しやすくなる
多くの会議では、様々な役職や年齢のメンバーが参加していますが、役職が上のメンバーに対する反対意見は発言しにくい方が多いと思います。
しかし、若手メンバーがその会議にアサインされているということは、若手メンバーならではの意見や考え方を取り入れたいという意図があるはずです。
それにも関わらず、目上の方の顔を伺って言いたいことを言えないのであれば、参加する意味が薄れてしまいます。
このような事態を避けるために、発言できていないメンバーに発言を求めたり、あえて反対意見の可能性を探ることで、新たなアイディアも出しやすい雰囲気を作れます。
メンバー同士が初対面の会議の場合などは、会議序盤にアイスブレイクを入れることも効果的です。場を和ませることができ、メンバー全員が発言しやすくなります。
メンバー全員に当事者意識を持たせられる
会議のメンバーが増えてくると、聞いているだけのメンバーが出てきたり、自分には関係ないと他の仕事をしているメンバーが出ることも珍しくありません。
大前提として、必要なメンバーのみがその会議にアサインされている場合は、メンバー全員に招集された理由があり、求められる役割があるはずです。
ファシリテーターは、その会議の目的を明確に示したり、発言を求めるなどして、メンバー全員が当事者意識を持って会議に臨めるように工夫をします。
自分には関係ない議題だと感じていたメンバーに意見を求めることで、新しい視点からの意見が出てくることも考えられます。
ファシリテーションの役割とやり方
「ファシリテーション=会議の生産性を上げる」とぼんやり認識されることも多いですが、具体的には、様々な役割を同時平行で行うことが求められています。
今後、ファシリテーションスキルを身につけたいと考えている方にとっては、最初から全てを実行することは困難かもしれません。
少しずつできることを増やして、ファシリテーターとしてのスキルを磨いていきましょう。
それでは、1つずつファシリテーションの役割について解説していきます。
会議のゴールを明確にする
会議の冒頭に、その日の会議のスタート地点とゴール地点を明確にする必要があります。
その会議が開催された目的や話し合うべき議題を最初にメンバーに共有することで、本題から脱線することを防ぎやすくなります。
もし途中で話が脱線して、新たに議論すべき点が出てきても、それは次回の会議の議題に回すことで、毎回の会議の優先順位を守れます。
優先順位を守って、議題を進めていくことが、生産性の高い会議への第一歩と言えます。
議題をわかりやすく見える化する
その日のアジェンダをホワイトボードに書き出したり、事前に資料を共有しておくことで、メンバー全員がその会議の進捗状況を把握できるようになります。
アジェンダを共有せずに闇雲に議論を進めてしまうと、議論すべきポイントの順序がバラバラになり、会議の効率が下がってしまいます。
メンバー全員で同じ方向を向いて議論を進めることで、会議の生産性を向上させられます。
メンバーが発言しやすい雰囲気を作る
議論の生産性と効率性を高めるためには、メンバー全員が活発に発言をしやすい空気作りが必要です。
そのために意識すべき点が2点あります。
一つ目は「初めてのメンバーに寄り添うこと」です。
初めて参加するメンバーは、発言しづらいことが多いです。
ファシリテーターとして全体を見つつ、初めて参加するメンバーには特に注意を払って、発言を求めたり、議論について行けているかを確認しましょう。
二つ目に「伝わっていることを伝えること」です。
せっかく発言をしても、他のメンバーからのリアクションが薄いと、的外れなことを言ってしまったのかもしれないと不安になってしまいます。
意見が伝わっていると安心させるために、相槌を打ったり、言い換えをして、その後も発言しやすい雰囲気を作りましょう。
万が一、伝わっていない場合は、聞き返すなどして、他のメンバーに伝わるようにサポートをしましょう。
タイムキーピングを行う
時間内に全ての議題を終わらせるために、時間の管理も必要です。
議題が複数ある場合は、各議題ごとに目安の終了時間を設定することで、時間内に結論を導きやすくなります。
議題ごとの所要時間については、優先事項を考慮しつつ、全体的なバランスを見ながら、臨機応変に調整する必要があります。そのため、ただ時間を管理するだけではない、とても難しい役割とも言えます。
結論付けと合意形成をする
会議の終盤には、議論して決まったことと決まらなかったことを明確に示します。
決まったことについては、担当者や期限、実行内容などのタスク整理を行い、次のアクションを明確にする必要があります。
一方的に結論を伝えるのではなく、メンバーの合意形成を取りながら、結論をまとめることで、全員が「腑に落ちた」会議となります。
ファシリテーターが意識すべき3つの言葉
ファシリテーターの経験が少ない方は、複数の役割を同時に進めるファシリテーションの役割は難しいと感じるかもしれません。
そのような方は、まずは3つの言葉を意識して使うとスムーズに会議を進められます。
意識すべき言葉①:例えば?
会議の最初は発言をしにくい雰囲気になりがちです。
そこで「例えばどんなことが考えられますか?」とファシリテーターが発言することで、他のメンバーも発言しやすい雰囲気になります。
ここで注意したいのが、ファシリテーターも「手ぶら」で会議に参加してはいけないということです。
ファシリテーターは、基本的に進行役なので、長々と自分の意見を述べるべきではありません。
しかし、議論が煮詰まった時や、最初に発言する人が出てこない場合に備えて、自分なりの仮説もしっかりと準備しておく必要があります。
意識すべき言葉②:他には?
目上のメンバーが意見をした後などは、特に若手メンバーは自分の意見を言いにくくなりがちです。
そこで「他にはどんなことが考えられますか?」「他の切り口からの選択肢は考えられませんか?」と、他の意見を聞くことで、色々な視点からの意見が出やすくなります。
会議では「1人1見せ場」を意識して、色々な意見を集めることもファシリテーターの役割です。
また、何かを決めるための会議ではなく、アイディアを出すことが目的の会議では、「この議題について10個アイディアを出しましょう」というように、具体的な数字を示すことも効果的です。
意識すべき言葉③:ということは、
メンバーの発言によっては伝わりにくい場合もあります。
しかし、指摘されると自信を失い発言しにくくなる方もいると思います。
このような時には、「ということは、〇〇ということですか?」と、柔らかく聞き返すことで、発言者も責任を感じにくくなります。
特に会議の序盤では、否定的なコメントは避けるべきなのです。
ファシリテーターが「反復、要約、同調」をしながら、会議をスムーズに進行していきましょう。
ファシリテーションの事例紹介
これまでの項目で、ファシリテーションの目的や役割、メリットをご紹介してきましたが、最後にファシリテーションの導入事例をご紹介します。
実際の会議でのファシリテーションスキルの活かし方を具体例を入れながら解説しますので、普段参加している会議を思い返しながら、読み進めてみてください。
事例①:会議が終わった後に、何も決まらなかった。
「会議が終わった後に、何も決まらなかった。」という事態が何故発生するかというと、会議を始める前に、会議を開催する目的を伝えていなかったことが考えられます。
何かを決める会議なのか?アイディアを出すための会議なのか?情報共有をする会議なのか?など、会議によってその目的は様々です。
アイディア出しや情報共有の会議なのにもかかわらず、「何も決まらなかった」と言われる場合は、会議の開催目的を勘違いしていることになります。
全てのメンバーが同じ方向を向いて会議を進めるためにも、会議のスタート地点とゴール地点を明確にしましょう。
事例②:発言する人が少なく、偏った意見しか出なかった。
「発言する人が少なく、偏った意見しか出なかった。」という事態が何故発生するかというと、安心して意見を出しやすい雰囲気が作れていなかったことが考えられます。
誰でも発言しやすく、どんな意見でも受け入れてもらえそうな雰囲気でないと、なかなか意見が出てきません。
特に、初対面のメンバーが多い会議では、最初に1人1分など時間を決めて自己紹介をする時間などのアイスブレイクをすることで、場を和ませられます。
また、ファシリテーターは「中立的な立場」を意識し、様々な切り口からの意見が出しやすい雰囲気を作りましょう。
偏った意見が多い場合は、他の意見も積極的に出してもらうよう促すことで、少数派の意見も出しやすくなります。
事例③:会議で決まったことに後から文句を言われた。
「会議で決まったことに後から文句を言われた。」という事態が何故発生するかというと、メンバーに合意形成を取りながら会議を進められていなかったと考えられます。
会議の後に反対意見が出るということは、このような理由が考えられます。
・会議中に発言できなかった。
・少数派の意見で多数派に流されてしまった。
・多数決に近い形で結論を出された。
会議中に反対意見が出ることは議論が活発になり良いことですが、これが会議後に出ると再度会議を開く必要性が発生してしまい、効率が悪くなります。
このような事態を避けるために、議題を次に進める際には、メンバーに合意形成を取りながら、反対意見や少数派の意見も取り溢しがないように気をつけましょう。
まとめ
今回はファシリテーションの目的や役割について解説させて頂きました。
会議にファシリテーターがいると、今までの会議と比べて、格段に進めやすくなったと実感できることでしょう。
ただし、ファシリテーターは誰にでもできる役割ではありません。しっかりと勉強し、経験を重ねることで、ファリシテーションスキルは向上していきます。
会議の生産性と効率性を向上させるためにも、ファシリテーションスキルを身につけましょう。
(編集:創業手帳編集部)