創業期に信用組合で法人口座を開設するメリットとは?

創業手帳

信用組合の特徴や法人口座開設方法、業種・業態にあった信用組合の選び方を紹介

信用組合での法人口座開設

(2020/08/26更新)

新たに会社を設立する際には、取引先である金融機関を選定しなければなりません。銀行で法人口座を開設することもできますが、起業したばかりだと会社としての信用性も低く、融資や支援を受けられない可能性があります。

そこで、注目したいのが信用組合です。起業家にとって有益性の高い信用組合は銀行とどう違うのでしょうか。

本記事では、信用組合と銀行の違いや信用組合と取引することによるメリット、具体的な信用組合のサービスをご紹介します。

創業手帳冊子版では、金融機関の選定だけでなく、事業の準備段階や転換期に必要となる情報を発信しています。配布は無料ですので、あわせてご活用ください。

信用組合とは?

信用組合とは、「中小企業等協同組合」を根拠法とした金融機関のひとつです。中小企業や地域住民を組合員とし、相互扶助を目的としています。
また、事業者や個人が対象となる「地域信用組合」、医師や建設業が対象となる「業域信用組合」、地方自治体や新聞社が対象となる「職域信用組合」の3つに分類されています。
地域コミュニティとのつながりを重要視しており、地元行事や地方活性化にも大きな影響を持つ金融機関です。

銀行との違い

組織
信用組合と銀行は、組織そのものが異なります。信用組合は地域活性化を目的とした非営利法人ですが、銀行は営利目的の株式会社です。

事業展開
営業エリアについても、信用組合は地方都市など狭いエリアに限られている一方、銀行は日本全国に店舗を構えています。

条件
信用組合の組合員になるためには、従業員300人以下あるいは資本金3億円以下でなければなりません。顧客の制限を特に設けていない銀行とは、組織や運営方針において大きな違いがあります。

起業家が信用組合で法人口座を開設するメリットとは?

起業家が信用組合に法人口座を開設するメリット
起業をする際に、どこの金融機関と取引を行うべきか迷われている方も多いのではないでしょうか。

それぞれ特徴がありますが、信用組合でしか得られないメリットもあります。
起業家にとって事業拡大のチャンスを含む信用組合。具体的に起業家にとってどのようなメリットがあるのか見ていきます。

経営方針の相談ができる

信用組合では、組合員である事業所に対して、積極的に経営相談を行っています。利益を追求する株式会社である銀行と異なり、地域経済の発展に欠かせない中小企業や個人への相互扶助を目的としているためです。
会社を設立したばかりの起業家にとって、経営戦略をサポートしてくれる信用組合は、将来に向けての重要な存在となります。定期的に地元企業向けの相談会を行っている信用組合もあり、経営の悩みを相談しやすいのは大きなメリットです。

地域に根差した事業展開ができる

信用組合は、限定されたエリアで営業しているため、地域コミュニティと深い関係性を持っています。そのため、信用組合との取引をメインで行うことによって、地域に根差した事業展開を進めやすくなります。
地方で事業を成功させるためには、その土地に適したサービスの提供や、地元に強いパートナーとの業務提携などを考慮しなければなりません。それぞれの企業に合った有益な情報提供やアドバイスをしてくれるため、その土地に馴染がない起業家でも人脈や地盤づくりに役立ちます。

銀行よりも融資の申請がしやすい

起業家にとって、悩みとなるのが事業を進めるための資金調達です。
起業直後は実績もなく、会社の信用性が低いため、銀行での融資が難しい場合ががあります。
一方で、信用組合であれば、起業直後の中小企業や規模が小さい個人経営でも、前向きに融資を検討してくれます。
組合員という組織内での相互扶助を目的としていることから、営利団体の銀行よりも比較的融資を受けやすくなっています。

信用組合で法人口座を開設する際のポイント

預金業務や貸付業務に関しては、原則的に組合員に限定されています。そのため、信用組合で法人口座を開設する場合、組合員として登録が必要となります。
法人口座を開設する際の必要書類や注意すべきことについてのポイントを把握しておきましょう。

申請書類
銀行で法人口座を開設するのと同じように、信用組合でも申請時に書類を準備しなければなりません。信用組合や店舗によって決められていますが、基本的には「履歴事項全部証明書」、「会社印」、「代表者の本人確認書類」といった書類が必要です。
また、審査内容によっては、追加書類の提出も求められることがあるため、柔軟に対応できるようにしておきましょう。

事業内容の説明
信用組合で法人口座を開設する際には、自社の事業内容について担当者に説明を行う場面があります。取引をしても問題ない会社であるかを見極めるための場で、誤りがないように伝えなければなりません。
信用組合は、個人経営者や中小企業といった小規模な企業へも融資を行っているものの、信頼性を欠如した企業であれば、断られてしまうこともあります。

登記する地域
全国展開している大手の銀行であれば、各支店を利用して法人口座開設の申請を行えますが、信用組合は限られた地域でしか法人口座を開設できません。
信用組合は、営業地域が限られているため、個人や事業所を登記した住所が範囲以外だと口座開設を断られる場合があります。
信用組合で法人口座の開設を希望する際には、地区内に経営者か事業所の住所を有しているか営業地区内に住所を有事業所の住所が営業地域に含まれているかを確認しましょう。

主な信用組合の種類と口座開設方法

信用組合の特徴と口座開設方法
信用組合ごとの違いが分かるように、具体的に3つの信用組合を例に挙げ、特徴や口座開設方法の違いなどを見ていきます。

長野県信用組合

1954年に設立した歴史の長い信用金庫で、長野県内を営業エリアとしています。地域住民からは、「けんしんBANK」として親しまれており、地域行事にも積極的に参加をしている信用組合です。

金融機関としての業務だけでなく、2015年に国連で採決された持続可能な開発目標である「SDGs」にも取り組んでいます。中小企業の事業継承支援や、「日本一創業しやすい県づくり」を掲げている長野県と創業支援も行っており、起業家にとっても安心できます。

特徴 持続可能な目標であるSDGsへの積極的な取り組み。
口座開設方法 登記事項証明書、印鑑証明書などの書類申請。
開設条件と時間 長野県信用組合の規定に基づき審査がされます。
おすすめの業種・業態 製造業、建設業、不動産業など

大同信用組合

大同信用組合は、大阪市周辺を営業エリアとしており、不動産業やホテル業、サービス業など幅広い業界とのつながりを持っています。
「中小企業経営力強化支援法」に基づき創設された「経営革新等支援機関」の認定機関として、中小企業への積極的なサポートを行い、地域経済の活性化に努めている信用組合です。

特徴 中小企業への手厚いサポート。
口座開設方法 登記事項証明書、印鑑登録証明書などの書類や取引目的の確認。
開設条件と時間 営業エリアに事業所の住所があること。所定の審査期間あり。
おすすめの業種・業態 不動産業、ホテル業、サービス業など

大分県信用組合

大分県信用組合は、大分県や市町村と「地方創生に係る包括連携協定」を結び、地方自治体との連携を深めています。中小企業の支援・地域振興・社会インフラの創出などの協力事項が盛り込まれており、大分県の発展に欠かせない存在です。
また、創業支援も積極的に行っており、地域発展につながる中小企業や零細事業者の事業を支えています。「創業・ベンチャー支援資金」という融資の取り組みもあり、起業家にもおすすめの信用組合です。

特徴 地域との連携協定を結んでいるほか、ベンチャー・中小企業への
サポートを行っている。
口座開設方法 履歴事項全部証明書や取引担当者の本人確認書類などの確認。
開設条件と時間 営業エリアに事業所の住所を有している必要あり。
法人口座開設までに2週間ほどの審査期間。
おすすめの業種・業態 不動産業、ホテル業、サービス業など

自社に適した支援を受けられる信用組合を選ぶ

信用組合を選ぶ際には、融資や相談を受けやすいことはもちろん、自社に適したサービスが行われているかも確認しましょう。
近年では、中小企業への積極的なサポートだけでなく、創業支援を行っている信用組合も増えています。
取引先金融機関の選定の際は、将来的に自社が成長できるようなサービスを受けられるかどうかもポイントになります。

創業手帳冊子版では、起業したばかりの経営者の悩みを解決できる情報を掲載しています。WEB版では載っていない有益な情報もありますので、ぜひご活用ください。

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(編集:創業手帳編集部)

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