法人の種類・特徴まとめ|本当に株式会社でいい?設立する前に知っておくべき法人の種類
起業する前にチェック!人気法人の種類をまとめました
起業して会社設立を検討するとなると、ほとんどの人は「株式会社」設立を想像すると思います。
しかし、状況によっては、設立するのは株式会社じゃない方がいい場合があるのをご存知でしょうか?
ここでは、起業家が会社設立を検討するときに最適な法人格を選べるよう、「株式会社」「合同会社」「NPO法人」「一般社団法人」「一般財団法人」など人気法人の種類と特徴をまとめ、それぞれのメリット・デメリットなどを解説していきます。
法人格の選択は、専門的な知識が必要となります。この記事だけで決めるのでなく、専門家に相談するのもよい手でしょう。創業手帳では、会員向けに専門家の紹介や、創業コンサルティングを行っています。会員登録も、サービスを受けるのもどちらも無料なので、ぜひご活用ください。
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この記事の目次
法人とは?
法人とは、自然人以外のもので、法律上の権利・義務の主体とされるもの。つまり、人などからできた組織に対して、“法により別の人格(権利や義務)が与えられてできたもの”ということです。
個人事業主との違いは?
個人事業主は開業届を出すだけでなることができますが、法人の場合は定款作成・登記が必要となります。
起業する際に、法人を設立するか個人事業主にするか悩んでいるという方は、こちらの記事も参考になると思います。
参考: 法人とは?個人事業との違いや、向いているケースを解説します!
会社や企業との違いは?
会社とは、会社法にもとづく法人登録を行っている営利法人のことです。
一方企業は、法人や個人事業主にかかわらず、経済活動を行う組織や団体、個人など広い範囲をいいます。
企業が最も大きなくくりでその中に法人があり、さらに法人の中に会社があるという関係が成り立っています。
法人に種類が複数ある理由は?
法人に複数の種類があるのは、出資者の責任範囲で選べるようにするためです。
そもそも「法人」は「会社」という意味ではありません。人と同様に、組織そのものに主体を持っているもののことです。会社が法人になると「法人格」が与えられ、組織そのものに責任が問われるようになります。
法人の種類の違いは、「責任は誰がとるのか?」の違いです。株式会社と合同会社は有限責任社員のみで構成されます。合名会社は無限責任社員のみで、合資会社は有限責任社員と無限責任社員の2種類です。
有限責任社員は会社が倒産したら出資額など限定した額だけ責任を負うのに対し、無限責任社員は全財産で責任を負わなければなりません。合名会社のように無限責任社員のみだとリスクがあるため、最近は設立数が減っています。限定した額のみ責任を負う有限責任社員のみなら、会社が潰れてもリスクの範囲を最小限に食い止められます。
このような理由から、日本で会社を設立する場合は、基本的に「株式会社」と「合同会社」の2種類が多いでしょう。簡単に説明すると「株式会社」は経営者と出資者が異なるのに対し、「合同会社」は経営者と出資者が同じです。
また、設立費用を安くしたいのか?決算公告をなしにしたいのか?余剰金の扱いを自由にしたいのか?という面でも、選び方は異なります。日本では、数の多さや知名度が高いのは株式会社なのに対し、知名度や信頼度の低さから合同会社は外資系に多い特徴があります。
法人設立のメリット・デメリット
事業を起こすには必ず法人を設立する義務があるわけではなく、個人事業主としてスタートする方法もあります。
多くの事業者が法人設立していることから、期待できるメリットは大きいと分かるでしょう。しかしメリットだけを見て決めると、あとになってデメリットの負担が大きいと気づき、経営が困難になるかもしれません。
ここでは、メリットとデメリットの両面を解説するので、比較検討して法人設立してください。
法人を設立するメリット
法人を設立すると、税金面や信用面でのメリットがあります。
税金の面では、個人事業主よりも、経費として認められる範囲が広いためお得です。また、最高税率も個人事業主よりも低くなっています。
信用の面では、一般的に個人よりも法人のほうが信用度が高くなっています。中には、法人でないと取引をしないという企業もあります。
また、信用が高いことで資金調達面でも有利です。
ほかにも、社会保険には強制加入となりますが、国民健康保険や国民年金よりも補償が手厚いため、メリットとも捉えることができます。
法人は、個人事業主よりも経費として認められる範囲が広くなっていますが、その分、会計処理も複雑で、かつきちんと帳簿しなくてはなりません。冊子版の創業手帳(無料)では、会計ソフトの導入や、おすすめ、活用法などについて詳しく解説しています。
法人を設立するデメリット
法人設立は個人事業主と比べてメリットが多い反面、5つのデメリットがあります。最も大きな違いはお金の扱い方にあるので、取り組みたい事業に法人の性格が合うかを検討して決めましょう。
・会社と個人のお金の区別が必要になる
法人の場合、財産をはっきりと区別する必要があり、自分が出資したお金であっても私用で会社のお金は使えません。役員報酬を超えて必要な場合は、会社から借金をするという扱いです。
・設立にかかる費用が大きい
会社設立にあたり定款の作成から認証、法人登記には法人免許税が必要です。個人事業主には、これらの費用がかかりません。
・社会保険加入義務があり、役員報酬によっては保険料が高額になる可能性がある
従業員を多く抱える場合、健康保険料と厚生年金保険料は50%を会社が負担するため費用が大きくなります。
・赤字の場合でも法人住民税の年間7万円が課税される
所得税や法人税は原則かかりませんが、法人住民税の均等割分は納税が必要です。
・事務作業が煩雑になる
自分で対応しきれない場合は、税理士に依頼し費用がかかる場合があります。
法人の種類は大きく3つに分かれる
法人を大きく分けると、公法人・私法人に分かれ、私法人はさらに営利法人と非営利法人に分かれます。
3種類の法人それぞれのメリットとデメリットを解説します。
公法人
公法人は、一般的に国の公共事業を行うことが目的の団体です。
地方公共団体・公共組合・営造物法人・独立行政法人・特殊法人などがあります。
民間の私法人と異なり、公的な権力の行使が認められています。
経営の自主性があるものの国の責任の担保のために、特別な監督下に置かれている団体です。
私法人:営利法人
営利法人は公的な権力を持たず、私的な社会活動をするために私人が設立して、主に経済的な利益を得ることを目的にした団体です。
株式会社・合同会社・合名会社・合資会社が営利法人にあたり、株式会社以外の4種類は持分会社と呼ばれます。
持分会社は会社設立に出資した人が利益分配の決定権を持ち、業務を遂行します。
私法人:非営利法人
非営利法人は、公権力を持たず構成員への利益分配が目的ではない法人です。
事業で利益をあげても社員の給与や団体の活動目的の達成のために使われ、構成員や役員には払われません。
非営利法人は、財団法人・社団法人・社会福祉法人・NPOなどがあります。
主な法人の種類・特徴
法人=株式会社と思っている方も少なくないようですが、実は、法人には多様な種類があります。
次に、営利・非営利それぞれの特徴と、人気の法人形態について詳しくみていきましょう。
営利法人
営利法人は、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4つに分かれます。
それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説するので、設立する会社選びの参考にしてください。
株式会社
営利法人の代表といえば株式会社です。
株式会社は、株式を発行し、多くの人々からお金を集めることで事業を行う法人です。
そして、利益の一部を株主に配当という形で支払います。
株式会社では、その会社の株を一番持っている株主、つまり筆頭株主が最大の権限を持っています。
メリットとしては、ほかの会社形態よりも圧倒的に社会的な印象がよいです。
株式会社としか取引をしないという会社も多くあるため、印象というものも馬鹿にはできません。
株式会社の利益分配と経営の意思決定は、株主が行うことになります。
そのため、資金調達のために株主を増やすことになると、経営の自由度は低くなってしまうという危険性もあります。
参考:【保存版】株式会社設立の「全手順」と流れを詳しく解説します
合同会社
合同会社(LLC)は、2006年の会社法の改正によって登場した新しい種類の法人です。
個人事業主から法人になる場合や、小規模な事業を法人化する際の選択肢のひとつです。
株式が存在せず株式会社よりもシンプルな構造をしているため、出資者の社員や経営者が経営に関する意思決定を行え、利益の配分も出資者で行えます。
メリットは、ランニングコストの低さや意思決定の早さなどが挙げられ、責任の範囲は出資額までが限度です。
そのためスタートアップ企業には最適な会社といえるでしょう。
とはいえ、株式会社と比べると知名度が低いため、社会的な信用度でいうと株式会社には劣っています。
そのため、株式会社というブランドを必要としてない、BtoCのビジネスに比較的向いているともいえます。
ちなみにGoogleやApple、Amazonなど、世界的に有名な大企業の日本法人は合同会社です。
合資会社
合資会社とは、無限責任社員と有限責任社員とで構成される法人です。
設立には、無限責任社員と有限責任社員のそれぞれ1名ずつ必要となっています。
「有限責任社員」は、会社が倒産したときや負債が発生した場合、出資額以上の負債を背負う必要はありません。
しかし「無限責任社員」の場合は、負債をすべて返済する必要があります。つまり、会社の債務に対して無制限に責任を負うのです。
合資会社のメリットとしては、株式会社と比べて設立費用が安いことや手続きが簡単ですむことが挙げられます。
また、資本金の制度がないため、現金による出資は必要ありません。信用・労務や現物出資のみでの設立が可能です。
合名会社
合名会社は、無限責任社員だけで構成される法人です。
以前は、2名以上の無限責任社員が必要でしたが、会社法の施行にともなって、1名から合名会社を設立できるようになりました。
構成する出資者全員が業務執行権と代表権を持ち、複数の個人事業主で構成するような会社形態です。
ひとりひとりの権利を大切にするため、会社の定款変更や社員持分の譲渡の変更が必要な場合は、出資者全員の同意が必要になります。
メリットとデメリットについては合資会社と同様です。
合資会社と合名会社は非常にデメリットが大きいため、合同会社という会社形態が誕生した今となっては、あえて設立する人は少なくなっているようです。
また、合同会社・合資会社・合名会社の3つは、総称して「持株会社」とも呼ばれます。
非営利法人
非営利法人は、NPO法人・一般社団法人・一般財団法人の3つに分かれます。
必要な構成人数や設立に必要な費用などをチェックして、どの会社なら設立できそうか検討しましょう。
NPO法人
NPO法人とは、特定非営利活動法人のことです。
特定非営利活動とは、以下の20種類の分野に該当する活動のことです。
1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2. 社会教育の推進を図る活動
3. まちづくりの推進を図る活動
4. 観光の振興を図る活動
5. 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6. 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7. 環境の保全を図る活動
8. 災害救援活動
9. 地域安全活動
10. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11. 国際協力の活動
12. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13. 子どもの健全育成を図る活動
14. 情報化社会の発展を図る活動
15. 科学技術の振興を図る活動
16. 経済活動の活性化を図る活動
17. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18. 消費者の保護を図る活動
19. 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20. 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
引用:内閣府NPO 特定非営利活動(NPO法人)制度の概要 特定非営利活動とは
このような活動を非営利で行うための法人です。
NPO法人の主な収入源は会員からの会費で、活動による利益を団体の収入にしてはなりません。
設立にあたっては「10人以上の構成員が必要」「役員のうち、報酬を受ける者の数が、役員の総数の3分の1である」などの要件を満たす必要があります。
また、資本金や定款認証手数料、法人設立登記の際の登録免許税などの費用は必要ありません。
税制上、NPO法人は公益法人とみなすため特定非営利活動に対して法人税の課税はされないこととなっています。
しかし、法律に定められた書類を添付した申請書を所轄庁に提出し、設立の「認証」を受けることが必要となります。
非営利企業の中では一番知名度もあり信頼性の高い法人形態ですが、設立のハードルは一般社団法人などと比較し、やや高いといえるでしょう。
一般社団法人
一般社団法人も、営利を目的としない活動を行う法人ですが、NPO法人とは違い、活動は制限されていません。
メリットとしては、設立にかかる時間も少なく、比較的容易に設立ができることが挙げられます。
NPO法人の場合は、設立までに5ヶ月程度を必要としますが、一般社団法人の場合は、2~3週間で設立することができます。
設立に必要な人数も2人以上と、NPOの10人以上に比べて少なくなっています。
デメリットとしては、NPO法人よりも補助金や支援プログラムなどが少ないことが挙げられます。
一般社団法人は、活動が制限されていないため、営利を目的としなければ、収益をあげることや、法人内部の共益だけを目的とすることもできます。
そのため、業界団体、医療系学会、資格認定機関、介護事業、互助団体などに利用されています。
一般財団法人
一般財団法人は「財産」に法人格を与えたものです。
一般社団法人のが「人」の集まりなら、一般財団法人は「財産」の集まりといえます。
営利を目的とせず、拠出された財産を一定の目的のために利用する法人。簡単にいうと、寄付された「財産」をもとに活動する法人です。
設立には、財産の合計額が300万円以上であることが必要です。
さらに、理事3人・評議員3人・幹事1人の計7人が必要で、それぞれ兼任はできません。加えて定款の認証や法人登記などの手続きも必要です。
一般財団法人の例としては、美術館などが挙げられます。
法人の種類を選ぶ際の注意点
法人の種類に目を通したら、やりたい事業にふさわしいものが見えて来たのではないでしょうか。
この章では法人の種類を選ぶときの注意を説明するので、適切な種類はどれか比較しましょう。
融資における有限責任は無効
会社の種類によって、責任は出資額の範囲までなど有限責任を持つ種類がありますが、融資も同じではありません。
法人として銀行などから融資を受ける場合、経営者が連帯保証人になるケースが多いです。
もし返済できなくなれば、連帯保証人の経営者に返済義務が生じます。
目的に応じた選択が重要
事業にあった会社の種類を選ぶには、調達したい資金の額や取り組みたい内容、経営の自由度はどのくらい考慮するかを決めましょう。
たとえば、できるだけ多く資金を集めたい場合は株式会社、社会問題への取り組みが目的で非営利でもかまわない場合はNPO法人、より自由な経営を目ざしたい場合は合同会社を選びます。
途中で変更できない法人格もある
法人格のうち私法人のひとつである非営利法人は、一度設立するとあとから営利法人、または他の非営利法人への組織変更もできません。一定の条件下で非営利法人を別の非営利法人へ移行する手段はありますが、さまざまな手順を踏む必要があり、手間がかかります。
法人を設立する前によく考え、事業に合った法人格を選びましょう。
法人の種類Q&A
株式会社と合同会社の違いは?
株式会社と合同会社とで根本的に違うところは、利益の配当についてです。
株式の場合は、1株あたりの配当が決まっています。
株をたくさん持っているひと、つまりたくさん出資したひとが、多くの配当を受け取ることができるという仕組みです。
しかし合同会社では、出資の割合に関係なく、定款によって利益などの配分の仕方を自由に設定することができます。
たとえば多くは出資していませんが、それ以外の能力で会社に利益をもたらしたという人物に多くの利益を配分したり、その逆も可能になります。
NPO法人・一般社団法人・一般財団法人の違いは?
NPO法人と一般社団法人や一般財団法人の大きな違いは、活動内容の制限の有無と、それにまつわる設立要件にあります。
まず、NPO法人には活動内容に制限があります。一方、一般社団法人と一般財団法人には活動内容に制限がありません。
そのため、NPO法人を設立するときには、活動内容を審査する必要があり、手続きや審査に時間がかかります。
一般社団法人と一般財団法人には活動内容の制限がないため、2~3週間で設立することができます。
設立費用の面で考えると、NPO法人の設立には資本金、登録免許税、定款認証手数料などの費用はかかりませんが、一般社団法人・一般財団法人では費用が必要です。
一般社団法人では15万円以上、一般財団法人では財産として必要な300万円以上を合計した、315万円以上が必要となってきます。
税制についても違いがありますが、そちらについては後述します。
非営利団体の公益認定ってなに?
公益認定とは、一般社団法人・一般財団法人が認定を受けて、公益社団法人・公益財団法人になることです。
メリットとしては、税制上の優遇措置が受けられることにあります。
詳細は、次の質問で詳しく説明します。
税制優遇される法人の種類ってあるの?
営利法人においては、どの会社形態でも税制は変わりません。しかし、非営利法人においては非常に重要なこととなってきます。
非営利法人は、その公益性の強さや、営利活動ができないかわりとして、税制が優遇されるということがあるのです。
まず、NPO法人と、一般社団法人・一般財団法人を比べてみます。
NPO法人には、税法で定められた収益事業を行っていなければ法人税・法人住民税が免除されるという制度があります。
しかし、一般社団法人・一般財団法人には、法人税・法人住民税の免除は原則ありません。
なので税制上はNPO法人が有利です。
そして、非営利法人には、NPO法人の認定特定非営利活動法人制度(認定NPO法人制度)や、一般社団法人・一般財団法人の公益認定制度などがあります。
この認定を受けた法人には非課税対象が増えるなど、税制優遇が受けられるメリットがあるのです。
非営利法人の税制の優遇制度について詳しく知りたい場合は、税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。創業手帳では、会員向けに専門家の紹介を行っています。創業手帳の会員になることも、紹介を受けることも、どちらも無料です。
非営利法人でも収益事業ができるって本当?
非営利とは、利益をあげないという意味ではなく、あげた利益を構成員に分配しないという意味。よって、収益活動を行うこと自体には何の問題もありません。
たとえば、非営利法人がサービスを提供した場合に、対価を得て、そこから経費を差し引いた結果が利益となります。
その利益を、非営利法人の目的遂行のため、つまりサービスの提供や活動、スタッフの人件費に充てることで、非営利法人は事業を運営していっているのです。
有限会社はもうない?
平成18年5月1日に改正会社法が施行されたことで、新たに有限会社を設立することができなくなりました。
しかし、以前からあった有限会社がなくなったわけではなく、法律上は「特例有限会社」として残っています。
屋号にも有限会社という言葉を使用してもよいことになっています。
現在みられる有限会社の中には、株式会社に移行する手続きにかかるコストを考えて有限会社のままであるという会社もあります。
また、今後新たな有限会社が作れないということで、有限会社自体に希少価値を見出して有限会社のままでいるというパターンもあるようです。
法人の種類によって設立費用は違う?設立費用が一番安いのは?
営利・非営利 | 形態 | 設立費用 |
営利 | 株式会社 | 24万円程度 |
合同会社 | 6万円〜 (登録免許6万円、印紙4万円。電子定款だと印紙代は不要だが、それに必要なソフトを揃える必要あり) |
|
非営利 | NPO法人 | 数千円〜 |
一般社団法人 | 15万円程度 | |
一般財団法人 | 15万円程度 |
法人の種類によって設立費用は違います。
法人のなかで設立費用が一番安いのは、NPO法人です。
なんといっても、株式会社では資本金・登録免許税・定款認証手数料などの費用で最低は24万円程度かかるところが、0円となっています。
とはいえ、NPO法人は活動内容が限られていること、設立までに時間がかかることをお忘れなく。
営利法人だけで考えると、合同会社(合資会社・合名会社)の場合は最低6万円なので株式会社の1/4程度となります。
つまり、株式会社か合同会社のどちらかで考えると、合同会社のほうが圧倒的に安いことになります。
法人設立にかかる期間は?
営利・非営利 | 形態 | 書類作成期間 | 登記手続き |
営利 | 株式会社 | 約2週間 | 1~2週間 |
合同会社 | 1日~3日 | 1~2週間 | |
非営利 | NPO法人 | 3~4週間(その後の審査期間:約4ヶ月) | 1~2週間 |
一般社団法人 | 1~2週間 | 1~2週間 | |
一般財団法人 | 1~2週間 | 1~2週間 |
法人の種類によって、設立までの期間には大きな違いがあります。
設立までの期間は、一般的には合同会社が一番短いでしょう。
また、一番長いNPO法人の場合は、書類作成などに3~4週間、所轄庁の審査で約4ヶ月、登記手続に1~2週間。合計5ヶ月ほどかかります。
いずれにしても、登記までのスケジュールは余裕を持って計画するようにしましょう。
資金調達に有利な法人の種類は?
営利法人でいうと、融資や補助金・助成金を検討する際は、信用面でやや株式会社の方が有利な場合もあるかもしれませんが、一般的にはほぼ変わらないといえるでしょう。
全体的にみると、株式の発行による資金調達ができるぶん、株式会社のほうが資金調達の面では有利です。
ただ、合同会社を設立された方でも、あとから株式会社に変更することもできます。はじめは合同会社で設立し、株式による資金調達が必要となったときに、株式会社に変更するというのもひとつの手です。
さて、次は非営利法人です。
非営利法人において資金調達が有利なのはNPO法人です。
補助金や支援プログラムが一般社団法人・一般財団法人よりも圧倒的に充実しています。
また、知名度の問題から、寄付などにおいてもNPO法人のほうが集まりやすいようです。
有限責任・無限責任とは?
ここでいう「責任とは」、会社が倒産したときなどの負債の責任のことです。
「有限責任」は、会社の債権者にたいして、出資額を限度として責任を負います。
一方「無限責任」の場合は、会社の債権者にたいして、直接弁済を行う責任が発生します。
つまり、会社の債権者に対して負債総額の全額を支払う責任があるのです。
法人の種類はあとからでも変更できる?
できる法人形態とできない法人形態があります。
NPO法人の場合は、株式会社や一般社団法人などに変更することはできません。
また他の法人形態との合併も認められていません。NPO法人はNPO法人同士の合併のみが認められています。
また、一般社団法人・一般財団法人も同様で、株式会社や一般社団法人などに変更することはできません。
合併についても、同じ法人形態の合併のみが認められています。
しかし株式会社は合同会社・合資会社・合名会社への変更はできます。
変更に際しては、総株主から同意を得ること、債権者保護手続を実施することなどの手続きが必要となります。
また、合同会社・合資会社・合名会社も同様で、株式会社への変更はできます。
ちなみに、合同会社が、合資会社や合名会社に、合資会社が合名会社などに変更するときは、定款を変更することで組織変更することができます。
まとめ・会社設立の際は自分の目的にあった法人の種類を選ぼう
さて、法人の種類について解説してきましたが、それぞれの違いや特徴はわかりましたでしょうか。
非営利法人についてはあとから法人形態を変更することができないため、設立の前にしっかりと選ぶ必要があります。
また、株式会社や合同会社があとから変更できるといっても、やはり手続きにはコストがかかります。
いざ会社設立、というときには、それぞれのメリット・デメリットをよく理解し、自分に最適な法人を選んでくださいね。
法人格を決めたあとは、いよいよ設立の手続きです。冊子版の創業手帳(無料)では、法人設立に必要な手続きや、起業後に必要となるノウハウを詳しく解説しています。
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(執筆:創業手帳編集部)
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