車を法人名義で購入するには?契約時の注意点から節税効果まで徹底解説!

創業手帳

車は法人名義で購入すると経費計上も可能に!


会社で車を使用する場合、購入時に経営者の個人名義ではなく法人名義で購入できます。
法人名義で車を購入することで経費計上ができ、節税にもつながります。しかし、購入する際にはいくつか注意しなければいけない点があることも事実です。

そこで今回は、法人名義で車を購入した場合のメリットや経費処理の方法、購入する流れや注意点などを詳しく解説します。
会社で使用する車の購入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

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車を法人名義で購入するメリット


車を法人名義で購入する場合、個人名義で購入した場合と違って具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
まずは車を法人名義で購入するメリットを3つご紹介します。

1.車にかかる費用が必要経費として計上できる

車を法人名義で購入するメリットには、車に関連する費用が必要経費として計上できる点があります。
車を所有している場合は様々な費用がかかり、以下のようなものが挙げられます。

  • 車を購入するための費用
  • 自動車税
  • 自動車重量税
  • 消費税
  • 保険料
  • 車検代
  • ガソリン代

購入するための費用がかかるのは1回きりですが、それ以外の税金・保険料・ガソリン代などは定期的にかかるものです。
個人名義であればこれらの費用は車を所有する人がすべて支払わなければなりませんが、法人名義なら業務上必要と判断されれば経費として計上できます。

出費は車の種別や使用頻度に応じて異なりますが、年間10万円以上かかってしまうことも少なくありません。経費計上ができれば節約の効果も実感できます。

2.1年で購入金額を全額償却できる場合もある

1回きりとはいえ、車を購入する費用は数十万~100万円以上かかってしまうことから、経済的負担も大きくなります。
しかし、一定の条件さえ満たしていれば、車の購入費用全額を減価償却することが可能です。

減価償却は、本来一度にまとめて支払わなければいけない費用を毎年少しずつ分けて支払っていくものです。
なぜ毎年支払う必要があるかというと、費用収益対応の原則が関係しています。

費用収益対応の原則とは、起業の経営活動で成果(売上げ)と成果を得るためにやったこと(費用)が対応関係にある場合、対応させて損益計算書に計上する必要があると定めているものです。

例えば、5年間使用できる車を購入したとします。
本来は5年間継続して利益を得られるものですが、もしまとめて費用を支払った場合は1年分の利益しか得ていないのに、決算上で5年分の費用が計上されていることになります。
つまり、残り4年間は何の費用もかかっていない状態で利益だけが上がるという意味です。

費用・収益が対応関係にない状態となってしまうため、毎年少しずつ費用を分散させる必要があります。

3.個人で買い取ることも可能

法人名義で車を購入したものの、事業目的に使わなくなるケースもあります。せっかく法人名義で購入したのにもったいないと感じてしまうかもしれません。
しかし、何年も業務で使用した車を通常より安い値段で個人が買い取ることも可能です。

買取価格が1円など、あからさまに低額に設定した場合は指導を受けることもありますが、評価額を算出して設定すれば市場よりも安く中古車を手に入れられます。
法人側にとっても不要となった車を買い取ってもらうことで維持費がかからなくなり、経済的な負担も抑えられます。

車を経費処理するための方法


法人名義で車を購入すると、固定資産に費用を算入させ、減価償却によって経費計上できる場合もあります。ここでは、どのようにして車を経費処理すれば良いのか解説します。

固定資産で計上

車は通常10万円以上の価値を持っていること、1年以上使用できる資産であることに当てはまるため、固定資産になります。
固定資産は品目ごとに耐用年数や計算方法が定められており、それに合わせて計上できます。

なお、車を購入した際にかかる本体価格だけが固定資産に計上できるわけではありません。
例えば、自動車税環境性能割・検査登録・車庫証明などの法定費用まで計上することが可能です。さらに、取得価額には付属品や納車費用などもすべて含まれます。

ただし、自動車税・自賠責保険料などは、固定資産に含めなくても良い費用項目になるので注意してください。

法人は定率法、個人事業主は定額法で計算

経費計上する際に用いる減価償却の計算方法には、「定率法」と「定額法」の2種類があります。
税務上は原則、法人名義には定率法、個人事業主の場合は定額法が用いられます。

定率法とは先ほどもご紹介したように償却額を期間内で一定に減少するもので、定額法は毎年の償却額を均等にするものです。
今回は、法人の定率法を掘り下げてご紹介します。

定率法で減価償却費を求めるには、未償却残高×定率法の償却率で算出できます。また、定率法の償却率は以下のとおりです。

耐用年数 2年 3年 4年 5年 6年
償却率 1.0 0.667 0.5 0.4 0.333
改定償却率 1.0 1.0 0.5 0.334
保証率 0.11089 0.12499 0.10800 0.09911

もしも減価償却費が取得価格×保証率よりも低かった場合、改定償却率が適用されます。
保証率は、減価償却が完了するまで時間がかかるため、最低限の償却費を確保するためのものです。

償却方法は新車・中古車で異なる

公平性を配慮するために、減価償却は各品目や使用する事業者に対して法定耐用年数が決められています。一般用と運送事業用で異なり、以下のとおりです。

【一般用】
普通車……6年
軽自動車……4年
貨物自動車……4~5年
2輪・3輪自動車……3年

【運送事業用】
大型乗用車……5年
小型車……3年
乗合自動車……5年

しかし、これはあくまでも新車の場合で、中古車だと耐用年数は短縮されます。中古車の耐用年数は、以下の計算式で求めてください。

中古車の耐用年数=(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数×0.2)

計算結果にて1年未満の端数は切り捨てになり、また、2年以内となった場合は耐用年数が2年に設定されます。

車を法人名義で購入する際の流れ


車をスムーズに購入するために、事前に流れを把握しておくと安心です。どのような流れで車を決めたり、手続きが行われたりするのかを解説します。

1.購入する車の条件を決める

まずは車選びをスタートさせる前に、どのような車を購入すればいいのか、条件を決めておきます。
目的や使い道があらかじめ決まっていれば、乗車できる人数や車種などもある程度絞り込めます。

また、新車・中古車を選ぶことも大切です。
中古車を選ぶと耐用年数が短縮されると前述しましたが、期間が短縮されることにより1年でより大きな金額を経費計上できるようになります。
会社の負担軽減を考慮するなら、中古車購入を検討してみてください。

2.契約するディーラーを決める

車選びでは、「どこのディーラーで契約するか」も大切なポイントです。ディーラーは車を購入する時だけでなく、売却する際にも関わってくるものです。
購入前から売却の可能性も考慮し、なるべく価値が落ちない車を紹介してくれるディーラーなら信頼も置けます。

ディーラーといっても様々な種類の店舗が存在します。メーカーが直接運営に携わっているようなディーラーだと高品質の車やサービスを受けられるでしょう。

一方、地域密着で経営するディーラーであれば、独自のサポート・サービスを提供している傾向にあります。
どちらが良い・悪いというわけではないので、自社の車選びに合うディーラーを見極めてください。

3.必要書類を準備する

車が決まったら、契約に移ります。契約手続きにはいくつかの書類が必要です。

【軽自動車を購入するのに必要な書類】
  • 代表者の実印または署名
  • 商業登記簿謄本(抄本)、登記事項証明書、印鑑証明書のいずれかひとつ
【普通車を購入するのに必要な書類】
  • 代表者の実印または認印
  • 発行から3カ月以内の印鑑証明書
  • 発行後約1カ月以内の自動車保管場所証明書(車庫証明)

さらに、カーローンを組む場合には銀行の届出印や通帳の口座番号などが必要です。

車を法人名義で購入する際の注意点


車を法人名義で購入する際に、気をつけたほうが良いポイントは4つあります。それぞれどのようなことに注意すべきなのか、詳しく解説します。

決算の翌月に購入する

せっかく法人名義で車を購入するなら、節税効果の恩恵を最大限受けられるように購入したいものです。
そのためには減価償却のルールをきちんと把握しておかなければなりません。

原則、車の償却単位は1カ月です。つまり、決算月に購入してしまった場合、1カ月分しか償却できないことから、ほとんど節税効果を得られません。
一方、決算月の翌月に購入すれば次の決算期までの月数がすべて償却期間になります。

毎年着実に業績が上がっている経営状態であれば、そこまで節税を気にする必要はないかもしれません。
しかし、突然利益が上がり節税対策が必要という場合には、車を購入するタイミングに気をつけてください。

毎月の維持費に気をつける

車の購入後は、毎月どれくらい維持費がかかっているのか理解しておくことが大切です。
もし購入したい車種が決まっているなら、運転距離に対してどれくらいのガソリン代・税金が必要なのか計算してみてください。

いくら経費で計上できるからといってもお金をかけ過ぎてしまえば、せっかくの節税効果の恩恵も薄れてしまいます。
毎月の維持費よりも節税効果の恩恵が大きい車を選ぶようおすすめします。

なるべく価値が落ちない車を見極める

節税目的で購入する車を、不要になった段階で売却することを視野に入れている場合は、車種を選ぶ段階からなるべく価値が落ちなさそうな車を見極めることが大切です。
例えば、中古車市場で需要の高い車は、価値も維持されやすく数年後に売却したとしても高値で売れる可能性があります。

また、価値が落ちない車は走行性能や機能性はもちろん、人気のカラーやグレードなども意識して選んでみてください。
万が一予算を超えてしまったとしても、売却時の買取金額が高くなりそうなら一考の価値はあります。

ディーラーや販売業者は比較したほうが良い

どのディーラー・販売業者から選ぶか決める時は、複数の業者で比較しておくも大切です。
複数の業者を比較することで、同じモデル・カラーの車種でも価格が安いほうを選択できます。

特に中古車販売業者はそれぞれで強みが異なり、買いが得意で中古でも良い状態の車が集まる業者もいれば、様々なアフターサポートをつけてくれる業者もいます。
総合的に判断し、どこで購入するのが一番お得になりそうかを慎重に検討してみてください。

社用車を私的に使うことは可能?


法人名義で車を購入した際に、せっかくならプライベートにも活用したいと考える方もいるかもしれません。社用車は私的に使っても良いのでしょうか。

個人的な使用はNG!

結論からいえば、個人的に社用車を使用するのは原則禁止です。ただし、あくまでも業務中の使用がメインであり、合間に個人が使用する程度であれば問題ありません。

気をつけなくてはならないのが、家族経営の場合です。家族経営だと家族で使用する車を会社の経費から落としたいと考えることもあるかもしれません。
しかし、法人名義の車は使用目的が会社の業務でなくてはならないことから、私的に使っていると税務署から経費として認められない場合があります。

あくまでも法人名義で購入した車は「業務での使用」が目的となるため、個人的な使用は控えてください。

役員の通勤時に社用車を利用するのはOK

個人的な使用は不可ではあるものの、例えば役員が通勤時に社用車を利用する場合には問題なく使用できます。なぜなら役員が会社へ移動するのも業務に含まれるためです。

役員が通勤用として高級車を所有するケースもあります。こうしたケースが2023年現在でも特に指摘を受けていないため、問題なく使用できます。

車を法人名義で購入するなら「カーリース」も検討しよう


車の購入方法はこれまでだとローンや一括払いに限られていました。しかし、現在はカーリースという選択肢もあります。
ここでは、カーリースとはどういったものか、また、カーリースを経費計上するやり方などをご紹介します。

カーリースとは?

カーリースは、月額料金を支払うことで車を所有する方法です。
所有できる期間はあらかじめ決まっており、下取り時の金額を計算して車両価格から差し引くことで、実際に負担する金額が決まります。この金額を1カ月単位で分割します。

なお、実際に負担する金額以外にも、月額料金の中には事務手数料・環境性能割・自賠責保険料・自動車重量税などがまとめて含まれているのも特徴です。
カーリースは、一時的に車が必要という場合に適しています。

一括で購入する場合との違い

一括で車を購入する場合とカーリースでは、どのような点に違いがあるのでしょうか。
まず、一括で車を購入する方法は、減価償却を考えると一度に全額を計上してしまうのは適切とはいえません。
その点、カーリースであれば毎月決まった金額での支払いです。

また、維持費も一括購入の場合はすべて項目化し、経費計上を行う必要があります。
しかし、カーリースなら一部の項目は月額料金に含まれることから、計上の手間も若干軽減されるでしょう。
経理作業の簡略化と節税効果を期待するなら、一括購入よりもカーリースを選ぶのがおすすめできます。

カーリースを経費計上するやり方

カーリースの料金はすべて経費として計上することが可能です。そもそもカーリースの場合は車の保有権がカーリース会社側にあるため、固定資産には該当しません。
固定資産に含まれないということは減価償却を行う必要がなく、全額経費計上できます。

法人がカーリース代を経費として計上するのは、事業用として契約するだけで問題ありません。ここで注意したいのが、個人事業主です。

個人事業主はカーリースを利用する場合、事業とは関係ないところで使用してしまうかもしれません。このような場合は家事按分と呼ばれる経費処理を行う必要があります。

家事按分は、事業用・プライベート用の割合に合わせて経費計上を行う仕組みです。
例えば、事業用として7割、プライベート用で3割使った場合は、事業用の7割分を経費に計上することになります。
家事按分はあくまでも申告者が割合を決定できるため、もしプライベートで使っていたとしても事業用10割で経費計上はできます。
しかし、申告後に税務署から調査を受け、その結果プライベートで使用していたことがバレてしまう恐れもあることから、正直に申告することが大切です。

まとめ

車は法人名義で購入する場合、固定資産に該当することから減価償却を適用させる必要があります。
また、購入するタイミングや使用目的などに気をつけないと、節税効果を思うように受けられなかったり、経費に認められなかったりする場合もあるので注意してください。
一時的に車が必要な場合は、購入ではなくカーリースも検討すると良いでしょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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