経営が落ち込んだ企業が経営回復させるために行うべきことは?必要な対策や実例を解説

資金調達手帳

経営状況が悪化すると経営回復は難しいもの。経営不振に陥る原因と経営回復させるための対策を、実例を交えて解説します。


何らかの理由で業績が悪化し、経営不振に陥った企業においては、市場でもブランドイメージが下降し、経営回復は難しい課題です。
しかし、施策が何もないわけではなく、有効な手段を取れば経営回復できるチャンスはあり、実際にどん底から経営回復した例も少なくありません。

今回は、経営回復するために必要な対策について、実際の成功例を交えて解説します。

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この記事の目次

経営不振が起こる理由とは


経営回復が必要な企業が、そもそも経営不振に陥る理由にはどのようなものがあるでしょうか。

マーケティングの失敗

商品やサービスを提供するにあたって、市場や競合他社の動向、ターゲットとする客層といったマーケティングは必須です。
この時、市場相場と見合わない価格設定、競合他社との差別化の失敗、ターゲットの設定を誤ったアピールなど、マーケティングの失敗により経営が悪化することは十分考えられます。

マーケティングの失敗例

・顧客単価を見誤っている
商品やサービスの価格を決定するにあたり、顧客ひとりあたりの単価を想定するのも、マーケティングの過程のひとつです。
顧客単価は、商品やサービス1つあたりの単価、もしくは顧客が複数の商品やサービスを購入した際の合計価格のいずれかで決定します。
この時、商品などの単価が高すぎると市場や商品の価値に見合わないものになりかねません。

また、単価を低くして大量購入を狙ったとしても、商品などへの価値を下げてしまい、いずれにしても顧客は遠ざかります。

・顧客の獲得がうまくいっていない
マーケティングにおいて、新規顧客を獲得することは課題のひとつであり、そのためにターゲットとする顧客層を定める必要があります。
この設定を誤った時、販売費のコストをかけている割に顧客をつかめず、コストの無駄になる可能性が大きいです。

さらに、新規顧客の獲得ばかりに気を取られて、既存顧客の満足度を無視すると、せっかくの顧客も離れてしまい、商品やサービスの売行きは悪くなります。

・営業担当の意識が足りず非効率
市場や競合他社の動向、また地域性による顧客層の設定には、営業担当者がリサーチし情報を集めることが求められます。
しかし、営業担当が真剣にマーケティングに取組む意識が足りない場合、正確な情報をつかめず、マーケティングによる施策の詰めの甘さが失敗につながってしまうでしょう。

また、営業担当者が多忙である場合、マーケティングに必要なデータを収集・管理する営業活動ツールをうまく利用しなければ、営業活動の効率が悪くなります。

資金繰りの悪化

経営状況の悪化を計るために、まず確認すべきは資金繰りです。
自社のキャッシュフローに余裕がなく、現預金の流入出が健全に行われない場合、すぐにでも原因を探って何らかの施策を取るべきです。

しかし、資金繰りの悪化を自社の資産売却などで賄ってその場をしのぐ方法では、会社の経済力は衰えていく一方でしょう。
経営にかかる数値をしっかり確認し、売上げに対してキャッシュフローの状況が思わしくないといった実態に気付いたときには、原因の分析結果に見合った改善をすべきです。

大企業ならではの事業への慢心

特に、数十年も経営を続けて成長をしてきた大企業では、ロングセラーを続ける商品に依存しすぎて、事業に慢心が生まれるケースも見られます。
確固たるブランド力があることに安心していると、市場の変化によりロングセラー商品が時代遅れになっていることにも気づきにくいです。

さらに、老舗大企業はこれまでのビジネスモデルを転換させるスピード感に欠ける部分もあるため、思い切ったテコ入れを行う必要があります。

人員不足による品質低下

経営において、経費削減のために最低限の人員で現場を回すほか、離職率が高いなどの理由で必要な人員の確保も難しく、常に人手不足にあえぐ会社も多いです。

本来必要である人員が足りないことにより、商品やサービスのクオリティを落としてしまい、顧客から見放されてしまう事態に陥ります。
その結果、売上げが減少するだけではなく、過酷な労働環境から離職する人材も多く発生するかもしれません。

風評被害

風評被害は、例えば従業員の不祥事や不適切動画の拡散、マスコミの誤報道のように、本来は会社経営と直接関係のないところから発生するようです。
経営そのものには問題がないにもかかわらず、従業員個人が起こした問題や商品などに対するデマが広まってしまうと、会社自体のブランドイメージに傷がつきます。
顧客に植え付けられたマイナスイメージを取り戻すのは困難を極めるため、そのまま業績が振るわず経営が立ち行かなくなるケースもよく見られます。

コロナ禍における需要の減少

近年蔓延している新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、様々な商品やサービスの需要が落ち、多くの会社が窮地に立たされている状況です。
業種にもよりますが、売上げが通常の1割未満まで落ち込んだ会社もあり、通常通りの経営体制では近年の社会情勢に立ち向かえなくなっています。

経営回復に必要な対策法とは


ここからは、経営不振に陥った企業が、経営回復のために取るべき対策法をあげていきます。

経営不振が深刻化する前に原因を追及する

経営不振であることを察知するためには、経営状況にかかるバランスを数字で見ることが重要です。
そこで、業績の落込みが見られれば、早急に原因追及に乗り出すべきです。

前述のように、経営不振に陥る原因には様々なものがあります。財務状況や売上げ、諸経費などを細かく分析し、どこに問題があるのかを明らかにしましょう。
原因がわかれば、業績悪化が深刻化する前に、速やかに原因に応じた対策法を練ります。

具体的な数字を分析する

経営にかかる数字を示す具体的な指標として、事業計画と業績の比較、売上げや経費の前年との比較、営業利益率の比較などがあげられます。
これらの数値を分析し、現時点での業績に不調が生じていないかをよくチェックしてください。
このような数字の比較や分析により、具体的な経営不振の状況をつかめます。

経営方針の改善を検討する

事業計画と業績が伴っていない場合、経営方針の改善も考慮に入れるべきです。例えば、現場の管理者が経営に対する意識を高く持っていない場合、改善は困難です。

そこで、現時点での経営方針の課題を洗い出して現場の管理者に周知させ、改善計画を提出させてその取組みを徹底させます。
これにより、現場の課題改善に対する目標が明確になり、管理者の指導のもとで目標達成の意識を高めて経営回復の足掛かりにすることが可能となります。

削るべき経費を見直す

経営不振に陥る大きな原因は、キャッシュフローの不健全化です。
キャッシュフローを圧迫する原因のひとつが経費であり、この数字を見直すのは、すぐにでもできる施策です。

もちろん、必要な経費はかけるべきものですが、どこに経費が使用されているかをすべてチェックし、削減できるものがあれば速やかに改善策を講じるようにします。
この時に重要であるのは、必要な経費と無駄な経費をしっかり見極めることです。

経営が深刻化する前に資金調達を行う

経営にかかる数字の見直しで原因を探り、施策を立ててもすぐに成果が出ない場合もあります。

直近で成果を見込めない場合は、事態が深刻化する前に何らかの方法で資金調達を行うことが得策です。
経営が傾いてから金融機関に融資を申し込んでも、会社の経済力が弱まっているとの理由で融資を断られてしまう場合も考えられます。
そのため、危機に陥る前に資金調達の対策を取ることが大切です。

顧客ターゲットを適切に定めて拡大する

商品やサービスを提供する顧客ターゲットを設定することが、マーケティングに重要である点は、前述のとおりです。

もし、ターゲット層を誤ってしまい成果が見られない場合は、思い切ってターゲット層を広げ、改めて分析を行うのも方法のひとつです。
視野を広げると、商品やサービスの新たなニーズが発見でき、経営回復につながるかもしれません。

コロナ禍でも需要が伸びる商品を開発する

コロナ禍に苛まれる社会情勢にあっては、経営不振を余儀なくされる会社が続出しています。
それらの会社が経営回復するためには、現在の社会情勢だからこそ需要が伸びる商品を新たに開発することが有効です。

例えば、今や必需品となったマスクへの工夫や、手指の洗浄・消毒を効果的に行えるシステム、さらに自宅時間を有効に使うための商品開発などが考えられます。

事業の方向転換を行う

これまでの事業計画に沿って事業を進めていると、違った方向への事業展開はリスクを伴うことから避けてしまいがちです。
しかし、既存事業で経営不振に陥ったのであれば、思い切って舵を切り方向転換を行って、既存事業から離れて異なる事業を展開する方法として考えられます。

ただし、事業の方向転換は困難であることは否めません。
そのため、しっかりと新たな事業計画を立てたうえで、会社に残っている資金やノウハウなどを惜しみなく新事業につぎ込む思い切りを持つようにしましょう。

経営回復への対策にあたって必要なこと


では、経営回復のための対策を練る時に、必要なポイントはどこでしょう。

社外から取締役や専門家を招致する

自社内の既存事業に執着したり、業務のルーティン化が進んでいたりすると、事業の新たな方向性を模索しても、自社内だけではうまいアイデアが浮かびにくいです。
このような時、思い切って社外から取締役を招致したり、経営コンサルタントからのアドバイスを仰いだりすることで、光明が見える可能性があります。

社外からの客観的な視点に気付きを得られる可能性がある

自社以外から招致した取締役は、社内にいると見えづらかった客観的な問題点に着眼し、適切な事業計画改善の提案を行うことが期待できます。

また、社外の経営コンサルタントにアドバイスをもらえば、これまでの強固な考え方を違った視点から見ることができ、事業の新たな可能性に気付けるかもしれません。

ロジカルなマーケティングを徹底する

経営回復のためのマーケティングにおいて、不十分な点があるとすれば、ロジカルな組立てができていないという点があげられます。
マーケティングにおいて効果的な分析を行うための方法のひとつとして、PDCAサイクルを意識することです。

PDCAサイクルとは、P(Plan=計画)・D(Do=実行)・C(Check=評価)・A(Action=改善)のサイクルを繰り返して最適解を見つける考え方です。
しっかりと練った計画に基づいて実行に移し、その結果を適正に評価して問題点を洗い出し、改善の方向を探るステップが、ロジカルなマーケティングのポイントとなります。

課題を1つずつ順にクリアする

上記に示したPDCAサイクルにより、何らかの課題が見つかれば、一度に解決するのではなくひとつずつ着実にクリアするのがおすすめです。
ひとつ課題をなし得るごとに、それは成功体験となって経営に積み重ねられていきます。
成功体験をひとつ重ねるごとに、経営者や従業員のモチベーションはアップしていきます。

まずは、手が届きそうな課題のクリアを目標にし、それを達成することが、経営回復への着実な道になりえるのです。

中長期的な施策を立てる

課題のクリアにより、経営回復のための土台を固めた後に、中長期的なスパンで見た施策を講じます。
課題の度重なる成功で土台固めができていれば、斬新なアイデアが生まれた時にそこにつぎ込むパワーが蓄積されているはずです。
中長期的に成功できるアイデアは、一見規模が大きく見えがちですが、これまで積み重ねてきた成功体験をもとにすれば、実行への自信がついているはずです。

優秀な人材の育成・発掘を行う

経営者本人や役員以外の従業員の中にも、経営回復のために冷静な視点を持って問題点を分析している人材が隠れている可能性があります。
このような優秀な人材を育成・発掘するためには、経営者自ら従業員にヒアリングするなどの方法で探し当てる過程を取ることがおすすめです。

そして、経営者が見込んだ優秀な人材を集めて、事業に新たなテコ入れを行うチームを結成し、様々なアイデアを募るような方法も良いでしょう。

経営回復の成功にある前提条件について


経営不振に陥っている会社でも、以下のような特徴を持ったところであれば、経営回復の糸口がつかみやすいでしょう。

もともとブランドのネームバリューがある

経営不振に陥った原因は数あるものですが、もともとブランドのネームバリューが社会に浸透している場合、業績が悪化した原因をある程度絞れるはずです。
以前は好調な売上げを誇っていたブランドであれば、ブランド力を生かしきれてない可能性が十分にあるため、その原因を探れば経営回復の糸口になります。

資金繰りにさえ成功すれば危機を回避できる資金力

もともと資金力がある会社の場合は、自社内のキャッシュフローに何らかの問題がある場合が多いです。
そして、本来削減できる経費がかさんでいても気付いていないケースが見られます。

重要なのは、もともとある資金力をどのように有効に使うかということです。
削れるべき経費はしっかりと削り、削った分は効果的な広告宣伝を大々的に行うために回すなど、資金繰りのバランスを考えれば経営回復が十分に見込めます。

潜在的に優秀な人材がいる

前述でも触れましたが、従業員の中には経営に向いている人材や、斬新なアイデアを持っている人材が潜在している可能性があります。
優秀な人材の発掘に成功すれば、その力を経営者自らが借りて一緒に危機を乗り切るための施策を講じ、経営回復へのヒントを得ることが期待できるでしょう。

経営回復を成功させた企業の実例


以下では、経営不振から見事に経営回復を成功させた実例を紹介します。

大手ファストフード店の戦略的なキャンペーン

ある大手ファストフードが業績不振に陥った時、あえて挑戦的なメニューを発売し、売上げよりも話題性をさらうことを狙いました。

多くの顧客は、大手が発売した珍しいメニューに注目し、興味を持ってメニューを実食します。
その結果、狙い通りに賛否を呼び、SNSでも話題が広まり、幅広い顧客を獲得する結果を出しています。

麺料理チェーン店は女性向け商品を開発

全国に店舗展開する麺料理チェーンは、人員削減による品質低下に端を発し、顧客離れを招いてしまいました。

そこで、経営回復の施策として単純に品質を上げるだけではなく、女性をターゲットにして野菜をたっぷり使用した健康志向のメニューを開発しました。
その結果、狙い通り女性からの大きな支持を得ています。

牛丼チェーン店は人件費を工夫

ある大手牛丼チェーンでは、人員削減が激化した結果、いわゆる「ワンオペ」営業で品質・サービスともに低下し、問題を起こしました。
慢性的に続いてきた人手不足を解消するために、人件費のやりくりに乗り出した結果、比較的安い単価で雇用できる外国人を積極的に採用しました。
そして、増員と人件費コントロールに成功しています。

食品会社の危機管理における企業努力

人気インスタント食品メーカーでは、主力となるヒット商品に異物混入が発覚して以降、大幅な顧客離れが起きました。
経営不振の事態に陥った時、経営者は迅速な商品の自主回収を行いました。

また、経営者自らによる小売り店への謝罪や、現場での作業参加によるチェックなどの危機管理を実行し、この企業努力が実を結んでいます。

雑貨メーカーは消費者目線の商品開発にシフト

人気雑貨店として名を知らしめていたメーカーでは、商品が徐々に顧客のニーズに合わなくなり、業績が右肩下がりになりました。

窮地から抜け出した施策とは、消費者たる顧客の目線に立ち返り、一緒に商品を開発するシステムの構築でした。
これにより、商品は顧客ニーズにぴったりはまり、経営回復を実現しています。

通販会社は取扱い商品を拡充

テレビショッピングで知られる通販会社は、主力商品としていたテレビやデジカメなどの家電品の需要が落ち込んだことから、経営難に陥りました。

そこで、主力商品への癒着から離れ、取扱い商品の大幅な拡充を行いました。
取扱いジャンルはスポーツ用品や雑貨などにまで広がり、経営回復してさらに業績を伸ばしています。

まとめ

経営不振は、どの会社でも起こりえますが、経営回復を行うのは容易ではありません。
しかし、適切な手段を持って対策を講じ、事業にテコ入れを行うことで、経営回復は十分に実現できます。

現在、経営不振に苦しんでいる経営者の方は、今回紹介した内容を参考にし、自社の経営状態を見直しから始めることをおすすめします。

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(編集:創業手帳編集部)

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