定款変更をしたいときに必要な手続きとは?

創業手帳

定款変更にはルールがある

(2018/05/01更新)

定款(ていかん)とは、会社を運営していく上での基本的な規則を定めたもので、「会社の憲法」にあたるものです。法人を設立する時には必ず作成しなくてはなりませんが、「作ってそれで終わり!」というものでもありません。法人の事業や組織、資本などに変化が生じると、定款もそれに応じて変更が必要になるケースは少なくないのです。
定款変更には進め方にルールがあります。株主総会で定款の変更を決定し、議事録に残す。更に変更内容によって法務局で定款変更の登記申請まで必要になります。
定款の役割をおさらいするとともに、どんな時に定款変更が必要か、また、その変更手続きのルールについてご紹介します。

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まずは定款変更に必要な事前知識のおさらい

法人設立時に、さまざまに考えをめぐらせて作成した定款も、会社を経営していく中で変更する必要が生じてくるのはやむを得ないことです。例えば…

  • シェアオフィスで起業したけれど、社員が増えてきたので事務所を構えた。
  • 起業時に想定しなかった分野に参入することになった。
  • ブランドの知名度が上がったので、会社名をブランド名に合わせることにした。
  • 取締役を増員して取締役会を設置することにした。
  • 第三者割当増資など、資本金を増やすことになった。

このような場合、定款変更をする必要があります。

これから起業される方には、まずは定款の作成方法についてまとめた記事をご確認いただくとして、この記事ではすでに定款をお持ちの方に向けて、まずは定款の記載内容をおさらいするところから始めましょう。

定款で記載する内容は3つに分かれる

定款に記載される事項は大きく分けて「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3つがあります。

絶対的記載事項

絶対的記載事項は、法人の定款に「記載しなければならない」と定められている事項で、記載しないと定款全体が無効になります。もっとも、定款の内容は、法人の設立登記をする際に公証人による定款認証や法務局でチェックされますので、今ある定款には必ず記載されているはずです。しかし、定款を変更する場合も、絶対的記載事項の項目自体を削除することはできませんので注意が必要です。

株式会社の場合、絶対的記載事項は以下のようなものがあります。

  • 事業の目的
  • 商号(社名)
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発行可能株式総数

株式会社以外の法人の場合も、それぞれ特有の絶対的記載事項が定められています。
例えば、合同会社の場合は以下の2つが絶対的記載事項に定められています。

  • 社員の氏名(名称)及び住所
  • 社員の全部を有限責任社員とする旨

したがって、合同会社は社員が自宅を引っ越したり、結婚などで氏名が変わったりすると定款の変更が必要になりますので、注意しましょう。

ちなみに、一般社団法人の場合は、

  • 社員の資格の取得・喪失に関する規定
  • 事業年度

などが絶対的記載事項に含まれます。

相対的記載事項

相対的記載事項は、定款にその記載がなかったとしても定款が無効になることはなく、その内容や会社の事情に応じて記載するかしないかを決めればよいものです。ですが、定款に記載をしない限り、その効力が認められない事項でもあります。

例えば、株式会社の創業メンバーで「取締役会」と称してミーティングをして決議しても、定款に「取締役会」を記載して登記していないと、「取締役会の決議」にはなりません。

株式会社の場合、以下のような事項が相対的記載事項であるとされています。

  • 金銭以外の出資に関する事項(いわゆる現物出資)
  • 株式の譲渡制限に関する定め
  • 株券発行の定め
  • 取締役会の設置
  • 代表取締役の設置
  • 監査役の設置
  • 会計監査人の設置
  • 監査役、取締役等の任期の伸長(短縮)
  • 公告の方法

相対的記載事項でも、株式会社以外の会社において特有の事項があります。
例えば、合同会社の場合は下記の事項があります。

  • 代表社員を定める場合の定め
  • 解散事由についての定め
  • 社員の退社に関する定め
  • 会社の存続期間の定め

一般社団法人の場合は、次のような事項があります。

  • 経費の負担に関する定め
  • 理事の任期に関する定め
  • 理事業務の執行に関する定め
  • 理事会の招集手続き関する定め

いずれも定款に定めがないと効力が認められないので、事業が拡大し、必要になった場合にはしっかりと記載しましょう。

任意的記載事項

任意的記載事項も、定款にその記載がなかったとしても定款が無効になることはありませんが、定款でなくともそれ以外に定めがあれば効力を有する点が、相対的記載事項との違いです。

定款には、会社の根本的な規則として、公序良俗や法人の本質に反さないことであれば自由に記載することができますが、いったん定款に記載すると、しかるべき手続きをしない限り変更や削除はできなくなりますので、記載するか否かを事前に十分検討する必要があります。

任意的記載事項とされるのは、例えば以下のようなものです。

  • 事業年度(決算時期)
  • 役員の数
  • 株主総会の議長
  • 定時株主総会の招集時期

逆に、定款に記載しても効力を持たないとされる事項もあります。
例えば、一般社団法人が「社員に剰余金、残余財産の分配を受ける権利を与える規定」を定款に定めることはできません。また、株主総会や社員総会等の決議を必要とする事項について、株主総会、社員総会等以外が決定できるとするような規定を定款に定めることもできません。

紹介した3つの事項の効力について、図にまとめてみました。定款を作成する際には、こちらを参考にしてみてくださいね。

定款に記載有無の効力まとめ

絶対的記載事項 相対的記載事項 任意的記載事項
定款全体の効力 無効 有効 有効
該当内容の効力 無効 定款外で定めれば 有効

定款変更はただ定款を書き換えるでは済まない

「定款変更」と言っても会社法で決められたルール上、単純に会社設立時に作成した定款に変更を加えてOKとするわけにはいきません。
法人を設立する際に作成した(株式会社等であれば作成して公証人の認証を受けた)定款は「原始定款」と呼ばれますが、これ自体を直接変更することはできないのです。

では、定款の変更はどのように行うのでしょうか?

定款を変更する場合は、まず株主総会等で定款変更についての特別決議を行い、議事録を作成します。更に定款変更の内容に応じて登記申請を行い、原始定款と一緒に保管することをもって、定款の変更となります。これにより、変更する度に原始定款に別紙が付け加わっていくことになりますが、履歴をたどることができるとともに、誰かが勝手に、都合よく改変できない仕組みになっています。

この手続きは電子定款の場合も共通です。電子定款の場合の原本は電子署名したPDFファイルで、編集することはできません。

とはいえ、変更を重ねていくと、原始定款にいくつも議事録の束がぶらさがることになり全体像がつかめなくなったりしますので、別途、最新の内容を反映した書類を作成し、「現行定款」として、実質的に運用していくことができます。

とはいえ手元の「現行定款」のみをうっかり適当に更新してしまうと、いつのまにか原本である原始定款+議事録のファイルと内容が食い違うことにもなりかねません。取扱いには十分注意が必要です。

定款の変更に登記申請は必要?

定款変更をした場合、法務局に登記申請が必要な場合と不要な場合があります。
それぞれのケースを見ていきましょう。

定款の変更に登記申請が必要な場合について

法務局に登記申請が必要な定款の変更をした場合は、変更を決議した株主総会の議事録を添えて法務局に申請することになります。なお、法人設立時のような公証人の定款の認証を改めて受ける必要はありません。

法人を設立登記する際には「登記すべき事項」というテキストファイルをCD-Rやオンラインで提出したはずですが、定款の変更箇所がこの「登記すべき事項」に該当する場合は改めて登記が必要ですので、まずチェックしましょう。

ただし、設立時には「登記すべき事項」に含まれていなくても、定款の変更内容によって新たに「登記すべき事項」が発生した場合、また、取締役会を廃止するなどの「該当しなくなる」場合も登記申請が必要です。

また株式会社以外の場合でも、合同会社、一般社団法人などそれぞれの法人格には、それぞれに対応した登記すべき事項がありますので、定款変更する事項がそれに該当する場合は登記申請が必要です。
例えば、合同会社の場合は、業務執行社員の氏名(名称)、代表社員の氏名(名称)・住所が定款の絶対的記載事項であり、登記事項でもあります。

なお、所在地の移転の場合、定款に記載した範囲内での所在地の移転であれば定款を変更せずに済みます。そのため、定款上の記載を「本店を神奈川県横浜市におく。」などとおおまかにしておけば、横浜市内で移転しても定款を変更せずに済むという細かいテクニックもあります。

では登記が必要なものを具体的に見てみましょう。(相対的記載事項と任意的記載事項は一例で全てではありません)

例えば、株式会社が下記のような事項について定款を変更した場合は登記申請が必要です。

絶対的記載事項の場合

  • 商号(社名変更)
  • 事業の目的
  • 発行可能株式総数
  • 本店、支店の所在地

相対的記載事項の場合

  • 株券の発行
  • 取締役会の設置
  • 監査役の設置
  • 公告する方法

任意的記載事項の場合

  • 資本金の額

定款変更の際に登記変更が必要な項目

絶対的記載事項 相対的記載事項 任意的記載事項
株式会社 事業の目的 金銭以外の出資に関する事項(いわゆる現物出資) 事業年度(決算時期)
商号(社名) 株式の譲渡制限に関する定め 役員の数
本店の所在地 株券発行の定め 株主総会の議長
設立に際して出資される財産の価額
またはその最低額
取締役会の設置 定時株主総会の招集時期
発行可能株式総数 代表取締役の設置 資本金の額
  監査役の設置  
  会計監査人の設置  
  監査役、取締役等の任期の伸長(短縮)  
  公告の方法  
合同会社 社員の氏名(名称) 及び住所 代表社員を定める場合の定め  
社員の全部を有限責任社員とする旨 解散事由についての定め  
  社員の退社に関する定め  
  会社の存続期間の定め  
一般 社団法人 社員の資格の取得・  喪失に関する規定 経費の負担に関する定め  
  理事の任期に関する定め  
  理事業務の執行に関する定め  
理事会の招集手続き関する定め  

定款変更に登記申請が不要な場合について

法人の「登記すべき事項」に該当しない定款変更は登記申請不要です。例えば、決算月の変更や取締役の人数の変更などが、それに該当します。

ただし、決算時期の変更など、税に関係する事項を変更した場合は定款変更とは別に税務署の手続きが必要になる場合もあります。

定款変更するときの注意点

前述の通り、定款は法人の根本となる基本的な規則を定めたものです。これを変更することは法人の本質や、利害関係者に大きく影響する場合がありますので、手続きにもハードルが設けられています。

株主総会での特別決議が必要

定款を変更する場合は、株式会社なら株主総会、一般社団法人であれば社員総会などが決議して、議事録を作成する必要があります。この場合の決議は一般的な決議(普通決議)と異なり、特別決議が必要です。

特別決議は、例えば株式会社の株主総会の場合、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の2/3以上の賛成を得る必要があり、過半数以上で可決できる普通決議よりも高いハードルが設けられています。

たまたま定時株主総会等の時期であれば良いのですが、そうでない時期に定款を変更せざるを得ない場合は臨時に株主総会等を開く手続きも必要になります。

株主総会後の定款変更期限

定款変更は前述の株主総会等で決議された時点で効力を持ちますが、別途、効力を生じる日を定めることもできます。

登記が必要な定款変更の場合、変更が生じたときから原則2週間以内に登記しなくてはなりません。期日を過ぎても登記申請自体は受理されますが、申請を怠ると代表者に100万円以下の過料が課される場合があります。

また、新たに国や都道府県等の許認可が必要な事業に参入する場合は、その事業が法人の目的として登記されていないと認められない場合がありますので、許認可申請を行うまでに定款変更と登記を行う必要があります。決算月を変更する場合も、変更後に設定したい決算日の前までに定款を変更する必要があるなど、期限に制約がある場合があります。

定款変更には費用がかかる

定款変更で、登記が必要な内容の場合、登録免許税がかかります。
株式会社の場合の一部を例示します。

定款変更にかかる費用

  • 商号の変更:3万円
  • 目的の変更:3万円
  • 支店の設置:6万円
  • 本店、支店の移転:3万円
  • 取締役、代表取締役、会計監査人などの変更:3万円(資本金が1億円以下の会社等は1万円)

登記の申請書類の書式などは法務局のウェブサイトに公開されています。また、登記すべき事項はCD-Rで提出するほか、法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム」から提出することもできます。

登記申請は自分で行うこともできますが、司法書士に依頼することもできます。その場合は内容に応じて司法書士の報酬が必要になります(内容にもよりますが、役員変更などで2、3万円程度~)。

また、前述のように、年度途中などに定款変更をする場合の臨時株主総会等の開催費用も必要になります。特に人に関わるもの(例えば合同会社の社員に関する変更など)は、時期を選べないこともままありますが、時期を調整できるものはなるべく計画的に行うことをおすすめします。

まとめ

法人を経営していく上で、定款変更は避けることのできない作業です。手順を把握するとともに、事業、組織、資本などを変える時には「定款の記載事項や登記の内容に影響するか」を意識して、手続き漏れがないように注意しましょう。

(編集:創業手帳編集部)

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