AI研究インフルエンサー うみゆき|あらゆる業界に急速な変化をもたらしていくChat(チャット)GPTやAIの展望

創業手帳

AIを活用することで、1人でも何十人規模の企業が作れる時代に。

これまで何度も将来性を期待されては下火になってきたAI市場。
しかし、Open AIが開発したChatGPTを皮切りに、見方がガラリと変わりつつあります。

フリーランスエンジニアとしての一面を持ちながら、AI研究インフルエンサーとして活動するうみゆきさんは、AIの活用可能性が急速に広がっていると話します。

今回は、ChatGPTをはじめとした現在のAIブームや、これからのAIの可能性について創業手帳の大久保が聞きました。

うみゆき
AI研究 インフルエンサー
Unity3D、Unreal Engineを主に扱うフリーランスエンジニア。任天堂株式会社を退職したのち、Steamにて個人開発アプリをリリースするほか、Cygameにて「プリンセスコネクト!Re:Dive」「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」、カバー株式会社にてvTuber用モーショントラッキングアプリ、スマホARアプリなどの開発に携わる。現在はジェネレーティブAIを活用したゲーム、アプリケーションを開発中。
Twitterアカウント @umiyuki_ai

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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今までのAIと現在のAIの違い

大久保:AIはこれまでにも度々話題に上がってきたことがあると思うのですが、今回のAIは何が違うのでしょうか。

うみゆき:そうですね。今までのAIはデータの分析が得意でしたが、今回のAIは「ジェネレーティブAI」という言い方をされていまして、創造・生成が得意なAIです。
※ジェネレーティブAI:コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的かつ現実的な、まったく新しいアウトプットを生み出す機械学習手法:引用

現在注目されているChatGPTは、データを元に、あたかも人間と会話しているかのようなチャットができるAIなんですが、本当に注目されている理由はチャットをしてくれるという部分ではなく、「お願いしたことをやってくれる」という部分なんです。

たとえば、別の部署のAさんにこんな内容でメールを送りたいとお願いしたら、ビジネスメールの形式、言葉遣いでしっかりとした形にしてくれるんですよ。

つまり、こちらが全てを指示しなくとも、データを元に自分で考えて、答えを導き出してくれているんです。

自分で考えて答えが出せれば、仕事ができてしまうので、今までのAIとは大きく異なります。

創造的であるが故の弊害|現時点では人間のチェックが必要な状態

大久保:人間に合わせて会話ができる、答えが導き出せるという点に強みがあると思うのですが、現時点で回答の正確性はどうでしょうか。

うみゆき:そうですね。創造的であるが故に、話を作ってしまう、嘘をついてしまうという側面があります。現時点でWebのデータはほとんど蓄積されている状態なので、データを追加していけば正確性が向上するということは考えにくく、専門的な情報のみを集中して学習させていけば正確性が上がる可能性はあります。

Microsoft社のBingAIの場合には、データを自ら検索して答えを導き出してくれるため、ChatGPTに比べると正確性はやや高いと思います。

しかし、どちらにしても現段階では、AIが導き出した答えを人間が確認する必要がありますね。

そのため、確認の工数がかかる作業では、あまりAIを活用するメリットがない状態です。

大久保:なるほど。間違いが検証しやすいコード作成や、良し悪しの判断がすぐにできる画像生成などには活用メリットがありそうですね。

うみゆき:そうですね。あとはWeb記事の作成など最終的に人間が少し校正すればいいという作業でも活用するメリットがあると思います。

結局人間側で回答をコントロールできていないので、確認する工数が必要というような状態です。

AIは今後どうなっていくのか

大久保:今後AIはどんな方向に向かっていくと思われていますか。

うみゆき:どんどん話が変わっていっているので凄い難しいんですよね。
たとえば最近では、ChatGPTのAPIがリリースされたので、APIを用いることで、誰でも自分のサービスなどにChatGPTを組み込めるようになっているんですよ。

APIの利用料金も一年前に比べると全体で30分の1ほどになっているので、今後はなんでもAIが組み込まれるという変化が起こると思いますね。

現時点でも、NotionやPhotoshop、Slack、Ofiiceなどに組み込まれているので逆にAIが入っていないツールを見つけることが難しい、変化=AIを組み込むということになりそうな流れですね。

大久保:実は創業手帳のアプリでもChatGPTを組み込んで、企業のアイデアなどを出せるようにしたんですよね。

うみゆき:なるほど。案出しや補助的な活用はすごくいいと思います。
究極的に、生成されたコンテンツが面白いものであれば、AIが生成したのかどうかという点は問題にはならないと思うのですが、答えに多様性があるのかというと、まだまだわからない部分が大きいです。

多様性がなければ、コンテンツの質が均一化されてしまうのでよくないですね。

AIによって淘汰されてしまう仕事・そうでない仕事

大久保:創業手帳などのメディアやエンジニアの世界など、AIによって無くならないけど影響は受けるというところが多くあると思うのですが、淘汰されてしまう仕事とされない仕事についてはどう思いますか。

うみゆき:そうですね。今回の流れをみているとAIに影響されないものはないだろうと思いますね。産業革命では、肉体労働が蒸気機関などに代替されましたが、今回は知的労働がAIに代替されると思います。

実作業がAIに代替されることで、実作業のみをやりたいという人は淘汰されていくと思いますね。パソコンで完結してしまうという仕事はまずいかもしれないです。

細かい点をみていくと、こういったインタビューもAIができるようになる可能性がありますし、個々人に合わせた広告や動画などをAIが生成できるようになる未来も十分考えられますね。

GoogleやTwitterでは、人が作成したコンテンツよりもAIが作成したコンテンツの方が多くなるということもあるかもしれません。

しかし、全ての仕事がなくなってしまうというわけではありませんので、AIという部下ができたと考えて、実作業をAIに任せて、確認や組み立てを行うマネジメントという方向にシフトすることができれば淘汰されることはないと思います。

大久保:テクノロジーの発展は、一見個別にさまざまな変化が生まれているように見えますが、全体が連鎖的に発展しているのでしょうか。

うみゆき:そうですね。今回のAIブームでとても顕著に現れている部分で、一般の方から研究者、企業など、多くの人が一斉に注目していますね。

誰か1人によってもたらされた影響ではなく、同時多発的に起こっているムーブメントでとても面白いです。

Chat(チャット)GPTは今後どうなっていくのか

大久保:ChatGPTは今後どうなっていくと思いますか。

うみゆき:ChatGPTに関しては、順当に進化していくはずです。
現段階ではチャットしかできませんが、「マルチモーダル」になっていくのではないかといわれています。
※マルチモーダルAI:数値/画像/テキスト/音声など複数種類のデータを組み合わせて、もしくは関連付けて処理できる単一のAIモデル:引用

ついこの間の話ですが、こちらの声を認識して自動音声で返してくれる、ChatGPTと通話ができるサービスがリリースされましたね。

後は、視覚を持つといわれていますね。画像をみて中身を理解できるようになるなど。

現在のAIの正確性が低い要因の1つとして、テキストのみでしか世界を理解できていないことにあります。

聴覚や視覚を学習することで、世界の概念を理解できるようになるため、常識を持つようになり、より人間的になっていくのではないかといわれています。

と言いつつも、来週には「GPT4」が実装されるという話もありますので、この記事が出る頃には、今回お話しした内容が全て古くなってしまっている可能性はありますね。

ChatGPT単体で見てもそのくらい発展が早いという現状があります。

また、現段階では、Open AIのWebサービス上で使用する形になっているため、ChatGPTの発言内容に規制がされているんですよね。

しかし、ローカルな環境で動かすことができるようになれば、また新しい活用の可能性が広がると思います。

大久保:なるほど。中国など検閲がある国では、ローカルな環境で動かせるというのは可能性がありそうですね。

うみゆき:そうですね。中国ではChatGPTへのアクセスが禁止されているようですが、ローカルな環境で動かせるようになれば需要が高いだろうという反面、規制などはどうなってしまうのかという懸念もあります。

自分の利用したい目的に合わせてカスタマイズできる点においては、さまざまな活用可能性がありそうです。

ChatGPTの次に来る可能性、ロボットが注目される未来

大久保:ChatGPTの次に来るだろうなというものはありますでしょうか。

うみゆき:ChatGPTと関連はあるのですが、ロボットが来るのではないかと思っています。実際にGoogleでは、ChatGPTなどに搭載されている言語モデルを用いてロボットを制御する研究を行っていますね。

ASIMOなど今までのロボットは、ハードウェアは凄いけれどもソフトウェアが追いついていなく、指示された動きしかできなかったんですよね。

その点、現在の言語モデルでは、ある程度のデータを元に答えを自分で考えることができるので、実装することができれば、あらかじめ設定されていない動きを実現できる可能性があります。

ロボットが自分で考えて動くことができるようになれば、ChatGPTなどパソコン上で完結していたAIが、リアルの世界にも現れることになります。

そうなってくると、複雑な肉体労働も代替されてしまう可能性が高いです。

大久保:実際にガストやバーミアンなどでもロボットはすでに活用されていますよね。
定型的な動きはできていましたが、複雑なパターンはまだ難しそうでしたね。

うみゆき:そうですね。そうやって少しずつロボットに代替されていく、侵食されていく可能性はあると思います。

Googleは、家事手伝いなどの日常的な活用を目的としてロボット研究を進めていますが、軍事利用される可能性も否めないので、難しいところではあります。

うみゆき個人としてのAIを活用した今後の展望

大久保:個人として今後の展望などはありますでしょうか。

うみゆき:3つやりたいことがありまして、1つ目が「AIに漫画を描かせる」、2つ目が「AIにゲームを作らせる」、3つ目が「バーチャルキャラクターをAIで実現する」ことです。

バーチャルキャラクターなんかは、今回の言語モデルを使ってみて、普通に会話ができるようになっていたので、すごく可能性を感じましたね。

これら3つのことは、ずっとやりたかったことではあるのですが、人手が足りない、自分ではできなかったことなんです。今までのAIではできなかったものを、いきなり実現してくれるAIが出てきてくれたのでとても嬉しいです。

実際に、漫画をAIに描かせたこともあります。


引用:うみゆきさんTwitterより
ただ現時点では、やりたかったことができるという気持ちが先行しているので、ビジネスになるのかはわかりません。

やっていく中で、AIを使って何かをする、たとえば漫画を描かせることがノウハウとして蓄積されていくと思いますので、もしかしたらビジネスにできるかもとは思っています。

どんどんとAIを用いた作業がバーソナライズされていくと思いますので、最終的に、誰でも自分の好きなように漫画が描けるというようなツールが出てくると思います。

逆にいうと、創作がコモディティ化してしまうので、誰でも漫画を描ける、ゲームが作れるという風になってしまうと、将来的に仕事ではなくなってしまう可能性があります。

中間層がなくなっていき、凄い強いコンテンツが残るというような構造になってしまうかもしれません。

AIを活用して、1人でも何十人規模の会社が作れる時代に

大久保:最後に、起業家に向けて一言お願いします。

うみゆき:AIを用いて起業を考えることで、今まで雇用する人材に求めていたスキルとはまた違うスキルを持った人材が必要になると思います。

また、労働力をAIに代替させることができれば、余計な人材を雇う必要がなくなりますので、少ない人数、究極的には1人でも数十人規模の会社を作れる可能性があると思います。

これからはAIを扱うというスキルセットを身につけていく必要がありますね。

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(取材協力: AI研究 インフルエンサー うみゆき
(編集: 創業手帳編集部)

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