領収書の収入印紙とはなぜ必要?今更聞けない収入印紙の基礎知識を解説!

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収入印紙の特徴と注意点などを確認しよう

収入印紙といえば「領収書に貼るもの」と知ってはいても、なぜ貼らなくてはいけないのか、疑問に思う方も多いはずです。

今回は収入印紙について、基本をおさらいしてみましょう。

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収入印紙とは

収入印紙は政府が発行している証票で、国の税金や手数料などを徴収するために使用します。

会社の登記をする際の登録免許税、政府に対する許可申請の手数料、訴訟費用や国家試験の受験料など、名目はさまざまです。「印紙税」という税金を納付するために使われます。

印紙税は国の税金のひとつで、印紙税法で定められた20種類の「課税文書」が決められています。課税文書を作成した場合は、収入印紙を貼って納税することが義務付けられています。領収書もこの課税文書のひとつです。

収入印紙はなぜ必要なのか?

領収書に収入印紙を貼るのは印紙税法で定められた義務とはいえ、そもそも「なぜ収入印紙が必要なのか?」「具体的に目的は何なのか?」と疑問を持つ方は少なくないでしょう。

印紙税の持つ目的や役割について、国税庁のホームページの言葉を引用します。

印紙税は、文書の作成行為の背後にある経済的利益、文書を作成することに伴う取引当事者間の法律関係の安定化という面に担税力を見出して課税している租税であり、税体系において基幹税目を補完する重要な役割を果たしている。

引用:国税庁「最近における印紙税の課税回避等の動きと今後の課税の在り方

つまり、領収書という文書が作成される背後には商品の販売などの利益を生む取引があるだろうから税負担を求める、というのが印紙税といえます。

印紙税は1件200円~の軽度の負担です。とはいえ国税庁の統計によると、印紙税を含む印紙収入の合計は年間およそ1兆円。酒税、たばこ税、関税などと並んで、税収の重要な柱を担っています。

収入印紙と収入証紙の違いは?

収入印紙と似たものに「収入証紙(領収証紙)」があります。収入印紙による印紙税は国に支払う税金ですが、収入証紙は地方自治体に支払うものです。

収入証紙(領収証紙)は道府県、市町村に手数料を納めるためのもので、それぞれの地方自治体が発行しています。住民票の取得時などに支払うのが一般的です。

国税の収入印紙と地方自治体の収入証紙を混ぜて使ったり、逆に収入印紙を地方自治体の手数料に使ったりすることはできません。

課税文書別に見る印紙税額一覧

印紙税法に定められている「課税文書」と、必要な「印紙税額」は以下のとおりです。

領収書は17号「金銭又は有価証券の受取書」にあたり、「売上代金」の場合とそれ以外で扱いが分かれています。

種類 概要 印紙税額(1通または1冊につき)
1号 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書、消費貸借に関する契約書、運送に関する契約書(用船契約書を含む) 記載金額により以下の間で変動

非課税~60万円

2号 請負に関する契約書 記載金額により以下の間で変動

非課税~60万円

3号 約束手形又は為替手形 記載金額により以下の間で変動

非課税~20万円

4号 株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託、若しくは受益証券発行信託の受益証券 記載金額により以下の間で変動

非課税~20,000円

5号 合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書 40,000円
6号 定款 40,000円(公証人が保存する分のみ)
7号 継続的取引の基本となる契約書 4,000円
8号 預金証書、貯金証書 200円(特定のものは非課税)
9号 貨物引換証、倉庫証券、船荷証券 200円
10号 保険証券 200円
11号 信用状 200円
12号 信託行為に関する契約書 200円
13号 債務の保証に関する契約書 200円(特定のものは非課税)
14号 金銭又は有価証券の寄託に関する契約書 200円
15号 債権譲渡又は債務引受けに関する契約書 記載金額により以下の間で変動

非課税~200円

16号 配当金領収証、配当金振込通知書 記載金額により以下の間で変動

非課税~200円

17号 売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書 記載金額により以下の間で変動

非課税~20万円

18号 預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳 200円/年(特定のものは非課税)
19号 消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳、金銭の受取通帳などの通帳 400円/年
20号 判取帳 4,000円/年

出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで

文書に記載した金額に応じて印紙税額が変わるものがあります。また、一定の条件で非課税になる場合もありますので、詳細は国税庁のウェブサイトを確認してください。

収入印紙を領収書に貼る場合の金額

収入印紙が必要な課税文書のうち、17号の規定に当てはまる「領収書」のルールを詳細にチェックしましょう。

領収書に貼る収入印紙の金額は、売上代金に係るかそうでないかで異なります。

売上代金の受取書の場合

領収書などの「金銭又は有価証券の受取書」が売上代金に係る場合は、記載された受取金額によって、以下金額の収入印紙を貼る必要があります。

受取金額 収入印紙の金額
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 600円
300万円を超え500万円以下 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 2,000円
1,000万円を超え2,000万円以下 4,000円
2,000万円を超え3,000万円以下 6,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 10,000円
5,000万円を超え1億円以下 20,000円
1億円を超え2億円以下 40,000円
2億円を超え3億円以下 60,000円
3億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 15万円
10億円を超えるもの 20万円
受取金額の記載のないもの 200円

出典:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

印紙税は文書の名称や表題、見出しなどにかかわらず、文書の内容の「実質的な意義」に基づいて課税対象か否かを判断します。

表題が領収書、レシート、受取書などとなっていなくても、金銭の受取を証明する内容であれば収入印紙を貼らなくてはなりません

例えば、請求書や納品書に「代済」と記入したものなども受取書に該当します。

売上代金以外の受取書の場合

「売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書」とは、借入金、保険金、損害賠償金、補償金などの領収書のことです。

5万円未満および営業に関しないものは非課税であり、売上代金の場合と共通です。一方で5万円以上の受取金額でも、収入印紙額は一律で200円となります。

受取金額 収入印紙の金額
5万円未満 非課税
5万円以上 200円
受取金額の記載のないもの 200円

出典:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

領収書に貼る収入印紙が不要なときとは

収入印紙は領収書に絶対に貼るものではなく、不要なケースもあります。収入印紙が不要となるケースを具体的に紹介します。

受取金額が5万円未満のとき

領収書に貼る収入印紙が不要になるのは、受取金額が5万円未満の場合です。

受取金額5万円未満とは、実売上額のことです。売上代金には、営業としての資産の譲渡も含まれます。

売上代金以外とするのは、借入金や担保としての保証金、保険金です。消費税を分けて記載している場合は、消費税分は売上代金に含めません。

5万円以上でもクレジットカード払いのとき

5万円以上であっても、クレジットカード払いに発行する領収書は収入印紙が不要です。

ただし「クレジットカードによる支払い」であることを明記しなくてはなりません。

デビットカード(即時決済型)払いには収入印紙が必要です。

営業に関しないとき

売上代金の受取書であっても「営業に関しないもの」は非課税文書とされているので、収入印紙を貼る必要はありません。

この場合の「営業」は「営利を目的として同種の行為を反復継続して行うこと」とされています。例えば、家で不要になったテレビをたまたま友人に6万円で売って領収書を書いたといった場合には、収入印紙を貼る必要はありません。

そのほか、店舗などの設備がない農家、漁師が自分の生産物を販売する場合、医師、歯科医師、弁護士、公認会計士などの行為も通常は営業に当たらないとされています。

一般社団法人や特定非営利活動法人など、法令や定款により「利益や剰余の配当や分配ができない」と定められている法人の行為も営業になりません。

FAXやPDFなどの電子データのとき

印紙税は文書に課税されるので、逆に言うと文書でないものには課税されません。FAXで送信したものや、PDFなどの電子データが該当します。

5万円以上の領収書でも、PDFで発行してメールで送付する場合、収入印紙は不要です。それを受け取った人が紙に印刷しても、「領収書のコピー」になります。

領収書を電子化すれば収入印紙が不要となるため、経費削減におすすめです。

ただし、パソコンなどで作成した領収書を「印刷して渡す」のは課税対象です。ご注意ください。

領収書に収入印紙を貼り忘れたら?対策ともらう側の注意点

領収書に収入印紙を貼らなかった場合、罰則が課されてしまいます。

罰則の内容や貼り忘れた場合の対処法、領収書をもらう側が意識しておきたい点をまとめました。

過怠税の徴収対象となる

必要な領収書に収入印紙を貼らなかった場合は、過怠税の対象です。本来納付すべきだった税額とその2倍の額、合計で本来の3倍の額が課されます。

5万円超の領収書には200円の収入印紙が必要ですが、貼り忘れにより過怠税が発生すると、合計600円を納めなくてはなりません。

過怠税は会計上、損金や必要経費にできない出費です。また、脱税には3年以下の懲役、100万円以下の罰金の規定もあるので、十分注意してください。

貼り忘れを申告すれば過怠税が軽減される

税務調査などを予知しないで自主的に不納付(貼り忘れなど)を申し出れば、過怠税は1.1倍に軽減されます。この場合、印紙税不納付事実申出書の提出が必要です。

国税庁より申出書の様式がネット上に公開されているほか、e-Taxからも手続きできます。

貼り忘れに気づいたら指摘する

収入印紙がない領収書をもらった側に、課税や罰則は発生しません。領収書の効力がなくなることはなく、もらった側が貼る必要もありません。

ただし最低限のマナーとして、貼り忘れを一言伝えるのがいいでしょう。

領収書を電子で発行するためのツールがあります。冊子版の創業手帳では、会計ソフトの導入について詳しく解説しています。会計ソフトやその姉妹ソフトには、領収書作成機能など、お金関係の書類を作成する機能があります。チェックしてみてください。

収入印紙を購入できる場所は?

収入印紙を購入できる場所はいくつかあります。主な場所を下記にまとめました。

場所 取り扱っている主な収入印紙の金額
法務局 すべての金額
郵便局
役所
コンビニ 200円
金券ショップ 店舗やタイミング次第で変動
ネットオークション、フリマサイト

それぞれの購入場所について、詳細を解説します。

法務局・郵便局・役所

収入印紙は31種類あり、それぞれ金額が違います。法務局・郵便局・役所であれば、基本的にはどの金額の収入印紙も取り扱っているため、確実性が高いでしょう。

ただし、役所は場所によって収入印紙の取り扱い自体がない可能性もあります。小さな郵便局などでは在庫の有無が懸念されるため、事前に問い合わせてみてください。

コンビニ

土日祝日が休みの公的機関と違い、コンビニは24時間365日営業している店舗がほとんどです。急に収入印紙が欲しい場合でも買い求めやすい場所となります。

ただし、コンビニで扱っている収入印紙は一般的に200円のみです。同じコンビニでも場所によって売っていなかったり、個人経営の店舗では扱っていなかったりする場合もあります。

金券ショップ・ネットオークション・フリマサイト

金券ショップのほか、ネットオークションやフリマサイトでも収入印紙が手に入ることがあります。

いずれの場所も、通常価格より1〜2割程度安く買えるケースがあるため、少しでもコストを減らしたい方におすすめです。

一方、収入印紙の種類は選べません。そのとき取り扱っているものしか買えず、運にも左右されるでしょう。

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収入印紙はコンビニでも手に入る?購入可能な場所から買い方まで徹底解説!

領収書への収入印紙の貼り方とは

領収書への収入印紙の基本的な貼り方を紹介します。失敗すると収入印紙が無駄になる恐れもあるため、慎重に取り扱いましょう。

領収書の余白に貼る

領収書に貼る収入印紙の場所については、特に定めがありません。貼り付け欄が示されていればそこに貼り、なければ余白に貼り付けましょう。

複数枚貼る場合も厳格なルールはありませんが、通常は上下または左右に並べます。

消印をする

収入印紙を領収書に貼ったら、必ず消印をします。印紙の彩紋(絵柄部分)と領収書の双方にかかるように印鑑を押すか、ボールペンなどの消せないもので署名をする工程です。

一目で誰が消印をしたかがわかり、簡単には消せない方法でなくてはなりません。消印が薄い、文書と収入印紙の双方にかかっていないなどの場合は無効です。使用する印鑑に決まりはなく、角印・三文判・シャチハタなどいずれでも使えます。

消印をしないと、額面相当額の過怠税が課されることになります。200円の収入印紙であれば、さらに200円過怠税を支払うことになるので、十分注意しましょう。

領収書に収入印紙を貼る際の注意点やルール

領収書に収入印紙を貼る際は、基本的な方法以外にも気をつけておきたい点があります。税金に関わるものですので、注意すべきポイントを知っておきましょう。

消印のタイミングに気をつける

不動産の名義変更時の登録免許税などで「印紙は消印しないこと」の記載がある場合があります。

その際には受理した担当者が収入印紙による納付の事実を確認してから消印をするので、先に消印をしないようにしましょう。

内訳を書くと印紙代が節約できることがある

消費税の課税事業者の場合、領収書に消費税額を区分して記載するか、税込価格と税抜価格両方を明記することで印紙代が節約できる場合があります。

例えば「商品代金48,000円、消費税3,840円、税込合計51,840円」の場合など、税込・税抜で5万円をまたぐ場合です。

「51,840円」と書くだけでは5万円超なので課税文書になり、収入印紙200円を貼る必要があります。しかし「税抜金額48,000円」あるいは「消費税3,840円」を併記すると、記載金額48,000円の非課税文書となり、収入印紙はいりません。

なお、税額は%ではなく金額で明記する必要があります。

ひと手間かかりますが、簡単な節税方法のひとつです。市販の領収書には内訳を記入する欄を持つものがありますので、活用してみましょう。ただし、消費税免税事業者には適用されません。

まとめ・5万円超の領収書には収入印紙が必要!貼り方も含めて正しく理解を

今回は領収書に貼る収入印紙を中心にまとめましたが、契約書を交わす場合など、起業したらさまざまな場面で収入印紙を取り扱うことになります。

収入印紙が正しく扱われているかどうかは税務調査でもチェックされるポイントのひとつなので、知識と意識を高めていきましょう。

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(編集:創業手帳編集部)

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