スタートアップ必見!普通の人でも確実に成果が上がる営業術
「普通な人」による「普通なりのやり方」で売上UP!
(2017/06/20更新)
巷、特にベンチャー業界には「伝説の営業」の武勇伝があふれています。しかし、実際には普通の人が確実に出せるような営業の方法は無いでしょうか?そのものズバリの書籍名で書いている経営者がNIコンサルティング長尾社長です。題して、「普通の人でも確実に成果が上がる営業の方法」。
以前、創業手帳Webで取材した大人気シリーズ「孫子の兵法シリーズ」。
ビジネスを発展させていくためには売上、拡販は欠かせません。仮に資金調達をしたとしても、ビジネスが回り出したら、営業力の有無は大きな差になります。
また営業だけでなく、人材育成、地上戦の営業だけではないデータ分析、メールやDMも含めた拡販も語られています。
長尾氏は、起業してコンサル、CRMの会社を成功させ大きくしたため、説得力があります。長尾氏直伝の「普通の人でも確実に成果が上がる営業の方法」を聞いてみましょう。
この記事の目次
株式会社NIコンサルティング代表取締役/中小企業診断士
1965年生まれ。横浜市立大学商学部経営学科卒業。
経営コンサルティング会社に勤務したのち、1991年にNIコンサルティングを設立。
およそ30年、日本企業の経営革新や営業力強化に取り組んできた。
特に強い目指し、「見える化」するためのITツール「Sales ForceAssistant」を活用したコンサルティングには定評があり、現在4000社を超える企業で導入されている。
また、最古にして最強の兵法書「孫子」の知恵を、現代の企業経営や営業活動にどう応用すべきかを説く孫子兵法家としての顔を持つ。
新刊「普通の人でも確実に成果が上がる営業の方法」ベストセラー「まんがで身につく孫子の兵法」「まんがでできる営業の見える化」(あさ出版)、人気漫画とコラボした「「キングダム」で学ぶ乱世のリーダーシップ」(集英社)、「仕事で大切なことは孫子の兵法が教えてくれる」(KADOKAWA)など、著書多数。
特別な人のやり方を真似てはいけない
ビジネスは、矛盾する要素、相反する要素を両立させることが重要です。そうした矛盾した要素を成立させるにはコツがあります。
例えば、営業であれば、やみくもに営業しても成果は出ません。
量も質も重要で、量が無いと話になりませんが、質を高めるには下記の3つがあります。
この3要素を踏まえます。
また、Plan-Do-Seeとはよく言われますが、実際はDoの前にSeeを入れておきましょう。
つまり、PSDSです。例えば、商談に行く前に、上司とディスカッションしてからいくと良いでしょう。
考えずに、とりあえず営業が呼ばれて飛び出ていく、なんていうことを続けていては成果は出ません。
呼ばれて飛び出て、ではなく計画的に回る
交通費だけではなく、営業マンの人件費は非常に高いコストです。給料よりはるかに高いコストが、管理、オフィス、社会保険・年金などでかかっています。
従って、人のコスト、つまり時間は貴重です。そのためには、移動効率を良くすることがコツ。同じ方面のお客様の訪問をまとめる、などして手順よく行くと、大幅に移動コストを削減できるでしょう。
部下の管理は「先行管理」で!
部下へは短期の指示と、「この後はどんな行動をとるの?」といった長期の指示。その両方を併用し、細かい指示で成果を担保しながら、考えさせる訓練で部下を育成していきましょう。
また、若手の上司のフォローでは、短期の成果を求めるのであれば上長の営業同行ですが、長期では、ロープレが有効です。時間が無ければグループロープレという手段もあります。
このように矛盾した課題を知恵を使って両立させる、それがビジネスです。
失注情報もためれば宝の山
「失注情報なんて、何の役にも立たない」というのは大間違い。
まず、社内にネガティブ情報を伝えることで商品・サービスの改善につながる可能性があります。
そして、失注情報は貯まると、お金に化ける宝の山になります。「無駄もためればダムになる。」ということです。
孫子の兵法では、ダムをためて堰を切ったような勢いを使うことを「積水の計」といいます。失注情報もためて分析して、積水の計を使うようにしましょう。
「無駄もためれば
ダムとなる。」
成果を出すための「短期・長期の使い分け」
短期で成果を出すには中途採用が重要ですが、長期的な成果を出していくには新卒の育成が必要です。
そして営業に商品知識を詰め込んでいけば、商品は売れる一方で、改良や新規開発を行わなければ未来は無いし、上手くいけば飛躍的な成長が望める。このように矛盾する相反する要素を両方やるということが成果を出す上では重要なのです。
居心地が良いところばかり行ってない?「引き寄せの法則」
営業先の既存と新規としては、既存に引き寄せられる「引き寄せの法則」が働きます。
いい顔をされない新規は自然と営業がどうしても動かないようになりがち。労多くて益が少なければ、ある意味、当たり前かもしれません。
ですが、既存ばかりやって新規が取れなければ衰退は必至。
新規は評価に入れ、ルーティンに組み込むという工夫をしてみましょう。
改良できるポイントはいくつありましたか?
「営業は断られてから始まる」の本当の意味
営業の格言で、「営業は断られてからはじまる」という言葉を耳にすることも多いかもしれません。ですが、それは単に「粘れば良い」わけではありません。
それは、「相手の判断基準を聞いて」「改良して」「提案する」つまり、
①相手の価値判断の基準を知り
②提案をすり合わせていく
ということなのです。
価値判断を知らず、提案のすり合わせもできなければ、どんなに粘っても始まりません。
そして仮に、すり合わせが上手くいかなくても、断られた理由を理解して、商品改良に生かせれば次に生かせる。
それが本当の「営業は断られてから始まる」ということで、単なる根性論とは違うということが理解できると思います。
「営業は断られてから始まる」
は居座れではない。
本当は「判断のすり合わせ」
飛び道具と地上戦を使い分けたものが勝つ
ビジネスでは、「飛び道具」と言われる営業以外のツールと「地上戦」を上手く使うかどうかで、営業効率は大きく変わってきます。
ですが、空中戦と地上戦を使い分けるとはどういうことなのでしょうか?
飛び道具に当たるのは、DMやメールです。これらは営業マンを動かさなくても、効果を発揮できるものです。将来はIoTのような365日24時間働くツールが進化していくかもしれません。
一方で、地上戦というのは、取引先回りなどの地道な営業活動です。
いまだに「戦争は地上戦で決まる」と言われるように、最後は営業力で決まるケースはたくさんあります。
なので、どちらかではなく、両方やることが重要です。
飛び道具と地上戦
両方やって効果倍増
「人間力で売る」「仕組みで売る」の違い
安直に「人間力で売ってこい!」という精神論が唱える人もたくさんいらっしゃいます。実際に、そうした人間力もいまだに馬鹿にならないものですが、人間力と言ってもいまいちピンと来ない方も多いかもしれません。特に、若いビジネスパーソンの場合は、全く通じないでしょう。
「人間力」というものを、もう少し分解してみると、
ということが挙げられます。
一方で、仕組みで売る方法も考えてみましょう。
という対策が考えられます。
カネとヤリガイが社員を動かす
社員の中には理念だけで動いてくれる人も中にはいるかもしれませんが、実際は、理念と利益両方を使うのが現実的です。
この両方がカバーできているでしょうか?
外発的動機付けには「金銭報酬」「心的報酬」の両方が必要です。
ここでは、心的報酬を上げるコツをご紹介します。
それは営業をゲームに変える「ゲーミフィケーション」です。
意外に③のフィードバックが抜けているケースもあり、ボーリングで言えば、ストライクを出してハイタッチ!のようなもの。
こういうフィードバックがあるか無いかでモチベーションは変わってきます。
内発的動機付けを行うには、
②自己重要感
③一体感
④目的地を知る
などがあります。
ポイントはいかに「自分事化できるか」です。つまり、「自分がいてこそこの組織が成立しているという認識を持ってもらう」ということです。
会社を良くするためには、個々の社員が良い仕事をするしかありません。
自分事化することによって会社の評価が高まり、業績も良くなれば、自分にも返ってくる。個々の評価・報酬面でもそうです。
1回限りではなく、継続してこそビジネス
儲けの基本はリピート、継続。継続してこそビジネスと言えます。そのためには、満足度を上げていかにリピートしてもらうかが重要です。
一方で、お客様が神様というわけでもありません。あえてNoということもありますし、当然、サービスを提供する側に利益があっていけないわけがありません。
相手にとっても利益が出る一方、こちらも利益が出る、そういう状況こそが継続できる状況です。
相手も自分もwin-winの状況を築いていきましょう。
経営学の大家、ドラッカーは、「営業を不要にするのがマーケティング」と言ったいましたが、矛盾するマーケとイノベーションを統合することこそ、営業マンの醍醐味と言えます。起業家、ベンチャーで働く営業パーソンには、コツを踏まえつつ、矛盾を統合し、ゲームの感覚をもって、チャレンジしましょう。
起業したばかりの会社がスゴい社員を雇うのは難しいでしょうから、普通の人でも成果が上がる方法を実践してみてください。
スーパー営業ではなく
普通の人でも
成果が上がる方法を作ろう
(監修:株式会社NIコンサルティング 代表取締役 長尾一洋(ながおかずひろ) )
(編集:創業手帳編集部)