起業して初めてのオフィス選び -賃貸オフィス編・水回りの巻-

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賃貸オフィスの「トイレ」「給湯室」を女性目線でチェックする

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業務の効率化は、快適な執務環境があってこそ実現できるものだ。それは大企業であっても創業期のベンチャー企業であっても変わりはない。起業・開業して初めて入居しようとしているオフィスを快適な空間にできるか否かのカギは、給湯室やトイレなどの水回りにも隠れているのである。


給湯室付きオフィスで効果的にリフレッシュ

オフィスビルにおける水回りとは、主に「給湯室」と「トイレ」のことを指す。スポーツタイプの自転車での通勤や休み時間中や始業前のジョギングなどが増えている昨今では、シャワールームを備えたようなビルも見られるようになったが、普及率は高くない。

規模によっては給湯室のないビルもあるが、賃料が変わらないのであればやはり給湯室を備えたオフィスビルを薦めたい。給湯室でお茶を入れる時間は、オフィスワーカーにとっては貴重な息抜きの時間だ。適度な休憩が業務効率の改善につながるのは周知のとおりだが、
よい雰囲気の給湯室であれば、リフレッシュによる生産性も大きく上がることだろう。

給湯室の有無は文字通りオフィスの潤いを左右するといってよい。

賃貸オフィスビル水回りのチェックリスト1
  • 給湯室があるか?
  • 給湯室の雰囲気はよいか?


洗面スペースとトイレが分離したビルは高ポイント

給湯室と同様に、トイレもオフィスの快適性に深く関わってくる。居心地が悪かったり汚かったりするようではトイレに行くこと自体が苦痛となりかねず、これでは快適な仕事は望めない。また女性の起業家や女性従業員を多く雇用するベンチャー企業であれば、トイレと洗面スペースが分けられているビルを選ぶことが望ましい。

化粧直しや髪の手入れ、食事後の歯磨きなど、男性と比較して一般的に女性の方が洗面スペースでの滞留時間は長い。少し古い調査になるが、朝起きてから洗面所に入る回数は、女性と男性でそれぞれ平均4回と2回、洗面所で洗顔・髪の手入れなどの何らかの作業をした回数は、女性と男性でそれぞれ平均7回と4回だった(「冬期朝の洗面所利用に関する実態調査|大阪ガス」)。

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朝の洗面所の入室回数(「冬期朝の洗面所利用に関する実態調査」
のデータを元に創業手帳編集部が作成)

朝の洗面所で行う全作業数(「冬期朝の洗面所利用に関する実態調査」のデータを元に創業手帳編集部が作成)

朝の洗面所で行う全作業数(「冬期朝の洗面所利用に関する実態調査」
のデータを元に創業手帳編集部が作成)

上記の洗面所の利用状況の男女別調査は、日中のオフィスではなく朝の自宅での行動調査ではあるが、一般的に女性が男性よりも頻繁に洗面所を利用している傾向を知ることはできるだろう。

大規模かつハイスペックの新築ビルでは、このような現状を踏まえ、女性専用のパウダールームを備えた物件も増えている。とはいえ、起業間もないベンチャー企業がこうしたビルに入居するのは現実的ではない。よって、充実した水まわりには息抜きとリフレッシュの効果があるということを念頭に、古くても清潔かつ使いやすさに配慮された水まわりを持つビルを選ぶように意識したい。

トイレと給湯室の規模と場所は意外と重要

水回りが共用の場合は、トイレと給湯室の規模を確認しておきたい。テナント数に対して給湯室が狭すぎたり、トイレの数が少なすぎたりする場合は混み合うことも予想される。こうした事態を避けるため、トイレや給湯室の規模は事前にチェックしておくとよいだろう。

実はオフィスビルのトイレの各ファシリティー(設備)の適正数を算定する方程式がある。ビルの規模や想定される在館者数、男女比率などによって適正数が異なるため一概にはいえないので詳細はここでは述べないが、例えば、従業員が20名で男6:女4の場合、男子小便器2、男子大便器2、男子洗面器2、女子便器2〜3、女子洗面器2〜3が目安となっている。

規模と同様に重要なのがトイレや給湯室の場所だ。特にトイレの場所は微妙で、分かりやすい場所にあれば良いというわけでもない。就業中、トイレに行くことを恥ずかしいと考える人は男女問わずいる。そのためトイレにつながる導線の途中にあえて給湯室を設置し、トイレに行くことをカモフラージュできる設計にしたビルさえ存在する。

トイレに行くことが他人に知られず、内部は清潔で、機能は充実。それが、今日の基準でいう「良いオフィスのトイレ」なのである。

賃貸オフィスビル水回りのチェックリスト2
  • 給湯室の広さは十分か?
  • トイレ設備の数は十分か?
  • トイレと給湯室の位置関係は配慮されているか?


水回りのチェックは女性目線で

物件を内見する際、今では環境の良い給湯室や洗面スペースに通じたスタッフ(前述のデータも示すように女性従業員である場合が多い)が同伴するのが当たり前となっている。特に、身だしなみに気を使う男性が増えたとはいえ、給湯室や洗面スペースで過ごす時間は女性の方が長く、女性従業員が多い企業では、水回りの充実度が優秀な人材の確保にも影響すると言われるほどである。

給湯室や洗面スペースの見るべきポイントとしてまず挙げておきたいのは、清潔さと機能、それと、給湯室やトイレが共用となっているのか、あるいは専有かという点だ。専有の場合は他のテナントに気兼ねすることなく自由に使用できるが、清掃は従業員が行うのが基本である。水回りの清掃は意外と多くの労力と時間がかかる。場合によってはビル側で清掃を行うこともあるので、清掃の必要性などは事前に確認しておくといいだろう。

賃貸オフィスビル水回りのチェックリスト3
  • 給湯室や洗面スペースは清潔か?
  • 給湯室や洗面スペースの機能は充実しているか?
  • 給湯室やトイレは共用 or 専有か?
  • 給湯室やトイレの掃除はどうなっているのか?


水道料金とガス料金

専有部に水回りがあるビルでは、家賃とは別に水道料金やガス料金を支払うのが基本だ。ただし、ケースバイケースで、ビルによっては定額で使い放題だったり、水道会社やガス会社ではなくオーナーから請求される額を支払う場合などもある。

注意したいのは後者で、実際の使用料に上乗せされているケースが少なくない。一般的な賃貸オフィスビルでは「子メーター」というテナントごとに独立したメーターで正確な水道やガスの使用量を確認して請求するが、なかには子メーターが無いオフィスビルもある。さらにいえば、水道会社やガス会社が定める料金に上乗せして請求するオーナーもいる。

ただし、料金の上乗せには根拠のないものばかりではない。子メーターには使用期限があるため、その交換費用や検針の手数料という名目で上乗せしている場合もある。水道料金やガス料金の上乗せは双方の合意がある限り違法とは言い切れないため、入居前にしっかりと確認をしておきたい。

定額で水道・ガスが使い放題の場合は、使用量と金額をあらかじめ想定した上で損得を判断しよう。

賃貸オフィスビル水回りのチェックリスト4
  • 水道料金やガス料金に使用量以外に応じて上乗せ料金はあるか?
  • 水道やガスの使用量に制限はあるか?

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(監修:オフィス経営コンサルタント 久保純一
(創業手帳編集部)

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