司法書士/大人片づけインストラクターに聞く起業を軌道に乗せるコツ
司法書士法人コスモグループ代表・山口里美氏特別インタビュー(その2)
(2015/11/30更新)
事業の立ち上げや継続をする上で重要なポイントとして法人化が挙げられます。また、事業立ち上げ後の業務効率化を目指す上で整理整頓も重要なことの一つです。登記のスペシャリストとして活躍しながら、大人片づけインストラクターとしても活躍する司法書士山口里美氏に、自身の経験も踏まえながらアドバイスを伺いました。
司法書士法人コスモグループ代表。行政書士法人コスモ代表社員。株式会社コスモホールディングス代表取締役。フランチャイズアドバイザー。大人片づけインストラクター。全国司法書士女性会理事。全国司法書士法人連絡協議会理事。東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・広島の全国主要都市に拠点を構え、不動産登記、企業法務、裁判事務、相続関係手続きに関する法律サービスを広く提供し、女性司法書士が経営する司法書士法人としては日本最大規模を誇る。また、「大人片づけインストラクター」として整理収納や業務の効率化に関する講演や、自分らしく生きるための提案をするエンディングノートの執筆・講演にも携わる。
法人化というメリット
山口:女性の方ですと最初のうちは小規模に起業をなさる方が多いのですが、個人として事業を行うより、法人化した方が信用度は高まるという点が挙げられます。
そのため、融資を受ける際に法人の方が融資を受けやすくなります。
山口:はい。また、取引先に言われて法人化する方も結構いらっしゃいますね。
やはり、長く事業を続けたいのであれば、法人化して信用度を高めることが重要です。さらに、法人化することで助成金を取得することが出来るというような様々なメリットを享受することも出来ます。
昔と比べて現在は一人で1円からでも起業することが出来るようになりましたので、自分のビジネスを世の中に広めていきたいというのであれば、法人化するメリットが十分にあると考えます。
また、業種によっては「古物商許可」や「宅建業免許登録」といった、許認可の手続きが必要な業務もございますので、注意が必要です。
山口:国策として女性経営者を増やそうとしている昨今、一般社団法人として自身のスキルを教えるというビジネスを始めようとする女性の方が多いです。
例えば、自分が作った酵素スムージーの教室や、片づけの講座等です。
そのような教室を開くために、株式会社ではなく、社会的信用度が高いイメージのある一般社団法人として設立をし、教授する内容に対してディプロマ(資格認定状)を発行しようとする方もおられます。
私どもは、その組織作りのサポートもしております。
自分に合った事業展開を目指す
山口:監督官庁や自治体によって違いますが、数は増えてきていると思います。
最近では、「企業内人材育成推進助成金」のように人材教育関連の助成金が注目されています。
これまでは、製造業位しか対象とされてこなかったのですが、私どものような士業やコンサルティング業なども対象となるようになり、助成金の幅が広くなってきました。
助成金は枠があり、予算がなくなると募集終了となってしまうので、常に情報を入手されるよう心がけると良いと思います。
山口:私自身は、開業したときは自分の貯金だけでやりくりし、借り入れはしませんでした。
事業を展開していく上で、しっかりとした基盤を作っていきたいと考えていたためです。
幸い、私どもの業界は仕入れがなく人件費が主となるために、それが可能であったのかもしれません。
ご自身の生活スタイルやビジネスの規模・業種などを考慮した上で、法人化や助成金受給について選択なさると良いと思います。
整理整頓で仕事効率化
山口:整理収納のプロの方と協力しながら『幸せを運ぶエンディングノート』を出版したことがきっかけです。
このノートは、私自身が若くして父を亡くした際に、預金通帳がどこにあるのか、保険はどうなっているのか、父は私にどうなって欲しかったのかなどがわからず、このような情報やメッセージが残っていたら家族は安心出来るのだろうなと思ったことがきっかけで執筆しました。
その時に、これは「死を意識する」ということではなく、「重要書類等を整理する、まとめる」というお片づけのきっかけにもなることがわかりました。
山口:そうですね。しかし、片づけ自体は若い人にとってもシニア層にとっても重要なことなので、そのような認識を広めるために大人片づけインストラクターを始めさせて頂きました。
やはり、業務の中で一番もったいないことは、物を探す時間だと思います。1日に15分探していたら年間で何時間にもなってしまう。
だからこそ、物を出来るだけシンプルにして整理整頓しておくことが仕事をする上で重要です。
山口:そうですね。最近、持ちすぎた物を減らしてミニマムに暮らしていくという生活スタイルが流行っていますが、そのスタイルの裏には「持ちすぎた物を見直すことで残った物を有効活用出来る」という発想があると思います。
例えば、なかなか捨てられないお洋服があったとしても、捨てていくことで残ったお洋服を大事に着るようになっていく。
持ちすぎると本当の価値がわからないので、あえて少なくすることで本来の価値を活かすことが出来ると考えます。
山口:しています。
やはり、仕事効率化のためには物を探す時間をなくすということは重要なので、保管期間が法律で定められている書類以外は、「1年間使わない書類は処分する」といったルールを設けて徹底しています。
これまでは、物を捨てることが悪いという考え方があったと思うんですよね。高度成長期でしたし、物をどんどん買っていくという慣習があったと思います。
しかし、買った物というのは自分が捨てない限りは外に勝手に出て行かないわけです。
そのため、仕事効率化のために整理整頓を徹底することは企業にとって重要な課題であると考えています。
(編集:創業手帳編集部)
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