創業手帳 土屋貴幸|会計ソフト業界トップクラスの弥生グループへ参画、創業手帳の新代表が目指す未来の起業支援とは
弥生では起業支援や資金調達などの新規事業を担当、この経験を活かし日本の起業を盛り上げたい
2025年8月12日、創業手帳株式会社は弥生株式会社のグループ会社となりました。14万人以上の会員を持つ起業メディアを手掛ける創業手帳と、会計ソフトで国内トップクラスのシェアを誇る弥生株式会社が手を組むことで、さらなるサービスの充実を目指します。
また同日、創業手帳株式会社の代表も大久保幸世から土屋貴幸さんへバトンタッチしました。弥生株式会社で事業支援サービスなどを立ち上げてきた土屋さんは「これまで以上に起業家の皆様を支援したい」と語ります。なお大久保も引き続きファウンダーとして、創業手帳に関わってまいります。
創業手帳をご覧いただいている皆様は、「弥生グループになって創業手帳はどう変わるのか?」という点が最も気になるのではないでしょうか。そこで今回は新代表の土屋さんに、今後の展望について大久保がインタビューしました。

創業手帳株式会社 代表取締役
1973年生まれ。法政大学卒業後、セールスプロモーション分野で営業・マーケティング業務を経て、デジタルサイネージ事業の立ち上げに携わる。その後、ヤフー株式会社(現・LINEヤフー)にて事業開発およびM&A業務に従事。2020年に弥生株式会社へ入社し、事業支援サービスの責任者として、中小企業や個人事業主の経営支援に取り組む。
現在は、創業手帳株式会社の代表取締役として、起業家の成功を後押しするサービスの推進に尽力している。
創業手帳 代表取締役 土屋 貴幸のプロフィールはこちら
創業手帳 株式会社 ファウンダー
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 ファウンダー 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
弥生で新規事業を立ち上げた経験を、創業手帳で活かしたい
大久保:これまで土屋さんは、弥生でどのようなビジネスを手掛けてこられたのでしょうか?
土屋: 2020年に弥生株式会社へ入社しまして、その後5年間にわたり中小企業事業者向け事業の立ち上げ、また立ち上げ後のグロースに関わってまいりました。具体的には「かんたん会社設立」や「資金調達ナビ」、他にも税理士紹介や事業承継などのサービスを担当してきました。
弥生のお客様の多くは、中小企業や個人事業主の皆様です。これまでこうした方々に向けたサービス作りをしてきましたので、その経験を創業手帳で活かしていきたいと思っています。
大久保:新規事業のどんなところに魅力を感じますか?
土屋:やはり新しいことに取り組めるところが一番楽しいですね。そこは起業家の方々とも共通している部分かなと思います。
大久保:ただ新規事業は成功するケースもあれば、うまくいかないケースも多いと思います。土屋さんの場合、いかがでしたか?
土屋:確かに、すべてうまくいったわけではありません。私の場合、起業家向けのサービスは割とうまくいっていますが、その他のサービスの中には残念ながらクローズしてしまったものもありました。
新規事業を成功させるには、まず事業を作る人や関わる人のモチベーションがすごく大事だなと思いました。起業家向けのサービスは未来に挑む人を対象としているので、やはり作るうえでお客様とモチベーションを共有しやすいですね。またクローズしてしまったサービスは、他に競合が多い状況の中で後発だったというケースもあります。そのあたりもうまくいかなかった要因だったと思います。
大久保:モチベーションと参入タイミング、この2つが新規事業において欠かせない要素というわけですね。また土屋さんのように社内で新規事業を立ち上げる場合、既存リソースが使えるメリットがある一方、社内調整に手間がかかることもあると思います。そのあたりはいかがでしたか?
土屋:そうですね。社内で新規事業を立ち上げる場合、やはり多くのステークホルダーとの折衝が必要でした。上層部の承認を得る必要もありますし、既存サービスのユーザーの皆様に理解していただくことも大切です。そういった方々とやり取りしながらサービスを成長させていくのは、やはり大変なところもあります。
そういう意味では、起業家の方はある程度ご自身のやりたい方向でできる良さがありますよね。社内の新規事業と比べるとリスクはもちろんありますが、やはり起業には夢があるなと感じていました。ですから、自由な発想で新しいことにチャレンジする起業家の方々を、今後サポートしていければと思っています。
大久保:これまで起業関連サービスを多く手掛けていたとお聞きしました。特に起業支援にフォーカスしていた理由は何でしたか?
土屋:弥生にはさまざまなプロダクトがありますが、いずれも「お客様が困っていることを解決する」という考えに基づいています。特に事業者の皆様が最初に躓きやすいのが、「そもそも会社ってどうやって作ればいいんだろう?」というところではないでしょうか。
会社を作る時点で挫折してしまったら、いいアイデアがあっても、いい仲間がいても、うまくいきません。ですからまずは最初に直面する困りごとを解決したいなと思い、起業関連サービスに取り組んできました。
会計ソフトだけじゃない。豊富な実績と幅広いサービスを持つ点が弥生の強み
大久保:弥生は有料会員100万人以上とのことで、ユーザーからも高い支持を得ていると思いますが、土屋さんから見て弥生の良さはどんなところでしょうか?
土屋:まずは、国内で長い歴史と実績があるところですね。もともとは1987年からプロダクトを提供していますので、中小企業や個人事業主の方々向けに30年以上サービスを展開してきました。
最近はIT系を中心としたスタートアップが脚光を浴びていますが、弥生ではこれまで業種や規模を問わず、多くのお客様が抱えるさまざまな課題に向き合ってきました。そういう意味では、例えば街でお店を開業したい方ですとか、起業を目指すあらゆる方をバックアップできる土台があると考えています。また多くのお客様と関わってきたことで得たノウハウやデータも、弥生の持つ大きな財産だと思っています。
会計だけではなく、給与計算や販売など幅広いソリューションを持っている点や、税理士などのパートナーを多く抱えていることも弥生の持つ大きな強みです。このあたりは、今後創業手帳でもうまく活かしていきたいと考えています。
創業手帳が弥生グループに加わることで、どんなメリットが生まれるのか
大久保:読者の皆様は、「創業手帳と弥生が組むことでどんな点が良くなるのか?」というところが最も気になると思いますが、いかがでしょうか。
土屋:起業を目指す方や起業したばかりの方は、さまざまな不安や悩みがあると思います。そうした場面で、先ほどお話ししたような弥生の強みも組み合わせながら、さらに強力に支援していきたいですね。
例えば創業手帳をご覧いただいている方々が起業したいと思った時、会社設立の準備などにおいて、これまで以上にスムーズに会社設立サービスをご利用いただけるようになります。
あとは起業後に会社をグロースさせていく部分ですね。弥生にはさまざまなサービスがありますので、資金調達や税理士の紹介、会計ソフトの導入などいろいろな場面でサポートできると考えています。
大久保:日本で長くトップシェアを誇る弥生さんだからこそ、資金力もありますよね。創業者としても創業手帳のサービスに投資が増え、今後ますますサービスが向上することを期待しています。
土屋:おっしゃるとおりです。創業手帳と組むことで、より事業者様のニーズを捉え、よりよいサービスをどんどん増やしていくつもりです。
日本の起業を盛り上げ、インパクトを与える存在を目指す
大久保:創業手帳が弥生グループに参画して土屋さんが新社長に就任したことをXやFacebookに投稿したところ、「いいね」が1,300件以上もつきました。コメントも300件近くも来て、全体的にとてもポジティブな反応ばかりでした。土屋さんは周囲の方々から反響はありましたか?
土屋:私はFacebookをやっているのですが、Facebook上で、やはり多くの方から同じようにポジティブなコメントをいただきました。私の周りも起業家はいますし、中には経営者も多くいます。そういった方々は創業手帳のことをよく知ってくれていますので、激励のメッセージをいただいています。
大久保:ここでちょっとプライベートなこともお聞きしたいのですが、土屋さんの趣味は何ですか?
土屋:今は筋トレですね。会社に来る前、ジムに行って鍛えています。あと週末はよくゴルフに行っています。筋トレはストイックになれるところが好きですね。やはり経営者になったことで、これまで以上に自分に厳しくなければいけないなと感じています。
大久保:確かに新しいことにチャレンジするには、身体的にも精神的にも自分への厳しさやタフさが求められる気がします。
土屋:そうですね。特に新規事業や起業においては、チャレンジする姿勢がすごく大事ですよね。やはりいろいろ試してみないと、わからないことがたくさんありますから。もちろん失敗もたくさんあると思いますが、その中でうまく行く方法を見つけて、それを伸ばしていく。これまで新規事業をやってきた中でも、小さなチャレンジを積み重ねる姿勢が大事だなということはすごく感じました。
私自身は、まだ起業した経験はありませんが、そういうチャレンジスピリットという部分では、起業家の皆様に共感できるところがあると思っています。
大久保:最後に今後について伺いたいのですが、新代表として創業手帳をどのようにしていきたいとお考えですか?
土屋:2つありまして、1つはまず創業手帳としてしっかりと起業家の方に対して向き合うことです。これから会社を立ち上げる方や立ち上げて間もない方に向けて、何ができるかをもう一度考え直し、これまで以上に厚く支援することです。
もう1つは、起業家の方々を支援していただくサポーターとも言える皆様との関係作りを強めていくことです。ここで言うサポーターというのは、創業手帳のメディア事業における広告主の皆様です。
創業手帳のメディアには、さまざまな業種の企業様が広告を出稿していただいています。これらの広告主の皆様は、起業家にとっても有益なサービスを提供していらっしゃいますので、起業家にとっては強い味方なわけですよね。つまり広告主であるサポーターの方々と起業家のつながりをもっと強くすれば、起業家も広告主もWin-Winな関係になると考えています。
大久保:創業手帳を通じて、日本を代表するような起業支援の体制を作ろう、ということですね。
土屋:おっしゃる通りです。日本でも働き方がどんどん変わってきていて、起業を目指す方が増えてきましたが、まだまだ海外ほどではありません。海外のようにいろいろな分野で起業が日本で増えていけば、もっと日本は元気になるはずです。キラキラしたベンチャー企業だけでなく、街の小さな商店も支援していきたい。いずれは、日本の起業にインパクトを与える存在になっていきたいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(編集:創業手帳編集部)
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