ハンドメイド販売で起業するには?minne・BASE活用とリアル販売のはじめ方
趣味を仕事に変える「ハンドメイド起業」をはじめよう!
自分の個性や感性、世界観をハンドメイドのアイテムで表現するのは魅力的な趣味です。
「趣味で作っているアクセサリーや雑貨を、いずれ販売してみたい」そのような想いを持つ方が増えています。
minneやBASEといったサービスを使えば、初期費用ゼロでもインターネットショップが開設可能です。
さらにハンドメイドイベントや委託販売など、リアルの販売ルートも活用できます。
この記事では、ハンドメイド作品を「商品」に変えて収益化するための販売方法や起業のポイントをわかりやすく紹介します。
「いつかは自分のビジネスを始めたい」と思っていても、一歩を踏み出せない方へ。
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この記事の目次
ハンドメイド起業のはじめ方|最初に決めるべきこと
ハンドメイド起業は、思い立ってすぐにはじめられるものの、経営がうまくいかずに挫折するケースも多いです。
ここではハンドメイド起業をはじめる時に、最初に決めるべきことをまとめました。
どのようなジャンルで作るか考えてみよう
ハンドメイド起業をはじめるためには、まずは「何を作るのか」を明確にしてください。
何をつくるかは自由ではありますが、自由度が高すぎて何をつくればいいのかわからなくなる人もいるかもしれません。
安定した需要が見込める定番ジャンルには以下のようなものがあります。
・アクセサリー
ピアス・イヤリング・ネックレスなど。個性とトレンドが求められる分、参入者も多め
・布小物
ポーチ・バッグ・ベビー用品など。実用性とかわいさ・個性を両立しやすい分野
・陶器・食器
オリジナリティや高単価が狙えるジャンル。ただし壊れやすいため、制作・配送には工夫が必要
キャンドル・石けんなどの雑貨系
SNS映えしやすくお祝いやギフト需要も見込めるジャンル
ジャンルを決める時に大切なのは、「自分が続けられるか」「ほかと差別化できるか」です。
ひとつにいきなり絞るのではなく、いくつか試作し、反応を見てジャンルを絞る方法もおすすめです。
自分らしいブランドコンセプトを考えよう
ハンドメイド販売において軸となるのが、ブランドコンセプトになります。
どのような世界観や想いを届けたいか?誰に向けて作るのか?を明確にすると、商品デザインやターゲット、販売戦略も進めやすくなります。
商品に統一感が生まれ、ファンやリピーターがつきやすくなるので販売戦略としてもブランドコンセプトが重要です。
ブランドコンセプトを決める時には、ブランド名や・ロゴ・カラーテーマも合わせるようにしてください。
どのような人に届けたいか、ターゲットを考えてみよう
「誰に売るのか?」を明確にしておくことで、価格設定・デザイン・販路選びがブレにくくなります。
「30代女性向け」、「子育てママ向け」、「ナチュラル志向の人向け」のように、具体的にイメージを膨らませていきます。
例えば、「ナチュラル志向の人向け」であれば、華美なデザインよりもシンプルやオーガニックといったワードと相性が良いはずです。
素材や製法などターゲットがこだわる要素をうまく取り入れるとほかのブランドと差別化することができます。
インターネット?対面?自分に合った販売方法を決めよう
ハンドメイドは「インターネット販売」と「対面販売」でアプローチが大きく異なります。
minne、Creema、BASE、メルカリといったインターネットでの販売は小規模からでもスタートしやすい点が魅力です。
副業や未経験者がお試しする時にも、インターネット販売をおすすめします。
対面販売であれば、店舗を構える以外にもマルシェへの出店や委託販売、友人紹介といった方法があります。
対面販売は実際に商品を手に取ってもらいたい人や、直接接客をして反応を直接受け取りたい人に適した方法です。
販売方法について、詳しい内容は後述します。
作業時間とスケジュールを無理なく決めよう
ハンドメイド販売をはじめたばかりの時に問題となりやすいのが、時間管理です。できるだけ多くの商品を販売したいと考えると作業時間は長くなってしまいます。
自分で作業時間を決められる分、働きすぎてしまうかもしれません。
特に副業としてはじめる場合、「いつ作るか・いつ発送するか」を明確に決めてスケジュール管理するようにしてください。
作業時間と生活とのバランスをとることで、無理なく続けられます。
売るための価格の目安を考えてみよう
ハンドメイド販売は、自分で販売価格も決定します。つくっている最中には忘れてしまいがちですが、「いくらで売るか」を早めに考えなければいけません。
価格設定をしておくことで、材料費・時間・利益のバランスを意識できるようになります。
安ければ売れるというものではないので、最初は「安くしすぎない」こともポイントです。
開業届はいつ出す?タイミングを考えてみよう
ハンドメイド販売をはじめるために、商品や宣伝の準備と同時に開業の準備も進めなければいけません。
開業届は、開業から1カ月以内に提出するとされていますが、遅れても提出できます。
売上が少なくて雑所得として扱ううちは開業届を出さなかったとしても、事業として継続した利益が出るようになった時には開業届の提出が必要です。
開業届を提出すると、ブランド名を屋号にして銀行口座を屋号で作成できます。
事業用口座やクレジットカードを作るタイミングで開業届のタイミングを考えてもいいかもしれません。
また、開業届を提出すると、青色申告を選択肢て最大65万円の控除や赤字の繰越などの税制優遇が受けられます。
まだ試し売りの段階や家計の収支程度の場合は、まずは副業感覚でスタートしても問題ありません。
しかし、副業としての所得が年間20万円、または事業所得として38万円を超える見込みがある時には、開業届の提出を考えるタイミングです。
インターネット販売|minne・BASEを使ったはじめ方
ハンドメイドのアイテムを販売する方法は、大きくインターネット販売と対面販売に分けられます。
ここでは、インターネット販売の中でもminneやBASEなどの特徴についてまとめています。
minne・Creemaの特徴
minneやCreemaは、ハンドメイドに特化した専門モールです。
多くの作家が登録していて、お客様としての会員登録数も多いため、ハンドメイド作品を販売するなら最初にminneとCreemaに登録しようと考える人もいるでしょう。
会員登録者が多いことで集客力があり初心者でも売れやすい点が最大の魅力になります。
手数料は販売価格の10%前後です。ただし、多くの作家が利用しているため、工夫しないと差別化できずに埋もれてしまうこともあります。
BASE・STORESの特徴
BASE・STORESは、自分だけのインターネットショップが作れるサービスです。デザインの自由度が高く、ブランド構築向きです。
クーポン発行や販促に使える機能、分析ツールもあるので、戦略的にショップを活用できます。
インターネット販売の時には、どの媒体で販売するかだけでなく、商品写真・タイトル・説明文・価格設定が重要です。
ターゲット層に刺さるような商品展開やお店作りを目指してください。
リアル販売|マルシェ・委託販売・ポップアップなど
リアル販売も、実店舗を構える以外にさまざまな販売方法があります。自身のブランドに合うリアル販売を選択してください。
1. ハンドメイドイベント・マルシェ
全国でハンドメイドのイベントやマルシェが開催されています。主に週末に開催していて出店料を支払って出店するのが一般的です。
直接お客様と交流しながら販売できるのがハンドメイドイベントやマルシェの魅力です。
ハンドメイドイベントやマルシェは多くの人が出店するため、集客力があり多くのお客様にブランドや商品を知ってもらうチャンスになります。
ショップカードや名刺も用意して認知度を高めてください。
2. 委託販売
委託販売は、雑貨店やカフェなどに商品を置いてもらう形式です。委託販売は、委託料を支払うケースや売上から一定割合を支払う形式など委託先によって違います。
委託販売は地域密着型の販売に向いていて、安定した売上げが期待できます。
3. ポップアップショップ
ポップアップショップでの販売は、期間限定で百貨店や商業施設に出店する方法です。百貨店や商業施設は、お客様も多いためお店を知ってもらうチャンスになります。
限られた期間と場所でブランドについて知ってもらうには戦略も必要です。
ショップカードやラッピングバッグにこだわるといったブランド性強化にもポップアップショップが有効な手段です。
インターネット販売とリアル販売の違いと選び方
インターネット販売とリアル販売にはそれぞれ特徴があります。以下ではインターネット販売とリアル販売の違いや選び方をまとめました。
インターネット販売とリアル販売はどちらが最適と決められるものではありません。両方の良さを活かし、「インターネット+リアル」の組み合わせも検討してみてください。
項目 | インターネット販売 | リアル販売 |
初期費用 | ほぼゼロ | 出店料や什器代がかかる |
お客様の反応 | 見えにくい | 対面で直接聞ける |
販売の自由度 | 24時間いつでも | イベント・店の営業日時に依存 |
集客方法 | SNS・検索流入・広告などデジタル中心 | 会場の集客力・チラシ・口コミなどが重要 |
信頼性 | 写真や説明文次第で左右されやすい | 実物を見てもらえるため信頼を得やすい |
売れ筋商品の分析 | アクセス解析・購入データを活用できる | お客様の声や表情から直感的に読み取れる |
事務作業 | 発送作業・問い合わせ対応が必要 | 在庫管理・釣り銭・什器搬入などが必要 |
インターネット販売の大きなメリットは、初期費用を抑えられる点です。
在宅でもはじめられるので初心者や副業としてはじめる人は、インターネットからのスタートも検討してください。
インターネットからスタートして、ブランドのファンを増やすならリアルでの販売も視野に入れまたほうが良いでしょう。
直接話せることで信頼感がアップし、リピートにもつながりやすい方法になります。
理想はインターネットで広く販売しつつ、イベントやマルシェで顔を見せることでブランド力をUPするハイブリッド型です。
少しずつでも理想の店舗に近づけるように戦略を立ててください。
収益化のために意識したいこと
ハンドメイド販売はただ「売る」だけでなく、「継続して売れ続ける」仕組み作りを意識しなければいけません。どういったことを意識しなければいけないのか紹介します。
ざっくりじゃなく「原価+手間+送料+利益」で値決めしよう
ハンドメイドの販売価格は、安すぎれば利益がでず、高ければ売れにくくなってしまいます。
なんとなく価格設定するのではなくではなく、きちんと利益が残るような価格に設定しなければいけません。
価格の目安は、目安としては以下を合計した金額に利益を加える形です。
材料費(原価)
制作にかかる時間や労力(自分の時給換算)
梱包・発送にかかる費用(送料、資材)
ターゲット層に買いやすい価格であるかどうかもポイントです。日常用であればリーズナブルに、贈答用であればやや高めに設定する販売戦略もあります。
お店や作品の世界観はそろえておこう
ブランドの強みは、ほかにはないコンセプトや個性です。お客様に「この人の作るものが好き」「雰囲気が素敵」と思ってもらえることで差別化を図れます。
どこにでもあるものは価格競争で利益が出にくくなってしまいます。世界観を強みにすると、価格競争に巻き込まれにくくなるため、ビジネスとしても有利です。
例えば、ロゴやバナー、商品撮影のテイストを揃えたり、商品説明の言葉づかいも一貫性を意識したりする方法があります。
「季節感」や「ライフスタイルの提案」を込めるプロモーションでリピーター獲得につながります。
制作風景や日常をシェアして、ファンを増やそう
知られていない商品は売れません。商品を知ってもらうための発信力は重要です。
特にハンドメイドは作り手の人柄にファンがつくケースも多く、ブログやSNSで制作過程や道具の紹介、日常の一コマなどで親近感を演出してください。
投稿する時には、ハッシュタグやリールを活用して、見つけてもらいやすくしましょう。ストーリーズでの交流やアンケートも、お客様との接点を増やすために効果的です。
クーポンやセット販売で、リピーターを増やす仕組みを
長く応援してくれるファンづくりを意識すると、売上の安定にもつながります。
リピートやまとめ買いを促す工夫にはいろいろありますが、次回使えるクーポンを同封したり、セット販売や「3点でお得」といった販売方法を導入したりする方法が一般的です。
「前回ご購入の方限定」の限定品・先行販売は購入したお客様に特別感を与える販売手法です。
ただ買ってもらえるのを待つだけでなく、季節や用途を意識した提案型の販売促進を意識してください。
やりとりや梱包にもひと工夫して、うれしい体験を
リピーター獲得や良い口コミを獲得するには、顧客満足がポイントです。メッセージ返信はできるだけ丁寧、迅速にしてスムーズにお客様の手元に商品を届けます。
梱包も開封が楽しみになるようなシール・メッセージカードなどの工夫が必要です。
購入したお客様にレビューを依頼するのも効果的ですが、タイミングやメッセージの内容で印象が大きく変わるので注意してください。
注意していてもネガティブレビューがつくかもしれません。そういったケースでもしんしに対応して信頼回復を目指してください。
「なんで売れた?」を考えて、次につなげよう
販売ビジネスでは、売れて良かったで終わらせず、なぜ売れたのか?なぜ売れなかったのか?を振り返る習慣を付けるようにします。
具体的には、以下をチェックしてください。
-
- どの価格帯の商品が売れたか
- 売れた商品の色・形・素材などの傾向は?
- Instagramや販売サイトのアクセス数の変化
- コメントやレビューに出てきたキーワード
補助金・支援制度の活用も検討を
小規模な起業でも使える補助金が存在します。申請するために開業届や事業計画書の提出が必要になることもあるため、商工会議所などで早めに相談してください。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上を目的として行う取組みをサポートする制度です。
広告宣伝費やインターネットショップ開設の費用、業務効率化のための設備購入に活用できます。
商工会または商工会議所の伴走支援が申請要件なので早めに相談しておいてください。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、革新的な新製品やサービス開発に必要な設備投資などの経費を補助してくれる制度です。
補助を受けられるのは経費のうち中小企業で1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者では2/3で従業員数に応じて補助上限が設けられています。
ハンドメイド販売のための機材や設備投資、人件費、外注費も含まれるのでハンドメイド事業にどういった経費が発生するかピックアップして計算してみてください。
まとめ|「好き」を収益化する一歩を踏み出そう
インターネットショップやハンドメイドのイベントを利用すれば、個人でもハンドメイド販売をはじめられます。趣味のハンドメイドから仕事につなげてみてください。
インターネットショップを作成するサービスを使えば、コストやリスクを下げた開業も可能です。資金面で不安がある場合には、利用できる補助金がないか調べてみてください。
ハンドメイド販売は、小さくはじめられて継続しやすいスモールビジネスです。
インターネットとリアルをうまく組み合わせ、自分に合ったスタイルで楽しみながら続けていってください。
「私でも起業できる?」と悩んでいる方はぜひ『創業手帳Woman』をご活用ください。
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(編集:創業手帳編集部)