経営者こそ取り組みたい健康管理術とは?便利なサービスなども解説
経営者の健康管理が企業の信頼に繋がる!
経営者にとって、健康の優先順位を上げることは困難です。特に起業から間もない場合、経営者の目の前には、やるべき事が膨大に存在しています。しかし、経営者が健康管理に取り組む姿勢は、企業の信頼に繋がります。
本記事では、経営者にとって健康管理が重要となる理由を解説し、健康管理術の基本と、利用できるサービスについてもご紹介します。
経営者の代わりになれる人材は簡単には育ちません。膨大な仕事を抱える経営者だからこそ、健康管理に気を付けなければ、他企業からの信頼を失う恐れがあることを覚えておいてください。
健康管理と同様に起業準備の管理も必要です。創業手帳の「創業カレンダー(無料)」では、カテゴリ別×時系列で「いつになにをすべきなのか」を確認できます。日付を書き込めるのでオリジナルの創業カレンダーを作成出来ます!
※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください
この記事の目次
経営者が健康管理をすべき理由とは
多くの経営者は、毎日膨大な数の仕事をこなし、会社のエンジンとして、社員の皆様に頼られる存在だと思います。
スタートアップや、起業後数年以内の会社を持つ場合、さらに経営者が果たすべき役割は多いでしょう。そんな時に疎かにされがちなのが、健康管理です。
まずは具体的なデータをもとに、経営者にとって健康管理が重要な理由を解説します。
経営者が1か月間離脱した場合、中小企業の35%以上が「業務に影響がある」と回答
2019年に行われた、中小企業の経営者を対象とした調査(信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成)によると、経営者が1か月間離脱した場合、35%以上の中小企業が「業務に影響がある」と回答しました。
さらに、従業員数の少ない企業であるほど業務に対する影響は大きく、10人未満の企業で通常通りの業務継続が可能と回答した企業は、50%を切る結果となりました。
通常通りの 業務継続が 困難 |
主要業務 に限り 継続可能 |
大幅に業務を 短縮したうえ で継続可能 |
業務継続は 不可能 |
不明 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
全体 | 57.6% | 23.4% | 7.3% | 5.0% | 6.6% | |
従 業 員 数 |
4人以下 | 37.9% | 23.6% | 15.1% | 13.2% | 10.2% |
5~9人 | 54.9% | 30.3% | 6.6% | 1.9% | 6.3% | |
10~19人 | 64.2% | 26.3% | 3.5% | 0.6% | 5.3% | |
20~49人 | 76.7% | 17.7% | 1.4% | 0.5% | 3.8% | |
50~200人 | 81.8% | 15.2% | 0.6% | 0.1% | 2.3% |
引用:信金中金月報 2019.9 中小企業における経営者の健康リスクについて-第171回全国中小企業景気動向調査より-
事業立ち上げから間もない起業では、経営者が倒れた時の影響は計り知れないでしょう。
経営者自身の健康維持が、企業全体の生産性向上や業績アップにもつながることがわかります。
体調不良による一人当たりの労働生産性損失は、年間76.6万!経営者の場合さらに大きな影響に
横浜市と東京大学政策ビジョン研究センターが実施した調査によると、中小規模事業所における、体調不良による一人当たりの年間労働生産性損失は76.6万円にも上ることが明らかになりました。
この損失は、従業員の病気休暇(アブセンティーイズム)に加え、体調不良による生産性の低下(プレゼンティーイズム)によるものです。
さらに、健康リスク評価※が高いほど、労働生産性の損失額が大きくなることがわかっています。
※健康リスク評価項目:①不定愁訴の有無、②喫煙、③アルコール、④運動習慣、⑤睡眠休養、⑥主観的健康感、⑦家庭満足度、⑧仕事満足度、⑨ストレスの計 9 項目から判定される
参考:労働生産性損失は年間 76.6 万円(従業員一人当たり)!健康リスクと労働生産性損失の関係が明らかに!
経営者の場合、体調不良による労働生産性の損失額はさらに大きくなると考えられます。
経営者一人が体調を崩せば、重要な意思決定の遅れや的確性の欠如など、企業全体に大きな影響を及ぼすことは明白でしょう。
つまり、経営者が健康でいることは、経営判断力の維持や企業業績への直接的な影響という点で非常に重要なのです。
健康経営推進のために、経営者は社員の模範となるべき
経営者には社員の健康増進をリードする役割も期待されています。
2013年より、経済産業省は健康経営を推進しており、従業員の健康保持・増進を通じて、企業の活性化を図ることが重視されています。
つまり、経営者は自身の健康管理だけでなく、社員全体の健康づくりにも主体的にかかわる必要があるのです。
また、2016年より、健康経営に取り組む中小企業を対象とした健康経営優良法人認定制度が開始されるなど、健康経営は社会的責任のひとつでもあります。
健康経営に取り組みながら、社長が健康管理を疎かにしていては、社員はついてきません。
社員の模範となるために、経営者こそ積極的に健康管理に取り組むべきなのです。
参考:健康経営の推進について
経営者が取り組むべき健康管理術
経営者が健康管理を行う理由および重要性について解説しましたが、具体的な健康管理術には何があるでしょうか。
健康管理を何から始めていいかわからない方は、基本的な健康管理術を確認しましょう。
定期的な健康診断・人間ドックを受ける
自身の不調を早期に発見するためには、定期的な健康診断や人間ドックを受けることが不可欠です。
経営者は、忙しいビジネススケジュールの中で健診を後回しにしがちですが、健康リスクを最小限に抑えるためにも、年に一度は必ず健診を受けるべきです。
人間ドックでは、血液検査や尿検査、心電図検査、胃カメラ検査など、様々な検査項目を通して、生活習慣病や癌などの疾患のリスクを検知することができます。
特にがんは男性65.5%、女性51.2%という確率で、2人に1人ががんと診断される時代です。
35歳を超えた方は、がん検診を定期的に受診することを心がけてください。
ストレスチェックを受ける
経営者は常に多くのストレスを抱えています。
群馬産業保健推進センターによって行われた調査によると、経営者のうち77%が「直近でストレスを感じた」と答えており、半数近くの経営者が「経営者は孤独である」と考えていました。
ストレスが過剰になると、身体面だけでなく精神面にも悪影響を及ぼし、うつ病などのメンタルヘルスの問題にもつながりかねません。
そのため、定期的にストレスチェックを受け、自身のストレス状態を適切に把握しましょう。
日本では、2015年よりすべての労働者にストレスチェックを実施することが義務化されています。
しかし、社員へのストレスチェックを行っていても、自身への実施は疎かにしている経営者は多いのではないでしょうか。
ストレスを一過性のもと考えず、心身ともに健康であることが経営者にとっても重要です。
参考:中小事業所の経営者を対象とした メンタルヘルスの意識調査
参考:ストレスチェック制度 導入ガイド
生活習慣に運動を取り入れる
運動不足は、肥満や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、集中力の低下や判断力の鈍りをも引き起こします。
そのため、経営者は日々の生活の中に適度な運動を取り入れる必要があります。
有酸素運動は心肺機能の強化やストレス解消に効果的ですし、筋力トレーニングも基礎代謝の向上やインスリン感受性の改善に役立ちます。
東京都による、健康づくりのための運動量の目安は、汗がかける程度の運動を毎週合計60分続けることです。
外出時には歩数を意識的に増やしたり、昼休みを運動時間に充てるなど、隙間時間で運動する工夫も大切です。
運動を日課に取り入れることで、健康的なライフスタイルを身につけるだけでなく、気分転換やリフレッシュにもつながります。
参考:習慣的に運動しよう|身体活動・運動|とうきょう健康ステーション
日常の食生活を見直す
経営者は、多忙な日々の中で食事を疎かにしがちです。しかし、食生活の乱れは、生活習慣病を始めとする様々な病気を引き起こします。
食生活の乱れ | 疾患リスク |
---|---|
エネルギーの摂りすぎ | 肥満、糖尿病、肝疾患 |
塩分の摂りすぎ | 高血圧、脳卒中、虚血性心疾患、がん |
脂質の摂りすぎ | 肥満、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患 |
ビタミン、ミネラルなどの不足 | がん、貧血、骨粗しょう症 |
まずは、主食・主菜・副菜を基本に、食事のバランスを意識することが大切です。野菜を積極的に摂取し、ビタミン、ミネラルの不足を解消しましょう。
脂質やたんぱく質の過剰摂取に注意し、カロリーコントロールも意識してください。
また、外食が多い場合は、できるだけヘルシーなメニューを選ぶ習慣をつけることをおすすめします。
経営者は睡眠不足やストレスから、過剰な食事や間食をしがちですが、これらは健康状態を悪化させる要因となります。
適度な運動と健全な食生活を心がけることで、経営に必要な心身のエネルギーを維持できるはずです。
経営者の健康管理に便利なサービス
経営者が行うべき基本的な健康管理術をご紹介しましたが、以前までの生活習慣を急激に変更するのは中々難しいかもしれません。
経営者によっては、そもそも時間が足りない場合も多いでしょう。
そこで、経営者の健康管理に有効活用できるサービスをいくつかご紹介します。
次のサービスを利用することで、効率的に健康管理に取り組めるでしょう。
経営者向け医療機関サービス
経営者向け医療機関サービスでは、会員制や完全個室を導入している所が多く、経営者のプライベートがしっかり守られます。
また専属の医師が、経営者の健康状態を定期的にチェックすることで、自身の些細な変化に気づきやすく、自身の体質にあった医療サービスを受けられます。
次におすすめの経営者向け医療機関サービスをいくつかご紹介します。
- セントラルメディカルクラブ
完全会員制。都会の喧騒を忘れられる空間で、先進予防医療を提供しています。 - 会員制医療クラブ BRBメディカルサロン
慶応義塾大学名誉教授が顧問ドクターを務める、会員制医療クラブ。
多数の大学病院と連携し、最新の機器を使用した医療を提供しています。 - SBIメディック
SBIホールディングスグループが運営する、経営者向け医療サービス。
「予防」「治療」「エイジマネジメント」を一体で提供しています。
健康経営関連サービス
近年では、健康経営に関する様々な支援サービスが登場しています。
健康診断やストレスチェックの実施をスムーズに行う健康管理システムや、保健指導業務の支援サービスなどがあります。
健康経営サービスは、経営者の健康だけではなく、社員全体の健康管理に役立てられるため、事業に取り入れやすい点が魅力です。
次におすすめの健康経営関連サービスをご紹介します。
- Carely
人事労務担当者向けのクラウドサービス。
健康診断の結果やストレスチェックの結果を一括でデータ管理できます。 - Beatfit for Biz
従業員の運動やメンタルケア行動を促すスマホアプリ。
ウォーキングやヨガなどのオリジナルコンテンツにより、楽しく運動を始められます。 - LLax forest
組織および個人の健康課題を可視化できるサービス。
従業員が抱えている健康問題に加えて、プレゼンティーイズムも可視化できます
パーソナルトレーニング
経営者は時間に縛られ、十分な運動時間が確保できないことも多いはずです。
そんな経営者におすすめなのが、パーソナルトレーニングです。
専用のトレーナーが少ない時間で、個人に合った最適な運動プログラムを提供してくれます。
また多くのパーソナルトレーニングでは、栄養管理や食事管理も行っているので、健康に運動を続けることができます。
次におすすめのパーソナルトレーニングをご紹介します。
- 24/7Workout
7:00~24:00の長い営業時間が魅力のパーソナルジム。
トレーニングだけでなく、一生続けられる食事管理術が身につきます。
ボディメイクやダイエットが気になる方におすすめ。 - ライザップ
業界最大手パーソナルジム。
ユーザーに合わせたバックアップチームにより、徹底的なサポートを受けられます。 - 経営者ジム
経営者に特化したパーソナルジム。
パーソナルトレーニングに加えて、ジム会員内の経営者コミュニティにも参加できます。
食事管理アプリ
健康的な食事を摂るといっても、具体的に何を食べたらいいのか判断に困ります。
そこで活躍するのが食事管理アプリです。
料理の栄養価を自動で計算し、目標カロリーや栄養素バランスを教えてくれます。
さらに、簡単な手順で作れる低カロリーの料理を提案してくれるアプリもあり、健康的な食生活を継続するのに役立ちます。
次におすすめの食事管理アプリをご紹介します。
- あすけん
食事画像判別AIにより、写真を撮るだけで食生活の栄養計算ができます。
また、記録した食生活をもとに、プロの管理栄養士からアドバイスをもらうことも可能です。 - FiNC
食事管理だけはなく、歩数計や体重管理機能に加えて、睡眠記録も可能です。
このアプリ一つで、健康にかかわる様々な行動を記録できます。 - OWN.
エビデンスに基づいた食事、筋トレ、睡眠習慣を提案してくれます。
月額980円ですが、食事だけでなく運動習慣の改善効果も期待できます。
経営者の健康リスク回避方法
経営者にとって健康は何よりも重要ですが、万が一健康を損ねてしまった場合のために、経営上のリスク対策も怠ってはいけません。
どんなに健康に気を付けていても、体調を崩してしまうことはあります。そんな時に備えて、リスクを回避するための対策について解説します。
経営者のみ対応できる仕事をできるだけ減らす
経営者が健康を損ねた際に、最小限の影響で済むよう、平常時から経営者が一人で抱え込む業務を減らしていく必要があります。
経営判断を要する重要案件以外はできるだけ部下に権限を委譲し、経営者不在時でも業務が滞らないよう準備しておきましょう。
具体的には、経営者のみが関与している業務プロセスを洗い出し、マニュアル化やデータベース化を進めます。
これにより、経営者が長期不在となっても、部下が適切に業務を引き継げるようになります。
また、経営陣に次ぐ重要なポストの権限と責任を明確化し、経営者の代理として意思決定できる人材を育成することもポイントです。
こうした事前準備があれば、経営者が療養に専念しても、企業運営に大きな支障はでず、復帰後もスムーズな業務が可能になるでしょう。
経営者不在時の売上減などに備える資金を確保する
経営者が長期休暇を取れば、それだけ企業経営にも影響が出ます。
最悪の事態に備え、一定期間の売上減少やコスト増加を乗り切れるだけの事業資金を確保しておく必要があります。
まずは経営状況を冷静に分析し、経営者不在時のリスクシナリオを立てましょう。
在庫調整のコストや人件費増加、重要案件の遅延による機会損失など、さまざまな経費増や売上減を想定します。
そして、経営リスクに見合った目標資金額と、その調達方法を検討します。
内部留保の活用や金融機関からの借入れに加え、経営者向けの保険の加入も有力な選択肢です。
まとめ・経営者こそ健康管理は必須!事業継続のためにも対策を
経営者は常にストレスと肉体的な疲労にさらされ続けており、健康を失うリスクはとても高いです。
さらに経営者が一時的な離脱をした場合、その経済損失は計り知れません。経営者にこそ健康管理は必須であり、事業の安定した継続には経営者が健康であり続けることが必要不可欠です。
今回ご紹介した健康管理術と健康サービスを有効利用し、サスティナブルな経営を目指してください。
創業手帳(冊子版)は、経営者が働けない状態になった場合の対策や、資金調達、販路拡大など起業後に知っておくべき情報を掲載しています。起業後の情報収集にぜひお使いください。
また、創業手帳では、スマホで気軽に利用できる「事業計画シート&資金シミュレーター」をリリースしました。事業計画だけでなく資金計画についても手軽に作成できるツールです。無料でご利用いただけますので、是非あわせてご活用ください。
(編集:創業手帳編集部)
創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。