法人でも使える?子育てエコホーム支援事業とは|リフォーム工事を検討中の方は必見!

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子育てエコホーム支援事業は法人でも活用できる場合がある!条件や補助金額を確認しよう


建物に関する補助金制度に「子育てエコホーム支援事業」があります。この補助金は2024年度も実施されることが決まっています。
そこで気になってくるのは、法人も補助金を受けて建物のリフォーム工事ができるかどうかです。
原則、子育てエコホーム支援事業は個人を対象とした補助金であり、営利目的の利用はNGとなっています。
しかし、一部の経営者は補助金を使ってリフォームすることが可能です。

今回は子育てエコホーム支援事業の概要や補助金額、利用条件などを解説するので、リフォーム工事を検討される経営者はぜひ参考にしてください。

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子育てエコホーム支援事業の概要


子育てエコホーム支援事業がどのような補助金なのか、まずは事業の目的や補助対象・金額をご紹介します。

事業の目的

子育てエコホーム支援事業は、優れた省エネ性能を持つ住宅の取得したい子育て世帯・若者夫婦世帯、省エネ性のある住宅に改修したい世帯への支援を目的にした事業です。
ここでいう子育て世帯とは、18歳未満の子がいる世帯になります。そして若者夫婦世帯とは、夫婦のいずれかが39歳以下の世帯のことです。
エネルギー価格をはじめとした物価が高騰する中、子育て世帯や若者夫婦は影響を受けやすく、省エネ性を有する住宅の購入を諦めてしまう世帯が出てくるかもしれません。

また、中古住宅の購入時や住んでいる住宅を省エネ仕様に改修したい人も、金銭的に難しく実現できず悩んでいるケースもあります。
そこで、子育てしている夫婦や若手夫婦の省エネ投資を応援するために、子育てエコホーム支援事業が始まりました。
この事業にはカーボンニュートラルを2050年までに実現するという目標達成のために、省エネ投資をする世帯を増やす狙いもあります。

リフォームの補助対象と補助金額

省エネ性能を有する新築の購入に対する補助金は、子育て世帯・若者夫婦世帯のみに適用されます。
しかし、リフォーム工事であれば、子育て・若者夫婦以外の世帯も子育てエコホーム支援事業の補助金を利用することが可能です。
子育てエコホーム支援事業の場合、省エネ改修は必須のリフォーム工事となっています。
省エネ改修を行うのであれば、子育て対応改修やバリアフリー改修など任意のリフォーム工事も補助対象です。

なお、経済産業省・国土交通省・環境省の3省連帯事業によってすでに住宅の省エネ改修を行っている場合、任意のリフォーム工事のみでも補助対象となります。
補助上限は原則1戸あたり20万円となっています。しかし、世帯の属性やリフォーム工事の内容によっては、上限の引き上げが可能です。
1戸あたりの補助金額の上限は20~60万円となります。

世帯属性 リフォーム工事の内容 1戸あたりの補助金額の上限
子育て・若者夫婦世帯 100万円以上の中古住宅を購入してリフォーム 60万円
長期優良住宅の認定(増築・改修)を受けるためのリフォーム 45万円
上記以外のリフォーム 30万円
法人・管理組合を含むその他世帯 長期優良住宅の認定(増築・改修)を受けるためのリフォーム 30万円
上記以外のリフォーム 20万円

子育てエコホーム支援事業は法人でも利用できる?


冒頭で述べたとおり、子育てエコホーム支援事業は個人利用が原則となっています。
しかし、一部は法人でも利用することが可能です。法人が子育てエコホーム支援事業を利用できる条件をご紹介します。

リフォーム対象の「住宅所有者」に法人・管理組合などが含まれている

子育てエコホーム支援事業を活用してリフォームする場合、対象者の条件に「リフォームする住宅の所有者」という内容があります。
住宅の所有者に当てはまる人は以下のとおりです。

  • 住宅を所有し、居住する個人または家族
  • 住宅を所有し、賃貸住宅として提供している個人または法人
  • 賃借人
  • 共同住宅の管理組合や管理組合法人

このように、住所所有者には賃貸を行う法人や共同住宅の管理組合・法人も含まれています。この条件に当てはまっていれば、法人も補助金を利用できる可能性が高いです。

店舗改装では利用できない

子育てエコホーム支援事業は、居住用の住宅の購入やリフォームを対象にしているので、事業を行うための店舗改装には対応していません。
アパートやマンションといった共同住宅、賃貸別荘などは、一般的に居住を目的にした建物であることから、要件を満たしていれば管理組合・法人はリフォーム対象に含まれます。

また、高齢者が生活するグループホーム・高齢者向け賃貸住宅も要件を満たしていれば、リフォーム工事をする際に子育てエコホーム支援事業の補助を受けることが可能です。
しかし、特別養護老人ホームや有料老人ホームといった事業を目的にした施設は住宅とは認められません。

店舗併用住宅は住宅部分のみ対象になる

店舗の改修には使えませんが、住宅併用住宅では子育てエコホーム支援事業の補助金が使えます。
ただし、この場合も店舗改修には使えず、対象は住宅部分のリフォームのみとなるので注意してください。

なお、倉庫や店舗など住宅以外の用途から住宅に変更をともなう工事の場合、交付申請を行った時点で住宅と確認できれば補助の対象になります。

子育てエコホーム支援事業の対象リフォーム工事と金額


子育てエコホーム支援事業で対象となるリフォーム工事は、必須の改修工事と任意の工事の2つに大きく分かれます。

【必須の省エネ改修】
  • 開口部の断熱改修
  • 外壁や屋根・天井、床の断熱改修
  • エコ住宅設備の設置
  • ※最低いずれかひとつの改修工事をする必要があります。

【任意のリフォーム工事】
  • 子育て対応改修
  • 防災性向上改修
  • バリアフリー改修
  • 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
  • リフォーム瑕疵保険等への加入
  • ※必須の省エネ工事と併せて行う必要があります。

対象のリフォームで申請する補助金額が合計5万円以上となれば、補助の対象となり補助金を利用することが可能です。
ここでは、それぞれの工事内容と補助金額をご紹介します。

開口部の断熱改修

開口部の断熱改修は、断熱性の高い窓ガラスや玄関ドアの交換・内窓の設置や外窓の交換を行う改修工事です。
下記の省エネ仕様や改修内容によって定められた金額に、施工箇所の数を掛けた値が補助金額になります。
【省エネ基準レベル】

工事内容 開口部の大きさ区分 金額
窓ガラスの交換 11,000円/枚
8,000円/枚
3,000円/枚
内窓設置・外窓交換 25,000円/箇所
20,000円/箇所
17,000円/箇所
ドア交換 37,000円/箇所
32,000円/箇所

【ZEHレベル】

工事内容 開口部の大きさ区分 金額
窓ガラスの交換 14,000円/枚
10,000円/枚
4,000円/枚
内窓設置・外窓交換 34,000円/箇所
27,000円/箇所
22,000円/箇所
ドア交換 49,000円/箇所
43,000円/箇所

外壁や屋根・天井、床の断熱改修

住宅の断熱性を高めるために、外壁・屋根・天井・床の改修を行う際もリフォームの対象です。
補助金額は、施工部分や省エネ仕様によって変動し、以下のようになります。
【省エネ基準レベル】

施工部分 金額
外壁 112,000円/戸
部分断熱の場合:56,000円/戸
屋根・天井 40,000円/戸
部分断熱の場合:20,000円/戸
72,000円/戸
部分断熱の場合:36,000円/戸

【ZEHレベル】

施工部分 金額
外壁 151,000円/戸
部分断熱の場合:75,000円/戸
屋根・天井 54,000円/戸
部分断熱の場合:27,000円/戸
92,000円/戸
部分断熱の場合:48,000円/戸

エコ住宅設備の設置

節水性の高いトイレや太陽熱利用システムなど、一部のエコ住宅設備を導入するリフォームも補助の対象です。設備の種類ごとに以下の補助金額が定められています。
【設備の種類の応じた1戸あたりの補助金額】

エコ住宅設備の種類 金額
太陽熱利用システム 30,000円/戸
高断熱浴槽 30,000円/戸
高効率給湯器 30,000円/戸
蓄電池 64,000円/戸

【設備の種類の応じた1台あたりの補助金額】

エコ住宅設備の種類 金額
節水型トイレ 掃除しやすい機能がある 20,000円/台
掃除しやすい機能がない 22,000円/台
節湯水栓 5,000円/台

節水型トイレと節湯水栓は、定められた補助金額に台数を掛ける必要があります。
また、実際に支給される補助金は、実際に設置する設備ごとの補助金を算定し、その合計分となります。

子育て対応改修

子育て対応改修は、家事の負担を軽減する設備の設置、防犯性の向上や生活騒音への配慮のための開口部の改修を対象にしています。工事内容ごとの補助金額は以下のとおりです。
【家事負担を軽減するための住宅設備】

住宅設備の種類 金額
ビルトイン食洗機 21,000円/戸
掃除しやすいレンジフード 13,000円/戸
ビルトイン自動調理対応コンロ 14,000円/戸
浴室乾燥機 23,000円/戸
宅配ボックス 住戸専用の場合 11,000円/戸
共用の場 11,000円/ボックス

【防犯性を向上するための開口部の改修】

工事内容 開口部の大きさ区分 金額
外窓交換 37,000円/箇所
26,000円/箇所
22,000円/箇所
ドア交換 54,000円/箇所
38,000円/箇所

【生活騒音の考慮した開口部の改修】

工事内容 開口部の大きさ区分 金額
窓ガラスの交換 11,000円/枚
8,000円/枚
3,000円/枚
内窓設置・外窓交換 25,000円/箇所
20,000円/箇所
17,000円/箇所
ドア交換 37,000円/箇所
32,000円/箇所

【キッチンセットの交換による対面化】

工事内容 金額
キッチンセットの交換による対面化 90,000円/戸

防災性向上改修

防火性能を高めるための窓の改修をする際にも補助を受けられます。補助金額は1箇所あたりの補助金額に施工箇所の数を掛けることで求めることが可能です。
工事内容ごとの補助金額は以下のとおりです。

工事内容 開口部の大きさ区分 金額
窓ガラスの交換 17,000円/枚
12,000円/枚
7,000円/枚
外窓交換 41,000円/箇所
27,000円/箇所
16,000円/箇所

バリアフリー改修

手すりの設置や段差の解消など、バリアフリー仕様の住宅に改修する際も補助の対象となります。
衝撃緩和畳の設置は、子育てエコホーム支援事業の事務局に登録される型番製品を使用した場合のみ、補助の対象となるので注意してください。
工事内容ごとの金額は以下のとおりです。

工事内容 金額
手すりの設置 5,000円/戸
段差解消 7,000円/戸
廊下幅等の拡張 28,000円/戸
衝撃緩和畳の設置 20,000円/戸

空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置工事

室内の快適性を高めることを目的とした、空気清浄機能や換気機能付きのエアコンを設置する工事も補助の対象です。
しかし、こちらも事務局に登録される型番製品を設置する場合のみ適用されます。補助金額はエアコンの冷房能力に応じて、以下のように変動します。

冷房能力 金額
3.6kW 以上 26,000円/台
2.2kW超〜3.6kW未満 23,000円/台
2.2kW以下 19,000円/台

リフォーム瑕疵保険等への加入

対象のリフォーム瑕疵担保保険や大規模修繕工事瑕疵保険に加入した際も補助の対象です。
補助金額は、1契約あたり7,000円となります。主に対象となる瑕疵担保責任保険法人は以下のとおりです。

  • 株式会社住宅あんしん保証
  • ハウスプラス住宅保証株式会社
  • 株式会社日本住宅保証検査機構
  • 株式会社ハウスジーメン
  • 住宅保証機構株式会社

瑕疵保険へ加入しているかのどうかは、住宅瑕疵担保責任保険法人が発行し、施工者に届く保険証券や保険付保証明書から確認可能です。

子育てエコホーム支援事業を申請する流れ


子育てエコホーム支援事業の補助を受けるためには、申請が必要です。申請は施工業者が行うため、発注者に手続きの手間はかかりません。
しかし、施工が完了した後に申請することになるため、事業の予算に到達してしまうと申請できなくなる可能性があります。

リフォームの工期が当初より延びてしまう可能性があるので、できるだけ年度初めに申請できるようにしてください。
ここでは、子育てエコホーム支援事業を申請する際に一般的な流れをご紹介します。

1.エコホーム支援事業者の中から施工業者を選ぶ

子育てエコホーム支援事業の補助を受ける条件に、エコホーム支援事業者による施工という旨があります。
まずは支援事業者として登録している施工会社を選ぶところから始めてください。
支援事業者は、子育てエコホーム支援事業の公式サイトから検索できます。
業者ごとにリフォーム費用が変わってくるため、複数の業者に相談や相見積もりをとって比較するのがおすすめです。

2.工事請負契約の締結・施工に着手する

依頼するエコホーム支援事業が決まったら、リフォーム内容を決めます。リフォーム内容が決まると申請スケジュールの確認が行われます。
施工内容やスケジュールなどに問題がなければ、工事請負契約の締結です。
工事請負契約を締結すると契約の解除が難しくなるので、契約書の内容をよく確認した上で、契約を結んでください。
細かな打ち合わせなどを行い、着工日を迎えるとリフォーム工事の開始です。
着工後、施工業者によっては交付申請の予約が行われます。予約をすることで、予算を確保することが可能です。

ただし、交付申請の予約はあくまでも任意であるため、予約をするかどうか確認しておくと安心です。

3.交付申請に必要な書類を準備する

リフォーム工事が完了するまでに、交付に必要な書類を準備します。必要書類は、新築住宅の購入か、リフォームなのかによって異なります。
リフォームに必要な書類は以下のとおりです。

  • 共同事業実施規約
  • 工事請負契約書の写し
  • リフォーム依頼者の本人確認書類
  • 対象工事内容に応じた性能証明書や工事前の写真
  • 工事着手の証拠となる写真(申請予約をする場合のみ)

補助金額の上限を引き上げる場合は、追加書類として以下の書類が必要です。

  • 不動産売買契約書の写し
  • 不動産登記の全部事項証明書
  • リフォーム依頼者の住民票の写し
  • 長期使用構造等の確認書や長期優良住宅認定書の写し

本人確認書類や不動産売買契約書などは自分で用意しなければなりませんが、ほとんどは施工業者が準備してくれます。
そのため、何を事前に取り寄せておくと良いのか、施工業者に確認しておいてください。

4.施工費を清算する

リフォーム工事が完了し、引き渡しのタイミングで施工費を支払うことになります。その後に、施工業者が交付申請を行うので、このタイミングで補助金は交付されません。
交付申請後に審査があり、交付が決まると施工業者と依頼者のもとに通知が届きます。

5.補助金の受け取り

通知が届いた後、施工業者が子育てエコホーム支援事業の事務局に対して実績報告を行い、決定した補助金を受け取ります。
そして施工業者を通じて、依頼者のもとに補助金が還元される流れとなっています。

まとめ・子育てエコホーム支援事業の法人利用は限定的なので注意

子育てエコホーム支援は事業を行う店舗や事務所などの改装には使えず、個人が居住する住宅に限られています。
そのため、利用できる法人も限定的になってしまうことを理解しておいてください。
省エネ性の高い住宅にリフォームしたい経営者や起業家にとっては、金銭面の負担を軽減できる制度です。
住宅のリフォームを検討している方は、ぜひ子育てエコホーム支援を活用してみてください。


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