ベンチャー企業のDXとは?手順やポイントなどを解説します。

創業手帳

ベンチャー企業のDXを成功させるためのポイントは?プロのアドバイスつき

社会全体のデジタル化が進む中、不可逆的な変化に適応するために、データとデジタル技術を駆使し新しい価値を生み出すことが求められています。
とはいえ「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の必要性を感じていても、どんなことから取り組めば良いのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ベンチャー企業のDXに焦点を当て、デジタル化とDXの違いDXのやり方、ポイントやDXを支援しているプロのアドバイスをご紹介します。

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デジタル化とDXの違い


デジタル化とDXが混同されているケースが多くあるため、まずはデジタル化とDXの違いに触れておきましょう。

デジタル化とDXは目的が違う

デジタル化DX目的が違います。

デジタル化とは
デジタル化とは、業務効率を目的としておりアナログからデジタルに置き換えることを指します。
デジタル化をすることで、業務の負担を軽減したり効率性を高められるだけではなく、情報を可視化することができ、またスムーズに情報を共有することができるようになります。

DXとは
DXは、企業の競争力の向上を目的としており、データとデジタルの技術を駆使してビジネスモデルの変革をします。
DXでは、デジタル化の様に社内だけでなく社外関係者も含めて、新規事業の立ちあげや業務変革に取り組み成長を目指します。
つまり、デジタル技術を駆使して製品やサービスそしてビジネスのプロセスを変革し、新たな価値を生み出していくのがDXなのです。

どうしてDXが必要なの?

新型コロナウイルス感染症の拡大や災害級の暑さ、そして大規模な自然災害など、これまで以上に不確実性が高まっている中で、ビジネスを取り巻く環境は刻一刻と変化しています。
そんな中で競争を勝ち抜くためには、既存のサービスやビジネスモデルをなぞるのではなく、大規模な変革が必要になります。

DXを推進していくにあたり、企業が抱えやすい課題とは?

・企業が提供する価値が明確になっていない
企業が提供する価値が明確になっていないと、施策がズレてしまいます。
企業の価値に紐づくようなKPIをモニタリングし、デイリーや週次で戦略を変えていく必要があります。
そのため、まずはどんな価値を顧客に対して提供するのかを明確にしましょう。

・実行力が不足している
リーダーシップを発揮してビジョンを実現していく人材がいなかったり、DXを推進する人材が不在だと、思ったような成果が得られません。
専任でなくても良いので責任者を決め、リーダーシップを発揮して貰いましょう
小規模な事業者の場合には、プロのアドバイスを基に経営者が率先して取り組むのもお勧めです。

・必要なデータがない/分からない
どんなデータが必要か分からないという課題もあります。
企業の価値に紐付くデータを収集・分析していく事が大切ですが、
事業のフェーズやテーマによってその時に必要なデータは変わってきます。
中長期的な観点では顧客満足度、短期的な所だと機能やニーズのデータなどです。

・システム面での課題
DXで課題を解決するためには、一貫性のある対策を行うことが大切です。
システムを都度導入することによって連携が出来なかったりして生産性が落ちたり、セキュリティ面での問題が生じることも。
また、導入するシステムによっては、システムが完成したとしても課題を上手に解決できないことも。
システムの導入や開発時には、現場の声に必ず耳を傾けましょう。

DXの手順


DXに取り組む前に、「何を目的にしているのか」を考え目指す姿を描くことが大切です。

ステップ1:「何を目的にしているのか」を考える

DXを推進する前に、企業が何処を目指している(どんな顧客体験を目指している)のか、それに対してどんなデータや仕組みが必要なのかを洗い出しましょう。
そこがきちんとしていないと、ゴールに辿り着くことができません。

例えば今、圧倒的に競合に負けている場合。
事業が何処を目指しているかが定義されていなかったり、顧客に対して提供する価値が定義されていなかったりするケースが多くあります。

ステップ2:目的を実現する事業や目指す姿を描く

目的を明確にした上で、中長期的な目標を掲げましょう
機能としてどういったものを想定しているか、どういったサービスを提供するかを描きます。
顧客を見た時にユースケースが何なのか、ユーザーのどんな課題を解決するのかを明確にしてください。

ステップ3:DXに必要な費用を試算し、体制を整える

DX推進をするためには、体制構築とIT資産の分析・評価が必要不可欠
既存のシステムの中で活用できていなかったり、ブラックボックス化していたり、複雑化しているシステムがないか確認しましょう。
費用を試算し、新しいシステムの導入や既存システムの改修を行うことで、データを横断的に活用できる体制を整えることが大切です。

ステップ4:データドリブンで意思決定をする

データドリブンな意思決定は「DDDM」と呼ばれます。
データドリブンな意思決定は事実・指標・データを駆使し、目標や目的などに合った戦略的なビジネス上の意思決定を導くために行われます。

データを用いて日次ベースで戦略を変えていけるのが、ベンチャー企業の魅力であり強みでもあります。
データを基に新しいプロダクトを作り、マーケットに出して検証をしていく、そのサイクルを回していくのが重要です。

DXのポイント

ベンチャー企業がDXを成功させるためには、適切な外部人材を活用し、取組の実施を通じてノウハウを蓄積すると共に、DX人材の育成に取り組むことも重要です。

目指す姿の解像度をあげる

まずは「目指す姿」の解像度をあげ、ビジョンやWHATを可視化しましょう。
クリエイティブを作っても良いし、どうやって目指す姿を実現するのか全社員に共有し、同じ方向を向くことが重要です。

PDCAを迅速に回していく

業務では、日次・時間単位で取り組んでみて、戦略自体の軌道修正をします。

今の社会は不確実性が高く、顧客も競合も日次で進化します。
そのため、メガベンチャーの多くも、月次や週次ではなく、日次・時間単位でPDCAを回しています。
その中で戦っていくためにはスピード感が欠かせません

チャレンジができる社内文化の醸成

PDCAを迅速に回せるのは「失敗を許容すること」が前提です。
実行する際には、ABテストを行うのではなく、実際にユーザーに対して検証をしましょう。

とはいえ社内に失敗を許容する土壌がないと、思い切った挑戦ができません。
トップメッセージで伝えるだけではなく、行動規範を整えたり目指す姿を言語化し社内に伝えます。
そして評価制度にも組み込んだり、仕組み化するのも大切です。

心理的安全性を担保したチーム作りをするための、コミュニケーション設計をしましょう。

必要なことに優先度をつける

デジタル化をする際には、いきなり全部を導入していくのではなく、必要に応じて優先度をつけて導入していきましょう。
まずはどんな企業にも欠かせないコミュニケーションツールのデジタル化から着手し、そのうえで経理やCRMなどをデジタル化していくのがお勧めです。

複数のクライアントと仕事をしていると、クライアント毎に違うコミュニケーションツールを使うことも多くありますよね。
特にコミュニケーションツールの選定は、プロジェクトワークをする時や外部のフリーランスと仕事する時に、生産性に大きくかかわります
また、事務作業は人が増えると多くなるのでデジタル化の優先度が高い領域です。

さらに、組織が拡大していくと共に、一般的にはナレッジの共有が課題になります。
暗黙知をどう変えていくのか、社内wikiを活用したり企業のコミュニケーションツールにどう取り入れていくのかを考えていきましょう。

ベンチャー企業のDXへのアドバイス


株式会社Ballista代表取締役社長の中川貴登氏に、ベンチャー企業がDXを成功させるためのアドバイスをお伺いしました。

中川 貴登(なかがわ たかと)
防衛大学校 航空宇宙工学科卒業。デロイトトーマツコンサルティングやエクサウィザーズ等を経て現職。新規事業開発・組織改革・マーケティングの3つ軸で、多数の支援実績・実行経験を有する。直近では、CXOと共に組織変革の戦略策定・実行、会社設立、新規事業の立上げプロジェクトを多数担当。コンサルティングスキルと実行スキル、情熱を併せ持つことが強み。
https://ballista.co.jp/

ベンチャーのDXでは、経営者がリーダーシップを発揮するのが重要なポイントです。
目指す姿を明確化したり、データドリブンでの意思決定に基づく事業開発を行っていき、そこに必要な競合他社に対する自社の優位性・強みである「ケイパビリティ」を見極め、準備しましょう。

また、DXの知見がなくどう進めていいか分からない方は、取組を迅速に推進するためにも外部人材を活用しスキルやノウハウを補うことから始めるのがお勧めです。
全てを自社で賄う必要はなく、さまざまなパートナー企業や人材達と足りないピースを埋めていくことが大切な時代であり、オープンイノベーションで考えることが求められます。
何が自社に足りないのかを理解し、必要な人材に対する目利きがないのであれば、その知見を持つパートナーを迎えることが重要です。
全ての人材を採用しようとするのは良くある失敗
最初はプロ人材を活用しながら、自社のケイパビリティを明確化し、DXに必要なスキル・ノウハウを会得していき、その後内製化できるまでにしていくことがお勧めです。

とはいえ、優れた外部人材の方々は多方面からの引き合いが多く忙しいため、採用までこぎつけるのが難しいです。
そこで、まずはじめに取り組むべきことは、「ビジョンや目指す姿を明確にして、発信していく」ことです。
こうした発信をすることで、報酬や条件ではなく”共感”を軸にさまざまな人たちと繋がることができます。

ここで注意したいのが、「部分的な仕事だけをお願いしてしまうと、パフォーマンスが限定的になってしまう」点です。
ビジョンや実現したい世界を共有し、それに対して共感し、社会や仕事に対して責任感が強く、主体性のある方に権限を付与しお任せすることで、最善のパフォーマンスをあげることができます。

おわりに

ベンチャー企業のDXを成功させるためには、システム化に取り組む前に、目的を明確にして目指す姿を描きそれを発信していくことが大切です。
また、心理的安全性を担保したチーム作りをし、失敗を恐れない社内文化を醸成しましょう。
顧客や競合、そして社会の変化に対応するためにも、日次・時間単位でPCDAを回すのが必要不可欠です。

そして、全てを内製化するのではなく、必要に応じてプロの手を借りるのも重要なポイントです。
創業手帳では、専門家のご紹介を無料で行っています。お気軽にお問い合わせください。

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