夫婦で起業するメリット・デメリットとは?おすすめの職種や成功のポイントも解説
夫婦で起業するメリットは様々!デメリットも把握して検討しよう
今勤務している会社を辞めて独立したいと考えた時、夫婦での起業を検討する方も多いはずです。
夫婦で起業すると一緒にいる時間が増える、仕事がしやすいなどのメリットがありますが、注意したいポイントもあります。
そこで今回は、夫婦で起業するパターンやメリット・デメリット、成功させるためのポイントなどをご紹介します。
おすすめの職種についてもまとめているので夫婦で起業したい、一緒にお店を経営したいと考えている方はぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
夫婦で起業する場合の3つのパターン
夫婦で起業する方法は主に3つあります。
まずは、それぞれの起業方法の特徴やメリット・デメリットについてまとめていくので、自分たちに向いている方法はどれかなのかを夫婦で話し合ってみてください。
1.両方が個人事業主になって起業する
それぞれが異なる事業を手掛けつつ、2人そろってビジネスを展開していく場合、夫婦どちらも個人事業主になる方法があります。
例えば、夫がシステム開発、妻がデザイン・お客様対応を担当して2人でWeb関連の受注をするなどです。
両方が個人事業主になるため夫婦で一緒にする仕事以外の注文も受けられ、共倒れしにくいメリットがあります。
その一方で、それぞれが確定申告の必要があるため事務作業に手間がかかるという点がデメリットです。
2.片方が個人事業主になって起業する
手軽にはじめやすい方法が、夫婦どちらかが個人事業主になるパターンです。
この場合はひとりが個人事業主として起業し、配偶者を雇用する形になります。
雇用者である配偶者の会計帳簿は必要ないため、確定申告の作業がひとり分で済むメリットがあります。
さらに、事業を手掛ける家族の報酬を青色申告者の取得分から控除可能な「青色事業専従者給与」や生計を共にする親族への給与支払い時に、その一部を経費とできる「事業専従者控除」の制度を利用でき、節税が可能です。
3.片方が会社を設立して起業する
夫婦のどちらかが法人を設立し、配偶者を役員や従業員として雇う方法もあります。
会社設立は個人事業主になるよりも手続きが大変ですが、より高い節税効果が期待できます。
ただし、初めての起業で法人を設立するには大きなリスクがともなう点には注意が必要です。
万が一失敗した時のことを考慮し、まずは小規模ビジネスからのスタートがおすすめです。
初めは個人事業主として起業し、その後の売上次第で会社の設立を検討してみてください。
夫婦で起業する4つのメリット
それぞれが別の会社に雇われたり、片方のみが働いたりすることが一般的ではありますが、夫婦での起業を検討する方も増えています。
ここでは、夫婦で起業するとどのようなメリットが受けられるのかをご紹介します。
夫婦で過ごす時間を増やせる
夫婦で一緒に過ごす時間が必然的に増えるという点がメリットです。
サラリーマンとして働いていると家にいる時間は朝や帰宅後しかなく、職種によっては帰りが遅くなって顔を合わせられないケースもあります。
しかし、夫婦での起業なら基本的に仕事中も一緒です。1日のほとんどを家族と過ごせるようになるほか、自宅で働ける職種であれば通勤時間もかかりません。
また、同じ目標に向かって仕事をすることで夫婦の絆が深まり、仕事以外でも助け合える関係になれるでしょう。
家庭と仕事の両立がしやすい
夫婦で起業するメリットとして、家庭と仕事の両立がしやすくなることもあります。
会社勤めだと家にいる時間が短く、どちらか片方に家事や子育ての負担がのしかかることで、仕事との両立は困難です。
しかし、夫婦で起業する場合はお互いが何の作業をしているかが把握しやすくなるため、時間に余裕があるほうが家事や子どものお世話ができます。
また、働く時間は自分で自由に決められるため、まとまった休みをとって家族旅行へ行くことも可能です。
お互いを理解しているため仕事が進めやすい
付き合いが長い夫婦の場合はお互いの性格や得意なこと、苦手なことを知っているため仕事も効率的に進めやすいです。
赤の他人を雇って仕事を任せるよりも役割分担がスムーズにでき、効率アップにつながります。
また、夫婦だからこそ気を遣わなくても良いメリットもあります。
もちろん最低限の配慮や思いやりは必要ですが、相手を無理に気遣って話しかけたり、機嫌を伺ったりせずに済むからです。
助け合いが必須の起業では、夫婦が互いに理解している点は大きな強みです。
仕事に関する悩みをすぐに相談できる
仕事の悩みやトラブルなどをすぐに相談できる点もメリットです。
一般的な職場の場合、困りごとがあっても上司に相談できない、質問したくても誰に聞いて良いかわからないと悩む方は多いと思います。
また、サラリーマンは急な休みも取りにくいものです。しかし、夫婦での起業であれば相談相手は配偶者になるので、気軽に相談できます。
上司にいいにくい体調変化も相談できるので仕事量の調整をしたり、休みを取ったりすることも可能です。
夫婦で起業する3つのデメリット
夫婦で起業すると一緒に過ごす時間が増える、仕事が進めやすいなどのメリットがありますが、その一方でデメリットも存在します。
メリットとデメリットのどちらが大きいと感じるかどうかで、夫婦での起業が向いているか判断してみてください。
収入が不安定になりやすい
夫婦で起業するとなるとサラリーマンとして働いていた会社からの給与がなくなり、その事業で得た収入のみになります。
ビジネスが順調であれば問題ないですが、うまくいかなくなった場合には収入が減少、またはゼロになり共倒れのリスクがあります。
そのような事態に備えて貯金を多めに確保しておく、メイン事業とは別の収入源を用意しておくなどが必要です。
また、起業後は各種ローンやクレジットカード審査の通過が難しくなるため、できれば起業前に済ませておくと安心です。
仕事とプライベートの線引きが難しい
夫婦でずっと一緒にいると、仕事とプライベートの区別ができなくなるデメリットもあります。
サラリーマンであれば出社から帰社までが仕事だと線引きできますが、夫婦で起業すると仕事の時間が不明確になります。
仕事仲間が常に一緒なので休日であっても売上げや仕事に関する話題が上がり、気付けば毎日仕事のことばかり考えてしまうケースも少なくありません。
休みの日は仕事の話を一切しない、仕事の時間を決めるなどの工夫をして仕事とプライベートの線引きを行うことが大切です。
一緒にいる時間が長いためストレスになる
どんなに仲の良い夫婦であっても、一緒にいる時間が長すぎるとストレスに感じてしまう場合もあります。
別々の会社で働いていれば日中は顔を合わせないためひとりになれたり、同僚とご飯に行けたりします。
しかし、夫婦で起業する場合にはプライベートだけでなく、仕事中もずっと一緒です。
ずっと見られていることが苦痛に感じるケースもあるため、どちらかがストレスを感じていたらひとり時間の確保や思いやりが必要になってきます。
夫婦で起業する際におすすめの職種3選
夫婦で起業したいと考えていても、そもそもどのような事業を手掛けるか決められない方もいるでしょう。続いては、夫婦で起業する際におすすめの仕事を3つご紹介します。
どのような仕事がしたいかを考えつつ、候補を決めてください。
Web関連
初めての起業でも取りかかりやすく、リスクも比較的少ないのがWeb関連の仕事です。
例えば、WebライターやWebデザイナー、インターネットショッピング経営、動画編集などがあります。
パソコンさえあれば仕事ができるため、起業資金をあまり用意できない夫婦におすすめです。
また、パソコンを使える環境であれば、旅行をしながらのビジネスも可能です。
専門学校や講習などに行かなくても独学でできる仕事が多いですが、高い売上げを出すためには知識や経験は欠かせません。
特にYouTuberやブロガー、インスタグラマーなどの仕事は報酬にムラが出やすく、たくさん稼げる時もあれば少ない時もあります。
リスクに備えて貯金をしておくことが大切です。
飲食店
レストランやカフェ、パン屋などの夫婦経営する方は多く、誰でもはじめやすい職種になります。
店内で食べるタイプのお店だと広いスペースが必要になりますが、パン屋や弁当屋などテイクアウト専門店であればそこまで広い敷地は必要ありません。
また、2人だけで調理や接客が可能な小さめの規模にすれば夫婦のみでの経営も可能なので、従業員を雇いたくない方にもおすすめです。
どのような料理を提供したいか次第で必要な敷地面積も変わってくるので、夫婦で話し合って方向性を決めてください。
ただし、飲食店を経営する場合には「食品衛生責任者」の資格が必要になり、講習を受けなければなりません。
栄養士や調理師などの国家資格を持っていれば受講の必要はなく、比較的早く開業することも可能です。
フランチャイズ店(コンビニ、ハウスクリーニングなど)
コンビニやハウスクリーニングなどのフランチャイズ点の経営を手掛ける夫婦も多くいます。
フランチャイズとはフランチャイズ本部に加盟し、その加盟店側は加盟金とロイヤリティ(使用料)を本部に支払うビジネス方法です。
支払いの代わりに商品サービスの販売権や経営のノウハウを活用できるため、ゼロからのスタートに不安を感じる夫婦におすすめです。
コンビニやハウスクリーニング以外にも、学習塾や介護サービス、整体・マッサージ店などでもフランチャイズ展開が進められています。
中でもコンビニが人気ですが、夫婦がどのような働き方をしたいかで向いている業種は異なるため、慎重に検討してみてください。
結婚相談所
結婚相談所も夫婦の起業におすすめのビジネスです。実際の結婚経験を活かしたアドバイスができ、利用者側からしても成功例を間近に見られることは安心感を抱きます。
そして、利用者の性別に合わせて、男女の目線から助言できるのも大きな強みとなるはずです。
また、事務所を構えずに開業することも可能なため、多額な資金を掛けずにビジネスをスタートできます。
結婚相談がメインの仕事内容となるため、飲食店やコンビニなどのように在庫管理の手間もかかりません。
さらに、副業として結婚相談所の運営もできます。
週末のみの運営からスタートし、順調に進んだタイミングで独立すれば最小限のリスクで起業でき、ビジネス失敗の予防にもなります。
夫婦で起業を成功させるためのポイント
夫婦に限らず、起業にはリスクやデメリットがつきものです。しかし、事前に対策を講じておけば、起業を成功させることも可能です。
ここからは、起業前に知っておくべきポイントを6つご紹介します。
夫婦で話し合ってしっかり事業計画を練る
事業計画や資本計画など、ビジネスプランを夫婦でしっかり話し合うことが大切です。
ひとりだけで計画を立てるより、一緒に考えたほうが事業や目標に対する認識を合わせられ、起業後のギャップを防止できます。
起業を成功させるためには夫婦間での協力が必要不可欠です。
どちらかが起業方法や事業内容に不満を持っていれば後々のトラブルへとつながるため、とことん夫婦で話し合うのがおすすめです。
また、事業がうまくいかないケースを想定した計画立ても行ってください。
家庭のルールも事前に定めておく
1日の働く時間や休日の設定、休日に仕事の話はしていいかなど、家庭のルールも合わせて決めておいてください。
夫婦で起業すると作業をしていない時間も仕事の話になりやすいため、事前に仕事と家庭のルールを決めておくと喧嘩の予防につながります。
ただし、あまりに堅苦しいルールを決めてしまうと逆効果になる可能性もあります。
厳密な決まりを定めるのではなく、「食事中はなるべく仕事の話はしない」「毎月家族で出かける日をつくる」など、仕事について考えない時間を意識的に作ることがコツです。
業界の知識や経験を増やす
夫婦での起業に限らず、業界に関する勉強をして知識や経験を増やすことも大切です。
特に今まで手掛けていない事業の場合、知識も技術もない世界で成功するのは容易ではありません。
夫婦での起業に失敗すると共倒れにつながるため、お互いがそれぞれ事前に勉強しておくことが大切です。
また、学んだ知識を共有し合える点は夫婦だからこその強みです。勉強で得た知識やスキルを共有し、困った時は助け合える関係性を築き上げることが成功への近道になります。
小さなビジネスからチャレンジする
突然大がかりなビジネスをはじめるのではなく、まずは小規模からスタートするのがおすすめです。
起業には大金がかかる、従業員を雇うなどのイメージを持たれやすいですが、そこまでお金をかける必要はありません。
自宅の一部を店舗としたり、パソコンだけでできる仕事をはじめたりするなど、規模は小さくても収益を得られます。
事業拡大はビジネスが順調に進みはじめたタイミングにすることで失敗してもダメージが少なく、次の事業にも挑戦しやすくなるでしょう。
お互いの役割やどちらが最終決定権を持つか決める
お互いの役割をハッキリさせれば仕事もスムーズに進みます。夫婦それぞれで得意なことや苦手なことは異なるため、得意なことを担当したほうが楽しみながら仕事ができます。
また、最終決定権をどちらが持つかを決めておくことも重要です。
夫婦で起業する場合は、助け合いながら進めていきたいと思われやすいですが、意見がわかれる時もあるでしょう。
いつまでも結果が出ない状態が続いてしまうとビジネスに支障が出てしまうため、話し合いで解決できない時に最終決定をする人を決めておくと困りません。
どのように資金調達するか検討しておく
自己資金から出すのか、銀行から融資を受けるのかなど、資金調達方法も検討してください。
融資を受ける場合はひとりでは審査を通過できなくても、夫婦が互いに連帯保証すれば許可されるケースもあります。
ただし、融資を受ける際にはお金を受け取るまでにある程度の時間が必要になるため、余裕を持って取りかかるのがおすすめです。
多額な資金が必要のない起業方法はあるものの、ある程度のお金が合ったほうが安心です。また、起業後の生活を考えて十分な貯金を用意しておいてください。
まとめ
サラリーマンとして会社で働くよりも家族の時間が増え、お互いを理解しているからこそ仕事を進めやすいなどのメリットがありますが、共倒れや夫婦喧嘩のリスクもあります。
万が一の事態に備えて貯金を備えておく、ルールを決めておくなどの対策が必要です。
(編集:創業手帳編集部)
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