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持続可能な食料生産システムの実現を目指す「TOWING」が8.4億円調達

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2023年5月17日、株式会社TOWINGは、総額約8億4,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

TOWINGは、名古屋大学発のグリーン&アグリテックベンチャー企業です。

持続可能な食料生産システムの実現を目指し、必要なソリューションの研究開発を行っています。

2023年5月現在、高機能ソイル技術を活用した高機能バイオ炭を原料とした人工土壌「宙炭(そらたん)」、「宙炭」を育苗培土に100%利用した植物の苗「宙苗(そらなえ)」、「宙炭」や「宙苗」で育成した食べることでCO2削減に貢献できる野菜「宙ベジ(そらべじ)」、TOWING製品をパッケージしたサービス「宙農システム」などを展開しています。

「宙炭」は、地域のみ利用バイオマスを炭化したバイオ炭に、土壌微生物叢を添加したものです。有機肥料に適した土づくりの期間短縮、農地への炭素固定、収量の増加といったメリットがあります。国内24都道府県で試験導入を開始しています。

今回の資金は、2023度中の「宙炭」の47都道府県への拡大、海外展開に向けた活動の拡大に充当します。

事業拡大のため、各地で「宙炭」の供給体制を構築するため、地域パートナーとともにプラントを導入する計画です。


SDGs(持続可能な開発目標)が推進されている現在、さまざまな領域で環境負荷の低い取り組みへの転換が求められています。

日本ではあまり知られていることではありませんが、実は現代農業は環境負荷が非常に高いものであることが判明しています。

山・森林の開拓が環境に悪影響を及ぼすことはいうまでもありませんが、温室効果ガスの排出源でもあり、すべての温室効果ガス排出量のうち、およそ4分の1と非常に高い割合になっています。

現代農業は多くは機械化されているため化石燃料の使用をしているほか、ビニールハウスでは多くのエネルギーを消費しています。また、水田は二酸化炭素よりも高い温室効果を有するメタンガスを排出します。水田は水が張られており土壌に酸素が供給されにくいため、この環境を好む土壌中のメタン生成菌がメタンガスを発生させます。

ほかにも畑での栽培では有機肥料・化学肥料を利用しますが、これによって土壌からは二酸化炭素や、二酸化炭素よりも温室効果の高い一酸化窒素が大気中に放出されます。

このように現代農業は環境に高い負荷をかけていることから、世界では環境負荷の低い農業への転換が進められています。

農業における温室効果ガス排出量削減の方法としては、水田においては稲の生長期間中に水田の水を抜いて土壌に酸素を供給する中干し、肥料の適正な量の使用による一酸化窒素の排出抑制、農地土壌への炭素貯留などが考えられます。

農地土壌への炭素貯留は、有機物を投入した際には、有機物の炭素が分解され、二酸化炭素やメタンガスとなり大気中へと排出されますが、一部は安定な有機物となり土壌に残ります。もし炭素換算で有機物の投入量が排出量を上回るのならば、大気中のCO2は実質減少したことになります。

TOWINGの「宙炭」は、廃棄・焼却される植物残渣、家畜の糞、下水汚泥などを原料としており、本来は焼却される分のCO2を削減し、さらに炭にしていることから炭素の固定・吸収効果も期待でき、脱炭素を実現する土を生み出すことができます。

また、炭に微生物を添加する高機能ソイル技術により、通常3年~5年ほどかかる土づくりを約1か月に短縮することから、土づくりの効率化、収益安定を実現することも可能です。

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