注目のスタートアップ

過熱水蒸気技術を用いた食品乾燥装置「過熱蒸煎機」を開発・販売する「ASTRA FOOD PLAN」が資金調達

company

2022年5月31日、ASTRA FOOD PLAN株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。

ASTRA FOOD PLANは、過熱水蒸気技術を用いた食品乾燥装置「過熱蒸煎機」を開発・販売しています。

「過熱蒸煎機」は、過熱水蒸気により食材の風味の劣化と酸化を抑え、栄養価を残しながら殺菌・乾燥を行うことができる装置です。

人参の皮・ヘタやキャベツの芯・外皮など食品の廃棄してしまう部分を「過熱蒸煎機」によって殺菌・乾燥することで、人参パウダー・キャベツパウダーを製造でき高付加価値化を図ることが可能です。

また、納豆をドライ納豆に、オリーブの葉をオリーブ茶に、ビールの搾りかすを低糖質食品原料になど、様々な用途で活用することができます。

さらに、通常のフリーズドライやスプレードライなどの乾燥装置に比べて、イニシャルコスト・ランニングコスト共に低コストであることも特徴です。

今回の資金により、埼玉県内に食品の乾燥・殺菌テストを随時実施できる自社ラボ「AFPラボ」を開設します。

これにより、装置販売と新食材開発・用途開発を加速させます。

農業などの現場では、規格外の商品や商品とする際に廃棄される部分(外側の葉や茎など)が出てしまいます。規格外のものは多くは加工品にされていますが、外側の葉や茎などは不可食部と呼ばれ、そのまま廃棄されたり、動物などの飼料の原料となったりします。

近年は食品ロス(フードロス)削減のための取り組みが大きく広がってきていますが、食品ロスは食べられるはずの食品が廃棄されてしまうことをいうため、不可食部については食品ロスにカウントされていません。

一方で、農林水産省が公表している「令和2年度食品産業リサイクル状況等調査委託事業(食品関連事業者における食品廃棄物等の可食部・不可食部の量の把握等調査)報告書」によると、食品製造業において年間発生する廃棄物は、可食部が約120万トンで、不可食部が約1,200万トンであり、不可食部がおよそ10倍多いという結果となっています。

もしこの不可食部に付加価値をつけ販売できるようになれば、これらの廃棄が減るだけでなく、事業者の収益も向上することになります。

ASTRA FOOD PLANの「過熱蒸煎機」は、こういった不可食部を高付加価値化することができる乾燥装置です。

人間は古来から肉・魚・野菜を日光や焚き火などで乾燥させ、保存食として加工していました。

また乾燥させることでうま味や栄養価が高まることもわかっており、現在では保存としてだけでなく、食品の価値を高める方法としても活用されています。

「過熱蒸煎機」は、既存の装置などよりも低コストであることから、今後の大きな可能性を感じさせられます。

ASTRA FOOD PLAN株式会社のコメント

このニュースを受けまして、ASTRA FOOD PLAN株式会社 代表取締役 加納千裕氏よりコメントが届きました。

・今回の資金調達の目的は何ですか?

「AFPラボ」を本社内に設置するためです。

食品ざんさの活用で課題を持つ食品メーカーや生産者と一緒に、「過熱蒸煎機」を用いて食材ごとのテストを行い、出来栄えの確認のほかに時間当たりの処理能力や歩留まりなども測定、装置導入のための検討材料として提供します。

また、「AFPラボ」のもう一つの目的として、食材の特性ごとに求められる乾燥・加工のノウハウも自社内に蓄積し、多種・広範囲な食材のアップサイクル実現のための研究開発も行ってまいります。

・今後の展望を教えてください。

食品ざんさを美味しくパウダー化するだけでは、フードロス問題解決にはならないと考え以下の取り組みに力を注ぎます。

1. 食品ざんさにお困りの企業と、食品ざんさをアップサイクルした食品原料を求めている企業のマッチング
2. 食品ざんさをアップサイクルした食品原料の用途開発を食品メーカーと共同で行う

・読者へのメッセージをお願いします。

食品ざんさにお困りの事業者の方、SDGsを打ち出した商品開発をされたい事業者の方、ご興味があればお気軽にお問合せ下さい。

事業の大きな拡大には資金調達やVCなどからの支援が重要です。「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受ける方法など、創業期の資金調達のノウハウについて詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ スプレードライ フードロス フリーズドライ 乾燥 株式会社 殺菌 装置 資金調達 過熱水蒸気技術 過熱蒸煎機 開発 食品
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
合同会社とは?メリット・デメリット、株式会社との違いをわかりやすく解説
有限会社とは?なぜもう設立できないのか?
企業組合とは?設立方法とメリット・デメリットを紹介
【2025年最新】東京都の創業・起業者支援「創業助成金(創業助成事業)」について解説
クラウド会計ソフト「freee(フリー)会計」を実際に使ってみた
【2025年版】補助金・助成金を活用しよう!起業・創業・開業に役立つ15選の制度

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

工場経営DXシステム「匠フォース」を提供する「匠技研工業」が5億円調達
2024年12月17日、匠技研工業株式会社は、総額5億円の資金調達を実施したことを発表しました。 匠技研工業は、製造サプライヤー企業向けに、工場経営DXシステム「匠フォース」を提供しています。 業務の…
社内規程SaaS提供の「KiteRa」が4,000万円調達
2019年12月4日、株式会社KiteRaは、総額約4,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 就業規則や社内規程をWeb上で自動作成・運用できるSaaS「KiteRa(キテラ)」を提供し…
保育業界向けのタレントマネジメントツール「KatagrMa」提供の「カタグルマ」が資金調達
2021年9月24日、株式会社カタグルマは、資金調達を実施したことを発表しました。 保育業界向けのタレントマネジメントツール「KatagrMa(カタグルマ)」を提供しています。 保育施設の施設・人材マ…
東南アジア産直ECを運営する「SECAI MARCHE」が2.1億円調達
2023年1月31日、株式会社SECAI MARCHEは、総額2億1,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 SECAI MARCHEは、東南アジアにおいて生鮮食品を取り扱うBtoB産直E…
キャッシュレス決済+ドア解錠機能を搭載した指輪型ウェアラブルデバイス展開の「EVERING」が10億円超調達
2022年5月31日、株式会社EVERINGは、10億円超の資金調達を実施したことを発表しました。 EVERINGは、キャッシュレス決済+ドア解錠機能を搭載した指輪型ウェアラブルデバイス「EVERIN…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集