「成功する」ために大切な起業準備の5つの手順とは。
起業支援に数多く携わってきた中小企業診断士が起業準備の手順について紹介します
(2020/10/09更新)
起業して一国一城の主になることは、サラリーマンの夢ですよね。
しかし、起業は自分だけではなく、周りの人の一生も左右する可能性があるものです。覚悟を決めて起業を決断したら、そのあと成功するために大事なことは入念な起業準備です。
起業が成功するか否かは、どれだけ入念に準備しているかによって左右されるといっても過言ではありません。
また、起業準備といっても、やるべきことは多岐にわたります。
「考えることが多すぎて、何から手をつけたらいいのか分からない」と感じている人も多いでしょう。
今回は、起業を検討している人に向けて、起業準備の手順を分かりやすく紹介します。事業を軌道にのせて起業を成功させるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
(1)起業に向けて自分自身の状態を確認しましょう
憧れの起業には、リスクが伴います。あとから後悔しないためにも、まずは自分自身が納得しているのか繰り返しチェックしましょう。
起業動機は明確ですか?
大事なことは、どういう目的で、何をやりたいかをはっきりさせることです。動機が曖昧なままでは、起業後に直面する困難を乗り越えていくことはできません。
また、起業しようとする商品・サービスが、市場のニーズに合っているかということも重要なポイントです。
起業には大きく分けて2つのタイプがあります。既存の事業分野で、緩やかな成長を目指す場合はスモールビジネス、新しい市場で急激な成長とスケールを目的としてするのがスタートアップ(ベンチャー)です。
この2つは、取り組み方と目指すゴールが大きく異なってきます。
経験や知識は充分ですか?
起業しようとする事業は、経験、知識、興味などのある業種が一般的です。売り物となる技術や営業ノウハウなど一定のスキルは、起業を成功に導くためには欠かせません。
また、仕入れ先や得意先、パートナーなどとの人脈や信用力も大切な要素です。
とくにスモールビジネスでは、経験の無い事業分野で成功することは、とてもハードルが高ということを覚悟する必要があります。
経営力に自信はありますか?
起業は、ものづくりや営業など自分の得意分野だけでは成功しません。経営者は、法律、経理、税務、労務などの幅広い知識が求められます。
また、決断力や努力、体力などに加えて、周囲の人を巻き込む人間的な魅力も求められます。
このような資質が自分に備わっているのか、問い掛けることが大切です。
(2)家族やビジネスパートナーの理解を得ましょう
起業を阻む大きな壁として「家族など周囲の反対」が挙げられます。また、信頼の置けるビジネスパートナーを確保することも重要です。
家族や親族の理解を得る
起業にあたって、周囲の人が心配するのは金銭問題です。「失敗したら大きな借金ができるのではないか」など、家族が心配して反対するのも当たり前ですよね。
しかし、身近な家族の理解や協力が得られないようでは、それだけで起業の成功が疑われても仕方がありません。
起業すると様々な困難に直面します。そういったときに、家族は信頼の置ける協力者として支えになってくれます。まずは家族の理解を得るようにしましょう。
ビジネスパートナーの理解を得る
自分に足りないスキルを補完してもらうビジネスパートナーの存在は、成功のための鍵です。
自分では納得したビジネスプランであっても、パートナーが納得しなければ失敗する可能性も高くなります。
お互いに納得するまで、プランの練り直しを繰り返すことが大切です。
(3)事業ノウハウや経営力を身につけましょう
自分自身や周囲の人が起業に納得したら、経営者としての事業推進力や経営力を身につけることが大切です。
ネットワーク作りの方法
起業後の事業を成功させるうえで欠かせないのが、周囲からのサポートです。そのため、起業準備段階から積極的にネットワークを広げておきましょう。
ネットワーク作りとして、次のようなイベントに参加することをおすすめします。
- 自分が起業する分野の交流会
- 異業種交流会
- 商工会議所・商工会のセミナー
- ベンチャーキャピタルのセミナー
創業手帳では、常に新しい情報を発信するために、小さなスキルアップが目的のセミナーから、著名人による大規模セミナーまで幅広く開催しています。
お得な特定起業支援事業に参加する
特定起業支援事業とは、商工会等が行う起業塾、起業セミナーなどの起業支援事業のうち、国の「産業競争力強化法」に基づいて認定を受けた事業です。
起業に必要な経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野の知識が身に付きます。
特定起業支援事業を受け、証明書を申請し、取得することで次のようなメリットがあります。
- 会社設立時の登録免許税の減免
- 起業関連保証の特例
- 日本政策金融公庫新起業融資制度の自己資金要件充足
- 日本政策金融公庫新規開業支援資金の貸付利率の引き下げ
起業セミナーなどの日程が合わない場合もありますが、商工会等の経営指導員のハンズオン支援を受けることで要件を満たすことができます。
(4)起業資金を準備しましょう
お金は事業を廻すための生命線です。起業段階では思わぬ出費が続きます。
資金に余裕を持つことは、起業を成功に導く重要な要素となります。
事業資金を準備する
起業当初は、計画したとおりに売上が伸びず、資金繰りに困ってしまうことが決して珍しくありません。開業時の設備資金以外にも、事業をまわすための運転資金も必要です。
開業時の資金調達としては、日本政策金融公庫の創業融資や自治体の制度融資があります。
融資を受ける際には、どれだけ自己資金を用意しているかによって、起業への本気度を判断される場合もあります。創業資金の30%を自己資金でまかなうことを目安として、貯金に励むことをおすすめします。
起業に欠かせない資金調達については、無料で配布している創業手帳別冊版「資金調達手帳」でも詳しく解説しています。合わせてご活用ください。
生活資金を確保する
創業期は、事業資金以外に生活資金も考えておく必要があります。
起業してからしばらくは、自分への給与を払うことができない期間もあるでしょう。そのため、一定期間収入が無くても暮らしていけるだけの生活資金を蓄えておくようにしましょう。
また、創業融資を受ける審査の際に、起業前の個人通帳の提出が求められ、お金の使い方を確認されることもあります。カードローンや光熱費の滞納などは、早めにきれいにしておきましょう。
(5)事業計画書を作成しましょう
事業計画書は、起業後の経営の羅針盤のようなものです。自分自身だけではなく、家族やビジネスパートナーを納得させることができるものを作成しましょう。
事業計画書に記載する内容とは?
まずは、事業目的や目標を明確に設定することが重要です。さらに、目標達成のために取り組むべき課題を明らかにし、具体化して実行内容に落とし込むことが重要です。
また、損益計画や収支計画を作成し、計画と実績が対比できるようにします。
- 創業する動機/きっかけ
- 経営方針
- 経営目標
- 対象とする市場
- 製品・サービス
- 競合比較
- 競合優位性
- 経営課題
- 課題解決に向けた実行手段
- 3年間の損益計画/収支計画
事業計画書を自力で作成することは、とても大変です。そのため、創業手引き書を読んだり、創業セミナーに参加するなど、ノウハウを高めましょう。
経営者に求められるスキルとして、数値に強いことは重要です。そのため、苦手であっても数値計画は自分で作成できるレベルになりましょう。
冊子版の創業手帳(無料)の巻末には、事業計画書のテンプレートがあります。あわせてご活用ください。
まとめ
いざ起業を決断しても、実際に起業準備を始めると、色々と面倒なことが起きることもあります。今回の新型コロナウイルス感染症の影響などによって、思わぬ障害が発生する可能性もあるのです。
起業準備段階で大事なことは5つです。
- 自分をきちんと知ること
- 周囲の人が納得すること
- 経営者としてのスキルや人間力を身につけること
- お金をしっかり貯めること
- 具体的で実現可能な創業計画を作成すること
この5つに着実に取り組むことで、起業の成功を実現する近道となるでしょう。
創業手帳では、起業時の資金調達の方法を詳しく紹介している「資金調達手帳」も発行しています。起業準備とあわせて参考にしてみてください。
(編集:創業手帳編集部)