起業家がやるべきことに集中するために。業務効率化を実現するには
業務効率化を図るために必要なステップと手法を解説します
(2020/02/18更新)
創業時は何かと忙しいもの。請求書の処理から会社の経営まですべてを少人数もしくはひとりでやっているという起業家が多いのではないでしょうか。しかし、本来起業家がやるべきことがおろそかになり「売り上げが伸びない!」なんてことになってしまっては本末転倒です。そこで今回は、起業家がやるべきことに集中できるよう、業務効率化を手助けするツールや方法を紹介します。
この記事の目次
業務効率化で起業家はやりたいことに集中できる
毎日多くのスタートアップ企業が起こり、また消滅していく現状で、成功している企業にはどのような共通点があるのでしょうか。その一つと言えるのが、業務効率化という点で優れた取り組みをしていることかもしれません。とくに起業直後は何かとあわただしく、膨大な仕事に追われ、なかなか売り上げを伸ばせないと悩む経営者も多いでしょう。そこで、起業家が「自分のやるべきこと」に集中できるように、業務効率化についての準備や具体的な例をご紹介します。
業務効率化の準備
業務効率化は何の準備もなしに着手しても効果的とは言えません。しっかりとした下地を整えてから実施しましょう。業務を効率化するにあたって必要となる準備は、おもに2ステップです。
業務効率化の目的・コンセプトを明確にする
業務効率化で着手するポイントを間違えてしまうと、効果が上がらず、労力と時間がムダになってしまう可能性があります。まずは「何のために業務効率化するのか」「業務効率化のあと、どのような状態にしたいのか」を明確にしておきましょう。
例えば「一つ一つの業務にかける時間を減らしたい」という目的と、「自分たちの手でおこなう業務の数自体を減らしたい」という目的では、効率化の方法が変わってきます。業務効率化を確実に進めるために、目的・コンセプトをはっきりとしておくことが大切です。効果が上がれば職場環境は改善し、従業員や自分の働き方改革につながります。
効率化する業務内容の決定・洗い出し
具体的な目的やコンセプトが決まったら、効率化する業務を選定しておきましょう。すべての業務を効率化できれば理想的ですが、それは現実的ではありません。目的のためにはどの業務から効率化すべきなのか、優先順位を決めることが大事です。
効率化の方法にはいくつかのパターンがあります。毎日同じことを繰り返す単純作業であれば、わざわざ人の手でおこなう必要がない場合もあるでしょう。関連性の高い業務が複数あるならば、それらを集約できないか検討してみるのも有効です。また、この段階で不要だと思われる業務は思い切って廃止してしまうというのも良いでしょう。
業務を効率化するための手法
ここからは、業務効率化を検討するあたっての具体的な手法を見ていきます。
具体例1.システムやツールを利用する
具体的な業務効率化の手段として代表的なものには「システム・ツールの利用」があります。企業が企業向けにサービス・商品を展開するBtoBビジネスには、企業の業務効率化に特化したシステムやツールが数多く作られています。
多くの場合、こうした業務改善システムは複数のツールがまとめられたパッケージとして販売されています。パッケージ製品は「ツールを選ぶ手間が省ける」「導入コストが比較的安い」といったメリットがあり、起業直後の慌ただしい状態でもシステムを導入させやすいです。まずは準備段階で明確にした業務効率化の目的やコンセプトにマッチするパッケージが販売されていないか確認してみると良いでしょう。
既製品のパッケージでは自社の業務効率化の目的にマッチしない場合には、カスタマイズできるタイプのシステムを利用しましょう。
業務内容やワークフローが複雑になっている企業では、カスタマイズしたシステムの方がマッチするケースが多いです。
費用や手間隙はパッケージ製品よりもかかってしまいますが、自社専用システムによる業務効率化は大きな効果が期待出来ると言っていいでしょう。もちろん、業務効率化の目的やコンセプトが的確に設定されていることが前提になるのでしっかりと準備を整えておきましょう。
具体例2.アウトソーシングする
ケースバイケースではありますが、すべての業務を自社内でまかなう必要がない場合も多いです。従業員をより一層有意義な業務に回したい場合には、アウトソーシングという選択肢もあります。例えば自社の従業員が顧客からの問い合わせ業務に追われているような状況では、新たなサービスや商品の開発・営業にまで手が回らないでしょう。このような場合には、コールセンターを利用してカスタマーサポートや受注・予約業務をアウトソーシングするというのが効果的です。
また、起業したばかりの状況では業務効率化のノウハウがなく、どこから着手すれば良いかわからないといったケースもあるでしょう。そのような場合には外部の経営コンサルタントに業務効率化の指導をおこなってもらうというのも一つのアウトソーシングだと言えます。
具体例3.自動化できる業務は自動化する
ルーティンワークの大半は計算や数値入力といった単純作業である場合が多いです。そして請求書や出納帳簿関連の業務で重要視されるのは「スピード」と「正確さ」です。この2点に関して言えば、コンピューターに任せた方が効率的であるというケースも多いでしょう。自動化できる業務は積極的に自動化していくことで時間を短縮でき、人材をコア業務に回せるようになります。
すでに利用が当たり前になっているExcelなどの表計算ソフトは、業務効率化の最たるものと言えるかもしれません。
また、最近の業務自動化システムに「RPA」と呼ばれるものがあります。RPAとは「Robotic Process Automation」の略であり、ロボット知能を利用して業務の自動化をおこなうソフトウェアです。数値の確認や金額の照合といった明確な基準がある業務内容に適用が可能で、単純作業の削減に一役買ってくれるでしょう。
業務レベルによって導入コストに幅があるので、自社に必要なのか、必要ならばどの程度のレベルの製品が必要になるのかを慎重に検討してみてください。
RPAよりもさらに一歩進んだ業務自動化としてはAIシステムが挙げられます。人工知能が人間と同じように状況に応じて最適な判断をくだすシステムです。この数年は飲食店やコンビニのレジシステムにAIが導入されるなど、本格的な実装に向けて注目を集めています。しかし、AIともなると大掛かりで、コストや専門的な知識・技術が必要になってきます。導入を検討する際には専門業者にしっかりと相談する必要があります。
具体例4.リモートワークの活用
働き方が多様化する現代社会では、会社に出勤せずに働く「在宅ワーク」という働き方をする人も増えています。また、自宅でなくてもシェアオフィス・サテライトオフィスなど会社以外の様々な場所で働く人も少なくありません。こうした働き方改革の波に乗ってみるというのも、業務効率化への取り組みとして有効な場合があります。
同じオフィスで働くことはコミュニケーションが取りやすく、チームの連携が重要になる業務内容に対しては有効です。しかしその反面、スタッフの通勤時間や支給すべき交通費など企業・従業員双方にある程度の負担がかかっているというのも事実です。
例えば在宅でのリモートワークの場合は出社の必要がないため通勤時間と交通費の両方を削減することが出来ます。プログラミングやwebデザインなど、個人作業の多い従業員にはリモートワークを認めることで時間を有効に使えるようになり、結果的に業務効率化へつながる可能性が高いのです。
まとめ
ここまで業務効率化をかなえる具体的な方法を見てきました。これらの前提にあるのは、「起業家自身がやるべきことをやれるようにしたい」という目的です。システムを導入することで解消する事務系のルーティンワークや、専門家に委ねることで事故や間違いを防ぐ法務や税務のこと、社外の人の力を借りるアウトソーシングなど、会社の目的にあった手段を取り入れてみてください。
初期投資は必要かもしれませんが、結果的に業務効率化が実現できれば、起業家は本来の考えること、やるべきことに集中できます。ひいては会社が伸びていく道につながると期待できます。
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(編集:創業手帳編集部)