40代の起業のポイントを解説
40代の起業はリスクが高い?これから事業を成功させるためのポイントとは
40代で起業を考える場合、どのような点に注意し、どうすれば事業を成功させられるか、起業のコツを解説します。独立起業は、リスクがあり失敗することもありえますが、成功すれば大きな利益や自由な生活を手に入れられる可能性もあるものです。
40代だからこそ起業したい理由や注意点を理解し、起業を成功させましょう。
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この記事の目次
40代で起業する理由
働き盛りであり、部下を持ち、中間管理職として活躍する人も増えてくる40代。40代は会社員をしていても、忙しく充実した日々を送っている人が多いですが、起業のタイミングとしても丁度良い年代と考えられます。
40代で起業する人が多い理由、40代で起業するのが良い理由を解説します。今40代で起業を検討している方は、当てはまることがあるか自分と照らし合わせてみて下さい。
将来が心配・今の収入が不満
40代といえば、20代、30代で培った経験とスキルを活かし、現場では中心になって働き、部下を管理する立場になっている人が多い年代です。
また、上司や取引先との関係が築かれ、信頼度も高くなる頃でもあります。
しかし一方では「自分はこのまま会社員で良いのか」「一国一城の主を目指したい」
「好きな仕事で食べていきたい」といった考えが頭をよぎることもあります。
もう40代というべきか、まだ40代というべきか、ふと現在の状況に迷いが生じることも多い年代なのでしょう。
実際に、40代で自分から退職して、独立起業を目指す人も多くなっています。
日本政策金融公庫総合研究所では、開業者の属性や費用などを調査しています。
2019年11月に行った「2019年度新規開業実態調査」では、開業時の年齢が「40歳代」だった人は36.0%と最も高く、次いで「30歳代」が33.4%を占めていました。
また、開業時の平均年齢は43.5歳となっており、2013年以降、上昇を続けています。
若さと経験のバランスが丁度良い時期
40代で独立起業が増えるのは、年齢と経験のバランスが丁度良く、自分でも自信をもって独立できるからと考えられます。
40代というと、新卒で入社している場合には社会人経験が約20年ほどになります。
20代と比べて経験も増え仕事の幅が広がり、自分の裁量で判断できることも増えてきました。また、責任ある立場や部下をまとめる立場に就くことも多くなり、マネジメントの力も付いてきています。
体力も気力も十分で、起業のために多少の無理をして準備に奔走することもできます。
健康面でもそれほど不安を抱えずにいられる年齢です。
20、30代と比較して体力面では引けを取るかもしれませんが、経験がある分賢く立ち回ることができ、がむしゃらに体力を消耗せず効率的に起業することも可能です。
40代で起業を成功させるコツ
40代で起業を成功させるためには、いくつかのポイントを意識して起業準備を進め、行動する必要があります。
40代で起業するならば、40代の持つ利点を十分使って起業を成功させましょう。
経験したノウハウを利用する
40代になると、経験やスキルがだいぶ蓄積されます。
そして、周囲の人、取引先や顧客も40代の起業家には経験に基づいたノウハウやスキルを期待するようになるものです。
40代で起業するのであれば、これまで経験したことを生かし、効率的に事業を軌道に乗せていくことを目指しましょう。
反対に、40代で未経験、もしくはこれからスキルを一から磨いていこうとすることはおすすめできません。
40代は新しいことを始めるのに遅すぎるとは言いませんが、同じジャンルで20代から経験を積んできた起業家には勝ち目がありません。
また、スキルがないからやる気やポテンシャル、将来性を買ってもらおうとしても、やはり20代、30代には負けてしまいます。
これから事業に必要となるスキルや資格を取得していこうとするのも、時間が気がかりです。
40代は独身者もいますが、家族を養っている人も増えてきます。そのため、40代の起業は余計なリスクや時間をかけず、家計に支障を出さずに成功させることも必要です。
リスクを抑え、時間を削減するためには、これまでの経験やスキルなど、持っているものは最大限に生かし、効率的に進めることが欠かせません。
これまでの人脈を利用する
40代の起業家が成功するためには、これまで築いてきた人脈を利用することが大切です。
会社に勤めている時に取引のあった会社の担当者、顧客、上司や同僚なども、独立起業した後の大切なコネクションとなるでしょう。
また、会社がらみの付き合いだけでなく、友人知人なども、起業後の顧客になる可能性はあります。
会社で請け負ってきた仕事をそのまま独立して受注することはできませんが、そのラインを切らずに関係を続けていくことで新しい仕事のチャンスを得られる可能性があります。
また、上司や同僚などから信頼を得ていれば、外注として仕事を回してもらえるかもしれません。
会社員時代に築いた人脈をたどることで、新しい人脈を作ることも楽になります。
契約上、会社員時代の人脈を会社を離れてから用いることができないこともありますが、個人的な交際として関係を続けられる場合にはそれを無駄にはできません。
中高年対象の補助金・助成金を利用する
40代での起業では、中高年対象の補助金や助成金などの支援制度も利用できる可能性があります。
国や自治体が提供する支援制度では、原則、受け取ったお金を返済する必要がありません。
そのため、大きな事業資金や支援者を持たない起業家が返済を気にせずに資金調達するにはおすすめです。
40代が利用できる支援制度としては、生涯現役起業支援助成金があります。
これは40歳以上の人の起業を助ける助成金制度です。雇用創出措置助成分と生産性向上助成分に分かれており、起業時に40~59歳であれば上限150万円の支援が受けられます。
助成されるのは、雇用創出措置に要した費用です。
従業員を雇用したいけれどコストが気になる人、身内以外の人を雇用する予定の人は検討してみましょう。
助成金を利用して従業員を増やすことで、事業が円滑に進むこともあります。
副業からスタートする
40代は会社でも地位が安定してきており、家庭を持つ人も多いでしょう。急に退職して地位や収入を失うことはできれば避けたいです。
そこで、40代で起業を目指すなら、まずは副業や週末起業からスタートした方が安心です。
副業で、実際に独立起業した時のイメージをつかむことができ、事業の進め方や個人で働くコツなども自然に学べます。
また、副業であれば、実際にやってみて失敗しても、本業である会社員の地位に戻ることができます。
会社を辞めてしまうと、これまでの地位に戻ることはできないため、まずは辞めずに副業として試してみることは大切です。
副業として働いてみて、事業が軌道に乗ってから退職すれば、リスクを最小限に抑えられるでしょう。
また、副業として働いてきた実績や経験も、独立してからの武器になります。
40代の起業で注意したいポイント
40代で起業するにあたっては、注意したいこともあります。
無鉄砲な進め方はせずに、慎重に準備を進めていきましょう。40代の起業で注意したいポイントを解説します。
大博打はしない
40代で起業するなら、大きすぎる夢を見たり、大風呂敷を広げすぎずに堅実な道を探ることが重要です。
大きな事業は大きな利益を生みますが、反対に失敗した時には大きな損失を生むこともあります。
成功すればよいですが、起業において必ず成功するという確実性はありません。万が一にも、失敗すれば、自分自身はもちろんのこと、家族にも迷惑をかけることになります。
40代での起業は、自分や家族の生活をまかなえるようになることを優先して考えましょう。
選ぶべき事業も、スモールビジネスとして始められるようなものにし、初期投資なども最小限に抑えられるのが理想です。
できれば、これまで経験してきて実績があるもの、また、原価が低いもの、在庫が発生しにくいものなどから選び、堅実に利益を出していきましょう。
あいまいな計画でスタートしない
40代で起業する際には、あいまいな計画で見切り発車することなく、綿密に計画を立ててから始めることをおすすめします。
年代に関係なく、事前のリサーチや経営プランに基づいたシミュレーションは大切です。
しかし、家族など守るべきものを持ち、リスクをできるだけ減らしたい40代の起業では特に、失敗しないための計画作りが重要となります。
これまで経験してきた業種などを選ぶことは、この計画の段階でも有利です。ただし、よく知っている業界であっても、綿密なリサーチと事業計画は欠かせません。
こうした事業計画は、その後の融資や補助金の審査を受ける際にも使えます。
家族の理解は得ておく
40代で長年勤務してきた会社を退職し、独立起業する際には、家族の理解は得ておくことが必要です。
家族の応援は独立起業の大きな励みになりますし、サポートを得られることで円滑に事業が進みやすくなることもあります。
家族が反対していたり、納得してもらえなかったりすると、円滑に事業を進められません。
また、失敗した際には多少なりとも家族に負担をかけることとなりため、あらかじめきちんと話合い、納得してもらうことは必須です。
こっそり会社を退職することだけは避けましょう。家庭が崩壊して新事業どころではなくなってしまいます。
家族から理解してもらうためにも、事業計画が明確で、あいまいさをなくしておくことが必要です。
良いことばかりでなく、リスクについてもきちんと説明できるようにしておきましょう。
子どもの教育費や当面の生活費などを確保し、安心を示すことも大切になります。
また、時間的な影響も考慮しましょう。
自分が起業することで時間の使い方が変わる場合、家族にどのような影響が出るかをシミュレーションするのがおすすめです。
40代からの起業準備の進め方
40代から起業する際には、効率を重視した準備が必要です。会社勤務のサラリーマンが起業のために割ける時間は限られています。
そのため、計画性を持ってコツコツと、無理をすることなく確実に前進していかなければいけません。
起業準備の時間を作る
40代といえば、会社員として油が乗りきった世代であり、管理職になっている人もいるでしょう。
そのため、日中は仕事に追われ、副業をするにせよ、起業準備をするにせよ、本業以外に時間を割くのは難しくなります。
そのため、40代が起業するには、意識的に自分の時間を作ることが必要です。
準備のための時間は、睡眠時間を割くのではなく、これまで無駄に使ってきた時間や本業の業務を見直して生み出します。
1日に30分、1時間とスキマ時間を使うことでも、起業アイデアを練ったり事業計画書の作成方法を学んだりと前進することができるでしょう。
起業までの計画を立てる
起業までの計画を立てておきましょう。忙しい中でも効率的に準備をすることで、独立後のスケジュール管理の練習にもなりそうです。
スタートの日を決定し、逆算してスケジュールを決めてしまうことで、日々をダラダラと過ごすことなく起業を目指して行動を続けることができます。
事業内容が決まっていない場合には、事業のジャンルの決定から始めましょう。
40代起業におすすめのジャンル
40代で起業するのにおすすめのジャンルは、インターネットを生かせるものや自分のスキルを生かせるものなどです。
インターネットを使うことで、無店舗経営や初期費用の削減が期待できます。また、自分のスキルを直接サービスとして提供できるものも、初期費用や在庫リスクを減らせます。
また、それ以外ではフランチャイズ経営もおすすめです。ノウハウを学びつつ、利益を出していけるため、事業の経験がない起業家にも安心して始められます。
コンビニエンスストアをはじめ、クリーニングやリサイクルショップなど、業種のバリエーションも豊富です。
小資本で始める
40代で起業する際には、最初から大きな資本から始めてはいけません。家庭や自分の生活を守りつつ、リスクを抑えてできる小資本経営を意識しましょう。
起業の成否は誰にも予想できません。そんな成否の分からないことに、最初から多額の投資をするのはハイリスクです。
まずは小規模で始めてみて、上手く行ったら拡大する方が堅実で安心して続けられます。
副業で始めてみる
小さなビジネスから始める場合に気になるのは、収入面です。
小資本でビジネスを始めてリスクは抑えられても収入も頭打ちではどうしようもありません。そのような心配がある場合には、副業で始めることをおすすめします。
まずは、小資本で副業としてスタートさせ、軌道に乗ったら会社を退職し、副業を本業にします。もし失敗しても副業であれば生活には困りません。
また、副業が軌道に乗れば事業も拡大でき、本業に転換することもできます。副業からのスタートは、小資本から始めるのに向いており、リスクも少ない方法です。
まとめ
40代は、起業する人が多い年代です。また、起業するのに良い条件がそろっており、良いタイミングともいえるでしょう。
しかし、40代だからこそ気を付けたい点もあるため、慎重に準備を進めることも必要です。
40代の起業を成功させるカギは、堅実さと用意周到さにあります。また、家族の理解も得て、家庭も仕事も円満かつ円滑にすることが必要です。
まずは、リスクを抑える方法を理解した上で、堅実な計画を立てることから始めましょう。
(編集:創業手帳編集部)