個人専門税理士 はたけ|Xフォロワー12万税理士に聞く節税のヒント
ひとり社長必見!節税して手取りを増やす超実践的ノウハウ!
税金・税務について苦手意識を持たれている起業家やフリーランスの方は多いのではないでしょうか。そんなわかりにくい税金の情報を、わかりやすくSNSで発信されているのが、今回お話を伺った個人専門税理士のはたけさんです。
ご著書『【超完全版】マンガでわかる 手取り倍増!ひとり社長の世界一ゆるい節税』(KADOKAWA)の売れ行きも好調なはたけさんに、Xのフォロワーを12万人まで伸ばしたコツや、ひとり社長が節税するためのポイントなどについて、創業手帳代表の大久保が聞きました。
1981年生まれ。個人専門税理士。Xのフォロワーは12万人を突破(2024年12月時点)。2022年に税理士登録して独立開業。開業を機に始めたSNSで、インボイス制度や電子帳簿保存法などを漫画で分かりやすく解説した発信が大反響を呼ぶ。千葉に拠点を置き、ひとり社長・個人事業主・フリーランス・副業会社員の税務コンサルタントとして活動中。365日対応可能な日本でも数少ない税理士事務所を運営している。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
コロナ禍がきっかけで、ひとり社長が急増。そのニーズを受けて独立
大久保:税理士を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
はたけ:私が大学を卒業した頃は就職氷河期の真っ只中でした。特に取り柄もなかったのですが、大学で学んでいた簿記を活かせないかと考え、税理士の道を志しました。
大久保:最初から税理士事務所で働き始めたのですか?
はたけ:はい、就職活動をしてみましたが、どの企業もピンとこなくて、税理士事務所に就職しました。就職して4年後、そこの所長が70歳になったとき「この事務所での将来は短いから、転職を考えなさい」と言われ、一般企業へ転職しました。
大久保:一般企業でのキャリアはいかがでしたか?
はたけ:10年以上勤務して、それなりの役職にも就き、給与面でもやりがいの面でも満足していました。
大久保:では、なぜ税理士として独立することを決意したのですか?
はたけ:コロナ禍がきっかけでした。本格的にSNSを始めたところ、税金の問題で困っている人が多いことに気づきました。一般企業での勤務経験があるからこそ、企業で働く人の気持ちがよくわかる。これは強みになると考えました。
大久保:独立後の事業展開について教えてください。
はたけ:最初からSNSを中心にした展開を心がけています。気軽で楽しい雰囲気を大切にし、働くスタッフにとっても心地よい環境を目指しています。個人専門でSNSを活用するという新しいアプローチに、大きなチャンスを感じました。
大久保:どのようなニーズを感じていますか?
はたけ:コロナ禍以降、X(旧Twitter)を通じて、副業会社員やフリーランス、ひとり社長が急増していることを実感しています。小規模事業者は従来の税理士事務所を敬遠しがちです。しかし自身の経験から、経理の大変さを理解していますので、そういった方々のニーズに応えられると考えました。
大久保:現在の市場動向をどう見ていますか?
はたけ:特にSNSを活用している事業者が多く、利益率が高く税金で悩んでいる方が増えています。税務サポートの需要は確実に高まっていると感じています。
SNSフォロワーを伸ばすコツは、顧客の生の声の活用
ハッキリ言いますが、『インボイス制度』がスタートして、今までの常識や習慣が完全に破壊されました。以前は宛名が“従業員名”の領収書でも、会社の経費に関係していれば、経理担当者に「はい、精算よろしくね」と渡して終わりでしたが、法改正でこれが無効。現在はリプ欄のように世界がガラリと変わっ… pic.twitter.com/87ds8KLvSS
— はたけ|個人専門税理士 (@hatake_tax) October 28, 2024
大久保:SNSでフォロワーを増やすコツを教えてください。
はたけ:大きく3つあります。まず、お客様の声を大切にすることです。個別相談で出てきた悩みは、他の方も同じように抱えているケースが多いんです。
次に、確定申告や年末調整といったトレンドに合わせた情報発信。最近だとインボイス制度や電子帳簿保存法に関する情報発信で、フォロワーが大きく増えました。
そして、「有料を超える無料情報」の提供を意識しています。
大久保:税務情報を漫画で発信されているのが特徴的ですが、その理由は?
はたけ:税金の専門書は、私自身が読んでいても眠くなってしまうほど難しい内容です。Xで朝から堅い情報が流れてきても、読む気が失せてしまうだろうと考えました。
「漫画なら読んでもらえるのでは」と思って始めたところ、実際にフォロワーの方々から好評をいただいています。
ひとり社長向け!手取りを増やす節税ポイント
大久保:ひとり社長や個人事業主に特に知っておいてほしい節税のポイントはありますか?
はたけ:いくつか、重要な点をお話しします。
まずは、自宅の経費化についてです。個人事業主の場合、自宅を事務所として使用する際は、家事按分という方法で一部を経費として計上することができます。
しかし、法人化することで、さらに大きなメリットが生まれます。自宅を社宅として扱うことで、費用の8〜9割を経費として計上できるようになるのです。これにより、個人負担を大幅に軽減することが可能です。
次に、老後資金の確保についても重要な制度があります。法人化することで利用可能となる企業型確定拠出年金は、会社の経費として老後資金を積み立てることができる制度です。30年間継続することで、元本だけでも2,000万円程度の資金を確保できます。
これは個人事業主には認められていない制度であり、法人化による大きなメリットの一つと言えます。
また、出張に関する経費についても、適切な管理があれば多くの費用を経費として認めることができます。
新幹線代やホテル代といった直接的な交通・宿泊費用はもちろんのこと、出張手当という形でお茶などの飲食代なども、経費として計上が可能です。
ただし、これらの経費が認められるためには、出張旅費規程の作成が必須となります。税務調査の際には、この規程に則って適切に処理されているかどうかが重点的にチェックされます。そのため、明確な規程の作成と、それに基づいた適切な経費処理が重要となります。
共済や保険も節税になる。2024年度確定申告のヒントも
大久保:オンラインミーティングの経費計上について、注意点はありますか?
はたけ:喫茶店でのオンラインミーティングは増えていますが、注意点があります。会議費としてのコーヒー代は経費として認められますが、食事代は認められません。その区分けをしっかりとする必要があります。
大久保:バーや居酒屋でのオンラインミーティングは認められますか?
はたけ:あとで事業との関係性を説明ができれば、認められます。また、実際にミーティングを行った記録を適切に残しておくことも重要です。
大久保:ひとり社長が他にも活用すべきものについて教えてください。
はたけ:経営セーフティ共済はおすすめです。この制度の最大の特徴は、取引先の倒産時における手厚い保護にあります。掛け金の累計上限である800万円に対して、最大で10倍となる8,000万円までの融資を、無担保・無利子で受けることができます。
緊急時の資金調達以外にもメリットがあります。まず、毎月の掛け金は全額を経費として計上でき、税務上の優遇を受けられます。また、3年4ヶ月以上共済に加入していれば、積み立てた掛け金の全額を返還してもらうことが可能です。
大久保:小規模企業共済についてはいかがですか?
はたけ:小規模企業共済も非常に有効な制度です。年間最大84万円までの所得控除が可能で、個人の所得税・住民税を抑制できます。同時に老後資金の確保にもつながる制度です。
大久保:保険についてはいかがですか。
はたけ:保険は単なるリスク対策以上の、経営戦略として活用できるツールなんです。例えば、経営者の方が万が一お亡くなりになった場合、遺族の方へお金を残しておけますよね。
また、怪我や病気で事業継続が困難になるケースも想定しておく必要があります。そういった場合の備えとしても重要です。
さらに、報酬設計の面でも保険は有効活用できます。給与の一部を生命保険で受け取る形にすることで、社会保険料の負担を抑えることができるんです。例えば、5年後に保険を解約して受け取れば、本来、役員報酬の形でもらっていた場合にかかるはずだった社会保険料を節約できます。
大久保:他にも、社会保険料を減らすことができる方法などあればお聞かせください。
はたけ:少人数会社の場合、社長が株主を兼ねていることが多いので、報酬設計に工夫の余地があります。例えば、年間800万円を全額役員報酬として受け取るのではなく、120万円を役員報酬とし、残りを配当金として受け取ることで、社会保険料負担を減らし、手取りを増やせる場合もあります。
ただし、配当金は会社の経費として計上できません。
このようなケースもあるので、それぞれのお客様ごとにシミュレーションし、個別に手取りを増やす提案をしています。
大久保:年末も近づいてきて、確定申告を気にされる読者も多いと思います。2024年度の確定申告で特に注意すべき点について教えていただけますか?
はたけ:今年6月に話題になった定額減税により、多くの方の税負担が減少します。また、税金を引ききれない方は、来年給付金を受け取れる可能性があるので、確認をおすすめします。
「365日対応」がはたけ流!今後はオフラインでの発信も視野に
大久保:はたけさんの税理士としての特徴や優位性について教えてください。
はたけ:私の事務所の最大の特徴は、お客様のニーズに合わせた柔軟な対応です。一般的な税理士事務所は平日のみの営業ですが、実際の経営者は土日も働いています。そこで私の事務所では、365日対応できる体制を整えています。
また、融資関連のサポートにも特に力を入れています。銀行との付き合い方や、融資を通しやすい提案の仕方なども熟知していますし、事業計画書の作成も得意です。
大久保:融資を受けるためには事業計画書が重要ですよね。作成についてアドバイスはありますか?
はたけ:計画書作成で重要なのは、単に真面目に数字を並べるだけでなく、金融機関に「この会社は融資しないともったいない」と思わせることです。
SNSと同じで、この会社の今後を見たいと思わせる内容作りが大切です。
最近は特に、数字の事業計画やキャッシュフローまでしっかりと見られます。特に飲食店、中でもカフェは審査が厳しいので、綿密な計画書作成が必要です。
大久保:助成金の活用についてはいかがでしょうか?
はたけ:規模が大きくなってきた企業には、積極的な助成金の活用をおすすめしています。
例えば、東京都のテレワーク促進助成金を利用すれば、iPadなどの機器を実質数万円で購入できます。手続きは私に任せていただければ、社会保険労務士と連携して、安価で簡単に対応可能です。
大久保:それはありがたいですね。資金以外には起業家本人の意識も大切だと思いますが、起業家やフリーランスで成功する人の特徴は何だと思いますか?
はたけ:成功する人は、仕事をうまく人に頼むことができていますね。
広告や人材の外注を適切に行い、事業の拡大を目指す方が成功しやすいです。社長は伝票入力などの定型業務から早めに卒業し、より重要な仕事に注力すべきです。
大久保:今後の展望について教えてください。
はたけ:まだまだ困っている方が多いので、引き続きSNSでの情報発信を続けていきたいと考えています。SNSに抵抗がある方向けに、全国でリアルセミナーも開催していきたいですね。
また、本を購入したものの読めていない方向けに、セミナーでの説明も行っていきたいと考えています。
大久保:最後に、起業したばかりの人にメッセージをお願いいたします。
はたけ:私も創業手帳に登録しています。創業手帳の冊子版は、創業に必要な情報がコンパクトに網羅的にまとめられているので、ぜひ資料請求して読んでみてください。
【超完全版】マンガでわかる 手取り倍増!ひとり社長の世界一ゆるい節税 はたけ (著), なちぼぅ★ (著) KADOKAWA
フリーランスもマイクロ法人社長も 税金に苦しむすべての人々に捧ぐ必読書
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税金については、理解しているかしていないかでその年に支払う金額が何十万も変わってくるケースがあります。そこで創業手帳では「税金チェックシート」をご用意致しました。どのくらい節税対策を実施しているかチェックするためにもご活用いただけるかと思います。
また「税金カレンダー」では、個人事業主用と法人用と2種類をご用意。税金のうっかり支払い忘れが一番の節税対策です。どちらも無料でご利用いただけますので、ぜひあわせてご活用ください。
(取材協力:
畠山尚男税理士事務所 税理士 畠山尚男)
(編集: 創業手帳編集部)