【第三回】利益を出し続ける社長になる極意「マネジメント」
吉越浩一郎氏インタビュー(3/4)
【第二回】利益を出し続ける社長になる極意「社長の本当の仕事編」
トリンプ・インターナショナル・ジャパンを19期連続の増収増益に導いた”伝説の名経営者”吉越浩一郎氏。名経営者と言われる所以は、常に利益を出し続ける経営手腕や超効率的な仕事術をはじめ、人生の豊かさを追求し実行する生き方そのものにもある。成功する社長のあり方とは何か?
その極意を全4回に分けて探ります。
部下は”育てる”のではなく仕事を”任せる”モノ
吉越:一番大切なのは、部下を手取り足取り育てることではなく、仕事を「任せる」ことです。会社の中で一番高いのは人件費です。ですから、社員にはそれに見合った仕事をしてもらわなくてはいけない。部下を信じて仕事を任せてこその管理職といえます。
任せたあとはデッドラインを決め、スケジュールの中でいくつかキーとなるポイントでチェックを行います。そこでダメなところをやり直させる、徹底してその繰り返しです。あくまでも主導権を握っているのは部下でなくてはいけません。あとは部下に任せて結果を出してもらえばいいだけなのです。
「報連相」を実践すれば、上司としては状況を把握できるし、部下としても安心ですよね。ちょっと道を逸れたら、すぐに軌道修正することができるから。でも、それでは部下は育ちません。
吉越:そうなんです。仕事を進める上で「1+1=2」のような形式知はせいぜい1~2割です。残りの8割以上の暗黙知は、部下自身に学んでもらわなくてはいけません。暗黙知をどう学ぶのかというと、自分で実際にやってみないと身に付かない。小さな失敗を繰り返し自力で得た成功体験が、なによりも部下を成長させます。
だからといってほったらかしでいいのか、というとそうではありません。小さな失敗は良いけど、大きな失敗は絶対にしてはいけない。その責任は上司である自分にあります。
ですから、そうならない為にもデッドラインを決めてチェックを行ないます。そこで内容が甘ければ「こういう理由でここが良くないからやり直し。明後日再度提出して。」といった形で、やり直させます。そこで細かいやり方に口を出してはいけません。部下自ら考え、判断するようにすることが重要なのです。
リーダーシップは結果で示せ
吉越:とにかくトップダウンで徹底させることです。自分が必要だと確信し本気で進めたいと思っていたので、反対の声にも耳を傾けず、断固として推し進めていきました。
なにか新しいことをはじめようとすると、反発が起きることは避けては通れません。だけど、たとえ反対勢力の抵抗が大きくても非難を受けても、摩擦を恐れたりひるんではいけません。
新しいことをはじめるには経営者の強力なリーダーシップが必要です。そしてリーダーシップは、結果を追い求める強い意思と実行力の下に発揮されるのです。
はじめは抵抗があっても、会社の業績が上がれば誰だって嬉しいしやる気がでます。逆に結果が目に見えないことには価値を見出せませんよね。「社長は売上げを伸ばして結果を出さなくてはいけない」という理由は、まさにここにあるのです。
(創業手帳編集部)
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