【第三回】利益を出し続ける社長になる極意「マネジメント」

創業手帳
※このインタビュー内容は2015年02月に行われた取材時点のものです。

吉越浩一郎氏インタビュー(3/4)

【第二回】利益を出し続ける社長になる極意「社長の本当の仕事編」

吉越浩一郎氏 著書『社長の掟著者サイン本 プレゼントキャンペーン!!こちら

連載3
トリンプ・インターナショナル・ジャパンを19期連続の増収増益に導いた”伝説の名経営者”吉越浩一郎氏。名経営者と言われる所以は、常に利益を出し続ける経営手腕や超効率的な仕事術をはじめ、人生の豊かさを追求し実行する生き方そのものにもある。成功する社長のあり方とは何か?

その極意を全4回に分けて探ります。

吉越 浩一郎(よしこし こういちろう): 1947年千葉県生まれ。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。メリタジャパンなどを経て83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社。その後トリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)に勤務。87年に代表取締役副社長、92年に代表取締役社長に就任し、即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成。「早朝会議」「デッドライン」「残業ゼロ」等のユニークな経営手法を取り入れ、効率化を図り会社を急成長させた。2006年同社退社後は講演活動や執筆を行ないつつ、夫人の故郷である南フランスと東京の2か所を拠点に、余生ではない「本生」を実践している。近著に『社長の掟』(PHP文庫)、『新装版「残業ゼロ」の仕事力』(日本能率協会マネジメントセンター)、『結果を出すリーダーの条件』(PHPビジネス新書)など。


部下は”育てる”のではなく仕事を”任せる”モノ

  経営者として、どのように部下をマネジメントされてきたのでしょうか?

吉越:一番大切なのは、部下を手取り足取り育てることではなく、仕事を「任せる」ことです。会社の中で一番高いのは人件費です。ですから、社員にはそれに見合った仕事をしてもらわなくてはいけない。部下を信じて仕事を任せてこその管理職といえます。

任せたあとはデッドラインを決め、スケジュールの中でいくつかキーとなるポイントでチェックを行います。そこでダメなところをやり直させる、徹底してその繰り返しです。あくまでも主導権を握っているのは部下でなくてはいけません。あとは部下に任せて結果を出してもらえばいいだけなのです。

「報連相」を実践すれば、上司としては状況を把握できるし、部下としても安心ですよね。ちょっと道を逸れたら、すぐに軌道修正することができるから。でも、それでは部下は育ちません。

―  実際に自分が体験しないと本当の意味で理解できないことは多いですよね。

吉越:そうなんです。仕事を進める上で「1+1=2」のような形式知はせいぜい1~2割です。残りの8割以上の暗黙知は、部下自身に学んでもらわなくてはいけません。暗黙知をどう学ぶのかというと、自分で実際にやってみないと身に付かない。小さな失敗を繰り返し自力で得た成功体験が、なによりも部下を成長させます。

だからといってほったらかしでいいのか、というとそうではありません。小さな失敗は良いけど、大きな失敗は絶対にしてはいけない。その責任は上司である自分にあります。

ですから、そうならない為にもデッドラインを決めてチェックを行ないます。そこで内容が甘ければ「こういう理由でここが良くないからやり直し。明後日再度提出して。」といった形で、やり直させます。そこで細かいやり方に口を出してはいけません。部下自ら考え、判断するようにすることが重要なのです。

リーダーシップは結果で示せ

  残業ゼロやデッドラインを導入するなど、会社の根本から改革するには大変なエネルギーが必要だったと思いますが、それを成功させた秘訣はなんですか?

吉越:とにかくトップダウンで徹底させることです。自分が必要だと確信し本気で進めたいと思っていたので、反対の声にも耳を傾けず、断固として推し進めていきました。

なにか新しいことをはじめようとすると、反発が起きることは避けては通れません。だけど、たとえ反対勢力の抵抗が大きくても非難を受けても、摩擦を恐れたりひるんではいけません。

新しいことをはじめるには経営者の強力なリーダーシップが必要です。そしてリーダーシップは、結果を追い求める強い意思と実行力の下に発揮されるのです。

はじめは抵抗があっても、会社の業績が上がれば誰だって嬉しいしやる気がでます。逆に結果が目に見えないことには価値を見出せませんよね。「社長は売上げを伸ばして結果を出さなくてはいけない」という理由は、まさにここにあるのです。

(創業手帳編集部)

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