【令和7年対応】源泉徴収票の作成ガイド!エクセルなどの書き方や注意点、発行方法を徹底解説
源泉徴収票を自分で作る時の注意点とは?

「税理士に頼らず、コストを抑えて自分で発行したい」
「そもそも何をどう書けばいいのか分からない」
「令和7年(2025年)から何か制度が変わるらしいが、対応が必要か?」
従業員を初めて雇った経営者や事業主は、上記のように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
源泉徴収票は、給与を支払う側が従業員に交付する大切な書類です。年末調整や確定申告に使われるため、内容に誤りがあるとトラブルのもとにもなりかねません。
この記事では、源泉徴収票を自分で正しく作成する方法を初心者にもわかりやすく解説します。2025年(令和7年)からの制度改正による変更点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください 。
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この記事の目次
源泉徴収票とは?作成の目的と役割
従業員などに支払う毎月の給与や、給与から天引きした社会保険料、各種控除などを計算する「年末調整」。
「源泉徴収票」とは、この年末調整の結果をまとめた、1年間の所得税額を証明する書類です。書類には、支払った給与の総額や、源泉徴収した所得税の額などを記載します。
給与を支払う事業者(源泉徴収義務者)には従業員に源泉徴収票を発行する義務があります。発行しなければ、従業員が年末調整や確定申告の手続きができません。
場合によっては税務署から指導を受ける可能性もあります。そのため、源泉徴収票はすべての給与支払者が必ず発行すべき重要書類です。
2025年(令和7年)からは、税制改正に伴い源泉徴収票の様式が一部変更されました。新たに「特定親族特別控除」の項目が追加され、扶養欄の表記も「控除対象扶養親族等の数」へと変更されています。
作成の際は、令和7年分(2025年分)に対応した最新版の様式を使用してください。国税庁が提供する「給与所得の源泉徴収票」にしたがって作成すれば、自力でも源泉徴収票を作ることが可能です。
源泉徴収票の対象者と提出が必要なケース
源泉徴収票は給与を支払ったすべての人間に発行します。ここには正社員だけでなく、パート・アルバイト・役員も含まれます。
また、源泉徴収はフリーランスなどの業務委託報酬でも行いますが、「支払調書」を発行します。支払調書は交付の義務がないため、求められたときに発行すれば問題ありません。
また、従業員に交付するだけでなく、源泉徴収票を税務署に提出しなければならないケースがあります。書面のほか、e-Taxや光ディスク(CD、DVDなど)で提出可能です。
提出期限は、支払いの確定した日の属する年の翌年1月31日となります。提出先は事業所の所在地を管轄する税務署です。
以下の表で、提出が必要なケースを年末調整の有無ごとにまとめました。
| 年末調整の実施 | 対象者 | 提出対象となる給与額 |
|---|---|---|
| 済 | 法人の役員(その年中に役員であった者を含む) | 150万円を超えるもの |
| 弁護士、司法書士、税理士等 | 250万円を超えるもの | |
| 上記以外の者 | 500万円を超えるもの | |
| 未了 |
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者 (退職者、災害による徴収猶予者) |
250万円を超えるもの(法人の役員は50万円超) |
|
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した者 (主たる給与が2,000万円超) |
支払金額にかかわらず全員 | |
|
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった者 (乙欄・丙欄適用者) |
50万円を超えるもの |
これらの基準に該当する場合は、従業員への交付とあわせて税務署への提出も必須です。
書面で提出する場合は、国税庁の最新版「給与所得の源泉徴収票」を印刷して使用します。電子申告を行う場合は、e-Taxソフトや会計ソフトから電子データとして送信可能です。
源泉徴収票の作成方法4選|エクセル・e-Tax・クラウド・外注

源泉徴収票は、「エクセル」「e-Tax」「クラウド給与計算ソフト」「アウトソーシング」の4つの作成方法があります。
エクセル
「源泉徴収票 エクセル」などで検索すると税理士事務所などが公開しているエクセルのテンプレートが複数見つかります。
会社情報や、給与、従業員情報などを入力することで源泉徴収票が作れる便利なテンプレートです。
しかし、第三者が作成したテンプレートは計算結果や法改正対応が保証されていません。令和7年分様式対応かどうかを確認し、自己責任で使いましょう。
また、国税庁が提供する「年末調整計算シート」を利用すると、最新版の税制改正内容(特定親族特別控除など)に対応した金額が算出されます。源泉徴収票へ転記すれば、最も安全で正確な書類を提出できます。
e-Tax
e-Taxは、国税庁が提供する国税電子申告・納税システムです。源泉徴収票等作成ソフトのインストールには利用者識別番号と電子証明が必要です。利用者識別番号は、e-Taxを利用するための開始届出書を税務署に提出することで取得できます。
e-Taxを使えば、様式にそって必要事項を入力するだけで源泉徴収票を作成することが可能であり、支払者の氏名や住所などが自動で表示されるので入力の手間を省けます。また、そのままインターネットを通じて税務署に提出できるのでわざわざ窓口や郵送の手間がかかりません。
e-Taxはセットアップするまでに準備が必要ですが、実際の税務関係の作業の際にはとても便利なシステムなので、早めの導入を検討してみてください。
クラウド給与計算ソフト
クラウド給与計算ソフトは有償のものがほとんどですが、給与計算関連の事務作業が大幅に削減できます。まず、勤怠データや従業員情報から給与を自動で計算、源泉徴収票の作成も簡単に作成できます。
また、クラウド上でデータを管理するため、パソコンの故障などでデータを失う危険性がありません。もし作業上わからないことがあっても、各社チャットやメールでのサポートも充実しているため、安心して使うことができます。
【おすすめサービス】
-
弥生給与Next 給与計算・年末調整ソフト
・給与計算から年末調整・源泉徴収票発行までWeb完結
・ただし、ベーシックライト以上のプランの選択が必要 -
マネーフォワードクラウド 給与
・給与計算を自動化可能
・マネーフォワード クラウド年末調整との連携により、年末調整の計算から源泉徴収票の作成までできる -
人事労務freee
・クラウド給与と年末調整機能付きで源泉徴収の作成も可能
・保険料控除証明書などをスマホで撮影するだけで自動入力される「AI年末調整」機能を搭載
ソフト導入の際は、社労士などと相談して行うのが良いでしょう。
アウトソーシング
源泉徴収票の主な発行時期は年末調整と重なり、業務は繁忙を極めます。外部に委託する「アウトソーシング」の手法を使うのも、源泉徴収票の円滑な発行に役立つでしょう。
委託先は税理士事務所や源泉徴収票の発行をサポートする事務代行サービスなどが挙げられます源泉徴収票の発行に長けているアウトソーシングを活用することで、業務の手間を最小限に抑えることが可能です。記載漏れや誤りといったリスクを回避する手段としても有効といえます。
創業手帳では、無料で税理士など専門家紹介を行っています。ぜひお気軽にご相談ください。
源泉徴収票の書き方・作成手順

源泉徴収票を書くためには1月から12月までに支払う給与の合計額が必要なので、12月の給与が確定してから翌年の1月31日までに作成することになります。
作成までの猶予が1ヶ月ほどしかなく、従業員によってはイレギュラーな対応が求められることから、源泉徴収票をどう記載したらよいのかわからない、という場合があるかもしれません。
事前に源泉徴収票を作成するために必要な書類と、その手順を確認しておきましょう。
源泉徴収票の作成に使う書類を準備する
まず、源泉徴収票を作成するために「源泉徴収簿」と「マイナンバー」を用意しましょう。
源泉徴収簿は、毎月の給与の支払額や源泉徴収額、扶養親族の情報を記録しておくものです。作成の義務はないため様式は一定ではありませんが、国税庁が公表している様式が使われることが多くなっています。
また、税務署に提出する源泉徴収票には、平成28年分からマイナンバーの記入が必須となりました。
マイナンバーの確認のために従業員からコピーを取ってもらうことがあるかもしれませんが、マイナンバーは重要な個人情報であるため、保管や廃棄には十分な注意を払う必要があります。
源泉徴収票の主な記入項目と注意点
源泉徴収票には、氏名、住所、支払金額、源泉徴収税額など28項目があります。ここでは、作成時に重要となる項目を抜粋し、誤りやすいポイントとあわせてまとめました。
| 項目名 | 記入内容 | 注意点(実務で誤りやすいポイント) |
|---|---|---|
| 支払金額 | 1年間に支払った給与・賞与の合計金額 |
・ 通勤手当・残業代も含む ・ 非課税通勤手当は除外 |
| 源泉徴収税額 | 1年間に給与から天引きした所得税・復興特別所得税の合計額 | 年末調整後の確定額 |
| 住所・氏名 | 住民票に基づく | 市区町村まで正確に |
| 控除対象配偶者 | 所得要件を満たす配偶者がいる場合 |
・ 所得103万・150万円ラインを確認 ・ 扶養控除と重複不可 |
| 控除対象扶養親族等の数 | 16歳以上の扶養親族の人数を記入 | 4人まで。5人超は摘要欄に追記 |
| 16歳未満の扶養親族 | 16歳未満の子どもなど | 4人を超えた場合は摘要欄へ記入 |
| 摘要欄・備考欄 | 扶養親族が多い場合や特記事項を補足 | 扶養人数5人超の追記先。マイナンバーは記載禁止 |
| 支払者(会社)欄 | 会社名・所在地・電話番号など | 法人番号は税務署提出分のみ |
| マイナンバー | 税務署提出分のみ | 本人・配偶者・扶養親族いずれも交付用には記載不可 |
| 特定親族特別控除の額 | 19〜23歳の特定親族に適用 | 対象がいない場合は空欄可 |
源泉徴収票の記入は、年末調整の最終段階で行う重要な手続きです。記入ミスがあると、従業員の確定申告や住宅ローン控除などに影響が出る可能性もあります。
毎年の改正点に注意しつつ、早めに準備を進めることで、年末調整業務をスムーズに終えることができます。
最新のPDF様式は、国税庁HPの給与所得の源泉徴収票(同合計表)から確認・ダウンロードできます。また、詳しい書き方については、国税庁HPの給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)に説明がありますので、そちらをご確認ください。
年末調整での所得税計算方法
源泉徴収票の作成と関連する事務処理に「年末調整」があります。
年末調整は、従業員の給与から天引きした所得税を改めて計算し、過不足を清算する手続きです。年末調整の実施後、源泉徴収票を発行します。
年末調整でポイントとなるのが、所得税の計算方法です。令和7年(2025年)分からは、控除の計算ルールが大幅に変更されています。正しい内容の源泉徴収票を発行するためにも、最新の要点を押さえておきましょう。
年収から各種控除額を差し引く
年収から各種控除の金額を差し引いて、課税される給与所得額を求めます。最初に給与所得控除額を計算し、年収から差し引いたあと、ほかの控除額も反映させる手順です。
給与所得控除額は、年収に応じて計算式が異なります。国税庁のホームページにある計算式をもとに、年収500万円のケースの例を以下に記しました。
5,000,000 × 20% + 440,000 = 1,440,000
給与所得額(年収 – 給与所得控除額)
5,000,000 – 1,440,000 = 3,560,000
年収500万円の場合、356万円が給与所得額となります。ここからさらに基礎控除、扶養控除、社会保険料控除といった、従業員ごとに適用される控除額を反映させましょう。
所得額に応じた税率を用いて計算する
収入にすべての控除を反映したら、算出した課税所得額に応じた税率をかけます。税率に関しても、国税庁が出している「所得税の速算表」をもとに計算するのが効率的です。
195万円以下なら5%、195万円超から330万円以下なら10%というように、課税所得金額によって税率が変動するため、表に照らし合わせて計算してください。
源泉徴収票を作る時の注意点

基本的な手順以外にも、源泉徴収票の作成において気をつけたい点があります。記載ミスや再発行といったトラブルを招かないためにも、次の注意点を意識しておきましょう。
金額に相違がないか確認する
一番注意することは、金額が正確かどうかです。とくに「支払金額」と「源泉徴収額」は年末調整の基礎となる金額なのでよく確認しましょう。
摘要欄に記入漏れがないようにする
「摘要欄」は書くことが多いため記入漏れが発生しやすい箇所です。「令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」をよく確認して記載するようにしてください。
途中入社の従業員への対応を行う
途中入社の従業員についても注意が必要です。その年度のすべての給与収入を合算したうえで行うので、途中入社の従業員については、前職の給与を把握する必要があります。
その従業員が前職の退職時に源泉徴収票を発行してもらっていないのならば、前職の会社に発行を依頼してもらいましょう。もしなんらかの理由で発行されない場合、自社分の給与だけで源泉徴収票を作成して、摘要欄に「年調未済」と記入して交付します。
会社印を忘れずに押印する
印刷された源泉徴収票ならば、法的には押印は必要ありません。それは税務署に提出する用のものも、従業員に交付する用のものも同じです。
ですが、従業員がマンションの契約や住宅ローンを組む際に源泉徴収票を提出する場合は、会社印付きの書類を求められる場合があります。また、手書きやコピーで作成した場合は偽造防止のために会社印を押印するほうがよいでしょう。
受給者の住所は翌年1月1日時点のものを書く
受給者(従業員)の住所は、翌年の1月1日時点のものを記載することになっています。令和6年分の源泉徴収票であれば、令和7年1月1日の住所ということです。
この時期に引っ越しをする社員がいれば注意しておきましょう。
マイナンバーを必ず記載する
税務署に提出する源泉徴収票にはマイナンバーが必須となっています。もし従業員などからマイナンバーの提供が受けられなかった場合は、法律で定められた義務であることを伝えて提供を求めます。
それでもマイナンバーが提供されなかった場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどして、単なる義務違反ではないことを明確にしておきましょう。また、この場合は摘要欄に理由を書く必要はありません。
マイナンバーの記載なしで提出したあと、マイナンバーの提供があった場合、マイナンバーを記載して源泉徴収票を再提出します。
源泉徴収票を作成・発行するのはいつ?
源泉徴収票の作成や発行は、毎年決まった時期にのみ行うわけではありません。状況に応じて発行するタイミングが変わります。
源泉徴収票の作成と発行を行うべき状況について、シーン別にみていきましょう。
年末調整のあと
源泉徴収票の発行タイミングとしてもっとも多いのが、年末調整のあとです。通常は12月の給与が確定したあとに年末調整を行い、その流れで源泉徴収票も作成します。
法律に基づけば、1月31日までには年末調整をすべて完了させるとともに、源泉徴収票の発行も済ませなくてはなりません。源泉徴収票の作成・発行だけでなく、年末調整にも手間がかかるので、余裕をもって準備しておくことが重要です。
会計ソフトやe-Taxを利用するなど、処理を簡略化する工夫を取り入れてください。
退職者が出たとき
年の途中で退職する社員に対しても、源泉徴収票の発行を行います。退職日の翌日から1ヶ月以内には発行できるよう準備しなくてはなりません。
退職者への源泉徴収票は、退職者が次の雇用先で提出するためのものです。新たな雇用先で年末調整を受ける場合に、前職の源泉徴収票も照合して所得税を算出します。源泉徴収票を発行していないと、転職先での年末調整が滞る恐れがあるので、忘れずに発行しましょう。
なお、退職者への源泉徴収票は、所得税の源泉徴収を実施していない場合でも発行します。
社員から要望があったとき
源泉徴収票を紛失したなどの理由で、社員から発行を求められるケースがあります。過去に発行している場合でも、できる限り要望に応えることが大切です。源泉徴収票の発行義務は企業にあるため、正当な理由なく拒否すると、税務署から指導が入ることも考えられるでしょう。
源泉徴収票は年末調整のおりに発行することがほとんどですが、社員が活用するシーンは年末に限りません。ローン審査の提出書類としてや、転職の際に必要となることもあります。
社員に源泉徴収票の発行を求められたら速やかに対応できるよう、必要なデータの保管・整理を心がけておきましょう。
まとめ・源泉徴収票の作成方法を知って年末調整などに備えよう
源泉徴収票は、受給者(従業員)などに給与を支払う企業ならばどの企業でも作成するものです。厳密な書類でなくてはならないため、計算や記載事項などが複雑になっています。
初めて作成するときはわからないことも多くあると思いますが、注意点などを押さえ、期日を守って必ず提出するようにしましょう。
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(執筆:創業手帳編集部)






