デジタルマーケティングのプロが直伝!ウェブ解析で知っておくべき15個の指標【ウェブ解析士連載その2】

創業手帳

デジタルマーケティングでビジネスを加速させる!サイトの成功条件をプロが解説

デジタルマーケティングでビジネスを加速させる!サイトの成功条件をプロが解説

デジタルマーケティングを進める上で基本となるのが「ウェブ解析」です。

ウェブ解析はマーケティング戦略立案や施策実行後のPDCAなど、様々なポイントで活用することができます。

2回目の連載となる今回は、ウェブ解析士の基本や覚えておくべき指標、ウェブ解析士として収集した実際の解析データをご紹介します。

池升方芳美

升方 芳美(ますかた よしみ)
上級ウェブ解析士。
宿泊予約サイトにて参画施設に対してコンサルティングを行う。その後、宿運営会社Web担当者として複数の宿のサイト管理を経験。
現在はクライアントの自走をサポートすべく北陸を中心に活動中。
池上規公子

池上 規公子(いけがみ きくこ)
上級ウェブ解析士。
プログラマ、WEBデザイナー職を経て、ECサイトの運営を経験。
2007年より本格的にアクセス解析ツールを使用し、メーカーのWEB解析・顧客分析を担当。2014年以降はWEBマーケティング会社でGoogle Analyticsをメインとした分析・コンサルティングを担当。兼業で書店(葉ね文庫)を開業。

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デジタルマーケティングの基本ーウェブ解析とは?

データ解析中のパソコン
ウェブ解析というと、ウェブサイトのアクセスデータをチェックするだけでしょ?と思っている方が多いかもしれません。

しかし、ECサイトが普及したり、コーヒーをオンラインで注文したり…現在ではどのようなビジネスにおいても、デジタルが欠かせなくなってきています。

このようにビジネスがデジタル化していく中で、ウェブ解析の役割は大きくなってきています。

ウェブ解析は、インターネットを通じてデータを分析することで顧客の行動や心理を理解し、マーケティングやビジネスの改善に活かすことができるのです。

ウェブ解析の対象範囲とは?

ウェブ解析は、ご紹介したようにウェブサイトのメディアだけではなく、ビジネスやマーケティング全体に影響します。

そのため、対象範囲は広範囲におよびます。

ウェブ解析の対象範囲

・市場や競合調査、売上率などのビジネス解析
・SNSや検索トレンド、視聴率などのマーケティング解析
・ウェブサイトのアクセスデータやスマホアプリの利用状況などのオウンドメディア解析

ウェブ解析で理解しておくべき3つの領域

ウェブ解析で理解しておくべき3つの領域
ビジネスにデジタルが加わることによって、ウェブ解析はウェブ担当者だけでなく、マーケティング担当はもちろん、経営者にとっても取り組むべき課題となってきています。

ウェブ解析を行なう上で理解しておくべき領域も拡大しているのです。ウェブ解析で重要な3つの領域について解説します。

デジタル・インターネット

1点目は、デジタルやウェブに関するナレッジです。

ウェブやアプリの基本的な仕組みはもちろん、現在どのようなものが流行しているのか、どのようなユーザーが利用しているのかなどの知識が必要となります。

経営・マーケティング

2点目は、経営やマーケティングに関する知識です。

デジタルの施策は経営やマーケティングの一部です。企業全体のゴール、マーケティングの目標などが設定されています。デジタルの結果がどのようにビジネスやマーケティングに影響するのか、どう効果があるのかなどを理解する必要があります。

また、マーケティングや経営の基本的なフレームワークや知識を理解しておくことでウェブ解析の質を高めることができます。

統計やデータ分析

3点目は統計やデータ分析の知識です。

インターネットを通して集められたデータをどのように整理するのか、どのように読み解くのか、そして表現するのかなどのスキルも求められます。

ウェブサイト運用管理の心構え

データを活用し、自社の成果につなげるためには「何をやりたいのか?目的は何か?」を明確にして戦略を立てます。

ToDoを細分化し、具体的なスケジュールをスタッフで共有してPDCAを回し続けていきます。

何のためにそれを行うのか理解していますか?
SNSでひたすら情報発信していませんか?
発信する内容は、お客様が受け取りたい内容なのでしょうか?
販売中の商品説明には、お客様に伝えるべきメッセージが込められていますか?

インターネットは非対面ですが、サイトの向こうにはリアルにお客様がいます

やるべきことが定まったら、日ごと、週ごと、月ごとのTODOを粛々と実践していくのです。そうすることで、様々なデータがお客様の様子を伝えてくれます。

サイト管理は地道な作業の積み重ねですが、数字に努力の結果が見えてくると、どんどん楽しくなってきます。

ウェブ解析で重要な4つの機能

ウェブ解析で重要な4つの機能
それでは、具体的にウェブ解析を進める上で知っておくべき4つの機能をご紹介します。この4つの機能を理解することがアクセス解析の基本です。

1.ディメンション

ディメンションは、日別や週別などのデータを集計する時や分析する時の切り口、いわば項目のことです。

たとえば、性年齢などのデモグラフィックからPCやスマートフォンなどのデバイス、ビジネスによっては会員と非会員の違いなどがあります。

2.メトリクス

メトリクスとはデータ指標のことです。たとえば、ページビュー数・直帰率・離脱率などがあります。

ディメンションで設定した項目とかけ合わせ、メトリクスをチェックすることでウェブ解析の精度を高めます。

3.フィルタ

セグメントとは、特定の条件に合致するデータだけを含めたり、または除外して集計するための機能です。

たとえば、コラムページのみを表示する、直帰率60%以上のみを絞り込むことなどができます。フィルタには、データを収集するための除外をルールできるものや、収集したデータを表示しないアドバンストフィルタがあります。

4.セグメント

セグメントとは、閲覧しているデータをある特定条件で絞り込んで集計したり、閲覧するための機能です。

たとえば、滞在時間3分以上のユーザーだけ条件を絞りこんで行動分析をしたり、ある時間帯に訪問したユーザーのサイト内行動だけを解析することもできます。

ウェブ解析で最低限知っておくべき指標15選

ウェブ解析で最低限知っておくべき指標15選

つぎに、ウェブ解析を行なう上で絶対に知っておくべき指標15個をご紹介します。

セッション数

セッションとは、ウェブサイトに訪問したユーザーが離脱するまでの一連の行動を指します。セッション数はその数になり、訪問数や訪問回数とも呼ばれます。

新規セッション率

新規セッション率は、全セッションの中で初めて訪問したユーザーの割合のことです。

計測期間の中で、リピーターのユーザーが多いのか、それとも新規ユーザーが多いのかなどを把握するのに用います。

計算方法
新規セッション率=新規ユーザーセッション数÷全セッション数

ページビュー数

ページビュー数は、ページが閲覧された数のことでPV数ともいわれます。

ページビュー数はウェブサイトの一つの指標として用いられ、ベージビュー数が高いほど媒体力があるメディアとされています。

ユーザー数

ユーザー数は一定期間の間、ウェブサイトなどに訪れたユーザーの数です。

たとえば、解析期間が1カ月だった場合、1カ月の間に5度ユーザーが訪れた場合セッション数は5ですが、ユーザー数は1となります。

実際にどれだけのユーザーが閲覧しているのかなどを把握するために活用します。

直帰数・直帰率

直帰とは、サイトに訪問したが他のページを見ずにサイトから離脱したという意味です。

たとえば、バナーをふんでランディングページに訪れても、ほかのページを訪れずにウェブブラウザを閉じた場合などが直帰に当てはまります。

一定期間に直帰したユーザー数が直帰数となります。

また、全直帰数を全セッション数から割った割合が直帰率です。

計算方法
直帰率=全直帰数÷全セッション数

1ページで情報を伝えるランディングページの場合を除き、多くのウェブサイトではサイト内に滞在してもらう方がメリットになります。

そのため、直帰率が高いということは大きな課題になるのです。

離脱数・離脱率

離脱率はウェブサイトからウェブブラウザを閉じたり、ウェブサイトから離れた数をページビュー数で割った比率です。

ウェブサイト内のページで比較することによって活用します。

たとえば、お問い合わせページなどの最終的に到達すべきページで離脱率が高ければ問題ないですが、あるページだけ高かった場合、サイト内の導線が悪かったり、サイト内のコンテンツが良くない可能性があります。

計算方法
離脱率=離脱数÷ページビュー数

滞在時間

滞在時間とは、ユーザーがサイト内を滞在している時間のことです。

たとえば、読み物コンテンツや動画があるのに滞在時間が短いとしっかりコンテンツが読まれていなかったり、見られていない可能性があります。

コンバージョン数

コンバージョン数とは、デジタルマーケティングの目的を達成した数です。

コンバージョン数は企業によって異なり、ウェブサイトを通した注文の数や資料請求数などがあります。

コンバージョン数は、企業のビジネスやマーケティングの目的に直結する内容でもあるため、しっかり規定することが重要です。

インプレッション数

インプレッション数とは、ウェブ広告配信に利用する指標で、広告が表示された回数のことであり、Impなどと表現します。

クリックなどをされなくても、ユーザーに表示された数を数えます。

リーチ数

リーチ数とは、広告を表示したユーザーの数です。同じ広告を2回表示した場合でもリーチ数は1とカウントされます。

クリック数

クリック数とは、バナーやリンクがクリックされた数を指します。

CTR

CTRとは、Click Through Rateの略であり、バナーが表示された回数のうち、クリックされた数を指します。

計算方法
CTR=クリック数÷インプレッション数

広告の場合は一般的にインプレッション数を活用しますが、メディアモデルではリーチ数を用いる場合もあるため、どのような場合に活用するのかを必ず確認するようにしましょう。

CPA

CPAとは、Cost per Acqustionの略であり、コンバージョンとして設定した商品注文や会員登録などの利益につながる成果を1件獲得するのに費やしたコストのことです。

たとえば、会員登録のために広告キャンペーンを行った場合、ある期間に費やしたコストを獲得したコンバージョンの数で割って算出します。

計算方法
CPA=費やしたコスト÷コンバージョン数

エンゲージメント率

エンゲージメント率とは、ソーシャルメディアに関する指標であり、SNSでのリーチ数のうち、ユーザーがいいねなどのアクションを行った割合のことです。

SNSなどのメディアによってエンゲージメントのルールが違うため、それぞれのルールを確認しておきましょう。

CPAを指標とした広告効果検証の落とし穴

コンバージョン1件を獲得するために費やしたコストを示す「CPA」は、広告運用の目安となる重要な指標です。

数値が低ければ低いほど効率よく広告運用ができている…そのような認識のままでは、売上アップの機会を逃してしまっているかもしれません。

あるECサイト責任者が陥った失敗例をご紹介します。

リスティング広告運用の代理店に、これまでよりも目標CPAを大幅に下げた運用を依頼したところ、「CPA」は下がりましたが数カ月後には全体的な売上がダウンしました。

実は「CPA」が下がるような広告に予算をかけた結果、広告経由の新規顧客が激減していたのです。リピート顧客による「商品名」や「企業名」のキーワードからのコンバージョンや、リピート顧客へ再来を促すディスプレイ広告に偏っていたためです。

新規顧客の購入が減ると、当然その顧客がリピートしたかもしれない2回目・3回目の購入もありません。CPAに振り回されてしまった今回のような例は、意外とよくある話です。

新規顧客が1人増えることによって、この先どれだけの購入が見込めるのか。

直近の売上だけではなく、1人のお客様が商品にかける金額の総額「LTV(ライフタイムバリュー)」や商品ごとの「リピート率」なども参考にしながらCPAを最適化していくことが理想的です。

まとめ

多くのビジネスがデジタル化してきたことによって、ウェブ解析の役割はより重要となってきています。

そのため、ウェブやデジタルの知識だけではなく、ビジネスやマーケティングなどの知識の取得も必要となってきています。

今回は代表的な指標をご紹介しましたが、ウェブ解析を進める上で様々な指標があります。これからウェブ解析を進める方は、まず指標から学んでみてはいかがでしょうか。

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(監修: ウェブ解析士協会
(編集: 創業手帳編集部)

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