自分の興味を追求せよ!Visa安渕社長が語る「成功のための秘訣」

創業手帳

ビザ・ワールドワイド・ジャパン 代表取締役社長 安渕 聖司インタビュー(後編)

(2019/01/15更新)

世界規模のペイメントテクノロジーを提供する、ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社の安渕聖司社長。
前編では、Visaが先導する日本のキャッシュレス化の未来について、実現に必要な3つのポイントとイノベーションの可能性を語っていただきました。

後編では、安渕氏の国内外での様々なキャリア経験から見出した、成功の秘訣や起業家に必要な考え方について、創業手帳 代表の大久保が伺いました。

前編はこちら→日本政府の目指す2025年までに現在の2倍のキャッシュレス化へ Visa安渕社長が見つめる「デジタル決済」の未来

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安渕 聖司(やすぶち せいじ)プロフィール
1979年三菱商事入社。1999年、米投資ファンド、リップルウッドの日本法人立ち上げに参画。2001年、UBS証券入社。2006年、GEコマーシャル・ファイナンス・アジアに上級副社長として入社。2007年、GEコマーシャル・ファイナンス・ジャパン社長兼CEOに就任。2009年、GEキャピタル社長兼CEOに就任。2010年、組織改編により日本GE代表取締役、GEキャピタル社長兼CEOに就任。2016年の事業売却により三井住友ファイナンス&リースの傘下に入り、SMFLキャピタル代表取締役社長兼務CEOに就任。2017年4月より、ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 代表取締役に就任。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社の母子手帳、創業手帳を考案。2014年にビズシード社(現:創業手帳)創業。ユニークなビジネスモデルを成功させ、累計100万部を超える。内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学、官公庁などでの講義も600回以上行っている。

「社会をよくしたい」起業家の助けに

大久保:これまで培われたノウハウを起業家や社会起業家の方々に教える機会も多いと思いますが、そういったご支援のほとんどは、個人でされているのでしょうか?

安渕:個人ですね。結局社会起業家もビジネスの起業家も、人が気付かない視点に気付いて、そこに改革のチャンスを見出している人が多いと思います。なかには「宇宙に流れ星をつくりたい」なんて最新のアイデアを提供してくれる人もいますが、そういう話を交わすことで人間的にも豊かになれますよね。
「社会をよくしたい!」という共通の思いさえあれば、相談にものりますし、支援だってします。

大久保:支援や相談については、具体的には問題解決とか、発想についてでしょうか?

安渕:そうですね。たとえば社会起業家で、ひとつのアイデアを中心に物事を作っていく人は多いですが、それが根本的な原因ではない場合も多いです。

例えば、ホームレスを支援するとき、ホームレスになったのは結果であり、ホームレスにならないための仕組みを作ることが重要なわけです。そうやって、私の仕事は、彼らの視点を引き上げることが目的です。お互いの対話や活動を通して、私にも新しい「気付き」が見えてきますしね。

大久保:安渕さんにもそんな気付きがあるのですか?

安渕:ええ。社会にはいろいろな問題があって、その一つが子供の貧困問題です。
KIDS’ DOOR(キッズドア)という10年以上も子供を支援している団体があるのですが、そういう社会問題に取り組んでいる人たちと話していくうちに、そこから学ぶことは多いです。

他にも、Teach For Japan(ティーチ・フォー・ジャパン)という団体があります。
その団体は、貧困が原因で教育が難しいエリアに大学生などの若い人を先生として送りこんで、教育をするという活動をしています。
家庭の貧困などによって子供たちが教育を受けられずに、生活が荒れてしまうのはよくある話です。そこには十分なリソースがないからなど、いくつかの問題が考えられますが、「まずは先生というリソースを新たに投入することで教育現場が改善できるのでは?」という気付きがあったわけです。

大久保:まずは「問題選択」からしてみて、それを一個やると解決していくといった感じでしょうか?

安渕問題自体はたくさんあるわけですが、「まずはここをやると半分以上が解決する」といった解決策の見通しをつけることが大切です。それによって、新たな気付きが出てきます。

例えば、私が支援しているダイアログ・イン・ザ・ダークというところは、日常生活を暗闇の中で体験するエンターテイメント型ワークショップを行なっています。
健常者がいざ真っ暗闇に入ると、いかに日頃から視覚に頼っていたのかがよくわかります。しかし、全盲の方は声を聴いただけで、誰がどこにいるのがわかります。視覚に障がいがあるというマイナスの見方ではなく、健常者以上に聴覚がものすごく長けているというプラスの気付きが生まれるわけです。

会社には「組織」の問題があって、「人」の問題があり、さらにそのなかには様々な問題があるわけです。それらの一つ一つの問題を解決していくことが、平等に能力を発揮するための職場づくりにつながることだと思っています。

【関連記事はこちら】ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表 志村真介氏・季世恵氏インタビュー
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」はなぜ「暗闇の企業研修」を始めたのか

成功の秘訣は、「自分の興味を追求すること」

大久保:安渕さんは、日本企業での役員経験や海外留学経験など様々なキャリアがありますが、20代~30代の読者の方がキャリア形成の上でするべきことをぜひ教えてください。

安渕:「仕事は仕事」として割りきってやることも大切ですが、自分の興味や関心があることを常に並行的に追求することが大事だと思います。

例えば、私が商社で先物取引をやっていたのですが、事務的作業なのでとくにエキサイティングな仕事ではなかったわけです。しかし、先物取引に興味をもって自分なりにたくさんの本を読んで勉強しました。それが、金融業界に転職したときにものすごく役に立ちました。他にも、早期のコンピューターが出たときは、会社に表計算ソフトを導入したいと相談して、会社を巻き込みながら自分の興味を仕事へと結びつけていきましたね。

仕事とはまったく違う分野で役に立ったものといえば、歌舞伎ですね。投資銀行時代に、ある有名な経営者の方と、海外でご一緒する機会に恵まれました。経営者の方は、最初は「投資銀行の人間なんて、教養のない人なのでは?」なんて思っていたのかもしれませんね(笑)。

しかし、私が歌舞伎にかなり詳しいことがわかると、次第に見る目が変わっていって、その後のビジネスは随分うまくいったことを覚えています。

ビジネスと関係なければやらないということではなく、自分の興味に対して自由に時間を使っていただきたいと思います。そうしたものをどこかで掛け算できるとやはり面白いですよね。

大久保:自分から会社を巻き込むって、プロジェクトに近いものがありますよね?

安渕:ええ。「会社はわかってくれない…」なんて嘆く人たちも多いですが、まずは少人数でいいので勉強会をやることが先決です。最終的に理解してくれそうな上司をつかまえて、「僕たちこんな面白い勉強会やっています!」と巻き込んでいく。

まずはいくつもアイデアを見ることが大事です。起業しようとする人は、ある日突然「今日から起業しよう!」なんてことはあり得ないわけです。いろいろな人やものを観察して、「このサービスはだめだから、もっとこうしよう」などと考えることから始まります。

大久保:先物取引や表計算ソフトの話もそうですが、新しいことをやった経験が間接的に自分の土壌や能力の土台にもなってくれることは、けっこうありますよね。

安渕:ええ。なにかを見たときに、「これはひょっとしたら面白いかも」と思うか、「新しいものは絶対に無理」と思うかで、その人の人生が大きく分かれると思います。私の場合、新しいものを自分で触ってみたという過去の「経験」がものすごく活きてくる気がしますね。

大久保:歌舞伎のお話のように、経済と直接関係がないことでも、そういう文化的なことを経験してみることで、「人」としては広がりそうですね。

安渕:そうですね。結局、演劇は「人」を描いているものがほとんどです。経済書だけ読んでいても、人間心理まではわからないですからね。

最近は、セールスのトレーニングでも、けっこう演劇ベースのものがふえています。そのなかに、即興演劇をする“インプロ”という分野があるのですが、これはお客さまの言ったことを否定せずに、理解しながら次のトークにつなげていくというトレーニングです。最近はこれがすごく流行っていて、実際にビジネスの現場で役に立ちます。

迷った時は、お客様の視点に戻ろう

大久保:これから起業しようとしている人や起業したばかりの人に、伝えたいアドバイスはありますか?

安渕迷ったときには、一度お客さまの視点に戻ることが大切です。テクノロジーを中心に物事を考えすぎてしまうと、間違えてしまうときがあります。テクノロジーの可能性は大きいですが、どれもお客さまの役に立たないと生き残らないわけです。

また、組織のトップは常により大きな夢を描きつづけることが大事だと思います。「もうここまでできたからいいや」じゃなくて、「あそこに行けるといいと思わない?」という話をし続けることが大事ですね。

大久保:夢に近づいてきたら、次のものを見つけるということですね。

安渕:ええ。常にイノベーターの視点で突き詰めていって、新しい目標をつくっていってほしいですね。

(取材協力:ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社 代表取締役 安渕 聖司)
(編集:創業手帳編集部)

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