商標登録を検索する方法は?調べ方や注意点、おすすめのサービスなどを紹介

創業手帳

商品・サービスのロゴやネーミングは他社に商標登録されていないか調査してから使用しましょう!


商品・サービスに使うロゴやネーミングを考えたら、既存の登録商標とかぶっていないか検索するのがおすすめです。他社の登録商標を勝手に使用すると、法的なトラブルに発展する恐れもあるので気をつけましょう。

今回は、商標登録を検索する方法を、注意点やおすすめのサイトなども含めて紹介します。新しい事業を円滑に進めたい人、自ら考えた商品やサービスの権利を守りたい人などは、ぜひ以下を参考にしてください。

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商標登録の検索とは


商標登録の検索とは、商品・サービスに使用したいロゴやネーミングの商標権を他人が持っていないか調べることです。「商標調査」とも呼ばれます。

商標を検索した結果、誰の登録商標でもなかった場合には、そのロゴやネーミングを自由にビジネスに利用可能です。また自ら商標登録をし、ロゴやネーミングを独占的に使用する権利(商標権)も得られます

一方、すでに他人の登録商標となっていた場合、そのロゴやネーミングは使えません。勝手に使用し、商標権者の権利を侵害してしまうと、使用差止請求や損害賠償請求をされる恐れがあります。

以上より、他事業者とのトラブルを避け、事業をスムーズに進めるためにも、商標の検索および商標登録は必要です。商標登録の概要やメリットなどについては、以下の記事もぜひご覧ください。

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商標登録のメリットとは?しない場合の問題点やデメリット、必要ないケースも紹介

商標登録を検索する方法

以下では特許庁のWebページ「商標を検索してみましょう」を参考に、商標登録の検索方法を3つ紹介します。いずれも無料ですぐ実行できる仕方なので、ぜひお試しください。

なお、検索には「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」を用います。ほかのツールで検索する場合は、各ツールのマニュアル等で使用方法を確認しましょう。

同一の商標がないか簡易検索する


まずは最も手軽な簡易検索の方法をお伝えします。簡易検索は「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」のトップページで行えます。

やり方は「商標」にチェックを入れ、検索ボックスに調べたい商標を入力して「検索」ボタンをクリックするだけす。これで同一の商標がすでに登録されていないかを調べられます。

例えば「創業手帳」で検索すると、創業手帳株式会社が権利を有する登録商標が上記のようにずらりと出てきます。この場合、少なくとも登録されている区分に関しては、「創業手帳」を新たに商標登録することはできません・

このように簡易検索では手っ取り早く登録商標を検索できるため、まずはこの方法を試すのがおすすめです。

読み方が類似する商標を検索する

続いて読み方が類似する商標まで検索する「呼称(類似検索)」の方法を紹介します。商標権の効力は、同一の商標だけでなく類似の商標にも及ぶため、似たロゴやネーミングが登録されていないか調べることも重要です。

類似検索の手順ですが、まずは画面右上で「商標」→「商標検索」の順にクリックしてください。

続いて「呼称(類似検索)」の欄に、調べたい商標の読み方を全角カタカナで入力して検索しましょう。「創業手帳」の読み方は「ソーギョーテチョウ」ですが、類似検索では「ソウギョウテチョウ」「ソーギョーシャテチョウ」「ソージョーテチョウ」などでもヒットします。

同じ文字を含む商標を検索する

特定の文字を含む商標を検索する場合は、「商標(検索用)」を用います。

先ほどと同様、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の画面右上から「商標検索」のページを開き、「商標(検索用)」の検索欄に調べたい文字を入力しましょう。なお、この検索ではひらがな・カタカナ・漢字はそれぞれ別の文字として認識されるのでご注意ください。

「商標(検索用)」は、商標登録に向けた商標調査にはもちろん、ロゴやネーミングのブランディングを考えるうえでも有用です。例えば、特徴的なキーワード(「創業手帳」なら「手帳」など)がすでに広く使われていた場合、ほかの商品名やサービス名、屋号を考えたほうが良いかもしれません。

商標登録の検索に関する注意点


商標登録を検索する際は、以下の3点にご注意ください。

登録済みでも区分が違えば申請可能

商標登録では、商標(ロゴやネーミング)と商品・サービスをセットで考えます。そのため、すでに登録された商標でも、使用する商品やサービスが全く異なる場合には、新たに登録できる可能性があります

商標と商品・サービスの結びつきを示すのが、商標登録の「区分」です。下記の通り、区分ごとに対応する商品・サービス、つまりは商標権の効力が及ぶ範囲が定められています。

第1類 化学品,工業用のり及び接着剤,植物成長調整剤類ほか
第2類 カナダバルサム,コパール,サンダラックほか
第3類 家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤ほか
第4類 固形潤滑剤,靴油,保革油ほか
第5類 薬剤,医療用試験紙,医療用油紙ほか
第6類 鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,金属鉱石ほか
第7類 金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具ほか
第8類 ピンセット,組ひも機(手持工具に当たるものに限る。),人力織機ほか
第9類 潜水用耳栓,検卵器,青写真複写機ほか
第10類 医療用指サック,衛生マスク,おしゃぶりほか
第11類 便所ユニット,浴室ユニット,化学製品製造用乾燥装置ほか
第12類 牽引車,荷役用索道,陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。)ほか
第13類 銃砲,銃砲弾,火薬ほか
第14類 貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダーほか
第15類 調律機,楽器,楽譜台ほか
第16類 事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテルほか
第17類 雲母,ゴム製又はバルカンファイバー製のバルブ(機械要素に当たるものを 除く。),ガスケットほか
第18類 蹄鉄,レザークロス,皮革ほか
第19類 タール,ピッチ,建築用又は構築用の非金属鉱物ほか
第20類 海泡石,こはく,荷役用パレット(金属製のものを除く。)ほか
第21類 デンタルフロス,ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),かいばおけほか
第22類 落石防止網(金属製のものを除く。),船舶用オーニング,ターポリンほか
第23類
第24類 織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布ほか
第25類 被服,ガーター,靴下留めほか
第26類 漁網製作用杼,電気式ヘアカーラー,針類(ミシン針を除く。)ほか
第27類 洗い場用マット,畳類,敷物ほか
第28類 遊園地用機械器具,ペット用おもちゃ,おもちゃほか
第29類 菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限 る。),食用油脂,乳製品ほか
第30類 アイスクリーム用凝固剤,ホイップクリーム用安定剤,料理用食肉軟化剤ほか
第31類 生花の花輪,釣り用餌,ホップ,ほか
第32類 ビール,清涼飲料,果実飲料ほか
第33類 清酒,焼酎,合成清酒ほか
第34類 たばこ,電子たばこ,喫煙用具ほか
第35類 広告業,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言ほか
第36類 預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入 れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引ほか
第37類 建設工事,建設工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備ほか
第38類 電気通信,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリそ の他の通信機器の貸与
第39類 鉄道による輸送,車両による輸送,道路情報の提供ほか
第40類 除染,布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫ほか
第41類 当せん金付証票の発売,録音又は録画済み記録媒体の複製,技芸・スポーツ 又は知識の教授ほか
第42類 気象情報の提供,建築物の設計,測量ほか
第43類 宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供ほか
第44類 美容,理容,入浴施設の提供ほか
第45類 金庫の貸与,着物の着付け,ファッション情報の提供ほか

出典:特許庁「各区分の代表的な商品・役務」
※各分類の事例を3つずつ抜粋。全事例は原典でご確認ください。

商標登録は、上記の区分ごとに行います。区分が違えば登録できる余地があるため、「検索にヒットしたから登録できない」と早合点しないように気をつけましょう。また商標登録をする際は、使用する全区分をもれなく申請しておくのが安全です。

類似している商標は登録できない

商標登録の効力は、同一の商標および商品・役務だけでなく、よく似ているものにも及びます。そのため、商標登録の検索は、類似の商標および商品・役務も含めて広範囲に行わなければなりません

前項との関連でいうと、商標が似ていても、使用する商品やサービスが似ていなければ、商標登録できる可能性があります。例えば、「創業者の手帳」という商標でWebメディアを立ち上げることはできませんが、手帳を販売することはできるかもしれません。

なお、商標を検索する際に、商品・役務の類似性を判断する材料になるのが「類似群コード」です。下記のように、各区分の中の小分類として類似群コードが定められています。

【商品の類似群コード例】

  • 第16類 書籍(26A01)
  • 第24類 タオル(17B01)

【役務の類似群コード例】

  • 第41類 技芸・スポーツ又は知識の教授(41A01)
  • 第44類 医業(42V02)

出典:特許庁「日本における『類似群コード』について」
※類似群コードは区分のもとに設定されますが、区分をまたぐ類似群コードも多数あります。ex. 「第14類 宝石箱(20A01)」と「第20類 家具(20A01)」

商標登録の審査において、同じ類似群コードが付された商標は、原則としてお互いに類似するものと考えられます

商品・役務の類似審査に関するさらなる詳細は、特許庁ホームページの「類似商品・役務審査基準」でご確認ください。

出願公開されていない商標は検索できない

商標登録を出願すると、原則として出願日から2、3週間後に出願内容が一般公開されます。出願が公開された商標については、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)等で検索可能です。

裏を返せば、出願から2、3週間が経っていない商標は、特許庁のデータベースに載っていないということになります。よって、同一ないし類似の商標を最近出願した人がほかにいた場合、商標登録が認められない可能性があります。

もし商標の検索から出願までに日がある場合は、出願の直前に再度検索するのが良いでしょう。同一ないし類似の商標を新たに検知した場合、商標登録は難しくなりますが、無駄な出願コストを払わなくてすみます。

商標登録の検索におすすめのサイト10選

以下では、商標登録の検索に便利なサイトを10種類紹介します。それぞれで機能性や費用などが異なるため、自分に合ったサイトをお試しください。

1. 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)【無料】

出典:特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)

商標を検索する際に定番のサイトは、特許庁の関連組織が運営する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)です。トップページで手軽に簡易検索ができるほか、類似検索や区分・類似群コードを指定した詳細な検索も実行できます。

マニュアルや操作説明動画なども含めて無料で閲覧できるため、まずはこのサイトから使ってみるのがおすすめです。

2. Toreru商標検索【無料】

出典:Toreru商標検索公式サイト

Toreru商標検索は、誰でも簡単に簡易検索ができる無料サイトです。商標名や読み方を入力すると、類似の商標も含めて一括検索できます。

権利者情報や存続期間をはじめとする詳細情報もまとめて見られるので便利です。暗号化されたSSL検索を採用しており、プライバシーの保護という面で十分な信頼性もあります。

3. Amazing DX【無料】

出典:Amazing DX公式サイト

Amazing DXでは、商標と読み仮名を入力し、商品・サービスを選択するだけで簡単に商標を検索できます。区分や類似群コードではなく、商品・サービスの名称で検索できるため、専門知識がなくても確度の高い検索が可能です。

またガイドやライブチャットなど、使用方法に関するサポートも充実しているため、初心者に良いでしょう。商標の検索後、そのままオンラインで商標出願手続きを有料で依頼することもできます。

4. Cotobox【無料】

出典:Cotobox公式サイト

Cotoboxは、40,000社以上の企業・大学が利用するオンライン商標登録サービス。AI技術も活用した商標検索を無料で利用できます

料金や時間も確認しながらスムーズに商標出願まで進めるため、商標登録に有料サービスを活用しようとお考えの人に向いています。

5. Global Brand Database【無料】

出典:Global Brand Database

Global Brand Databaseは、世界各国の登録商標を横断的に一括検索できるサイトです。海外展開を考えている人、外国資本の算入が予想される分野で起業する人などに向いています。
ちなみに商標権には属地主義が採用されており、効力が及ぶ範囲は各国の内部に限定されます。海外で商標を使用する際は、各国の商標検索・商標登録をしないと、紛争に発展する恐れがあるのでご注意ください。

6. あるなし!?商標検索【無料】

出典:iRify国際特許事務所公式サイト

あるなし!?商標検索は、国際特許事務所のスタッフが商標の簡易検索を無料で代行してくれるサイトです。使用する商標と商品・サービスを送信すれば、調査結果がメールで通知されます。

また無料の電話相談も受け付けており、特許庁への商標登録出願について特許事務所の担当者から詳しい話を聞くことも可能です。

7. Toreru 調査【有料】

出典:Toreru 調査公式サイト

Toreru 調査は、弁理士が詳しい商標調査を代行してくれるサービスです。商標の識別性や類似性などを調査し、登録可能性のランク判定やリスクを洗い出したわかりやすい報告書が作成されます。

また担当弁理士による電話でのヒアリングサービスもあり、商標登録に関する不安や疑問の相談もできます。料金は商標1件につき、10,780円です。

8. Brand Mark Search【有料】

出典:日本パテントデータサービス株式会社公式サイト

Brand Mark Searchは、本格的な商標調査の検索項目を誰でも簡単に利用できる月額制のサービスです。特許庁の審査経過情報や登録後に権利消滅した案件の情報もデータベースに収録されており、正確かつ詳細な検索が行えます。

月額5,000円〜の固定料金制なので、商品・サービスを続々と開発する場合など、検索する商標が多いケースにもおすすめです。

9. InterMark 類似商標検索システム【有料】

出典:InterMark公式サイト

InterMark 類似商標検索システムは、J-PlatPatよりも高い精度で類似検索ができるシステムです。審決データに基づく発音の類似度合いを数値で確認できるほか、過去に出願拒絶となった商標とその拒絶理由も見られます。

1ヶ月の無料トライアルがあるため、J-PlatPatの検索で物足りなさを感じた際などに気軽に試してみると良いでしょう。

10. INFOSONAR【有料】

出典:INFOSONAR公式サイト

INFOSONAR(インフォソナー)は、オンラインで使える独自の商標データベースと、それを用いた商標検索の代行サービスを提供しています。類似度の高い出願・登録商標をリストアップできるため、商標登録やブランディングに役立ちます。

データベースの利用料は、商標1つにつき550円ないし定額制なら月額44,000円ですが、無料でお試しすることも可能です。

まとめ

商標登録の検索は、他社との法的な紛争を避けるために必要です。また新たに商標登録をして自社の商品・サービスにまつわる権利を守ったり、ブランディングを考えたりするのにも役立ちます。

これまで商標にあまり注目してこなかった人も、これを機会にぜひ商標を検索してみてください。もし検索した商標がまだ登録されていなければ、商標出願をして権利を独占するのもおすすめです。

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(編集:創業手帳編集部)

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