サブスク料金を経費処理する際の仕訳はどの勘定科目?具体例などを徹底解説!

創業手帳

サブスクの仕訳での勘定科目は、サービス内容や支払期間によって異なる


サブスクとは「サブスクリプション」の略称で、継続購入や定期購読といった意味になります。
決まった金額を定期的に支払うことでサービスやコンテンツ、商品を一定期間利用できるビジネスモデルです。

今回は、事業でサブスクを利用している場合、経費処理はどのようにすれば良いのか、具体例を交えながら解説します。
どの勘定科目で仕訳すれば良いのか知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

なお、以下の記事ではサブスクの始め方やメリット・デメリットについて解説しているので、サブスクについて知りたい方はこちらも参考にしてください。

サブスクの始め方やメリットについて、詳しくはこちらの記事を>>
サブスクリプションサービスの始め方やメリット・デメリットを紹介

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そもそもサブスクは経費に計上できる?


結論からいえば、サブスクを経費計上することは可能です。
サブスクという言葉をよく耳にするようになったのは比較的最近ですが、もともとは雑誌や新聞などの定期購読を指す言葉です。

雑誌や新聞の購入費用を経費にできるように、事業のために活用したサービスを経費計上しても問題はありません。
したがって、ホームページ制作や管理費用、自動車リースなど、いずれも事業で使うものであれば確定申告の際に経費として申告できます。

事業で活用されるサブスクサービスと勘定科目例


サブスク料金は、利用するサービスや商品によって勘定科目が異なります。以下では、事業で活用されることが多いサブスクサービスの特徴や勘定科目の例をご紹介します。

ソフトウェア・クラウドサービス

ソフトウェア・クラウドサービスのサブスクは、近年増加しています。サービスの特徴や勘定科目の例をご紹介します。

サービスの特徴

ソフトウェア・クラウドサービスのサブスクには、月単位で更新できる、常に最新バーションを使える、解約時の負担が少ないといった特徴があります。
例えば、事務作業に欠かせないMicrosoftのOfficeにはExcelやWordの買い切り型に加え、サブスクサービスも提供しています。

サブスクサービスでは、クラウド上で保存できるほか、個人・法人向けプランから選べるようになっており、アプリを使えばスマートフォンから使用することも可能です。
クラウドサービスを利用することで、活用の幅が広がります。

分類される勘定科目の例

ソフトウェア・クラウドサービスのサブスク費用は、通信費で仕訳します。ただし、利用料金をまとめて支払う場合、一括計上できるのは今年度分のみです。
翌年以降の処理方法については、後ほど詳しく解説します。

クラウドサービスの利用料6,000円を、通信費として現金で支払った場合の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
通信費 ¥6,000 前払費用 ¥6,000

音楽・イラスト・動画配信サービス

定額料金を支払うことで、対象の音楽やイラスト、動画を好きなだけ見たり聴いたりできるサービスです。以下では、特徴や勘定科目の例をご紹介します。

サービスの特徴

音楽やイラスト、動画配信サービスでは、毎月一定の金額を支払うことで、パソコンやタブレットからデジタルコンテンツを自由に利用できます。
店舗でBGMとして音楽をかけたり、お客様に動画を視聴してもらったりするなどの使い方が可能です。

分類される勘定科目の例

基本的に音楽・イラスト・動画配信サービスのサブスク料金は、支払手数料として計上します。
動画配信サービスのサブスク料金を現金で支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方 貸方
支払手数料 ¥5,000 現金 ¥5,000

ただし、これはあくまでも一般的な例です。必ず支払手数料で処理する必要はなく、消耗品費として計上することもできます。
大切なのは、同じ勘定科目を継続的に使い記帳することです。

書籍配信サービス

定額料金を支払えば漫画や雑誌、小説などのデジタルコンテンツを自由に読める書籍配信サービスについて、特徴や仕訳例を解説します。

サービスの特徴

書籍配信サービスでは、一定料金を支払うことで漫画・雑誌・小説などのデジタルコンテンツを閲覧することが可能です。
法人向けのサービスでは対応している書籍を何度でも閲覧できるため、美容室やホテル、店舗など不特定多数の人が利用する施設で利用されています。

書籍配信サービスのサブスクを利用すれば、毎月多くの雑誌や漫画を購入する手間やコストを省けるほか、一人ひとりの好みに合った書籍を提供できます。

分類される勘定科目の例

書籍配信サービスの利用料金は、支払手数料の勘定科目で計上します。現金で支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方 貸方
支払手数料 ¥3,000 現金 ¥3,000

使用する勘定科目について特に決まりはないため、支払手数料以外にも新聞図書費や消耗品費の科目で計上することも可能です。

自動車のリース・レンタル

事業で使う自動車のリースやレンタルをする場合、かかった料金を経費として計上することも可能です。
ここでは、自動車のリース・レンタルサービスの特徴や勘定科目の例をご紹介します。

サービスの特徴

自動車のリース・レンタルサービスは、車を購入するのではなく、定額料金を支払うことで利用できるサービスです。
リース・レンタルサービスでは、車の点検や整備はすべてリース会社に任せられる点がメリットです。

また、整備や点検、維持にかかる費用も含まれています。月々の支払額が一定になるため資金計画が立てやすく、経費管理にかかる手間やコストを削減できる点が特徴です。
ただし、利用には審査があり、法人契約の場合は決算書や確定申告などの書類を求められることがあります。

分類される勘定科目の例

自動車のリース・レンタルサービスを利用した場合リースはリース料、レンタルは賃貸料の勘定科目を使うのが一般的です。
なお、レンタカーの場合は旅費交通費として処理することもあります。

自動車のレンタル代を現金で支払った場合の仕訳例

借方 貸方
賃貸料 ¥10,000 現金 ¥10,000

リース代を現金で支払った場合の仕訳例

借方 貸方
リース料 ¥10,000 現金 ¥10,000

どちらも料金の支払い時に仕訳を行います。また、リースした自動車は資産とは考えないため、減価償却をする必要はありません。

ワークスペースの利用

全国にあるシェアオフィスやコワーキングスペースを自由に使えるサブスクサービスもあります。ここでは、ワークスペースのサブスクの特徴や仕訳例をご紹介します。

サービスの特徴

コワーキングスペースなどのサブスクを利用すれば、全国にあるワークスペースを使い、自由に働くことが可能です。
共有型のワークスペースの場合、複数の企業や個人がシェアして使うため、通常のオフィスに比べて月額料金を抑えることができます。

また、Wi-Fiやプリンターなどの設備が充実している施設を利用すれば費用も抑えられるため、コストの削減効果も期待できます。
法人登記ができるところもあるので、自宅以外の住所で登記したい方にもおすすめです。

分類される勘定科目の例

ワークスペースのサブスク料金は地代家賃の勘定科目を使用します。月契約や年契約など継続利用する場合、固定費として考えるためです。
地代家賃とは、オフィスや工場、倉庫などの家賃や駐車場などの利用を仕訳する際にも使われる勘定科目です。

借方 貸方
地代家賃 ¥10,000 現金 ¥10,000

オフィスに設置した飲料類やドリンクサーバー

福利厚生の一環として、オフィスに飲料類やドリンクサーバーを設置するサブスクサービスもあります。
ここでは、ドリンクサーバーなどのサブスクの特徴や勘定科目をご紹介します。

サービスの特徴

サブスクサービスを利用し、ドリンクサーバーを職場に導入することも可能です。
ドリンクサーバーを社内に設置すれば、従業員はわざわざ自分で飲み物を購入したり自宅から持参したりしなくても、いつでも手軽に様々な飲み物を楽しめます。

また、ドリンクサーバーのそばに休憩スペースを設ければ、従業員のコミュニケーションを促進する効果も期待できます。
サブスクサービスなら月々定額で利用できるため、初期費用を抑えられる点がメリットです。

分類される勘定科目の例

ドリンクサーバーの勘定科目は、福利厚生の一環なら福利厚生費として計上できます。
また、来客者用であれば接待交際費としても計上できるほか、リース料や消耗品費で仕訳することも可能です。
誰のために使用するのか、目的に合わせて該当する科目を使用してください。

借方 貸方
福利厚生費 ¥10,000 現金 ¥10,000

サブスクの支払い期間で異なる勘定科目と会計処理


サブスクの勘定科目は、支払い期間や用途に応じて異なります。以下では、支払い期間ごとの会計処理について解説します。

月額で支払う場合

毎月定額料金を支払うサブスクの場合、クラウドサービスの利用料であれば通信費、動画配信サービス利用料であれば支払手数料といった具合に、支払いの都度・用途に応じた勘定科目で会計処理を行います。
利用するサブスクサービスによって勘定科目は変わりますが、基本的な会計処理は同じです。

・ソフトウェアの月額利用料金

借方 貸方
通信費 ¥10,000 現金 ¥10,000

・ライセンス使用料の月額料金

借方 貸方
支払手数料 ¥10,000 現金 ¥10,000

支払方法が預金であれば、貸方科目も預金に変わります。

数カ月~1年以内で支払う場合

1年以内の費用であれば、利用時にサブスク料金を経費計上が可能です。
サブスクサービスの中には、3カ月コース・6カ月コースのように期間が1年以内の契約もあります。
翌年に持ち越さないもののまとめて支払う場合、短期前払費用として会計処理を行います。

ただし、短期前払費用は例外的な処理方法です。代金を一括で前払いした場合、原則として損金処理は薬務提供を受けた月に行います。
しかし、一定の条件を満たしていれば、支払い時に損金処理をすることが可能です。

ドリンクサーバーの利用料3カ月分を現金で支払った場合

借方 貸方
福利厚生費 ¥30,000 現金 ¥30,000

1年以上をまとめて支払う場合

契約期間1年を超えるものを一括払いで支払う場合、翌年に繰り越すものは前払費用として計上します。
翌年以降に繰り越すものは、利用時にまとめて計上することができないためです。
前払費用として繰り越した分は、翌年になってから該当する勘定科目にて経費計上することになります。

2年分のソフトウェア使用料2万円を現金で支払った場合
1年目

借方 貸方
通信費 ¥10,000 現金 ¥20,000
前払費用 ¥10,000

2年目

借方 貸方
通信費 ¥10,000 前払費用 ¥10,000

勘定科目の分類で気を付けたいポイント


仕訳をする際、どの勘定科目を選べば良いのか悩む方は多いかもしれません。ここでは、勘定科目を分類する際に気を付けたいポイントをご紹介します。

勘定科目は各企業で異なる

勘定科目には、必ずこの勘定科目を使用しなければならないという明確な決まりはありません。「経理自由の原則」から、勘定科目は自由に設定できます。
書籍配信サービスを支払手数料で計上することもあれば、新聞図書費や消耗品費としても計上できるなど、上記で紹介した分類はあくまでも一例に過ぎません。

勘定科目は各企業が自由に設定できるほか、適切な勘定科目がない時は個人で考案することも可能です。
したがって、同じ取引きであっても企業によって勘定科目が違うことは多々あります。

勘定科目は誰が見てもわかるものを用いるのが基本

勘定科目を自由に設定できるといっても、すべてを自分好みにするのは避けたほうが良いです。
勘定科目は取引内容を明確にするためのものであり、税務署や金融機関など社外の人からチェックされることもあります。
誰が見てもわかりやすく、一般的に浸透している勘定科目を選ぶことが大切です。

一度分類した勘定科目は継続して使用する

同じ取引きであっても勘定科目が異なる場合には、正確な集計ができなかったり、分析や比較が困難になったりするなどの問題が生じる可能性もあります。
正確に集計し、きちんと分析や比較ができるよう、一度使った勘定科目はその後も継続して使用することが大切です。

継続して利用することを原則とした「継続性の原則」を守るように徹底してください。ただし、業務形態が変わったことでこれまでの勘定科目では合わなくなることもあります。
そのような時は適宜、勘定科目の見直しや修正をすると良いかもしれません。

まとめ

商品の定期購読や継続購入を示すサブスクは、サービス内容や支払い期間によって勘定科目や仕訳が変わります。
勘定科目や仕訳に決まりはありません。今回ご紹介した内容を参考に、自社の取引きや事業に合わせて設定すると良いでしょう。
勘定科目は取引内容を明確にするためのものなので、誰が見てもわかりやすいものを選ぶこと、一度使用した勘定科目は継続して使用することが大切です。

創業手帳(冊子版)」では、勘定科目や仕訳例など、経営に役立つ様々な情報を掲載しています。無料で利用できるので、ぜひ起業間もない時期のサポートとしてお役立てください。
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(編集:創業手帳編集部)

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