副業を本業化しても大丈夫?判断基準・タイミングや注意点などを紹介

創業手帳

副業を本業化する前にリスクをおさえよう


副業を本業にするタイミングを見極めている人もいるはずです。しかし、本業化する前にリスクを考えておかなければ、後悔することになるかもしれません。

そこで今回は、副業を本業化する人が増えている背景を解説するとともに、本業化する前に考えるべきことや本業化で変わること、本業化への不安を解消するためのポイントなどを解説していきます。
本業化するタイミングについても紹介していくので、副業をしている人や副業を本業にしたいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。

「本業にするか迷っている…」その一歩を後押しするのが『スモールビジネス・チェックシート』です。
副業から事業へスムーズに移行するための視点をまとめています。無料でご利用いただけますので、ぜひ参考にしてください。


※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

副業を本業化する人が増えている背景


副業を本業化する人が増えた理由は様々ですが、働き方の変化はひとつの理由です。2018年に働き方改革関連法が制定されてから、国をあげて様々な働き方が推奨されています。
副業を解禁する企業は増加しており、本業以外の副業をして収入を得る人が多くなっています。

安定的な収入を確保できれば、副業の本業化を検討するでしょう。
パーソルグループのパーソルイノベーション株式会社 lotsful Companyによる「副業意識・行動・価値観の定点観測調査」では、副業における平均月収が「20万円以上30万円未満」と回答した人の割合が14.4%と過去最多になりました。
30万円以上稼いでいる人は一定数存在しており、本業と同程度もしくは多く稼げているのであれば、副業を本業化しようと考える人もいるはずです。

また、副業やフリーランス向けのサービスも充実しています。
仕事獲得系、バックオフィス系、スキル向上や教育系、マーケティング系などの様々なジャンルを活用することで、副業における負担軽減や業務効率化に役立ちます。
なお、コロナ禍を経たことで大きな変化が生じました。
2020年頃からは日本でもリモートワークが急速に普及し、出社にこだわらない働き方が見直されたことで、フリーランスや独立への注目度が上昇したと考えられます。
リモートワークによって通勤時間がなくなったことで時間に余裕が生まれ、隙間時間を使って副業を始める人が増加したことも、副業を本格化する人が増えた要因のひとつといえます。

副業を本業化する前に考えるべきこと


副業を本業化する前には、以下のポイントについて考えておく必要があります。それぞれを具体的に解説していきます。

生活費をまかなえる収入か?

本業化する前に収入について考えてみてください。生活費をまかなえる程度の収入確保が必要です。
家賃や食費、水道光熱費のほか、保険料や医療費、通信費や生活用品費など、あらゆるお金が必要になります。

また、安定した収入を得られていたとしても、突発的な事象によって収入に変動がある可能性はゼロではないため、ある程度の貯蓄をしておくことも大切です。
本業化したばかりの頃はうまくいかなかったり、思っていたほど案件が獲得できなかったりすることも考えられます。

収入が継続・拡大できる見込みがあるか?

継続して収入を確保する以外にも、事業を拡大できる見込みがあるか考えることも重要です。
いくら安定した収入を確保できても、将来的に事業を拡大できなければ収入アップは見込めません。
単身の人は将来的に家族が増える可能性があります。
子どもができれば教育費が必要になるため、今の収入のみでは不安だと考える人もいるかもしれません。

一方、収入が拡大する見込みがあれば安心して事業を継続できます。
高単価の案件を獲得するために、実績を積み重ねていくほか、人脈を広げ、スキルアップのための知識アップなど、あらゆる備えをしておいてください。

顧客・案件の確保は安定しているか?

本業化する前に、顧客や案件の確保について考えることも重要です。複数のクライアントと契約をすれば、安定した収入を確保するために有効です。
受注先が多様化すれば、一箇所での取引きが中止になったとしても他の案件からの収入を確保できるため、リスク分散につながります。

また、異なる業種や業界のクライアントを獲得すれば、市場の変化や経済状況の変化にも対応しやすいです。
交流会や勉強会には積極的に参加をして人脈作りを徹底すると、新たな案件の獲得につながります。

本業化する動機が明確か?

副業を本業化する動機は人によって異なります。しかし、動機を明確にすることは本業化の準備をする上で非常に重要なことです。
本業化したい動機を明確化させれば前向きに取り組む耐性を養うことにつながることが理由です。

本業化する動機が明確であれば、事業計画の作成や資金調達、困難に直面した際のモチベーション維持へとつながり、成功の可能性を高められます。
反対に、動機が不明確であれば事業の方向性を見失ってしまうだけではなく、途中で挫折しやすくなる可能性もあるので注意してください。

副業を本業化すると何が変わる?


副業を本業化した場合には、様々な変化が生じます。あらかじめ理解しておいてください。

税金や保険など制度面の違い

副業を本業化すれば、税金や保険などに変化が生じます。個人事業主の場合、消費税や住民税のほか、所得税や個人事業税などを支払わなければなりません。
また、本業の職場に年末調整や所得税の計算をしてもらっていた場合、本業化すれば自分で確定申告を行う必要があります。
年の途中で退職した場合には、会社員時代の収入と本業化した際の収入を合算して確定申告しなければならないため、会社から源泉徴収票を忘れずに受け取ることが重要です。

また、失業保険に対しても注意が必要です。通常、本業となる会社を退職した後に次の仕事が見つからなければ失業保険を受給できます。
しかし、開業届を提出すれば失業している状態にならないため、失業保険の対象になりません。

収入の安定性と社会保障の変化

副業を本業にした場合、収入が途切れるケースや不安定になる可能性があります。会社員のように毎月決まった金額が給料日に振り込まれるわけではありません。
獲得した案件ごとに報酬額は異なるため、大幅に収入がアップする時もあればダウンすることも考えられます。
一方、高単価の案件を獲得できれば短期間での収入アップも可能です。高いスキルや経験を積むことを意識してください。

なお、社会保障にも大きな変化があります。
病気や怪我、介護などが要因で生活の安定が損なわれた際に、国や地方公共団体が一定水準の保障をしてくれる制度を社会保障といいます。
副業を本業化して独立した場合、労災保険や雇用保険には加入できません。健康保険や年金保険などにかかる費用はすべて自己負担となります。
会社に勤めていた時と同程度の収入であれば生活レベルを維持できない可能性があることに注意してください。

ライフスタイルや働き方の変化

副業を本業化すれば、ライフスタイルや働き方にも大きな変化が生まれます。働く時間や場所を自分で決められるため、自由な部分が多く増えます。

しかし、その分自己管理や責任をともなう点に注意してください。仕事に対してはタイムマネジメントやスケジュール管理といった自己管理能力が求められます。
案件を獲得したとしても締切りに間に合わなければ信用問題に発展することに注意が必要です。
時間の管理だけでなく、健康管理や感情管理、お金の管理も含めて徹底してください。

副業を本業化する際の不安解消チェックポイント


副業を本業化する際には、様々な不安が生じるかもしれません。ここからは、不安を解消するためのポイントを解説していきます。

緊急時の生活資金を確保しているか?

副業を本業化した場合には収入が不安定になるリスクがあります。
継続した案件があったとしても、クライアントの事情によって突然契約が打ち切られることがあるかもしれません。
新しい仕事を受注できなければ生活費を貯蓄で補う必要があります。半年から1年程度の生活費を貯蓄しておくと安心です。

また、普段の収支を把握して、将来の大きな支出についても考えておく必要があります。
物価上昇をある程度見込んで多めに見積もっておくと、突発的な事象が発生した際にも焦ることなく生活を続けられます。

家族の理解や協力は得られているか?

本業として働いていた会社を退職して副業を本業にするためには、家族からの理解や協力を得る必要があります。
特に収入面の不安は大きいでしょう。会社から毎月給料をもらえる会社員とは異なり、事業で稼がなければ収入を確保できません。
起業後に売上げを獲得できなければ、融資を受けなければならないケースもあります。
自分以外の家族も不安に感じている点を理解しておいてください。

  • 本気度を丁寧に伝える
  • 生活費を備えておく
  • 具体的な計画やリスクヘッジを説明する

などは家族に理解してもらうために重要なことです。感情論ではなく、事実や計画に基づいて不安を払拭するように努めてください。

メンタル・体調管理ができるか?

本業化する際に注意すべき点のひとつとして、メンタルや体調管理が挙げられます。独立した際には孤独を感じることがあります。
また、収入を確保しなければいけないプレッシャーから精神的に追い詰められる可能性もあります。さらに、仕事の継続や将来への不安も考えられます。
周りに相談相手がいない場合には、コミュニティやコワーキングスペースなどを活用して他の人との交流を積極的に増やすのもおすすめです。

なお、体調を崩すと仕事を受注できなくなってしまいます。
収入の低下につながるため、日ごろから健康管理を徹底することが重要です。健康診断を定期的に受けるようにしてください。

確定申告などの事務処理に対応できるか?

副業を本業化させれば、経理や書類作成、スケジュール管理といった事務処理をすべて自分でしなければなりません。確定申告やインボイス制度への対応も必要です。

副業を本業化する場合には、事務処理についても知識を身に付ける必要があります。
特に確定申告は、年間の所得や控除、所得税納税額などを申告するために重要な手続きです。
必要書類や申請方法などをあらかじめチェックしておくと安心です。

副業を本業化するタイミングの見極め方


本業化を目指すタイミングには複数あります。ここからは、副業を本業化するタイミングの見極め方について解説します。

本業より副業の収入が安定して上回った時

副業の収入額で本業化するタイミングが判断できます。本業よりも副業の収入が安定して上回った時は、絶好のタイミングです。
ただし、一時的に本業の収入を越えただけでは失敗を招く恐れがあります。半年程度は本業の収入を副業の収入が上回っていることを目安にしてください。

複数の収入源が確保できている時

収入源が複数あることも本業化するタイミングのひとつです。ひとつのクライアントに依存すれば、取引きが途絶えた際に収入がなくなってしまいます。
しかし、複数の収入源があればリスクを分散できます。他の収入源が支えとなって収入の安定性を確保できるため、本業化してもリスクを抑えることが可能です

成長性・再現性のあるスキルやモデルがある時

「成長性がある」「再現性のあるスキルやモデルがある」点も本業にするタイミングを見極める際に重要です。
将来的にニーズが続くのであれば、安定した収入の確保が期待できます。

トレンドの仕事に依存している場合はリスクが高いです。
一時的に流行しているもので本業化しても、将来的なニーズの変動に対応できなければ収入が不安定になってしまいます。
トレンド性が強い仕事に関連するスキルを習得すれば、様々なサービスを提供できるようになり、需要の変動にも対応しやすいでしょう。

実際に本業化した人の成功事例


オーダーメイドスーツ「Re. muse」を運営する勝 友美氏は、副業を本業化して成功した人物です。
アパレルメーカーに勤めていた勝 友美氏は、スタイリストとして中国でポータルサイトの新規立ち上げを経験し、オーダースーツ事業で起業しました。
アパレルメーカー時代にはトップセールスを獲得し、多くの顧客を抱えた状態だったために自信を持って起業したようですが、開店してから1カ月ほどでトラブルに見舞われ、事業継続が難しくなったといいます。

しかし、その後はマインドを転換し、直球勝負での接客を意識したことで多くの顧客を獲得し、現在も開拓を続けています。
今では書籍の出版やYouTubeなど、多方面で活躍している人物です。

勝 友美氏について深く知りたい人は、下記をチェックしてください。

Re.muse 勝 友美|1着20万円のスーツが営業マンから絶大な人気を得ている理由とは。(前編)

まとめ・総合的に判断して副業の本業化を考えよう

副業での収入が安定し、将来性も見込めるのであれば、リスクを抑えた起業の実現を目指せます。
しかし、本業化するとなれば、税金や保険、働き方に大きな変化が生じるため、不安を解消してからの起業が大切です。
様々な事柄を総合的に判断して本業化を検討してください。

副業を本業に変えるのは、大きな挑戦でありチャンスでもあります。
創業手帳の『スモールビジネス・チェックシート』には、成長を見据えて事業を設計するためのチェックポイントが満載。将来を安心して描くために役立ちます。無料でダウンロードできますので、ぜひお気軽にお取り寄せください。


関連記事
AI副業の始め方!具体的な7つのステップを徹底解説!おすすめのAI副業もご紹介
副業でも給付金や補助金はもらえる?活用できる制度や注意点を徹底解説!

(編集:創業手帳編集部)

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
将来的に起業や独立を考えている人はこちらの記事も参考にしています

カテゴリーから記事を探す