社会保険料がまた上がる!2026年4月以降の社会保険・年金制度の主な変更点

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4月以降の保険料・年金の負担増加に備えよう


2026年4月、「子ども子育て支援金」制度が始まります。
この制度は名前のとおり子育て施策拡充を目的としたものですが、公的医療保険料(健康保険料)に上乗せされて徴収される仕組みとなっているため、従業員の給与から徴収するお金が増えることになります。
4月以降には、年収の壁撤廃や年金・介護保険料の値上げなども予定されており、月々の負担が大きくなる見込みです。

この記事では、4月以降の保険料や年金の負担増加に関する概要や企業への影響、実務対応で準備すべきことなどを解説していきます。
社会保険料の負担が増える前に備えておきたい人は、ぜひ参考にしてください。

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【2026年4月以降】社会保険・年金制度の変更点まとめ


2026年4月以降の社会保険や年金制度の変更点は以下のとおりです。

社会保険・年金制度 変更点
子ども子育て支援金制度 ・公的医療保険加入者全員が負担
・被用者保険は2026年5月の給与天引きから徴収
年収の壁(106万円の壁)撤廃 ・週20時間以上働いている人は企業規模に関係なく社会保険に加入
・社会保険加入で年間15万円~16万円負担
国民年金・厚生年金の引き上げ ・国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の引き上げ
・国民年金保険料は17,920円に(+410円)
・在職老齢年金は65万円(+14万円)
協会けんぽの介護保険料率改定 2026年度の介護保険料率を1.62%に(+0.03ポイント)
臨時介護報酬改定 介護従事者全般に月額1万円の賃上げを実施
介護保険2割負担対象者の拡大 最大年収230万円までに拡大される可能性が高い

このように、4月以降は社会保険や年金制度の変更にともない、労働者はもちろん企業の負担が大きくなることが予想されています。

【4月】子ども・子育て支援金の開始


4月からは、子ども・子育て支援金が開始されます。ここでは、子ども・子育て支援金がどのような制度なのか、用途や負担額、企業への影響も含めて解説します。

子ども・子育て支援金とは?

子ども・子育て支援金とは、子育て世代に対する支援事業の財源を確保するための少子化・人口減少対策制度です。
2026年4月から2028年にかけて、段階的に導入することが決まっています。開始は2026年4月ですが、被用者保険は2026年5月の給与天引きから徴収される予定です。

インターネットやSNSなどでは「独身税」という俗称がついていますが、独身者に対して税金を徴収する制度ではありません。
原則として、全世帯の被保険者が公的医療保険料に上乗せする形で負担することになります。
そのため、独身・子育て世代といった家庭の状況は関係なく、公的医療保険に加入しているすべての人から徴収されます。

支援金の用途

子ども・子育て支援金は、「こども・子育て支援加速化プラン」の施策を進めるために使われます。
2023年12月、「こども未来戦略」において、「こども・子育て支援加速化プラン」が取りまとめられました。

「こども・子育て支援加速化プラン」では、児童手当拡充をはじめ、「こども誰でも通園制度」や妊婦のための支援給付、雇用保険の出生後休業支援給付や育児時短就業給付、育児期間中の国民年金保険料免除など、年間3.6兆円もの給付拡充を目指しています。
このうち、約1兆円もの財源を子ども・子育て支援金制度によって賄おうとしているのです。

国では、少子高齢社会の加速によって深刻化する人口減少に歯止めをかけるため、若年人口が急激に減少するとされる2030年代に入るまでに少子化傾向を反転させようと考えています。
そこで取りまとめられたのが「こども・子育て加速化プラン」です。

負担額はいくら?

月額の負担額は、加入している公的医療保険によって異なりますが、以下のとおりになっています。

公的医療保険 年収別の被保険者1人あたりの負担額(月額)
被用者保険 200万円:192円
400万円:384円
600万円:575円
800万円:767円
1,000万円:959円
協会けんぽ
健保組合
共済組合
国民健康保険 80万円:50円
100万円:50円
150万円:250円
200万円:400円
250万円:550円
300万円:650円
後期高齢者医療保険 80万円:50円
100万円:50円
125万円:50円
150万円:50円
175万円:100円
200万円:200円

上記は子ども家庭庁の試算をもとにした2026年度の年収別負担額です。個人の負担額は加入する公的医療保険だけでなく、所得や支援金率の計算方法によって決まります。
例えば、被用者保険の場合は標準報酬月額×支援金率で算出され、本人負担分と同額を事業主が労使折半する形となります。

企業への影響

子ども・子育て支援金が施行されると、企業も従業員と同額を負担しなければならないため、従業員数が多ければ多いほど人件費が増加することになります。
従業員も負担が増えるため、手取り額が減少することへの不満や疑問が起こらないよう、制度趣旨を説明しておかなければなりません。
また、給与計算を行う際には、システムの設定変更を行い、賞与からの徴収対応なども行っておく必要があります。

【10月】「年収106万円の壁」の撤廃


2026年10月には、年収106万円の壁が撤廃となります。ここでは、年収の壁撤廃に関する概要やメリット・手取り金額・企業への影響を解説します。

年収106万円の壁とは?

年収の壁とは、年収額によって税金や社会保険の負担が必要になることで、手取り額が減少するかどうかのラインを意味します。
年収106万円の壁は、従業員が50人を超える企業に週20時間以上働いている人が年収106万円を超えた場合に厚生年金制度や健康保険の加入が必要となるため、そのボーダーラインを示しています。

従業員数が50人に満たない場合は、130万円までが収入基準となり、130万円を超えた場合に国民年金や国民健康保険への加入が必要となります。
年収106万円の壁・年収130万円の壁と言われるのは、このためです。

パート・アルバイトなどで働く短時間労働者は、年収の壁を越えないよう、一定の収入を超えないよう就業調整する人も多いです。
しかし、就業調整によって企業では人手不足に陥っているため、年収の壁を気にすることなく働ける環境を作るため、政府は年収106万円の壁撤廃を決定しました。

106万円の壁が撤廃されるメリット

年収106万円の壁が撤廃されることは、年収を気にせず働けるだけでなく、受け取れる年金や健康保険で受けられる手当が増えるといったメリットがあります。
これまで、106万円を超える年収があった人は、働く企業の規模によって社会保険に加入しなければなりませんでした。
しかし、壁が撤廃されることで企業の規模に関係なく社会保険に加入できるようになります。

週20時間働く労働者は、自動的に厚生年金や健康保険などの社会保険に加入することになり、老後の保障や健康保険の手当の恩恵を受けられるようになります。
メリットがあるのは、企業にとっても同じです。

年収106万円の壁が撤廃されれば、これまで年収を気にして就業調整をしていた従業員が勤務時間を気にせずに働いてくれる可能性が高いです。
年収アップを目指す人や、キャリアアップを目指す人も増えてくるでしょう。労働市場が活性化すれば、人手不足が解消する可能性もあります。

手取り額はどれくらい減少する?

年収106万円の壁が撤廃され、社会保険の加入義務が生じると、社会保険料を負担する必要があります。
厚生年金や健康保険料の負担は、年間で約15万円~16万円となっています。月々に換算すれば、社会保険料が毎月1.2万円~1.3万円かかるということです。

パートやアルバイトなどで短時間労働している人の中には、家族や配偶者の扶養控除を受けているケースも多いです。
非正規雇用で働いている場合は、年収が106万円を超えると扶養から外れて税負担が増える可能性があるため、柔軟に働き方を見直さなければなりません。

企業への影響

年収106万円の壁が撤廃されれば、社会保険に加入する従業員が増えることになります。そのため、労働者だけでなく事業主も社会保険料の負担増加の影響があります。

事業主の負担を考慮し、政府は社会保険料の負担軽減につながる特例措置を行う予定です。
これは、新たに社会保険に加入するパート・アルバイトの労働者に対して、事業主が3年間追加で負担することで、社会保険料の負担を軽減できる支援措置となっています。

社会保険料は労働者と事業主で折半して全体の50%にすることが原則ですが、特例措置を使えば労働者の負担は25%となります。
追加で負担した社会保険料は、国が全額支援する仕組みです。

【2026年度以降】年金・介護保険料の値上げ


2026年度以降は年金や介護保険料も改定され、値上げが予定されています。
ここでは、年金額・年金保険料の引き上げや介護保険料率、介護報酬改定の概要や企業への影響を解説します。

年金額・年金保険料の引き上げ

総務省は2026年1月、「令和7年平均の全国消費者物価指数」を公表し、2026年度の年金額を法律の規定に基づいて引き上げすることを発表しています。
前年から、国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の引き上げとなります。
2025年度の年金額は、国民年金が69,308円、厚生年金が232,784円でしたが、2026年度は国民年金が70,608円、厚生年金が237,279円となる予定です。

また、年金保険料は毎年段階的に引き上げられていますが、2026年度の国民年金保険料は前年から410円値上げして17,920円となります。
在職老齢年金については、前年から14万円値上げして65万円となります。

協会けんぽの介護保険料率が上昇

介護保険料は3年ごとに見直しが行われています。介護保険料は地域によって負担額に差がありますが、2024年~2026年度の全国平均は月額6,225円となり、過去最高を更新しました。

協会けんぽでは、2026年度の医療保険料率を0.10ポイント引き下げて9.90%とする一方、介護保険料率を1.62%として0.03ポイント引き上げする見込みとなっています。
高齢化が加速する中、介護サービスの利用者も増加傾向にあることから、介護保険料率は毎年上昇しています。
今度も介護給付費が増えていくと想定されており、それにともない介護保険料率も上昇していく可能性が高いです。

臨時の介護報酬改定

急速な物価高を理由に、政府は2026年度に介護報酬に関する臨時改定を決定しました。
本来、介護報酬は3年ごとに改定されており、2027年度を予定していたため、2026年度の改定は異例の前倒しとなります。
2026年の臨時の介護報酬改定では、介護従事者全般に月額1万円の賃上げを実施する方針を明らかにしました。

介護職は、介護報酬に基づいたサービス提供のため、社会全体の賃上げに追いつけず、多職種との賃金格差が大きいことが実態として挙げられます。
月額1万円の賃上げは、格差縮小と介護報酬改定につながる可能性が高いです。

介護保険の2割負担対象者が拡大される可能性も

厚生労働省は、2025年12月に介護保険の2割負担対象者を拡大する見直し案を発表しています。
高齢化の加速にともなう介護費用増大を受け、2026年度以降の制度改正を目指しています。

現在、介護保険の2割負担対象者は年収280万円以上の人になっていますが、制度が改正されれば最大年収230万円以上までに拡大される予想です。
介護保険料の自己負担割合は、年収に応じて1割~3割までの段階はありますが、2割負担対象者が拡大されれば、介護保険料の負担が大きくなります。

企業への影響

年金や介護保険料の負担が大きくなることは、事業主にとっても人件費増大の可能性があります。
深刻な高齢化によるこうした措置は、社会保障費や社会保険料の増加が重くなるということでもあります。

人件費が圧迫し、資金繰りにも影響が出る可能性が高いです。人件費管理や、事務作業の負担も大きくなるため、年金・保険料負担増を吸収できるだけの経営戦略を講じる必要があります。

企業の実務対応で準備すべきこと


社会保険料の引き上げを受け、企業では何ができるのか模索している人も多いかもしれません。ここでは、企業の実務対応で準備すべきことを解説します。

現状を把握し、負担の変化をシミュレーションする

社会保険適用拡大については、常に最新動向を把握し、どのような変化があるのか十分に理解しておくことが大切です。
例えば、年収106万円の壁撤廃に関しては、従業員全員の労働時間・賃金を確認した上で、現状と社会保険料負担増加後の加入対象者をリストアップし、どのくらいの負担増となるのかシミュレーションする必要があります。
負担の変化をシミュレーションしておけば、予算計画に組み込むことができ、経営方針を見極めるのに役立ちます。

従業員に周知させる

子ども・子育て支援金の施行をはじめ、制度の改正、社会保険料負担の増加などは、従業員への周知も重要になります。
社会保険料の負担が増して手取りが減少する場合、従業員から不満や疑問の声が挙がる可能性が高いです。
制度の概要や変化すること、メリット・デメリットなどを丁寧に説明する機会を設け、働き方をヒアリングした上で加入するかどうか合意形成するとスムーズです。

支援措置・助成金を活用する

社会保険料の負担増にともない、国は支援措置も講じる予定になっています。支援措置は以下が挙げられます。

  • 保険料負担割合に関する特例
  • キャリアアップ助成金

保険料負担割合に関する特例は、新たに社会保険に加入するパート・アルバイトの負担軽減を目的としたもので、事業主が3年間追加負担することで従業員の負担を50%から25%に軽減できる措置です。

そのほかの事業主支援として、キャリアアップ助成金もあります。
キャリアアップ助成金は、従業員の収入増に取り組んだ企業に経済的な支援が提供されるもので、労働者1人につき最大50万円助成してもらえます。
こうした支援措置や助成金を活用し、社会保険の負担増に対応していくのも方法のひとつです。

まとめ・社会保険料の負担が増える前に対策を講じよう

子ども・子育て支援金制度の開始だけでなく、年収106万円の壁や社会保険の負担増など、制度は段階的に変化していきます。
少しでも社会保険料の負担を軽減するには、負担が増える前に対策を講じる必要があります。
現状を把握するため、情報収集を行いシミュレーションしながら対応を検討するのも大切なことです。

創業手帳(冊子版)では、人件費の増大や資金繰りに悩む事業主に向けた支援措置や助成金、企業でできる対応策なども掲載しています。ぜひお役立てください。

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(編集:創業手帳編集部)

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