自己資金とは。自己資金として認められるのはいったいどこまで?

資金調達手帳

知っているようで知らない自己資金について徹底解説!

(2019/01/31更新)

起業を志したとき、一番のハードルともなるのが資金繰りの問題。
最もシンプルな方法は、自分の貯めたお金(自己資金)で起業することですが、そうできる人ばかりとは限らず、不足分は金融機関等で借りよう(=融資)とか、中には全部借りればいいや、などと考えている人も多いのではないでしょうか。

しかし、自己資金がゼロではなかなか融資は下りないというのが現実です。しかも、「自己資金=自分で貯めたお金」だとイメージする人も多いと思いますが、融資における自己資金は少し意味合いが違い、持っているお金すべてが自己資金だと認められるわけではありません。

今回は、起業時に知っておきたい「自己資金」の定義について、自己資金として認められるもの・認められないものの違い、自己資金を貯めるときの注意点など、具体的に解説していきます。

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自己資金とは?

自己資金とは、呼んで字のごとく、自己の所有する資金のことをいいます。普通に考えれば手元にあるお金すべてが自己資金に含まれていると思うかもしれませんが、融資申請をするときの自己資金とは、手持ちの現金すべてが自己資金に含まれるという訳ではありません。

次の項目から、自己資金として認められるものの考え方や、自己資金を貯めるときの注意点などを詳しく紹介していきますので、起業前の資金準備の参考にしてください。

自己資金として認められるもの

自己資金として認められるのは「預貯金通帳で確認できる、出どころの確かな現金」です。法人の場合、会社の登記簿謄本にもある「資本金」が、そのまま自己資金とみなされると勘違いしてしまう人も多いですが、そうではないので注意しましょう。

具体的に、自己資金として認められるものについては以下のものが挙げられます。

自身の預金通帳に貯めたお金

創業融資においては、どのように資本金を貯めたのかについて、個人の通帳の原本を見てお金の流れを確認されます。起業前にコツコツ入金して貯めた記録があれば、立派な自己資金として認めてもらえます。

計画的に準備をしていることが、経営者の資質としても高く評価してもらえる効果も期待できます。

返済義務のない、贈与されたお金

起業にあたって、親兄弟などの親族、友人などから創業資金の援助を受けるケースもあると思います。この場合、自己資金として認めてもらえるかは金融機関によって判断が分かれます。贈与契約書を締結するなど、贈与の理由をはっきりさせておくようにしましょう。

また、お金の流れがはっきりするように、親名義の口座から直接振り込んでもらうことも大切です。

退職金

退職金を元手に開業するというのもよくあるパターンです。多額の現金が一気に振り込まれていると自己資金として認められないこともありますが、退職金の源泉徴収票などで証明できれば大丈夫です。

資産を売却した資金

有価証券などの金融資産や、車などの自己資産を売却して創業資金に充てる場合も、自己資金として認められます。預貯金と同じく、確実に資産形成してきた結果だと評価されるので、経営者としての評価にも繋がります。

みなし自己資金

すでに事業を開始して設備投資等に資金を投じている場合、その金額を自己資金として判断してもらえる場合もあります。広告費や交際費などは難しいこともありますが、設備投資の場合はみなし自己資金となる可能性が高いです。

第三者割り当て増資

すでに株式会社を運営している場合の方法です。新しく会社の株式を発行し、その発行した株式を第三者に引き受けてもらうことで直接の資金調達が可能になります。

自己資金として認められないもの

以下のようなものは自己資金として認められないので、注意が必要です。

預金通帳に入れていないお金(タンス預金など)

手元に現金として保有しているお金(いわゆるタンス預金など)は、自己資金と認められません。資金の出どころが不明確だからです。

一気に大きな金額が口座に入れられているもの

 融資直前に大きな金額がまとめて振り込まれている場合、お金の流れが不明確なので「見せ金」の可能性があるとして、自己資金として認められないことが多いです。

タンス預金を一気に預け入れた場合や、振込人名義が不明確な場合も、同じく自己資金とみなされない可能性が高いので、注意しましょう。

返済義務のある、人から借りたお金

例えば親や親族、知人など、人から“借りた”お金は無利息であっても返済する義務があるものなので、自己資金にはなりません。

自己資金を貯める上での注意点


自己資金として認められるもの・認められないものを見れば分かる通り、「自分でコツコツと貯めてきた」お金こそが、自己資金として認められるものです。創業融資を視野に入れて開業準備をすすめるのであれば、特にこの点を意識して自己資金を貯めていく計画性が求められます。

また、万一カードローンなどの負債がある場合は、必ず返済し終えてください。融資審査の際に、どこからお金を借りているかを確認することができるので、負債があると融資を受けることが難しくなります。携帯電話の支払いも同様です。

開業直前に一気に通帳に入金しても自己資金としては認められないケースが多いので、開業を志したら「毎月少しずつでも、コツコツと資金を貯めていく」という習慣をつけましょう。毎月1万円でも、2万円でも、継続していくことが大切です。

もし、現在の生活では目標としている自己資金額までの貯金が難しいというのであれば、事業計画を見直して必要な自己資金が少なくて済むようにしたり、生活を切り詰めてなんとか捻出したり、という努力が求められます。

結局、自己資金はいくら必要なのか

自己資金は、「○○円準備できていれば大丈夫」という明確な基準はありません。事業の安定性にも関わる金額なので、「あればあるほど審査に通りやすくなる」というのが本当のところです。

しかし、日本政策金融公庫の新創業融資制度の要件には、「新たに事業を始める方は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金」というものがあります。このことから、ボーダーラインとして10分の1という目安を覚えておきましょう。しかし、これはあくまで最低の基準で、できれば創業資金の3分の1を目安に準備しておくほうが安心です(以前は、新創業融資制度の要件も3分の1でした)。

飲食店など、初期投資が必要な業種にチャレンジする場合は、コツコツと開業資金を貯めていく計画性も必要です。

まとめ

起業にあたっての資金調達として、創業融資を検討している場合、融資金額を左右することにもなる自己資金の準備は大きなハードルでもあります。しかし、ビジネスのスタートに向けて数年前からコツコツとお金を貯めていれば、審査上で何も問題になることはありません。

言い換えれば、融資審査をパスするためには、計画的に資産を運用して貯蓄できる人間性が求められるということでもあります。金融機関としても、きちんと計画的に返済してくれる人にお金を貸したいという気持ちがありますから、これは当然の基準とも言えます。

起業を志したら、事業計画の策定や店舗の計画など、新しい将来に向けて考えたいことがたくさん出てくると思います。もちろん、それらの準備も大切ですが、それと並行してコツコツと開業資金を貯めるようにしましょう。

地道に資金を準備できるということは、経営者の資質にもつながるポイントです。自己資金の準備は、一番時間のかかる大切なポイントでもあります。この記事を参考に、自己資金要件をクリアして、創業融資を受ける際の準備を進めていただければと思います。

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(編集:創業手帳編集部)

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