新型コロナの影響下でも負けない!英語起業のコツを海外ビジネスの達人が解説
語学を活かして起業するコツを海外で活躍する達人に聞いてみました
(2020/04/29更新)
現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で海外渡航が制限されたことによって、翻訳・海外ビジネス支援とも深く関わりがある、海外展示会や来日イベントなどの物理的な交流が中止されています。
短期的な収束は難しいという見解もあるため、この状況が長期化することも想定した上で、現在もコツコツと準備を進めている人たちが、つぎのチャンスを掴むことができるでしょう。
今回、海外ビジネスを行う達人に、英語を活かして起業するポイントや実体験にもとづくノウハウを聞いてみました。
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北海道大学理学部卒、国際大学大学院国際開発学修了。株式会社ジャフコにてライフサイエンス投資、アジア投資先企業の日本市場進出支援に従事。韓国ソルトルックス社(Saltlux, Inc.)日本支社長として、OEM事業提携など日本市場開拓。クラウドクレジット株式会社にて、世界25カ国で金融機関を中心とした海外提携企業を開拓。
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この記事の目次
AI時代に英語を活かしたビジネスで生き残るには?
AIが台頭する時代となり、便利な翻訳ツールも続々とリリースされてきています。こうした中で、通訳・翻訳サービスにも大きく変化が求められています。
今回の記事では、通訳サービスをメインに起業した私が、AI台頭後の通訳・翻訳ビジネスで生き残るための考え方をお伝えします。
すでに業界での経験が長い方には釈迦に説法の話ばかりかもしれませんが、これから英語を使って起業しようという方にはきっと役立つと思います。
語学が堪能なだけでは仕事に困るようになる
通訳・翻訳サービスには、文法・語彙を翻訳する言語的な意思疎通と、ひとの心情・表情、文化的背景に裏打ちされた非言語的な意思疎通の2つの側面があります。
このうち、AIは前者の言語的な通訳・翻訳を得意としています。AIが普及した世の中において、「言葉の壁」はいずれ無くなるともいわれているほどです。
将来的には海外留学や国際結婚、外国からの移住者が増えることによって、語学に堪能な人たちが増え、多言語話者も珍しくなくなります。
技術革新によって英語が使いやすくなり、さらに英語話者の供給も増えるため、語学が堪能なだけでは専門能力としての市場価値は下がっていきます。
外国語を扱う業務を経験した人であれば理解いただけると思いますが、これからは語学が堪能なだけでは、仕事に困るようになるでしょう。
英語を活かして独立・起業する2つのポイント
語学を武器に独立・起業したい気持ちは、私もよく分かります。では、今後英語を活かしてビジネスを行っていくためにはどうしたらよいのでしょうか。
英語を活かして独立・起業するには、下記の2つが必要だと考えます。
- 自分を見つめ直すこと
- 自分なりに社会の変化を捉え、自分なりのビジネスを創造すること
1つ目は、自分の人生を見つめ直し、語学以外の独自性を見つけることです。
AIが苦手な分野である非言語的な独自性、それがあなたの個人的な人生経験をふまえたものであれば、それは他の人にも真似することができない強みとなるでしょう。
2つ目は、いま起きている生活の変化や社会の変化を整理して、自分の語学力を必要としている人たちを見つけることです。
私の場合は、海外企業と日本企業間の交渉や提携分野に長年関わってきたので、「語学力✕商談支援」を切り口としてサービスを提供しようと決めました。
たとえば、技術的にはGoogle翻訳やポケトークを用いて、英語と日本語を双方向に翻訳することは可能です。しかし、日本のサラリーマンが「一旦、持ち帰って検討させてください」あるいは「あなたの提案には違和感があります」と言った場合、そのまま英語にしても真意は伝わりません。
少なくとも、相手に日本企業でのサラリーマン経験が数年ほどなければピンとこないでしょう。
しかし、日本と海外でビジネスの経験がある私なら、ビジネス文化的な側面をふまえた通訳をすることができます。このように生活や社会の変化を整理することで、ニーズがみえてくるのです。
社会の変化を捉えた上で必要なビジネスを提供
いまやインターネットは普及し、個人と個人はネットで世界中とつながり、個人単位で海外ビジネスを始められるようになりました。
少々強引な例えかもしれませんが、スマホを使って地球の裏側のメルカリやヤフオクのようなサービスにアカウントを作り、自宅の不用品の写真を掲載すれば「国際ビジネス」の準備完了です。
英語もGoogle Chromeのブラウザで画面翻訳してしまえば、大体意味のわかる日本語に直るので、言葉の壁も取り払うことができます。
(実際には国により許認可が必要な場合や、現地在住者がいなければならないなどの課題もありますが、始めるだけならそれほど難しくありません)。
しかし、ビジネスを立ち上げてインターネットでつながった先の人と、コミュニケーションすることを考えた場合、文化的な違いもあり、お互いを上手く理解することができません。
そんなときに私の商談支援サービスを活用することで、円滑かつスムーズに商談を進めることができます。
このように、社会の変化を捉えた上で必要となるビジネスを考えることが大切です。
フリーランスプラットホームを活用した起業のコツ
当初は、ランサーズやクラウドワークス経由で、英語を必要とする日本の人たちにサービスを提供していました。そこから発想を広げ、海外のフリーランスプラットホームに登録して、日本語のサポートを求めている海外の人たちに対してもサービスを提供し始めたところです。
たとえば、最近では海外のフリーランスプラットホームで海外製の戦国ゲームを日本語化する案件を受注することができました。過去に私が「信長の野望」という戦国ゲームにはまっていた、というアピールが発注者の心に刺さったようで、ほかの競合と比べた際の強みとなりました。
これが先述した、語学以外の独自性ですね。
フリーランスプラットホームの翻訳案件では、英語のYouTube動画の日本語字幕の作成や英語字幕の作成、吹き替えなど、時代を反映した案件もよく目にするので、まずは副業からという人の腕試しにもちょうど良いのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症による影響で、在宅勤務の機会が増えてきている今だからこそ、語学で独立しようと考えている皆さんには、時間をかけて自分の経験を振り返り、「言葉の壁」がない世界を想像してほしいです。
私の知っている範囲では、外国人の恋人ができる英語コースやAmazon・eBay運営者との英語交渉代行など、AIが機械学習できない個人の経験をふまえたコンサルティング、新しい市場機会を取り込んだサービスで独立した人もいます。
いまが、あなたの独自性を活かした将来のビジネスチャンスを考える絶好のタイミングであると、私は信じています。
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(編集:創業手帳編集部)