eラーニングを利用する企業向け「オンラインスキルアップ助成金」受付中!
東京都の中小企業や小規模企業者などが対象!「オンラインスキルアップ助成金」とは?
最近では、コロナ禍の三密を避けるため、従業員の勉強会をオンラインで行う企業が増えてきています。そのようなオンライン勉強会の費用負担を軽減してくれる助成金があるのをご存じですか。
東京都では「オンラインスキルアップ助成金」の申請を受け付けています。
「オンラインスキルアップ助成金」とは、どのような助成金なのでしょうか?
今回は、東京都が行う「オンラインスキルアップ助成金」の概要や要件に加え、手続き方法や申請の際の注意事項などを詳しく紹介します。
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この記事の目次
東京都の「オンラインスキルアップ助成金」とは?
「オンラインスキルアップ助成金」は、中小企業の人材育成やスキルアップの促進を目的とした助成金で、東京都の人材育成支援事業の一環として行われています。
中小企業などがeラーニングを利用して勉強会を行った場合、この「オンラインスキルアップ助成金」を活用することで、経費の一部について助成を受けることができるのです。
助成の対象となるeラーニング
中小企業などが従業員に対して行う勉強会のうち、eラーニングを利用した勉強会にかかる経費が助成の対象となります。「eラーニング」とは、パソコンやタブレットなどの電子端末とインターネットを活用して学ぶ方法のことを指します。
なお、業務を行う上で必要となる知識やスキル・資格の取得を目的とすることが、助成の要件とされています。
自社で独自に企画したeラーニングや、趣味・教養のための講座は助成の対象外です。自社以外の団体や組織が提供するeラーニングのなかから、職務に必要な知識やスキルを習得できる講座を従業員に受講してもらうようにしましょう。
最大6カ月!全6回の期間内に行う勉強会が対象
助成金の申請受付は既に始まっており、令和3年8月16日(月)まで、対象期間をずらし6回に分けて受付が行われます。申請は1事業者あたり1回のみとされており、申請の期間はeラーニングの受講日によって異なります。
eラーニング受講日は、助成対象期間内(令和3年4月1日(木)~令和4年2月28日(月))であることが必須です。
数カ月に渡って受講する講座については、最大6カ月分までの費用が助成の対象となります。6カ月を超えた分は対象外となるため、留意が必要です。
※申請受付期間・助成対象期間については、後半の助成金申請のスケジュールをご覧ください。
「オンラインスキルアップ助成金」の対象となる事業者
「オンラインスキルアップ助成金」の対象となる事業者は、中小企業や個人事業主です。ただし、受講者が個人事業主本人や企業の代表の場合、その受講費用は助成対象外となります。雇用保険に加入している会社役員が受講する講座は、助成の対象です。
なお、「オンラインスキルアップ助成金」は東京都の助成金であるため、申請を行うには、会社の所在地・登記が東京都内であることが要件とされています。
中小企業
下記表の「資本の額or出資の総額」もしくは「常時使用する従業員数」のどちらかに当てはまる中小企業が対象です。
業種分類 | 資本金の額or出資の総額 | 常時使用する従業員数 |
---|---|---|
小売業・飲食店 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
小規模企業者
中小企業のうち、下記表に該当する小規模企業者については、中小企業よりも助成金の額や割合が多くなります。なお、常時使用する従業員数については、申請日時点での人数で構いません。
業種分類 | 常時使用する従業員数 |
---|---|
小売業・飲食店 | 5人以下 |
サービス業 | 5人以下 |
卸売業 | 5人以下 |
その他 | 20人以下 |
団体
事業協同組合や信用協同組合、協同組合連合会、企業組合、協業組合、商工組合、商工組合連合会、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人などの構成員のうち、中小企業の従業員の割合が3分の2以上である団体が対象です。
なお、助成の対象となるのは、団体の構成員である中小企業の従業員です。団体職員の受講料は助成対象外となるため、気を付けてください。
「オンラインスキルアップ助成金」の助成額
「オンラインスキルアップ助成金」の助成額は、事業者の規模によって異なります。
小規模企業者は、対象経費のうち3分の2が助成されます。ただし、上限は27万円です。
そのほかの中小企業等は、対象経費のうち2分の1が助成を受けられます。ただし、上限は20万円です。
なお、前述の通り申請は1回限定で、申請後に追加で助成金の申請をすることもできないため、申請する際には申請漏れ等がないよう入念に確認を行いましょう。
この助成金は金額自体が大きくないため、社会保険労務士などに申請代行を依頼する場合は、助成金の受給額に対する専門家報酬の割合が高くなりがちです。専門家への報酬を差し引いて最終的に会社に残る額がいくらなのかということの確認し、採算性と手間のバランスを踏まえ、自社申請も選択肢に入れて検討しましょう。
助成の対象となる経費とは?
助成期間内に受講したeラーニングの受講料が助成の対象となります。また、受講するために必要となるID登録料や、中小企業などが従業員の受講状況を確認するための運営料金も経費として認められています。
ただし、以下のものは助成対象の経費として認められません。
- パソコンなどの機器や、設備の購入費用
- インターネット通信料
- 消費税
- 振込手数料や送料
「オンラインスキルアップ助成金」申請の要件
前述の通り、助成を受ける企業や団体が、東京都都内に本社や事業所を置いていることが条件です。そして、助成を受ける講座を申請した助成対象期間内に受講する必要があります。
また、助成金の申請を行う受講費用について、国や地方公共団体から助成を受けていないことも要件とされています。「オンラインスキルアップ助成金」申請後に国や地方公共団体から助成を受けることも禁止されているため、複数の自治体に助成金の申請をすることがないよう留意しましょう。
なお、eラーニングの受講費用を従業員に負担させていないことも要件とされています。
在宅勤務中の受講も対象
eラーニングを受講する従業員は、常時勤務する本社や事業所の所在地が東京都内である必要があります。ただし、コロナの影響や働き方改革などで在宅勤務中に受講する場合など、実際に受講する場所については東京以外でも問題ありません。
そのため、実際に勤務している会社が東京都内であれば、仮に埼玉県の自宅で在宅勤務中に受講した場合も、助成の対象となります。
現在受付中!「オンラインスキルアップ助成金」の申請方法
「オンラインスキルアップ助成金」の申請を行うには、まず、助成対象期間と申請期間を確認し、「交付申請書」を東京都産業労働局に郵送で提出します。申請書が受理され、「審査・交付決定通知」が届いたら、助成対象期間内に勉強会を実施し、「実績報告書」を申請書同様、郵送で提出します。
すなわち、「オンラインスキルアップ助成金」は、eラーニングの受講が終わってから支給申請をしようとしても「手遅れ」であり、あらかじめ、受講前に「交付申請書」という計画書を出しておかなければならないということですので、この流れをしっかりと把握し、時系列に沿い、漏れの無いように対応を進めて下さい。
実績報告書を提出する際には、修了証書や受講証明書などの受講修了を証明する書類や、受講履歴を確認できる書類を添付する必要があります。提出期限内に必着で郵送できるよう、事前に証明書の発行依頼等をしておくとよいでしょう。
その後、東京都より「審査・額の確定通知」が届いたら、「助成金請求書」を郵送で提出し、助成金の申請手続きは完了します。
助成金の申請は、郵送以外の方法では受け付けていないため、留意が必要です。また、申請は締切日必着となっているため、余裕をもって発送するようにしましょう。
郵送事故があった場合等に備え、必ず、配達記録が残る簡易書留等の方法により郵送してください。
助成金申請のスケジュール
全6回に渡る申請期間、助成対象期間、実績報告書提出期限は以下の通りです。必ず、受講日が助成対象期間内であることを確認し、申請を行うようにしましょう。
申請回 | 申請期間 | 助成対象期間 | 実績報告書の提出期限 |
---|---|---|---|
第1回 | 令和3年2月17日(水)~令和3年3月15日(月) | 令和3年4月1日(木)~令和3年9月30日(木) | 令和3年11月1日(月) |
第2回 | 令和3年3月16日(火)~令和3年4月15日(木) | 令和3年5月1日(土)~令和3年10月31日(日) | 令和3年11月30日(火) |
第3回 | 令和3年4月16日(金)~令和3年5月17日(月) | 令和3年6月1日(火)~令和3年11月30日(火) | 令和4年1月5日(水) |
第4回 | 令和3年5月18日(火)~令和3年6月15日(火) | 令和3年7月1日(木)~令和3年12月31日(金) | 令和4年1月31日(月) |
第5回 | 令和3年6月16日(水)~令和3年7月15日(木) | 令和3年8月1日(日)~令和4年1月31日(月) | 令和4年2月28日(月) |
第6回 | 令和3年7月16日(金)~令和3年8月16日(月) | 令和3年9月1日(水)~令和4年2月28日(月) | 令和4年3月31日(木) |
申請に必要な書類とは?
申請する際には、「中小企業人材オンラインスキルアップ支援助成金交付申請書」や、勉強会の「訓練計画書」、「受講者名簿」などが必要となります。
また、勉強会の内容や受講料が掲載されているeラーニングの受講パンフレット等も添付する必要があります。なお、見積書はパンフレット等の代用としては使用できません。必ず公式に掲示されている料金表を添付するようにしましょう。
なお、申請が受理され、従業員全員が受講修了した際には、実績報告として以下のものを提出する必要があります。
- オンラインスキルアップ助成金実績報告書
- 受講者名簿
- 受講履歴を確認できる書類
- 受講料などの経費の支払いを確認できる書類 など
受講履歴の確認書類としては、修了証書や受講証明書のほか、受講状況が閲覧できる管理者ページの写しなどでも可能です。なお、受講期間が数カ月に及ぶ定額制のeラーニングについては、各月の履歴が確認できる書類を提出する必要があります。
また、経費の支払いを確認する書類としては、請求書の原本に加え、領収書の原本もしくは口座振込の控えを添付しましょう。なお、領収書などの宛名や口座名が従業員個人である場合は、助成の対象外となるため留意が必要です。
受講期間を確認しておきましょう
「オンラインスキルアップ助成金」は、1事業者につき1回のみ受けることができます。申請後に助成を受ける講座を変更・追加することはできないため、申請する際は必ず受講日や助成対象期間、必要書類や提出期限を事前に確認しておきましょう。
「オンラインスキルアップ助成金」は東京都の予算に基づき交付されます。そのため、予算を超えた場合は、申請受付期間中であっても受付を終了する場合もあるようです。
「オンラインスキルアップ助成金」の交付申請についてお悩みの場合は、東京都産業労働局雇用就業部能力開発課にて、相談を受け付けています。
自社の人材育成や職務スキル向上のためにオンライン勉強会を検討されている場合は、eラーニングを利用し、ぜひ「オンラインスキルアップ助成金」を活用してみてはいかがでしょうか。
(編集:創業手帳編集部)