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2022年10月25日株式会社ユームズ・フロンティア 林優|マイクロ水力発電の開発・販売事業で注目の企業
マイクロ水力発電の開発・販売事業で注目されているのが、林優さんが2014年7月に創業した株式会社ユームズ・フロンティアです。
近年、原油価格の高騰により物価上昇が続いています。生活インフラの一つである電力も例にもれず、その価格は右肩上がりをたどっています。
より多くの電力を必要とする事業者にとって、電力の価格上昇は変動費を圧迫する一大問題です。そんな大変な状況下にありながらも、自社プロダクトを必要としてくれる消費者に不便をかけまいと、経営努力で販売価格の上昇を最小限に抑えようとされている事業者も多いことと思います。
石油や天然ガスの埋蔵量が乏しい日本において、これらにとって代わる新しいエネルギー源の確保は、未来に亘り必要かつ重要な事項の一つと言えるでしょう。
奇しくも現在はSDGsが世界的に叫ばれており、再生可能エネルギーの普及に対しても意識が高まってきています。これを追い風に、今様々な場所で日本ならではの再生可能エネルギーの開発が進んでいます。
とはいえ、実際には再生可能エネルギーを確保するための施設建設や機材導入や管理等に多大な労力や場所、費用が掛かるため、その普及が遅々として進みづらいというジレンマがあることもまた事実です。
このジレンマを克服し、より一般的に手軽にエコ発電が普及していくよう、「マイクロ水力発電」の開発に取り組んでいる起業家に、今注目が集まっています。
株式会社ユームズ・フロンティアの林優さんに、事業の特徴や今後の課題などについてお話をお聞きしました。
・このプロダクトの特徴は何ですか?
「手軽」に「かんたん」に「手ごろな価格」で導入できるエコ発電を目指してCruttoの開発を行っています。
発電量が最大2.7kwといった今までにない小型の水力発電となります。
この1台で2世帯分の電力をまかなうことができ、大規模な工事や費用をかけることなく、座布団1枚分ほどの設置スペースで発電が可能です。
小型の水力発電は値段が高い割に発電効率(水のエネルギーに対してどれぐらい発電できたかの割合)が悪いというイメージが根付いていました。
それらの問題を解決するために水力発電のコアテクノロジーである水車を一から独自開発し(特許2件出願中)、低コスト化を実現しました。
・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?
水を多く利用する工場、ビル、浄水場などの方にご好評いただいております。
施設内の配管(取水、循環水、排水)を利用して発電し、次の3条件が当てはまる場所であればどこでも設置が可能です。
①満水配管
②流量4L/s以上
③落差4m以上
その他にも商業施設や銭湯、病院なども水を多く利用されています。
それらの水を少しでも電気代削減やCO2削減に繋げていただけるように私たちのCruttoを使っていただきたいと思います。
・このサービスの解決する社会課題はなんですか?
以下の社会課題を解決します。
①太陽光発電を導入できる場所が限られている
②電気代が高い
③手軽にできるエコ活動がない
太陽光発電も急激に普及し、今では設置面積が必要なことから日本では他の再エネに注目する動きが見られます。
マイクロ水力発電は新規性があり、CO2削減もできるので、投資回収だけを考えるのではなく、企業全体のイメージアップも期待できます。
・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?
創業時は23歳という年齢でしたので、取引先や銀行にも相手にされないことが多く、顧客開拓や資金面には非常に苦労しました。
社会の環境意識も今ほど高くなく、マイクロ水力発電の開発を始めたと言ってもなかなか理解いただけませんでした。
ただコツコツ、一生懸命になっている姿を評価いただける方もいて、取引の実績を一つずつ積んでいくことで信頼や認知度が拡大していきました。
若いからこそ販売方法や戦略を臨機応変に切り替えていけたことは逆に良かったことです。
それに若いからあまり恥じらいもなく、いろいろな方にアドバイスを聞くことができ、少しずつ事業を改良していくことで自分たちのノウハウになっていきました。
・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?
マイクロ水力発電のラインナップを拡大、量産化の計画があるのでそれらをまず実現することです。
長い目で見ると環境意識の高まりが進む社会では、大規模発電に依存しない分散した持続可能な発電が必要になると考えています。
特に災害が多い日本や戦争などの外部要因の影響を受けることなど様々なリスクがあります。
そのようなリスクに備えるために持続可能な分散した発電装置の開発に取り組んでいます。
将来私たちが開発するマイクロ水力発電が世界の未電化地域でも使っていただき電力に困らない世界になってほしいと思っています。
また今後ますます技術が発展していく上で、EV化は進み、AI・IoTによるデータ社会、WEB3など電力はより重要になっていきます。
そのような社会でいかに安定して電力を供給できるのかを考え、社会にインパクトのあるプロダクトを開発していきたいです。
・今の課題は何ですか?
昨年末から販売をスタートし、少しずつではありますが実績を積んでいる状態です。
ただし引き続き改良を行っており、量産化に向けて正念場です。
水力発電には、流体力学、機械設計、材料力学、制御、アルゴリズム、土木など様々な知識が必要で、エンジニアが足りていません。
ヨーロッパでは水力発電開発が昔から盛んでエンジニアも多いのですが、日本では大規模な水力発電の設置エリアがもうないことから、水力発電に関わる技術者が少ないのが現状です。
航空、宇宙、自動車分野やポンプ技術者の方は共通する部分も多く、興味がある方はぜひ一緒に開発に取り組みましょう。
・読者にメッセージをお願いします。
まだまだマイクロ水力発電の認知度が低いのが現状です。太陽光発電や風力発電にはないメリット(24時間安定して発電できる、騒音・振動がない、景観を乱さないなど)もたくさんあります。場所にあった再エネを選定いただき、Cruttoという商品の存在をしていただければ嬉しいです。
会社名 | 株式会社ユームズ・フロンティア |
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代表者名 | 林優(はやし ゆう) |
創業年 | 2014年7月 |
社員数 | 5名 |
所在地 | 513-0005 三重県鈴鹿市汲川原町460番地 |
資本金 | 3,000,000円 |
サービス名 | マイクロ水力発電「Crutto」 |
事業内容 | マイクロ水力発電の開発・販売・保守 / 製造業向け工作機械の買取・販売・レンタル |
代表者プロフィール | 板金加工や土壌調査の仕事を経験した後、 23歳で製造業向け工作機械の買取・販売・レンタル事業を起業しました。 その後、軌道に乗ったタイミングでそれらの収益をマイクロ水力発電の開発につぎ込みました。 今後はマイクロ水力発電の普及に注力していきます。 |
カテゴリ | 有望企業 |
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関連タグ | マイクロ水力発電 ユームズ・フロンティア 小水力発電 林優 非常用電源 |
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