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ハイラブル株式会社 水本武志|音声コミュニケーションを分析するクラウドサービス事業が注目の企業

音声コミュニケーションを分析するクラウドサービス事業で注目なのが、水本武志さんが2016年11月に創業した ハイラブル株式会社です。

議論の場や話し合いの場は、さまざまなシーンで発生します。そうした話し合いや議論の場は、様々な課題解決のための具体策を模索・検討し、それを実践に移し、一歩ずつより良い世界を形作っていく為に、非常に大切な‶礎”となるものです。
ただ、議論の進め方、場を取り仕切るファシリテーションの技量が低い方も多いのが実情で、議論の場に参加している方の一部しか発言できなかったり、結論が偏った意見ばかりに流れてしまったりすることもしばしば発生しています。
これでは本来あるべき多様性に富んだ闊達な議論が進まないばかりか、結論に納得できない人も出てきてしまい、一丸となって課題解決に邁進できない状況にさえ陥ってしまいかねません。

こうした課題を解決しようと、⾳環境分析の技術を使って話し合いの状況を‶⾒える化”し、定量的に振り返りを繰り返すことによって、話し合いの場の質を高めたり、個人の行動を変容させるプロダクト開発を手掛ける起業家に、今注目が集まっています。

ハイラブル株式会社の水本武志さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

・このプロダクトの特徴は何ですか?

学校や企業の会議における話し合いをリアルタイムで定量的に可視化することができることが特徴です。

言いよどみや割り込みの発生する自然な会話や、雑音の大きい環境では、音声認識性能は大きく落ちることが知られていますが、当社の非言語の会話分析技術(特許取得済み)によって、安定した性能で会話を定量化することが可能です。
教育機関や企業の方々に採用いただき、これまでのべ 4.7 万人の話し合いを分析してきました。
話し合いを可視化している様子

・どういう方にこのサービスを使ってほしいですか?

特に困難な課題に取り組むための議論では、多様な視点からの意見を検討することがとても重要です。
しかし、少数の”よく話す人”がその場を支配してしまうということがよく起こります。これでは、多様なメンバーを集めても実質的な多様性が小さくなってしまいます。
さらに、その多く話す人は「自分が多く話している」ということを認知していないことは珍しくありません。
私達は、このような難しい課題を解決していこうと取り組んでいる方、つまり、議論の場に参加している方々全員が自身の意見を発言できる機会を創出し、多様性に富んだ議論の場作りによって、社会課題の解決とより良い世界の開拓に取り組んでいる方々に、ぜひご活用していただきたいと考えています。

・このサービスの解決する社会課題はなんですか?

チームワークです。
高度に複雑化した現代において、一人の力で解決できる社会課題はほぼありません。したがって、どのような社会課題を解決するにもチームワークや多様な視点からの議論は欠かせません。Hylable Discussion を使ってメタ認知スキルを高めることで、世の中の社会課題に取り組む方々のより効率的なコミュニケーションを支援することで、それらの解決に役立てていただきたいと考えています。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

音声といえば音声認識(=テキスト化)が必須であるという思い込みによって、言語によらずに分析できるという本サービスの価値が伝わらないということが最初の課題でした。
学会や展示会など様々な場所でその価値を伝えることによって、このプロダクトの価値を理解していただける方や仲間になっていただける方が増え、なんとか乗り越えることができました。

・どういう会社、サービスに今後していきたいですか?

言語によらないという特徴をより尖らせて、最近は Bamiel という「どの場所で会話があったか」という場所に着目したサービスをリリースしたり、動物のコミュニケーションを分析する Project Dolittle というプロジェクトを開始したりしています。
こういった事業活動を通して、世界中のあらゆる生物のコミュニケーションを分析し、それらの相互理解が促されるようなサービスにしていきたいと考えています。

・今の課題はなんですか?

Hylable Discussion を広めるために、これをコンテンツとして、ワークショップや教育活動を一緒に行っていただける方を探したいのが現在の課題です。

・読者にメッセージをお願いします。

会話というのは普段やっているので問題意識を持ちにくいですが、実は会話に参加できていない人がいたり、話しすぎている人がいたりします。この問題は、個人に責任を転嫁するのではなく、安心して発言できたり、安心して相手の話を聞ける、心理的安全性の高いチームにみんなでしていく、ということが重要だと考えています。
次に人と話すタイミングで、発話のバランスに気をつけてみてはいかがでしょうか。

会社名 ハイラブル株式会社
代表者名 水本武志
創業年 2016年11月
従業員数 4名
事業内容 音声コミュニケーションを分析するクラウドサービスの開発・運用・販売
サービス名 Hylable Discussion
所在地 170-0005 東京都豊島区南大塚二丁目26番12号 鈴音ビル2階 203号室
代表者プロフィール 2013年京都大学大学院情報学研究科 博士後期課程修了。博士(情報学)。カエルの合唱とロボット合奏の研究に従事。同年ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンにリサーチャとして入社し、音の研究に従事。2016年ハイラブル株式会社を創業し代表取締役に就任。対面とWeb会議の話し合いの見える化サービスや、コミュニケーションの場の見える化サービス Bamiel (バミエル) を提供。学校や企業研修を中心にのべ47,000人以上の会話を分析。第17回日本eラーニング大賞厚生労働大臣賞等受賞。
読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ Bamiel アクティブ・ラーニング ハイラブル 心理的安全性 水本武志 組織改革 話し合い可視化
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