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株式会社Co-LABO MAKER 古谷優貴|研究リソースシェアリングプラットフォーム事業が注目の企業


研究開発したい研究者や企業と、研究リソースをもつラボ(研究室)をマッチングし、機動的な研究開発を支援する、研究リソースシェアリングプラットフォーム事業で注目なのが、古谷優貴さんが2017年4月に創業した株式会社Co-LABO MAKERです。

私たちの生活や命を守り、社会環境をより良くしていくために、様々な研究が各所で行われています。
そうした本格的な研究開発を行うには、それ相応の設備が必要です。
しかし設備を整えるには多額の費用と時間がかかる上、その保守管理にも労力がかかります。
素晴らしい発見やアイデア、研究シードを持ちながら、それを実現させるための開発設備が整わないために、
研究がなかなか進まないといった研究者が多数おられるのが実情です。

かたや、多額の投資をして作り上げた素晴らしい設備を保有する大手企業や専門施設、大学研究室なども全国に存在します。
これらの施設を無駄なく有効にフル活用し、新たな技術や価値の発見に繋げていくことが施設運営の目的です。
ところが、企業の長期休暇中や夜間など、施設そのものが使われない期間があったり、
研究員不足で使われない設備が点在したりしているケースも散見されます。

そこで、この両者を繋ぎ合わせ、研究開発の機会の創出と開発スピードUPを図り、
いち早く、より多くの良質な研究成果を世の中に還元していこうとするある起業家の取り組みに、今注目が集まっています。

株式会社Co-LABO MAKERの古谷優貴さんに、事業の特徴や今後の課題についてお話をお聞きしました。

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・この事業の特徴は何ですか?

「Co-LABO MAKER(コラボメーカー)」は、研究開発したい研究者や企業と、研究リソースをもつラボ(研究室)をマッチングし、機動的な研究開発を支援する、研究リソースシェアリングプラットフォームです。
すでに立ち上がっているラボなので、人も設備も使えるため利用者側はスピーディーかつ低コストで研究開発が可能になります。また施設の提供者側は定期的な資金が獲得でき、お互いにWin-Winの関係を築くことができます。

・どういう方にこの事業を知ってもらい、活用してもらいたいですか?

ラボを一から立ち上げようとすると、立ち上げにかかる期間や費用に莫大なコストがかかってしまいます。そのため、自社に設備や技術がなく資金繰りが難しいスタートアップや一時的なプロジェクトでラボが必要な大手メーカーなど、Co-LABO MAKERのリソースを活用いただくことで、時間もコストも大幅に抑えることができ、開発速度と投資対効果が上がるので、本当にやるべき研究開発を進めることが可能になります。

また提供者側は、「数億円かけて作った施設が空いていてもったいない」「創薬関連で開発タームが長いので、効率よく場所を貸して運転資金を確保したい」「大学の研究室の空きスペースがあるので貸し出すことで自由に使用できる資金を獲得したい」といったように、大企業から大学の研究室まで「Co-LABO MAKER」を通して保有している設備や人材・技術をリソースとして提供し、資金・連携先・研究成果獲得の機会を得ることができます。

・この事業の解決する社会課題はなんですか?

化学、材料、製薬会社等のメーカーは、新商品を開発する際に専門的な設備が必要であり、研究環境を整えるためには多大な資金と時間がかかるという課題があります。その課題を解決するべく、当社は、大学・民間企業が保有する既存のラボを他者へシェアする「ラボシェアリングサービス」を生み出し、圧倒的に速く投資対効果の大きいアジャイル研究開発をサポートしてまいりました。

本サービスは同時に、一部の大学・研究室に資金が集中し、それ以外の研究室の研究・教育機会が損なわれるという課題の解決にも繋がっています。
Co-LABO MAKERのサービスをご利用いただくことで、民間から大学まで研究開発そのものをアップデートし、良いプロダクトを世の中に多くリリースすることをサポートいたします。

・創業期に大変だったことは何でしょう?またどうやって乗り越えましたか?

2017年に起業し、2018年にCo-LABO MAKERのサービスをリリース、2019年に資金調達をして軌道に乗り始めた頃にコロナ禍になり、思うようにラボの拡大を進めることができませんでした。しかし、コロナ禍だからこそコロナ関連の研究の需要が高まり、2021年は実験の委託業務で伸ばしていくことができました。
コロナ禍が明け、ラボの拡大と研究のマッチング需要が復活してきたため、今回のタイミングでの資金調達を実施し、より急速に拡大させ研究開発業界に貢献するために、今回の資金調達と業務提携締結に至りました。

・今の課題はなんですか?

現在、大手メーカーから一般企業、学校、団体など、400件以上のマッチングを実現し研究開発速度と投資対効果を高められる体験になっているものの、スタートアップにおいては10社程度のマッチング数です。
スタートアップがPoCのために施設や設備を用意するためには、莫大な費用と時間がかかります。また、それだけでなく人材含む特殊な環境が必要であるため、実施できる環境を用意すること自体が非常に難しいという課題がありました。
そこで、東京都と連携してスタートアップを支援する事業「TOKYO SUTEAM」において、ディープテックスタートアップとそれを支援する支援者(VC・アクセラレーター・大学・自治体等)向けのPoCインフラを構築する事業を開始しました。
本取り組みを通じて、日本のディープテックスタートアップの研究開発促進と次世代を担うスタートアップの創出を目指します。

また、もう一つの課題は人材採用です。コロナでラボのシェアリングサービスがやりきれず小さい組織で動いていたため、これからの事業戦略の実行を任せられるマネージャーが不足しています。現在募集している求人に加え、これから共に会社を作っていく役員候補も募集中です。興味の湧いた方は、ディスカッションベースでもいいので是非お声がけください。

・読者にメッセージをお願いします。

Co-LABO MAKERとして、これまでの直接的な企業の支援の方法に加え、VCやアクセラレーターを通したディープテックスタートアップを支援する方法にも力を入れていきます。
国をあげたディープテックスタートアップ振興を進める流れの中で、それを担える存在になっていきたいと考えています。そしてこれからの当たり前を作っていけるような、社会的、経済的に価値のある取り組みをしてまいります。

会社名 株式会社Co-LABO MAKER
代表者名 古谷優貴(ふるや ゆうき)
創業年 2017年4月
資本金 12億8869万円
社員数 10名
事業内容 Lab as a Service「Co-LABO MAKER」の開発・運営
サービス名 Co-LABO MAKER(コラボメーカー)
所在地 宮城県
代表者プロフィール 2011年に東北大学工学研究科修了。修士2年間で主著論文8本執筆。 昭和電工株式会社にて、パワー半導体(SiC)の研究開発・事業立上げに従事。自らの体験を元に、研究開発の民主化を志ざし、2017年4月にCo-LABO MAKERを起業。ラボシェアを中心とした研究開発リソースのシェアリングサービスを展開。 2020年東北大学客員准教授に就任。研究のポテンシャルを最大化し、産業と大学が共に発展していく新たな研究開発エコシステムの形成に挑戦中。
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カテゴリ 有望企業
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