AI起業に資格は必要?生成AIパスポート・G検定・ITパスポートの違い

AI起業に役立つ資格は複数ある


近年、ビジネスでAIを使用する事例が多くなっています。
多くの知識や技術をもっていればスキルアップや転職、起業などに役立つため、AIに関する資格取得を目指している人もいるでしょう。
しかし、AI関連の資格は種類が豊富にあります。「どの資格を取得すればよいのかわからない」「役立つ資格はどれなのか」と悩む人も多いです。

この記事では、AI起業での資格の必要性やおすすめの資格を紹介すると共に、生成AIパスポート・G検定・ITパスポートの違いやその他の資格、資格取得時の注意点などを解説していきます。
AI起業に欠かせない実務スキルについても解説していくので、資格取得を検討している人や起業を目指している人は、参考にしてみてください。

AI起業での資格の必要性


AI起業では、医師や税理士のように資格がなければ開業できないわけではありません。
法律で求められているような資格もないため、たとえ資格を取得していなくても起業することは可能です。

一方で、AI・生成AIの知識を証明できる資格は、案件獲得や顧客への説明材料として活用できます。
資格を持っていることでスキルや知識を要していると証明できるため、顧客や取引先からの信頼獲得につながるのです。
信用を得て案件獲得につなげるためにも、資格の取得を検討してみてください。

AI起業の目的別におすすめの資格

AI起業の目的 おすすめの資格 向いている人 学べる内容
生成AIツールを使った支援をしたい 生成AIパスポート ChatGPTなどを活用した業務効率化支援、研修、文章作成支援などを行いたい人 生成AIの基礎、活用方法、情報漏えい・著作権などのリスク
AIサービスの企画・提案をしたい G検定 AIを活用した新規事業、サービス企画、導入提案を行いたい人 AI・ディープラーニングの基礎、活用事例、法律・倫理
IT全般の基礎から学びたい ITパスポート AI以前に、IT・経営・セキュリティの基礎を固めたい人 IT基礎、経営戦略、情報セキュリティ、システムの基本
AI開発・実装まで関わりたい E資格、AWS Certified AI Practitionerなど AIモデルの開発、クラウドAIの活用、技術寄りのサービス提供を目指す人 機械学習、ディープラーニング、クラウド上でのAI活用

まずは生成AIを使った支援や研修から始めたい場合は生成AIパスポート、AIサービスの企画や導入提案まで視野に入れる場合はG検定、ITの基礎から固めたい場合はITパスポートが選択肢になります。
一方で、AI開発や実装まで関わる事業を目指す場合は、E資格やクラウド系資格も検討するとよいでしょう。

生成AIパスポート・G検定・ITパスポートの違い


AI起業に役立つ資格として、生成AIパスポート・G検定・ITパスポートが挙げられます。それぞれには異なる特徴があるため紹介していきます。

生成AIパスポート G検定 ITパスポート
資格種別 民間資格 民間資格 国家資格
運営団体 生成AI活用普及協会(GUGA) 日本ディープラーニング協会(JDLA) 情報処理推進機構(IPA)
取得する目的 AIを安全かつ効率的に業務で使いこなすためのリテラシーの証明 AIをビジネスで活用する人材のためのディープラーニングを含む幅広いAI知識の証明 IT社会で働いているすべての社会人や学生に必要な基礎知識の証明
試験の形式 オンライン受験 オンライン受験(会場での受講も可能) 会場でのCBT試験
学習する内容 生成AIの基礎から著作権・情報漏洩といった倫理や法的リスクなど AIの歴史や機械学習の手法、ディープラーニングの仕組みや数理、法律など IT技術や経営戦略、プロジェクト管理など

生成AIパスポート・G検定・ITパスポートは取得する目的も違えば、取得できる内容も異なります。
起業内容や自分が持っている知識に合わせて取得する資格を選び、学習を進めてみてください。
下記では、生成AIパスポート・G検定・ITパスポートそれぞれで取得できる知識や試験の概要などを詳しく紹介していきます。

生成AIパスポート


生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が認定する民間資格です。
生成AIの基礎知識から業務での活用方法、リスク予防まで、AIを安全に扱うためのリテラシーを証明できる資格です。

取得できる知識やスキル

生成AIは、活用することで業務効率化やサービスの創出に大きく貢献します。しかし、誤情報や著作権侵害、個人情報の漏洩といったリスクも多く抱えています。
AIリテラシーが低いままスキルを高めてもリスクが高い人材になるだけなので、生成AIリスクを予防する知識も同時に押さえることが必要です。
生成AIパスポートは、生成AIを業務や学習に取り入れるための最低限押さえておきたい知識を体系的に学べる資格です。

  • AIや生成AIの基礎
  • 生成AIの動向
  • 生成AIを取り扱う時の注意点
  • 生成AIの実践的な活用方法

これらの知識を習得できるため、自分の生成AI活用レベルを証明するためにも取得を検討してみてください。

試験の概要

試験の名称 生成AIパスポート
試験の形式 オンライン(IBT方式)
試験の時間 60分
出題される問題数 60問
受験費用 一般11,000円(税込)学生5,500円(税込)

生成AIパスポートは、オンライン形式で試験が行われます。インターネットを通じて自分のパソコンやスマートフォンからでも試験を受けられるため、試験会場にわざわざ出向く必要がなく、自宅や会社などから受験可能です。
出題される範囲は、シラバスにまとめられています。生成AIパスポートの公式サイトに情報が掲載されているため、よく確認しておきましょう。

また、2026年度の試験スケジュールは以下の通りです。

申込期間 受験期間
2025年10月1日~2026年1月31日 2026年2月1日~2026年2月28日
2026年2月1日~2026年3月31日 2026年4月1日~2026年4月30日
2026年4月1日~2026年5月31日 2026年6月1日~2026年6月30日
2026年6月1日~2026年7月31日 2026年8月1日~2026年8月31日
2026年8月1日~2026年9月30日 2026年10月1日~2026年10月31日

受験期間中の問い合わせ対応可能時間は平日の10時から18時となっているため、試験に関する疑問があれば相談してみてください。

G検定


G検定は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定している民間資格です。
AIやディープラーニングの基礎知識能力や事業活用能力などを証明できます。取得できる知識やスキルの詳細や試験の概要を解説していきます。

取得できる知識やスキル

G検定は、AIやディープラーニングの活用リテラシー習得のための検定試験です。
「AIで何ができるのか」「AIでは何ができないのか」「どこでAIを活用すればよいのか」「AIを活用するためには何が必要なのか」という疑問を解決できます。
具体的に学べることは以下の通りです。

  • AIの基礎
  • AI領域における技術手法
  • ディープラーニングの概要
  • 産業活用事例
  • 活用前に理解しておくべきこと
  • 数理・統計基礎知識
  • AIに関する法律や契約
  • AI倫理
  • AIガバナンス

G検定は、受験資格に制限がないので誰でも受験が可能です。

試験の概要

試験の名称 G検定
試験の形式 オンライン・会場
試験の時間 オンライン100分・会場120分
出題される問題数 145問程度
受験費用 一般13,200円(税込)学生5,500円(税込)

G検定は、オンライン受験の他に会場での受験も可能です。オンラインの場合は、受験チケットを購入して有効期限内に希望する試験の回を予約することで受験できます。
会場の場合は、受験者専用サイトから希望する会場や日程を選んで受験する仕組みです。
問題はシラバスより出題されるので、公式サイトをチェックしておきましょう。

2026年度の試験日程は以下の通りです。

【オンライン試験】

開催回 試験開催日 申込期間
G2026#1 2026年1月10日(土)
13時~14時40分
≪個人≫
2025年11月14日~2025年12月26日
≪団体≫
2025年11月14日~2025年12月19日
G2026#2 2026年3月6日(金)
16時~17時40分
2026年3月7日(土)
13時~14時40分
≪個人≫
2026年1月16日~2026年2月26日
≪団体≫
2026年1月16日~2026年2月19日
G2026#3 2026年5月9日(土)
13時~14時40分
≪個人≫
2026年3月13日~2026年4月30日
≪団体≫
2026年3月13日~2026年4月24日
G2026#4 2026年7月3日(金)
16時~17時40分
2026年7月4日(土)
13時~14時40分
≪個人≫
2026年5月15日~2026年6月25日
≪団体≫
2026年5月15日~2026年6月18日
G2026#5 2026年9月5日(土)
13時~14時40分
≪個人≫
2026年7月10日~2026年8月28日
≪団体≫
2026年7月10日~2026年8月21日
G2026#6 2026年11月6日(金)
16時~17時40分
2026年11月7日(土)
13時~14時40分
≪個人≫
2026年9月11日~2026年10月29日
≪団体≫
2026年9月11日~2026年10月22日

【会場試験】

開催回 試験開催日 申込期間
G2026#1 実施なし
G2026#2 2026年3月6日(金)~2026年3月8日(日) ≪個人・団体≫
2026年1月16日~受験日の3日前23時59分まで
※団体は2026年2月22日23時59分まで
G2026#3 2026年5月8日(金)~2026年5月10日(日) ≪個人・団体≫
2026年3月13日~受験日の3日前23時59分まで
団体は2026年4月26日23時59分まで
G2026#4 実施なし
G2026#5 2026年9月4日(金)~2026年9月6日(日) ≪個人・団体≫
2026年7月10日~受験日の3日前23時59分まで
団体は2026年8月23日23時59分まで
G2026#6 実施なし

ITパスポート


ITパスポートは、経済産業省が管轄し、情報処理推進機構(IPA)が実施している国家資格です。具体的な内容を解説していきます。

取得できる知識やスキル

ITに関する基礎知識を証明する資格で、IT系の国家試験の中では入門レベルにあたります。
パソコンやインターネット、AIの基礎となる知識や技術を学べるほか、システムの開発や導入にあたっての管理手法に加え、ビジネスを有利に進めるための戦略やルールなども学ぶことが可能です。

ITに関するスキルは、どんな業種や職種でも現代では切り離せない内容なので、その基礎を証明できるITパスポートを取得していれば、大きな価値があると言えます。
より上位に位置する専門性の高い資格の足掛かりとしてもおすすめです。

試験の概要

試験の名称 ITパスポート
試験の形式 会場(CBT方式)
試験の時間 120分
出題される問題数 小問:100問
受験費用 一般7,500円(税込)

受験したい場合には、ITパスポートの公式サイトにある受験申込ページから申請します。
試験日は毎月実施されています。
全国47都道府県に設置されているテストセンターごとに、日程や空き状況が設定されているので、自分の都合のよい日時を選択して受験できる仕組みです。
詳しい日程は、公式サイトにある「試験開催状況一覧」からチェックしてみてください。

AI起業に活用できるその他の資格


AI起業で活用できる資格は、前述した3種類だけではありません。その他にも役立つ資格は存在します。
ここでは、「E資格」と「AWS Certified AI Practitioner」「認定AI・IoTコンサルタント」の3種類を紹介します。

E資格

試験の形式 会場
試験の時間 120分
出題される問題数 100問程度
受験費用 一般33,000円(税込)学生22,000円(税込)会員27,500円(税込)

E資格は、一般社団法人日本ディープラーニング協会が認定する民間資格です。
ディープラーニングの理論を正しく理解し、適切な手法を選んで実装する能力があることを証明できます。
誰でも受験できる資格とは違い、試験日の過去2年以内にJDLA認定プログラムを修了していることが受験の条件となっています。

AWS Certified AI Practitioner

試験の形式 オンライン・会場
試験の時間 90分
出題される問題数 65問
受験費用 一般16,500円(税込)

AWS Certified AI Practitionerは、人工知能や機械学習、生成AIの概念といった知識を証明する認定資格です。
AWSNOAI関連サービスの概要だけではなく、生成AIの仕組みやAI倫理やバイアス、セキュリティに関する知識も習得できる資格です。

認定AI・IoTコンサルタント

試験の形式 オンライン・課題提出
試験の時間 受講する階級によって異なる
出題される問題数 160問程度
受験費用 AI・IoTジュニアコンサルタント
22,000円(税込)
AI・IoTシニアコンサルタント
88,000円(税込)
AI・IoTマスターコンサルタント
132,000円(税込)

認定AI・IoTコンサルタントは、AIやIoTといった最先端技術を企業の課題解決やDX化に活用するための専門能力を証明する民間資格です。
実務能力に合わせて3つの研修と試験が用意されています。

  • AI・IoTジュニアコンサルタント:AIやIoTの基礎を学べる
  • AI・IoTシニアコンサルタント:企業の課題を整理するスキルを養える
  • AI・IoTマスターコンサルタント:DX実行計画書を作成して企業に提案する実践力を証明できる

AI資格を取得する際の注意点


AI資格を取得する際には、以下の点に注意してください。

資格取得だけで案件獲得が保証されるわけではない

AI資格を取得したからといって、案件獲得が保証されるわけではありません。
AI業務には法的な独占資格がないため、資格があるからといってすぐに仕事につながるとは考えにくいです。
あくまでも知識の証明として使えるものなので、実務経験との組み合わせや他のスキルと併せることで価値を発揮します。

試験範囲や制度は変更される可能性がある

AI資格を取得する際には、試験の範囲や受験料などの制度が変更される点に注意してください。
AI技術は日々進歩しています。それに合わせて試験要項もアップデートされるため、受験する前には必ず公式サイトの最新情報を確認する必要があります。
受験料の値上げや会場・日程の変更、会場からCBT方式への意向など、変更が行われる可能性はゼロではないため、必ず公式サイトから情報を集めるようにしましょう。

目的に合わない資格を選ぶと遠回りになる

目的に合わない資格を選んでしまうと、学習した内容が実務に直結しないため遠回りになってしまいます。
そのため、「とりあえず取得しておこう」といったように安易な考えで取得するのではなく、「AIを活用して何がしたいのか」「どんな職種で働きたいのか」など、目的や目標に合わせて資格を選ぶことが最も大切です。

AI起業では資格だけでなく実務スキルも重要


資格を取得することで、スキルの証明ができますが、それ以上に実務スキルも重要となります。必要な実務スキルは以下の通りです。

AIツールを使いこなす力

ビジネスにおける課題をAIで解決するためにも、複数のAIツールを適材適所で使いこなす実務スキルがあれば、スムーズな成果につながります。
すべての業務を1つのAIツールで賄うのではなく、目的に応じてツールを組み合わせることがポイントです。例えば以下のような使い方です。

  • 文章作成やリサーチ:ChatGPTやClaude
  • 画像生成やデザイン生成:MidjourneyやDALL-E 3
  • 業務自動化:MakeやZapier

顧客の課題を整理する力

AI起業では高度な技術力ももちろん必要ですが、技術力以外にも課題を整理する力がなければ「誰も欲しがらないもの」を作り出してしまう可能性があります。
顧客が求めている声を整理できれば、課題解決の近道になるでしょう。課題を整理するステップは以下の通りです。

1.現状を可視化する(誰がどのツールを使っているか、作業にどの程度の時間がかかっているかなど)
2.現状の業務フローの中で非効率やストレスのかかっているものを特定する
3.AIで解決できる要因を特定する
4.解決した際の変化を数値で示す

顧客とのヒアリングでは、「As-Is / To-Be」や「5Whys」といったフレームワークを活用するとスムーズな整理に役立つはずです。

AI活用のリスクを説明する力

AIを活用することで業務効率化といった成果を目指せる一方、リスクも存在します。AIにおけるリスクは以下の通りです。

  • 情報漏洩リスク
  • 著作権、法務リスク
  • 誤情報
  • 倫理、バイアス

機密情報や個人情報が流出するリスクをはじめ、著作権侵害による訴訟リスクやブランド価値の低下、差別的な出力による問題の発生など、あらゆるリスクが考えられます。
こうしたリスクについても、わかりやすく説明できるリスクを身につけておくとビジネスに大いに役立ちます。

成果物をビジネスに落とし込む力

AIのみで仕事が完結するわけではありません。既存のワークフローの中で、どこにAIを組み込むべきなのかを見極める能力も必要です。
例えば、資料作成時の構成案作りやプログラムのデバッグ作業などです。AIツールを活用することで効果の高い工程を特定できれば成功を目指せるでしょう。

まとめ・知識やスキルの証明になるAI資格の取得で起業を目指そう

AI起業では資格を取得することで、知識やスキルの証明になります。信頼獲得や案件獲得につながりますが、資格を取得しただけで案件獲得が保証されるわけではありません。
ツールを使いこなす力やリスクを説明する力、成果物をビジネスに落とし込む力など、実務スキルも重要となるため、スキル獲得を目指して知識習得を目指してみてください。

創業手帳(冊子版)では、ビジネスに役立つ様々な知識を提供しています。起業を目指している場合に有効なので、ぜひ参考にしてください。

(編集:創業手帳編集部)