注目のスタートアップ

有機ELディスプレイや照明に用いる次世代発光材料を開発する「Kyulux」に「九州発ジャパン・エボリューション・ファンド」が出資

company

2023年9月21日、MCPアセット・マネジメント株式会社は、MCPグループが運営する、九州発ジャパン・エボリューション・ファンド投資事業有限責任組合が、株式会社Kyuluxに2億円の出資を実行したことを発表しました。

また、MCPグループでは、シリーズCファースト・クローズにて8億円の出資および監査役の派遣を実施しており、今回のJEFによる出資を含め、出資総額は10億円となっています。

Kyuluxは、有機EL発光技術「Hyperfluorescence」を中心に、有機ELディスプレイや照明に用いる次世代発光材料を開発する九州大学発ベンチャー企業です。

国内外の大手ディスプレイメーカーから出資を受け、協業による技術開発を進めています。

今回の資金調達は、発光技術・材料の大量生産技術の確立と市場投入を目的としています。


有機ELは、近年テレビ・スマートフォン・PCなど、さまざまなディスプレイで利用されることが増えてきているテクノロジーです。

有機ELは、1950年代初頭に発見され、1980年代後半に基本的なデバイス構造が確立されました。

有機ELは自らが発光するため、液晶ディスプレイでは必要だったバックライトが必要ないこと、液晶ディスプレイよりも薄さ・軽さ・コントラスト・応答速度などで優位性があることから、今後ディスプレイのスタンダードとして普及していくと考えられています。

一方、有機ELにはいまだ技術上の課題が存在しています。

有機ELの第1世代である蛍光材料は内部変換効率が低く(つまりより多くの電力を必要とする)、それを改善した第2世代である燐光材料は、効率は高いものの、色純度が必要であるほか高価なレアメタルを必要とします。さらには、第2世代は青色の発光が実現されていません。

現在の有機ELディスプレイは、赤色と緑色の発光材料に第2世代である燐光材料が利用され、青色には効率を低下させる第1世代の蛍光材料が利用されています。

つまり、有機ELの劇的な普及のためには、発光効率が高く、長寿命であり、青色に発光する技術が求められているのです。

Kyuluxの「Hyperfluorescence」は、九州大学で発明された、レアメタルフリー・高効率・狭い発光スペクトル(青色の発光を実現)・廉価を実現する有機EL発光技術です。

世界中の主要な有機EL材料メーカーと協力しながら、2023年には緑色のAMOLED材料、2024年までには赤色と青色AMOLED用材料の本格的な商業化に向け開発を進めています。

企業・事業の成長には戦略的な資金調達やシナジーのある企業などとの提携が重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ BtoB Hyperfluorescence MCPアセット・マネジメント MCPグループ ディスプレイ モニター 九州大学 九州発ジャパン・エボリューション・ファンド 有機EL 材料 株式会社 次世代 照明 開発
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

フリーランス向け賃貸与信アプリ「smeta」など運営の「リース」が7,000万円調達
2020年3月31日、リース株式会社は、総額約7,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 フリーランス向け賃貸与信アプリ「smeta(スメタ)」や、フリーランス向け家賃債務保証サービス「s…
AIソリューションを開発する「Recursive」と「ロート製薬」が資本業務提携
2024年6月24日、ロート製薬株式会社と株式会社Recursiveは、2024年6月14日付で資本業務提携を締結したことを発表しました。 Recursiveは、持続可能な未来を構築するためのAIソリ…
再生可能エネルギーの導入・ 調達コンサルティングなどを手掛ける「クリーンエナジーコネクト」が18億円調達
2022年8月1日、株式会社クリーンエナジーコネクトは、総額18億円の資金調達を実施したことを発表しました。 クリーンエナジーコネクトは、RE100参加企業などに向けた再生可能エネルギーの導入・調達コ…
ノンデスク産業向けSaaS・プラットフォームを提供する「X Mile」が資金調達
2023年1月25日、X Mile株式会社は、資金調達を実施したことを発表しました。 X Mileは、ノンデスク産業向けSaaS「ロジポケ」や、ドライバー求人専門サイト「X Work(クロスワーク)」…
ビルオーナーと移転企業のマッチングプラットフォーム「SERECT」を開発する「Lexi」が2,000万円調達
2022年10月20日、株式会社Lexiは、2,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 Lexiは、ビルオーナーと移転企業のマッチングプラットフォーム「SERECT」を開発・提供しています…

大久保の視点

国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
「JX Live! 2024」JX Awards大賞はNYでイチゴが大ヒットの古賀大貴さん(Oishii Farm 代表)
2024年10月9日、虎ノ門ヒルズフォーラムにて、「JX Live! 2024」が新経済連盟主催で行われました。 「JX Live!」は、「JX(Japan…
(2024/10/9)
「スタートアップワールドカップ2024」世界決勝を現地速報!優勝はEarthgrid(米代表・プラズマでトンネル掘削)
2024年10月4日、世界最大級のビジネスピッチコンテスト「スタートアップワールドカップ(SWC)2024」の世界決勝戦が、米国・シリコンバレーで開催されま…
(2024/10/5)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集