注目のスタートアップ

有翼式再使用型ロケットを開発する「SPACE WALKER」が「JAXA」から資金調達

company

2023年4月20日、株式会社SPACE WALKERは、2023年4月に国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)から資金調達を実施したことを発表しました。

2022年4月に実施されたJAXAからの出資に係る募集に対して、スペースウォーカーは、成果活用事業者として応募申請し、所定の審査プロセスを経て、この度出資先に選定されました。

成果活用事業者とは、研究開発法人の研究開発の成果を民間の事業活動において活用する事業者のことです。

SPACE WALKERは、サブオービタルスペースプレーン(有翼式再使用型ロケット)の研究・開発と、宇宙開発における軽量化の技術を活用した地球の脱炭素化に資する次世代複合材タンクの開発・製造・販売を行っています。


これまで衛星などを打ち上げるためのロケットは一度の打ち上げで用途を終える「使い捨て」を前提としていました。

ロケット開発はコストがかかるのですが、再使用されないのは、回収の手間や再使用に耐えうるほど頑丈に作ることにコストがかかるからです。そのため再使用ロケットよりもコストがかからない使い捨てがスタンダードとなっていました。

しかし、近年のテクノロジーの急激な進展により、再使用ロケットへの注目が高まっています。

たとえば、イーロン・マスク氏が立ち上げた米国の宇宙ベンチャーSpaceXは、完全に再使用できるロケットと宇宙船の実現により、宇宙への輸送コストを1/100にすることを目指しています。

実際にSpaceXが手がけるロケット「Falcon 9」は、これまでに10回以上のブースターの再利用に成功しており、今後さらなる成果をあげていくことが期待されています。

国内においても、コストの低い宇宙輸送システムを確立するための取り組みが進んでいます。

SPACE WALKERは、高度100km以上の宇宙空間に到達したあとに地上に帰還することができるサブオービタルスペースプレーンの実現により、宇宙輸送のコスト削減を目指しています。

世界の宇宙ビジネスの市場規模は、2010年に約27兆円だったものが、2019年には約40兆円にまで成長しています。また、2040年代には100兆円以上の市場規模へと成長することが予測されています。

中でも成長しているのが打ち上げた衛星から得られるデータを活用する衛星サービスの領域です。

衛星の打ち上げコストの低下、つまり宇宙輸送のコスト低下は、衛星サービスの拡大にとっても重要な要素のひとつです。

株式会社SPACE WALKERのコメント

このニュースを受けまして、株式会社SPACE WALKERよりコメントが届きました。

・今回の資金調達の目的は何ですか?

宇宙輸送システムの実現に向けた宇宙領域等の事業連携。両社の強みを生かすことで、新規ビジネスの創出、事業拡大を目的として、広範な業務において協議を進め、新たな社会的価値を生みだしていきます。

・今後の展望を教えてください。

宇宙輸送システムや、複合材タンクをはじめとするコンポーネント事業等の相互連携が可能な領域において、社会の発展のために協議検討してまいります。

・読者へのメッセージをお願いします。

この度は、皆さまにJALUX社とのリリースを発表できたこと、誠に嬉しく思います。

SPACE WALKERは、「誰もが飛行機に乗るように自由に地球と宇宙を往来する未来」を目指し、持続可能な宇宙輸送システムとして有翼式再使用型ロケットの研究・開発を進めてまいりました。

JALグループのJALUX社との資本業務提携により、さらに高度な宇宙ビジネスと地球の脱炭素化に貢献しうる新たな社会的価値を創出していくことができると考えております。

今後、私たちは夢ある未来を創るために、さらにチャレンジし続けてまいります。

事業の成長には戦略的な資金調達やシナジーが見込める企業との提携・連携が重要です。シリーズ累計発行部数200万部を突破した起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウや、融資を受けるためのノウハウなどを詳しく解説しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ JAXA SPACE WALKER サブオービタルスペースプレーン スペースプレーン ロケット 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 宇宙 宇宙ビジネス 宇宙機 宇宙輸送システム 有翼式再使用型ロケット 株式会社 複合材製容器 資金調達
資金調達手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事
普通の人が起業するには?成功する5ステップを創業手帳・代表の大久保が解説!
キャッシュフロー計算書のサムネイル
キャッシュフローとは?計算書(C/F)の見方や作り方などをわかりやすく解説!
NPO法人設立サムネイル
【保存版】NPO法人の設立は難しい?メリットや設立費用、条件など徹底解説
有限会社とは?なぜもう設立できないのか?
家族を従業員にする4つのメリットと注意するべきポイント
法人の印鑑証明書の取り方 | 手数料は?どこで?郵送は可能?

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

医療業界向けシステム・アプリ受託開発などの「ジーワン」がIT営業アウトソーシングの「BCC」と資本提携
2022年5月23日、ジーワン株式会社は、BCC株式会社からの出資を受け入れたことを発表しました。 ジーワンは、医療向けにHXデザイン(ヘルスケアエクスペリエンスデザイン)、システム・ウェブサイト開発…
クラウドシフト管理システム「らくしふ」などを提供する「クロスビット」が9億円調達
2024年1月10日、株式会社クロスビットは、総額9億502万8,100円の資金調達を実施したことを発表しました。 クロスビットは、クラウドシフト管理システム「らくしふ」や、シフトマッチ度を重視したア…
大学関係なくOB・OG訪問ができる就活アプリを手がける「Matcher」が1億円調達 「ポート」と資本業務提携
2024年2月29日、Matcher株式会社は、1億円の資金調達を実施したことを発表しました。 引受先はポート株式会社です。ポートとは資本業務提携を締結し、グループインします。 Matcherは、大学…
医療機関・介護施設向け業務支援SaaS「CAREBOOK」開発・提供の「3Sunny」が3.2億円調達
2021年3月4日、株式会社3Sunnyは、総額約3億2,000億円の資金調達を実施したことを発表しました。 医療機関・介護施設向け業務支援SaaS「CAREBOOK」を開発・提供しています。 病院に…
受付から終了まで30分で完了する脳ドック「スマート脳ドック」などを展開する「スマートスキャン」が13.7億円調達
2022年4月11日、スマートスキャン株式会社は、総額13億7,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 スマートスキャンは、脳ドックのWeb予約サイト「スマート脳ドック」や、脳ドック専用の…

大久保の視点

明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得はゼファーさん明治大学2年「NEUROGICA」メンタルIoT
2025年3月14日(金)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第3回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2025/3/14)
日本サブスク大賞2024グランプリはAI英会話スピークバディが受賞!
日本国内で唯一のサブスクリプション特化型イベント「日本サブスクリプションビジネス大賞2024」が、2024年12月4日(水)にベルサール六本木で開催されまし…
(2024/12/4)
国際団体エンデバージャパン「EndeavorJapanSummit 2024」を現地レポート!
パネルセッション例:中村幸一郎(Sozo Ventures ファウンダー・著名な投資家)、ヴァシリエフ・ソフィア市副市長(ブルガリアの首都) 「Endeav…
(2024/10/9)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集