注目のスタートアップ

クライオ電子顕微鏡による構造解析技術を活用した創薬事業を展開する「キュライオ」が2.6億円調達

company

2023年3月22日、株式会社キュライオは、総額約2億6,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。

2021年6月に発表した総額約3.1億円の資金調達を合わせ、累計調達額は5.7億円となっています。

キュライオは、クライオ電子顕微鏡を用いたStructure-Based Drug Discovery(SBDD)による自社創薬事業と、創薬支援事業を進めています。

クライオ電子顕微鏡による構造解析は、従来のX線構造解析では難しかったタンパク質の大部分において構造解析を可能とする技術として注目されています。

キュライオは、「構造解析による標的をしっかりと可視化した創薬」と「創薬研究開発効率の大幅な向上」の実現のために事業を進めています。

今回の資金は、自社創薬事業内の主力パイプラインの加速・拡大、基盤技術の開発を目的とした研究開発・設備投資・体制強化に充当します。


従来の創薬では、新薬の候補となる化合物を見つけるため、有機合成の専門家による知見・経験に頼った実験が必要でした。

この化合物探索のプロセスは2年から4年程度かかりますが、必ずしも薬の開発が成功するとは限らず、探索プロセスが無駄になってしまうこともあります。

さらに、創薬には莫大なコストがかかり、その成果の予測が難しいため、開発期間とコストは創薬企業にとって長年の悩みの種となっています。

また、近年はさまざまな研究が飛躍的に進展し、核酸医薬、細胞治療、遺伝子治療など、新たな医薬品・治療法が実用化されています。

一方で、こうした医薬品・治療法を実現するための創薬研究の難度も高くなり、新薬を作りだせる確率が低下しています。

こうした状況の中、創薬プロセスを大幅に効率化するため、AIを活用しコンピューターの中で新薬候補を見つけるin-silico創薬(インシリコ創薬)など、新たな創薬基盤・技術への注目が高まっています。

キュライオが展開しているクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析は、2017年にノーベル化学賞を受賞した構造解析手法のひとつであり、創薬標的となるタンパク質の構造解析において、従来の構造解析技術を凌駕する技術として注目されています。

研究開発を主体としたビジネスでは、ビジネスとして軌道に乗るまでの研究開発費用が必要となります。起業ノウハウ集「冊子版創業手帳」の別冊「資金調達手帳」では、VCから出資を受けるためのノウハウなど、資金調達に関する情報を提供しています。

読んで頂きありがとうございます。より詳しい内容は今月の創業手帳冊子版が無料でもらえますので、合わせて読んでみてください。
カテゴリ 有望企業
関連タグ SBDD Structure-Based Drug Discovery キュライオ クライオ電子顕微鏡 タンパク質 創薬 創薬支援 構造解析
創業手帳
この記事を読んだ方が興味をもっている記事

有望企業の創業手帳ニュース

関連するタグのニュース

マイクロバイオーム創薬を目指す「メタジェンセラピューティクス」が1.4億円調達
2022年10月6日、メタジェンセラピューティクス株式会社は、総額1億4,000万円の資金調達を実施したことを発表しました。 メタジェンセラピューティクスは、順天堂大学、東京工業大学、慶應義塾大学の研…
「アガサ」がリモート化による臨床開発業務の停滞を防ぐ新サービス「カット・ドゥ・スクエア × Agatha連携ソリューション」をリリース
2022年1月13日、アガサ株式会社は、「カット・ドゥ・スクエア × Agatha連携ソリューション」を提供開始したことを発表しました。 アガサは、治験・臨床研究向け文書管理クラウドサービス「Agat…
新規siRNA創薬の実現に取り組む「ANRis」に「早稲田大学ベンチャーズ」が2億円の投資を実行
2023年11月28日、早稲田大学ベンチャーズ株式会社は、WUV1号投資事業有限責任組合(WUV1号ファンド)の新規案件として、株式会社ANRisに、2億円の投資を行ったことを発表しました。 ANRi…
腸内細菌叢バンクの構築により腸内細菌叢移植(FMT)の社会実装とマイクロバイオーム創薬を推進する「メタジェンセラピューティクス」が11億円調達
2023年4月5日、メタジェンセラピューティクス株式会社は、総額11億円の資金調達を実施したことを発表しました。 メタジェンセラピューティクスは、腸内細菌叢バンクの構築により、腸内細菌叢移植(FMT)…
大豆等穀物の植物工場からプラントベースドフード加工までを垂直統合で展開する「ディッシュウィル」が資金調達
2023年4月17日、株式会社ディッシュウィルは、資金調達を実施したことを発表しました。 大豆等穀物を生産する植物工場から、プラントベースドフード加工までを垂直統合で展開しています。 植物工場から食品…

大久保の視点

「千代田区CULTURExTECH ビジコン2024」が丸の内TOKYO創業ステーションで2024年3月19日に開催
2024年3月19日(火)にStartup Hub Tokyo 丸の内(TOKYO創業ステーション 丸の内 1F・千代田区)で千代田CULTURExTECH…
(2024/3/19)
明治大学ビジコンで優勝&100万円獲得は宇宙ビジネスの蓮見大聖さん明治大学4年「AMATERAS SPACE」
2024年3月13日(木)に明治大学・御茶ノ水キャンパスで第2回明治ビジネスチャレンジ(明治ビジチャレ)が明治大学経営学部主催で行われました。 明治大学の各…
(2024/3/13)
Coral Capitalが虎ノ門ヒルズで「Startup Aquarium 2024」を開催。VCが大規模キャリアイベント
ベンチャーキャピタルのCoral Capitalが主催する「Startup Aquarium 2024」が2024年3月2日(土)に虎ノ門ヒルズで開催されま…
(2024/3/2)
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

注目のニュース

最新の創業手帳ニュース

創業時に役立つサービス特集
今すぐ
申し込む
【無料】