【muse代表取締役 勝友美さんインタビュー後編】自分の信念を貫くことが大切な理由(後編)

創業手帳

自分の中で違和感を感じることは絶対にしない

(2017/11/14更新)

前編では、自身の接客についての考え方や、起業時のエピソードについて語っていただいた株式会社muse代表取締役 勝友美さん。
後編では、人材集めの際に意識した点や、自分自身のミッションを貫く大切さなど、さらに経営者目線でのお話を伺いました。

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勝友美(かつ ともみ)
株式会社muse代表取締役
アパレルメーカーに入社し、入社2カ月で副店長となりトップセールスとなる。
その後ヘッドハンティングを受け、スタイリストとして中国でのポータルサイト新規事業の立ち上げ主要メンバーとなる。
2年後に足りない知識を補うために縫製業界へ転職。最高峰の採寸技術を習得したのち、2013年muse style labを大阪・淀屋橋にて設立(現在のRe.muse/レ・ミューズ)に続き、2016年に2号店を東京・六本木へOPEN。
日本初の女性テーラー。女性起業家として業界の枠を越えて、経済界始めメディアに取り上げられている。
著書:『営業は「バカ正直」になればすべてうまくいく!』(SBクリエイティブ刊)

採用条件は本当の意味でのミッションの共感

museで製作したオーダースーツ

ー起業した際に、人材はどのように集めましたか?

:起業して1年半くらいは一人で経営していたのですが、さすがに限界を感じていました。求人広告を出すお金も無かったので、ヘッドハンティングで人材を見つけていきましたね。

ーヘッドハンティングということは、前職の繋がりからどんどん声を掛けていったんでしょうか?

:実はそうとは限らなくて、六本木店の土屋沙織さんと大阪本店の福井彩恵さんは、もともと高校時代からの知り合いです。ですが、どちらも頻繁に連絡を取っていたわけじゃありませんでした。

福井さんを採用した時は今思うと不思議なんですが、ある日の朝起きた時に、ふと福井さんの顔が浮かんだんですね。それがどうしても気になって、すぐに連絡して、直接会って話をしました。そこでmuseのミッションに共感してくれて、仲間になってくれた、という経緯です。

ー確かに不思議な話ですね。ちなみに、勝さんが人材を採用する際に重要視しているのはどのポイントですか?

一番重要視しているのは、「私たちのミッションに共感してくれているかどうか」です。
「来てください」って言っている手前、こう言うことは失礼かもしれませんが、「言われたから来ました」って言う考えだったら来なくていいと思っています。自分の人生を、ここに来ることでより豊かにすることにつながって、より輝かせるって思ってくれる人じゃないと、一緒に働くことはできないと思います。

ー創業期は猫の手も借りたいくらい忙しい時期だと思います。ミッション重視で人材を選ぶとなると、人材の確保はものすごく難しくなるのではないでしょうか?

:確かに創業期はすごく忙しい時期ですし、自分のことで手一杯になってしまいますから、すぐにでも人手が欲しくなります。
ですが、ミッションに共感してくれる人でなかったら、採用したとしても、どこかで歪みが生じてしまいます。
忙しい時期だからこそ、ミッションをしっかり持って人材を確保するべきだと思います。

私の接客は、カウンセリングに近いと思う

ーお客様との信頼関係を築いていくために、実践していることはなんですか?

:常に全力でお客様と向き合うこと、その人以上にその人のことを想って向き合うことを心がけています。

例えば、スーツ作りを検討しているお客様に対しては、お互いの話をするために2時間くらい時間を取っています。
その際に「この部分をこういう風に変えたら、今よりもっと良いんじゃないか?」という部分が見えてくるときがよくあります。
「自分で気付かなきゃ意味がないから、あえて言わない」という方もいらっしゃいますが、私の場合は気付いたまま放っておくことができない性格なので、すぐに言ってしまうんですね。

「もしかしたら、これを言うと私のことを嫌いになってしまうかもしれない」と思う時もありますが、いつか本人が気付いた時に改善できるスピードも早くなるはずです。前述したように、私の仕事は「相手がなりたい自分になるためのサポートをする」ことです。その考えのもと、相手への愛情を持って、話しているだけなんです。実は特別なことはやっていません。

動物は相手を信頼しているときや敵意がないことを示すためにお腹を見せますよね。私の場合はお互いの話をする時に自分からお腹を見せている感覚です。
貯金がなくなって来た時は「貯金がゼロになっちゃいそうで・・・」ってお客様に話しちゃう時もありましたし(笑)

あとは、お客様だけでなく、自分が行うすべての仕事に気持ちを込めて取り組みようにしています。

気持ちが込もっていないものってすぐわかります。例えば手紙一つ取ってもそうですよね。もちろん服を作っている時もそうです。
お金のためにしている仕事じゃなくて、人のためにしている仕事ですから、一つ一つのことに気持ちを込めて取り組んでいます。

ーお話を伺っていて思ったんですが、スーツのセールスをしている、というよりは、カウンセリングに近いことをやっていらっしゃるんですね。

:そうかもしれません。
多分私はエネルギーが強いから、頼んでもいないのに人の領域まで入っているんだと思います(笑)
そうやって全力でお客様と向き合っていった結果、カウンセリングみたいな接客になっていったかもしれませんね。

自分の心に違和感があることは絶対にしない

店内の様子。スーツだけでなく、店舗の空間づくりにもこだわっている

ー事業を行っていく上で、大切にしている信念はありますか?

自分の中で違和感を感じることは絶対にしない、ということです。

例えば、白い絵の具を溶かした水面に黒を一滴落としたところで、その事実を知らない人が見れば、水面は白に見えます。ですが、入れた本人はわかりますよね。
「ちょっとくらいごまかしても大丈夫だろう」と楽な方向に逃げたくなる時もあるかもしれませんが、こういう行為を繰り返していくと、自分自身を許せなくなります。

売上や従業員に対してもそうです。「これは自分の真意じゃないけど、売上を稼ぐためにやるか」ということはしません。

以前、ある企業から「ウチまでスーツを採寸しに来てくれたら、たくさん着数が取れるから、売上が上がるよ」と言われたことがありました。創業期でお金がなかった時でしたから、すごく魅力的な話でした。

ですが、その時自分に尋ねてみました。「自分が本当にやりたい仕事ができるのか?」と。お金が入ってくるかもしれませんが、この問いに関しての自分の答えは「NO」でした。

自分の信念から逸れたところに成果が見えると、それでも信念を貫くことは本当に大変です。「ここでお金を手に入れることができたとしても、未来の自分と目の前のお客様は笑って過ごしているのかな?」と考えた時に、そういう未来がくるとは思えなかったら、「NO」と強く言える勇気があるかどうか、が大事ですね。

ー経営をしていく上では、ジレンマになる部分ですよね。

:そうだと思います。
ですが、そういうことを受け入れてしまうと自分自身のことを嫌いになってしまうし、何よりも私のミッションに共感してくれたスタッフたちにも申し訳が立たないですよね。

自分を磨くために1分1秒を大切に

ー最後に、これから起業する方へメッセージをお願いします。

:創業期って、何事もがむしゃらに頑張ることができる時期だと思います。
例えば、25歳で起業したとして、60歳までの間に働いている日数が何日あるのか、を考えてみてください。そして、それが見えて来たら、「自分は目の前の人に想いを伝えることができるのは何日あるのか」がわかって来ます。

そうすると「自分はもっとこうなりたいのに、そんなに時間が残っていない」ということに気付きます。残された1分1秒に全力で向き合っていかないと何かを生み出すことはできません。
カレンダーに「この日までにやっておかなければならないこと」をどんどん書いて、なりたい自分に少しでも近づけるようにしていかなければならないと思います。

自分には時間が残っていない、ということを自覚して、何をやらなければいけないのかを考えて、突き進んでいってください。

私の仕事は「人を自信に包みヴィクトリー(成功)をイメージしてもらうこと」
1着20万円のスーツが営業マンから絶大な人気を得ている理由とは。muse株式会社 代表取締役 勝友美さんインタビュー(前編)

(取材協力:株式会社muse/勝友美)
(編集:創業手帳編集部)

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