起業家必見!初めて経営戦略を立てる時に必要なこと

創業手帳

4つのステップと注意点

(2018/09/11更新)

(この記事は3分で読み終わります)

起業した後は、資金調達の時などに「事業計画書」を作成する場面が多くあります。文字通り、事業計画をまとめた資料なのですが、これを作成する際に必要になるのが、どのように事業を進めていくかを示した「経営戦略」を決めることです。

とはいえ、初めての起業だと、「経営戦略ってどうやって決めればいいのかわからない・・・。」となることが多いと思います。

そこで今回は、必要十分な経営戦略を立てるための方法について、経営コンサルタントの森 泰一郎さんが、4つのステップに分けて解説していただきました。

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経営戦略を立てるときの考え方

起業する前後の時期は、銀行から借入を行ったり、投資家から資金を集めるのに当たって、「経営戦略」を立てて、事業計画書を作成する必要が出てきます。

しかしながら、数多くある経営戦略についての本に書いてある理論と実践は異なります。また、事業計画書の場合は、数字の計画を用意するだけで、それをどのように達成するかについて記されていなかったりします。

そもそも、経営戦略の立て方自体に諸説あります。「会社の目標と現状とギャップを埋めるための方法論だ」と言う人もいれば、「会社のリソース配分の方法だ」と言う人もいます。確かに、既存の大企業が戦略を見直していくためにはこの定義の方が良いかもしれません。
しかし、初めて起業する人にとっては「?」なことも多いかと思います。

起業家の方が初めて経営戦略を策定する場合には、「自社の掲げたミッション・ビジョンの達成に向けて、戦っていくための土俵の決定と会社の強みを活かした戦い方を決定すること」を意識すると良いでしょう。

このように定義すれば、考えるべきポイントを3つに絞ることができます。
1つ目は「会社のミッション・ビジョンを決定すること」、2つ目は「戦う土俵を決めること」、3つ目は「強みを活かした戦い方を決めること」。この3つのポイントを考えていけば、会社に合った経営戦略を立てることができるのです。

それでは、次の章からこの3つのポイントを考えるために押さえておきたい「4つのステップ」を解説します。

ステップ1:ミッション・ビジョン・バリューを整理する

まずやるのは、ミッション・ビジョン・バリューの整理です。
もしかしたら、「経営戦略を立てるために、ビジョンやミッションは必要なの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

ですが、経営は会社のゴールを達成するために行うものです。ゴールには数値的な目標やIPO、M&Aなども含まれますが、最終的には「会社のミッションやビジョンを達成すること」です。つまり、最初に自社がどのようになっていたいのかを決定し、それを実践する方法として経営戦略を立てることが必要なのです。

ミッション・ビジョン・バリューの意味

まず「ミッション」とは、会社の使命と目的のこと。つまり、「何のために会社が存在するのか」ということです。ちなみに、経営学者のドラッカーは、「ミッションを決めることこそが、経営者の最初の仕事である」と述べています。

次に「ビジョン」とは、自社が「どうなりたいのか」ということです。ミッションでは社会・顧客にどのような影響を与えるのかという視点でしたが、ビジョンではそのミッションを実現したことで、自社がどのようになりたいのかを決定します。

最後に、「バリュー」とは会社の価値基準のことです。ビジョン・ミッションを達成するために、会社はメンバーに対してどのような行動を求めていくのか、その価値基準を決定します。

ミッション・ビジョン・バリューを整理してゴールを決めることは、経営戦略を策定するためにだけでなく、会社の採用時にも重要です。ベンチャー企業に入社する社員の方は、給料や福利厚生よりも何か新しいことを達成したいと思う方がほとんどです。逆に、経営者が「どうなりたいのか」を伝えることができなければ、優秀な人材を採用することはできません。

ステップ2 外部環境を分析する

会社のミッション・ビジョン・バリューを決定したら、次に自社がどこで戦うのかという土俵を決定するために、参入する業界の外部環境を分析する必要があります。ここで利用できるフレームワークとしては、「PEST分析」と「ポーターの5フォース」が挙げられます。

PEST分析

まずは、「PEST分析」から行います。PEST分析とは、

  • Political/Legal(「政治」ビジネスを規制する法律や政治動向など)
  • Economical(「経済」経済水準・所得変化・為替・金利など)
  • Social/Cultural(「社会」人口動態・価値観・流行・習慣など)
  • Technological(「技術」ビジネスに影響を与える技術動向)

の頭文字を取ったもので、外部環境の中でもマクロ環境(企業にとって統制不可能で、無関係に起こっていること)を分析するためのものです。

これらの4つの要素が中長期的に業界にどのような変化をもたらすかを考えることで、自社が戦う土俵が見えてきます。

例えば、介護業界の中長期的なマクロ環境を見るとします。
業界内の出来事を先ほどご紹介した4つの要素に当てはめた場合、下記のようなことが考えられます。

  • 政治:介護福祉士の待遇改善が検討されている。
  • 経済:人手不足の問題から海外の労働者を増加させようとしている。
  • 社会:急激な少子高齢化を向かえ、介護ニーズが増加している。
  • 技術:ロボット技術の向上により、人間ではなくても介護サービスが提供できるようになるだろう。

介護の業界においては、ニーズ増加に伴って、如何に少人数で効率的にロボットサービスなどを活用して介護を提供できるのでは?というビジネスのポイントが浮かんでくると思います。

ポーターの5フォース分析

次に、業界のマクロ環境を分析するために、ポーターの5フォース分析を行います。

ポーターの5フォース分析は、業界がどのようなプレイヤーの力(フォース)に影響されているのかを理解するためのものです。

具体的には、

  • 売り手の交渉力の度合い
  • 買い手(顧客)の交渉力の度合い
  • 新規参入の脅威の度合い
  • 業界内での競争の度合い
  • 代替品が参入する度合い

という5つの視点です。
「5つの力を分析し、競争の少ない市場を見極めることで、企業は高収益を挙げられる」というのが、ポーターの考え方です。

このように、「PEST分析」と「ポーターの5フォース分析」のフレームワークを元に自社の外部環境を整理していきましょう。これができたら、「どこで戦うのか」という土俵までは設定できたことになります。

ステップ3 内部環境を分析する

次に、自社の強みを把握するために、内部環境を分析していきます。起業家の強みの整理については、経営陣のネットワーク力・営業力、技術力、マーケティング力、企画力を整理することが一般的です。

起業家が他社よりも優れていると思うことであっても、他社からみると一般的であることも少なくありません。客観的に、他社に対してどのような強みがあり、それをどのように活かしていくのかを考えることが重要となります。

ここでは過去の経歴の棚卸しを行いながら、自社の強みを整理するようにしてください。

ステップ4 ビジネスモデルを構築する

強みを活かした戦い方を決定するために、ビジネスモデルを構築します。

ビジネスモデルとは、会社の稼ぎ方のことです。ここまで、会社のビジョン・ミッション・バリューを設定し、戦う土俵を決め、強みを考えてきましたが、最後にそれらを戦い方に落とし込む必要があります。そこで検討するべきなのが、ビジネスモデルです。

ビジネスモデルを決定するためには、ビジネスモデルキャンバスを用いることでヌケモレなく整理することが可能です。

ビジネスモデルキャンバスで検討するべき事項は全部で9つあります。

1.顧客セグメント

具体的にどのような生活をしている誰に売るのかという視点です。

2.顧客との関係

1回販売して終わりの商品なのか、リピート販売をする商品なのかという視点です。

3.チャネル

どのようなチャネル(製品を消費者まで届ける流通経路)を活用して、サービスを販売するのかという視点です。優れた製品でも、チャネルが間違っていては売ることが難しくなります。従って、チャネルの選択は重要です。

4.収益の流れ

誰から、いくらもらうのかという視点です。無料ユーザーと有料ユーザーがいる場合は、どのように有料ユーザーに育てていくのかという視点も決定します。

5.提供価値

収益を生み出す上で、どのような価値を顧客に提供するのかという視点です。

6.キーアクティビティ

これらのビジネスモデルを実現するために、どのような活動を成功させることが重要なのかという視点です。企業が行う活用の中で、この部分が失敗するとビジネスが成り立たないという鍵を見つけておくことで、スムーズに事業を立ち上げることができます。

7.キーリソース

ビジネスを実現するために重要なリソース(資源)です。IT系の企業であれば、エンジニアリソースと開発のための資金力が重要になりますし、広告系の企業であれば、営業力とマーケターが重要になるといったように、業種によって必要なリソースは異なります。ビジネスモデルを実現するために必要なリソースを、キーアクティビティを決定した後に列挙してください。

8.キーパートナー

ベンチャーの場合、自社単独でできる活動には限りがあります。したがって、パートナーを組める相手を探し、パートナーとともに製品を販売していくという視点を持ちましょう。

9.コスト構造

どれだけ売上をあげられるビジネスであったとしても、それをコストが上回っていれば、ビジネスとして成り立ちません。そこで、コスト構造を考えましょう。人件費以外にも、広告宣伝費や外注費、開発費、水道光熱費や家賃など企業には様々なコストがかかっています。自社に類似する企業のコスト構造を把握することで、ビジネスでどのくらいのコストがかかるかをイメージできるでしょう。

まとめ

今回は、経営戦略について解説しました。
前述しましたが、経営戦略の策定は事業計画書を作成するときに必要となりますが、それと同時に「これから自分がどういうことをやっていきたいか」をハッキリさせることもできます。

経営戦略をしっかり決めて、これから行うビジネスを計画的に進められるようにしましょう。

失敗しない「資金調達のすすめ方」
初めての資金調達スタートガイド〜目的・目標の見える化〜

(監修:森経営コンサルティング 代表パートナー 森 泰一郎 (もり たいいちろう)
(編集:創業手帳編集部)

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