経営セーフティ共済で節税できる!加入方法から注意点まで徹底解説します

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経営セーフティ共済のメリットは節税だけではない!


経営セーフティ共済は、その掛金の全額を損金に計上できるため、利益を圧縮する目的で利用されています。
しかし、経営セーフティ共済を利用するメリットは節税だけではありません。

連鎖倒産の危機に対応しやすく、万が一の備えとして優秀な制度です。
これからの資金繰りに不安がある、備えをしておきたい事業者は加入を検討してみてください。

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経営セーフティ共済は節税に利用できる?


社会や経済の環境は目まぐるしく変化しています。
今まで事業が安定していたにもかかわらず、何かのきっかけで資金難になるケースは決して珍しくなく、取引先の倒産なども考えられるリスクでしょう。

もしもの時に備えるセーフティネットとして使われているのが、経営セーフティ共済です。

経営セーフティ共済は、中小企業倒産防止共済制度とも呼ばれ、取引先事業者が倒産した時に経営難になったり、連鎖倒産をしたりすることを防ぐための制度です。
しかし、経営セーフティ共済はセーフティネットとしてだけでなく、節税のためにも使われています。
以下に、どのように活用されているのかを紹介します。

経営セーフティ共済の制度内容

経営セーフティ共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する制度です。経営セーフティ共済の内容は主に以下のとおりです。

無担保・無保証で借入れ

経営セーフティ共済では共済金の借入れが可能で、無担保・無保証人で共済金の借入れを利用できます。
共済金貸付額の上限は、回収困難となった売掛金額か、納付された掛金総額の10倍(最大で8,000万円)の少ないほうです。

万が一の備えとして

多くの企業で、経営セーフティ共済が万が一の備えとして活用されています。
取引先が倒産して売掛金の回収ができなくなれば自社の支払いにも困ってしまい、最悪のケースでは連鎖倒産につながりかねません。

経営セーフティ共済は、取引先から売掛金の回収が困難になった時には、該当する取引きを確認次第すぐに借入れが可能です。
急なトラブルに対応できるため、リスクをコントロールしやすくなります。

加入40カ月で掛金が全額戻る

少しでもお金を事業に使いたいと考える事業者は少なくありません。
そういった場合、共済の掛金が大きく感じてしまうことがあります。
経営セーフティ共済は、掛金を自由に選べる上、解約した時には解約手当金を受け取れます

自己都合の解約であったとしても、掛金を12カ月以上支払っていれば掛金金額の8割以上が、40カ月以上支払っていれば掛金の全額が戻る仕組みです。
12カ月未満の場合には掛け捨てとして扱われるものの、40カ月継続すれば全額が戻るので、元金を欠損させたくないと考える事業者にもおすすめできます。

経営セーフティ共済の掛金はいくら?

経営セーフティ共済の掛金は月額5,000円から20万円までの間で自由に選択でき、5,000円単位で決められます。
増額や減額にも対応可能であり、ニーズの変化にも柔軟に対応可能です。
あまり大きな金額は用意できない事業者でも使いやすい制度といえます。

経営セーフティ共済は掛金を損金にできる

経営セーフティ共済は、倒産防止に活用されているほか、節税の手段としても使われています。
経営セーフティ共済で支払う掛金は、損金として計上可能です。
つまり、損金として会社の経費を増やすことによって、利益を圧縮し、法人税を減らす効果があります。

掛金は5,000円から最大20万円なので、上限の20万円で考えてみましょう。
20万円の12カ月、1年分は240万円を損金として計上できます。

また、経営セーフティ共済には前納の制度があり、掛金を前払いできるので、前納分を年払いでプラスすればその金額を事業年度の損金にできます。

その翌年も前納する場合には、改めて手続きをしてください。
前納した場合には、前納による割引金である前納減額金が支払われる点もメリットです。

ただし、積立できるのは掛金総額が800万円までと決められており、800万円までしか損金に計上できません。

加えて、解約してお金が戻る時にも注意が必要です。
支払った時は経費として損金になりますが、解約で戻ってきたお金は、利益、つまり益金となります。

経営セーフティ共済はいつでも解約可能なので、赤字決算の時に解約して収益として計上するといった方法も検討すると良いでしょう。
ただし、40カ月未満で解約の時には元本割れをしてしまう点や、一部解約はできず赤字分だけの解約はできない点にも注意してください。

掛金を経費にするために必要な手続き

経営セーフティ共済で節税するためには、単純に会計帳簿上で保険金として経費処理するのでは不十分です。
どのような手続きが必要になるのかを、個人事業主と法人に分けて説明します。
明細書や別表の添付を忘れてしまうと損金算入が認められない場合もあるので、注意が必要です。

個人事業主の手続き

掛金を損金に算入するためには、「特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書」を記載して確定申告書に添付します。
国税庁のホームページから取得可能で、記載要領もまとめてあります。

明細書に書く内容は以下のとおりです。
①基金に係る法人名……独立行政法人中小企業基盤整備機構
②基金の名称……中小企業倒産防止共済
③告示番号……記載不要
④当年に支出した負担金等の額……当年に納付した掛金総額
⑤同上のうち必要経費に算入した額……通常は④と同じ金額

③は記載不要ですが、④と⑤は掛金と経費に算入する額を記入してください。

法人の手続き

法人が掛金を損金にするためには、確定申告書の別表十(七)「社会保険診療報酬に係る損金算入、農地所有適格法人の肉用牛の売却に係る所得又は連結所得の特別控除及び特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」に記載します。
基金にかかる法人名や掛金額といった内容は同じですが、書類の右上には事業年度と法人名を記載します。

経営セーフティ共済の加入方法


経営セーフティ共済は、リスク回避や節税を目的として多くの事業者が加入しています。
個人事業主でも法人でも加入可能ですが、加入要件があるので注意してください。
以下に、経営セーフティ共済に加入するための要件と、加入手続きの流れを紹介します。

経営セーフティ共済に加入する要件

経営セーフティ共済に加入できるのは、継続して1年以上事業をしている法人と、一個人事業主です。
さらに、以下の加入要件を満たすことが求められます。

加入要件は資本金の額と出資金の額、常時使用する従業員数がいずれかに該当することです。
例えば、サービス業であれば、資本金または出資金の総額が5,000万円以下か、従業員数が100人以下に該当するなどです。
詳しくは、中小機構のホームページで確認してください。

また、企業組合・協業組合・共同生産のほか、共同販売などの共同事業を行っている事業協同組合・事業協同小組合・商工組合も加入可能です。
一方で、医療法人や農事組合法人、さらにNPO法人、森林組合、農業協同組合、外国法人などは加入対象になりません。

加入手続きの流れ

経営セーフティ共済に加入するためにはいくつかの手続きが必要です。
加入手続きを行う窓口によっても手順が違うので、詳しい内容は窓口に問い合わせることをおすすめします。

①必要書類を揃える

経営セーフティ共済に加入するためには所定の書類を揃える必要があります。
以下でどのような書類が必要なのか紹介しています。

中小機構の様式書類

中小機構の様式書類は、個人事業主も法人も提出します。

  • 契約申込書
  • 掛金預金口座振替申出書
  • 重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書

 

個人事業主が提出する書類

個人事業主が提出する書類は以下です。

  • 税務署の受付印がある所得税の確定申告書(直近の決算書・収支内訳書などの添付書類を含む)
  • 所得税を納付したことを証する「納税証明書(その1)」、もしくは予定・確定の税額を納付したことを証する領収書
  • 確定申告書を作成する時に使用した帳簿など(白色申告書の場合)
法人が提出する書類

法人事業主が提出する書類は以下です。

  • 発行から3カ月以内の商業登記簿謄本または登記事項証明書
  • 税務署の受付印がある法人税の確定申告書(直近の決算書等の添付書類を含む)
  • 法人税を納付したことを証する「納税証明書(その1)」もしくは確定申告書に記載された中間、確定の税額を納付したことを証する領収書

②中小機構に提出する

記入した書類と必要書類を揃えて窓口に提出します。
経営セーフティ共済に加入する手続きは、中小機構と業務委託契約を結んでいる団体(委託団体)または金融機関の窓口で受け付けています。
加入窓口は、中小機構のホームページでも調べられるので、付き合いがある金融機関で取り扱っていない場合には、調べてみましょう。

③中小機構から書類を受け取る

中小機構に書類を提出後、2カ月程度で「共済契約締結証書」と「加入者必携」が送付されます。
「共済契約締結証書」は、経営セーフティ共済の手続きをする時に使うことがあるので、紛失しないように保管してください。

経営セーフティ共済に加入できない場合

経営セーフティ共済は、加入要件に当てはまったとしても加入できない場合があります。
下で紹介しているようなケースでは加入ができません。

税金の滞納がある

経営セーフティ共済は、納付しなければならない所得税や法人税を滞納している場合には加入できません。
加入する前に、税金の未払いや滞納があれば必ず支払ってください。

また、事業に関わる経理の内容が不明の場合にも加入できません。
経理については処理を怠らず、税金の払い忘れもないようにします。

継続した取引状況が把握できない

経営セーフティ共済は、継続して事業を行っていることを要件としています。
住所や事業を繰り返し変更しているような場合には、継続的な取引きの状況が把握できないため、加入できないことがあります。

解約されて間もない

すでに掛金の滞納などの理由で中小機構から解約されている場合には、1年を経過していないと新しく加入できません。
嘘や不正などの行為で、共済金もしくは一時貸付金の借入れ、もしくは早期償還手当金、解約手当金の支給を受けた、あるいは受けようとした場合にも1年を経過しなければ加入できません。

経営セーフティ共済で節税する時の注意点


経営セーフティ共済は、うまく活用すればリスクマネジメントや事業資金の借入れなどに活用できる便利な制度です。
しかし、まったくデメリットがないわけではありません。
経営セーフティ共済に加入する前に知っておきたい注意点をまとめました。

解約手当金は益金になる

経営セーフティ共済は、掛金を支払う時には損金に算入できます。
しかし、解約する時に受け取る解約手当金は収益として法人税が課税される対象です。

掛金として多く計上すればするほど、後から受け取る解約手当金も大きくなり、その後の益金が大きくなってしまいます。
そのため、税金を減らすというよりも、支払いを後回しにする手法といえます。

経営セーフティ共済をうまく節税として活用するためには、収益が大きい時に掛金を払って税負担を小さくして、逆に利益が少ない赤字の時に解約するようにタイミングを調整しなければいけません。

解約手当金を受け取った時に必要な手続き

解約手当金を受け取った時には、必ず会計処理を行います。
どのような処理が必要になるのか紹介します。

個人事業主の手続き

個人事業主が解約手当金を受け取った場合には、雑収入などとして事業所得に計上されます。
もしも個人事業主が死亡して承継者がいない場合には、みなし解約として事業所得として課税対象となり、さらに解約手当金が相続税の対象になります。

法人の手続き

法人の場合にも雑収入などとして課税の対象となります。
個人事業主と同じですが、業績が低迷して赤字の時に解約すれば赤字を補填するために有効です。
しかし、黒字基調の時に解約すると、黒字にさらに解約手当金が上乗せされるため、税率が上がってしまうこともあります。

積立をスタートするタイミングが重要

経営セーフティ共済は、解約のタイミングだけでなく積立をスタートするタイミングも重要です。
例えば、これから事業が大きく成長して利益が上昇すると予想される会計期間がある場合には、その会計期間の初めから積立をスタートしてください。
さらに、掛金を前納しておくと、その会計期間での損金を大きく計上できます。

貸付制度の対象にならないことがある

経営セーフティ共済の貸付制度は、資金繰りに悩む事業主にとって強い味方です。
しかし、回収不可能な売掛金が生じえない業種では貸付の対象にならないことがあります。
具体的には、一般消費者を取引先とする事業者、金融業や不動産業です。
せっかく加入しても借り入れられないことがあるので注意してください。

40カ月未満で解約すると掛金の全額は戻らない

前述したとおり、40カ月加入していれば、解約した時に掛金を全額受け取り可能です。
つまり、加入から40カ月未満で解約した場合には、100%は戻りません。

さらに、納付月数が12カ月未満の場合には解約手当金は受け取れない点にも注意が必要です。
加入する時には、短期解約にならないように資金繰りをシミュレーションしておくことをおすすめします。

まとめ

経営セーフティ共済は、節税しながら連鎖倒産のリスクを減らせる制度です。
その節税効果が注目されることも多い制度で、無担保・無保証でスピーディーに借入れができるため、事業や資金繰りに不安がある事業者の強い味方でもあります。

社会の変化によって、経営難から急に資金が必要となるケースも想定されます。
備えとして経営セーフティ共済への加入を検討してみましょう。

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