リピーターを超えた「生涯顧客」をつくろう!有名企業に学ぶ究極のえこひいき制度

創業手帳

スタートアップ必見!ビジネス成功の秘訣【第6回】

(2017/08/25更新)

最終回である第6回のテーマは「高収益企業が取り組む生涯顧客づくり」です。
商売の基本はリピート購入にあると言われていますが、それを仕組み化したものが「会員制度」です。会員制度を上手に活用できるようになると、リピーターはあなたの「生涯顧客」になります。今回は、誰もが知る有名企業から、生涯顧客の作り方を学んでいきましょう。

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松本全司
大学卒業後、マーケティング会社に入社、3年目にマーケティングコンサルタントとしてNo.1の業績をあげた。その業績を買われて住宅メーカー(ミサワホーム)に入社、市場調査部門、営業部門、アパート事業部門などを担当後、販売教育部門の責任者として12年間営業部門の教育を担当し、新卒から管理職までの研修体系を構築した。その後、元上司が創業したコンサルティング会社「サクセスウェイ」のマネージャーに就任し、リーダーの養成や営業支援活動を担当

なぜ「リピーター」が重要なのか?

ビジネスをやっていると、よく「リピーターが大事!」という言葉を聞いたことある方が多いかもしれませんが、そもそもなぜリピーターがそこまで重要なのでしょうか?

顧客のリピート率が高ければ高いほど、売上が安定し高収益化が実現します。これはリピート率の高い企業と低い企業を比べれば一目瞭然です。リピート率の高い企業の経営状態は総じて良好なのに対して、リピート率の低い企業は、常にコストのかかる新規客の確保に翻弄されています。

1つ事例をご紹介しましょう。
「MKタクシー」というタクシー会社があります。タクシー業界は不況業種で、運転手は低収入に苦しめられています。そんな業界に革命を起こしたのが「MKタクシー」です。

創業者である青木社長は、「空車で走行している割合が全体の8割」という稼働率の低い手法に疑問を持ちました。そこで、車にGPS機能を装備して「顧客からの呼出し配車」に移行し、安定した配車予約が取れる法人契約の締結を促進しました。つまり、流しで新規客を獲得するスタイルから、固定客を獲得するスタイルに転換したのです。もちろん、それと同時に運転手の能力アップやマナー教育も徹底して行いました。

その結果、約15,000人もの利用頻度の高い優良顧客を確保し、車1台当たりの売上を70%もアップ。さらに、一般的なタクシー運転手の平均年収は約300万円なのに対し、MKタクシーの場合は平均760万円。1000万円を超える社員も少なくないそうです。

このように顧客を固定客化し、リピーターを増加させることは、収益を確実に向上させるのです。

リピーター数を増やすために押さえておきたい3つの方法

リピーター増加施策には、大きく分けて3つの方法があります。

1. 自分(自社)のこだわりや価値観を伝える

1つ目は「自分(自社)のこだわりや価値観を伝えること」です。

できれば目指していること(ミッションやビジョン)も伝えるとベストです。お客様はこだわりや価値観に共鳴することによって、リピート客になることが多いからです。

こだわりや価値観を伝えるには様々な方法があります。例えば、来店のお礼状の中に盛り込む、小冊子にまとめて配布する、名刺や自己紹介カードの中に盛り込むなど、自分に合った方法を探してみるのも良いでしょう。

2. 気持ちが通じ合う関係をつくること

2つ目は「接触頻度を高めながら気持ちが通じ合う関係をつくること」です。

「気持ちが通じ合う関係」と言われると難しく感じられるかもしれませんが、要するに「ひと手間かけること、ちょっとした心遣いをすること」と理解してもらえれば大丈夫です。

例えば、来店のお礼状を送る場合に一部手書きにしてみる、小さなプレゼントを同封する、絵手紙を同封する、といった心遣いです。商品サービスの案内DMを送る際には、お客様の声を添付したり、新しいメニューや改善したことをニュースにしたり、社員紹介欄を設けるなどのちょっとした工夫を盛り込んでみましょう。

3. 顧客ノート(CRM)を作る

3つ目は顧客ノートを作ることです。

顧客ノートとは、お客様の購買履歴と購買に関する個人データ(好み、ひいきのメーカー、サイズ、こだわり等)を記録するためのノートです。今でいうCRM(顧客関係管理)です。

このノートを作っておけば、お客様の好みやこだわりに合わせた案内ができ、お客様に「いちげん客扱い」することなく、顧客満足度の向上が見込め、リピートが促進されます。

リピーターを超えた「生涯顧客」とは?

生涯顧客とは、あなたの会社の商品サービスに対して忠誠心が高い顧客のことです。競合他社の商品サービスは購入せず、あなたの会社の商品サービスを好んで継続的に購入してくれるお客様です。

では、この生涯顧客をつくるにはどうすれば良いのでしょうか?多くの事例を分析した結果、先に述べた3つのリピート向上策に加えて、3つの施策が必要だと考えます。

生涯顧客をつくるための3つの施策

1.お客様を育てる

1つ目は「お客様を育てること」です。
お客様を育てることによって、お客様の知識や技能のレベルが向上し、お客様から感謝される存在になり生涯の顧客づくりに貢献します。

例えば、ヤマハが楽器を普及させるために行った「ヤマハ音楽教室」、楽天が楽天会員(消費者)の消費を促進するノウハウを加盟店に提供するためにつくった「楽天大学」などが有名ですね。

2.アフターサービスの充実

2つ目はアフターサービスの充実です。

ここで一つ事例として挙げたいのが、旭化成リフォームという増改築専門の会社です。
親会社は新築住宅を供給する旭化成ですが、旭化成が建てた新築住宅の内、なんと80%のお客様が旭化成リフォームに増改築の依頼をします。通常だと系列会社にリフォームを依頼する割合は30~40%ほど。80%は驚異的な数字です。

この数字を生み出した背景には、徹底したアフタサービスがありました。業界に先駆けて実施した「50年間の点検制度」、施主から連絡があれば30分以内にアクションを起こす「アタック30」の実施、相談内容別窓口の案内、住まいのお手入れ方法を指導する「住まいの学習塾」の開催等その完璧なサポート体制が驚異的なリフォーム受注をもたらしたのです。

3.会員制度の設定

生涯顧客をつくる3つ目の対応は会員制度です。
会員制度とは「会員を優遇することによって顧客の囲い込みを図る制度」、つまり「えこひいき制度」です。

最も有名なのは「世界最高のえこひいき」だと表現されているリッツカールトンでしょう。ロイヤルカスタマーに位置づけられるお客様には、そのお客様に喜んでいただくために四六時中考えるドリームチームが結成され、驚愕のサービスが実施されます。

リッツカールトンのようにハイクラスの顧客を確保するには顧客をランクアップさせる仕組が必要です。会員制度を段階式にすることによってハイクラスの顧客を確保する仕組みです。

次にその事例をご紹介しましょう。

究極のえこひいき!?有名企業の段階式会員制度とは

段階式会員制度の事例は詳しい内容をご紹介できません。どの制度も秘密が多く詳細に語られていないからです(なにしろ、えこひいき制度ですからあまり公開したくないのでしょう)。概要のみになりますが3つの事例を紹介しましょう。

例1 ANAのプレミアムサービス

ANAはマイレージを充実させたJALよりも優良会員を多く確保したと言われています。その秘訣はANAプレミアムメンバーサービスという上客への特別サービスにあります。

このメンバーになると搭乗実績に応じて1年間利用できるカードが付与されます。カードは「ダイヤモンド」「プラチナ」「ブロンズ」の3種類、ダイヤモンド会員になるとホテル券やギフトカードや機内販売割引などから好きなものを選んで受け取れます。

その他、空港のラウンジの無料利用や専用カウンターでチェックインができるなどの特別サービスを受け取れます。さらに特別のおもてなしサービスを受けられるそうです。

例2 一休(ホテルや旅館の予約サイト運営企業)の特別サービス

一休は優良会員を200万人も確保しています。その秘訣は「利用頻度の高いヘビーユーザーの顧客満足度を高めること」です。一休が「良いお客」と認めた会員には特別な情報が提供されます。特別の情報とは高級ホテル旅館の特別プラン、このサービスで上客が定着します。

例3 アメックスの4段階の会員制度(グリーン、ゴールド、プラチナ、センチュリオン)

グリーンとゴールドは審査を経て、会費を支払えば会員になれますが、プラチナとセンチュリオンの会員になるためには、アメックスが定めた条件をクリアしなければなりません(条件は非公開)。

条件を満たした人はアメックスから招待状が届きます。センチュリオン会員になれば、パーソナル・コンシェルジェサービスが受けられます。

段階式会員制度が成功する理由とは

段階式会員制度には、成功する要因が隠されています。
それは、「人間が本来持っている成長意欲と帰属欲求を刺激すること」です。
このメカニズムを上手に使って段階式会員制度を導入している企業は、非常に成功しやすいといえるでしょう。

ここまで大企業の事例ばかり挙げましたが、もちろん中小企業でも応用できます。

例えば、ある美容室では3種類のスタンプカード(銀、金、ダイヤ)を発行し、カード毎の特典が付与される仕組をつくって顧客の囲い込みに成功しています。
ある学習塾では4段階の会員制で大ブレイクしました。入会すればブロンズ会員、3ヶ月でシルバー会員、6ヶ月間で成績が上がればゴールド会員でバッジ贈呈、1年後セミナーの参加状況と成績を考慮してプラチナ会員に昇格という会員制度です。

段階式会員制度自体の導入は難しいものではありません。自分の会社でどのように応用できるのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

ぜひ、上記でご紹介した方法を駆使して、あなたも生涯顧客の獲得を目指してください。

まとめ

全6回にわたってお送りした「スタートアップ必見!ビジネスを成功させる秘訣」。
皆さんいかがでしたでしょうか?

顧客獲得の方法・改善制度の徹底・業績UPの方法など、創業者が抱えている悩みは人それぞれ。6回にわたってご紹介した内容がその悩みの解決する糸口になれば幸いです。

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(監修:株式会社サクセスウェイ 松本全司
(編集:創業手帳編集部)

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