経営の見える化で業務改善!驚くほど業績が上がる「4つの指標を可視化する方法」

創業手帳

スタートアップ必見!ビジネス成功の秘訣【第5回】

(2017/08/23更新)

第5回のテーマは「経営の見える化で業績を上げるポイント」です。
経営指標を見える化すると業績が上がることは、多くの経営者が語っています。しかし、実際に何をどう見える化すれば良いのかわからないという方も少なくありません。そこで今回は、今すぐ実践できる「見える化するべき経営指標」を4つご紹介します。

松本全司
大学卒業後、マーケティング会社に入社、3年目にマーケティングコンサルタントとしてNo.1の業績をあげた。その業績を買われて住宅メーカー(ミサワホーム)に入社、市場調査部門、営業部門、アパート事業部門などを担当後、販売教育部門の責任者として12年間営業部門の教育を担当し、新卒から管理職までの研修体系を構築した。その後、元上司が創業したコンサルティング会社「サクセスウェイ」のマネージャーに就任し、リーダーの養成や営業支援活動を担当

なぜ経営の見える化は業績向上に繋がるのか

「無意識の意識化」で社員のモチベーションUP

「経営指標を見える化すれば業績は必ず向上する」ということは、コンサルタントは例外なく指摘しています。では、なぜ経営指標を見える化すれば業績が上がるのでしょうか?

それは、社員が毎日のように経営数値を見ることによって、その数値への意識が向上するからです。無意識に支配されていたものが意識化されることによって、こだわりや行動力が強化されるのです。これは「無意識の意識化」と言い、脳科学の分野でも証明されています。

では、事例を紹介しましょう。
ある業績不振のレストランの経営者が、コンサルタントの指導で「経営指標の見える化」を導入し、毎日と毎月の売上高と来店客数と客単価の目標と実績と累積達成率を見えるようにしたのです。

すると、社員に変化がみられました。
目標へのこだわりが強まり、モチベーションも向上したのです。客数が足りないときはお客様にチラシを渡したり、顧客ノートを作成して顧客別のニーズに対応するなど、きめ細やかなサービスも開始しました。さらに、目標を達成した日は全員で拍手をし合うようになったそうです。もちろん、業績は飛躍的に向上しました。

適確で迅速な意思決定ができる

「経営指標の見える化」は社員の意識やモチベーションを向上させるだけではありません。
経営者にとっては、商品や店舗別の経営指標の見える化によって、意思決定がしやすくなり、すばやいアクションに結びつけることができます。経営を見える化することは、適確な判断を提供するナビゲーターの役割も果たしてくれるのです。

経営の見える化には「年計数値」を活用しよう

経営者が経営数値を見て、適確な判断と意思決定をしていけば売上や利益は必ず増加します。ただし、単純な売上実績では、売上の動向や商品の販売状況を正確に把握することができません。季節変動や偶発的要因によって大きく変動するからです。

傾向を正しく掴むには「年計数値」を活用するのが最良の方法です。
年計数値とは1年間の累計を1ヶ月ずつ移動していく計算法です。企業再建の名コンサルタントと言われていた一倉定氏は、経営者に「年計のグラフを作成していつも見ること」を指導していました。

一倉定氏は「年計表以外に売上や商品の販売状況を正しく掴むことは不可能だ。とにかく一度作って眺めてみれば、必ず新たな気づきや発見がある」と著作のなかでも語っています。

【実践】経営に関わる4つの指標を見える化

さらに、大事なことは情報を絞り込むことです。情報というものは種類が多くなるほど判断がしにくくなるからです。ここからは、絞り込んだ情報を活用する4つのポイントを解説しましょう。

1. 重点化すべき商品を見える化

船井総合研究所の創業者である船井幸雄 氏は「販売店の売上を伸ばす最も簡単な方法は、売上伸び率の高い商品の売り場を1割増やし在庫を3割増やすこと、それだけで売上は確実に2~3割増える」と語っています。つまり「商品の重点化」が大事だということです。

どの商品を重点化すべきかを判断するには、商品別の売上高推移(年計数値)を1枚のシートにすべての商品をグラフ化して比較できるようにしましょう(総売上高も目盛の単位を変えてグラフ化しましょう)。そのグラフがあれば、どの商品を重点商品として強化すべきかを判断することができます。

商品を区分する目安は、次の4つに分類するとわかりやすいと思います。

  • 明日の商品(最重点商品)
  • 今日の商品(温存する商品)
  • 昨日の商品(将来性のない商品、販促活動をしない商品)
  • 不必要商品(切り捨てるべき商品)

いくつかの営業所に分かれている企業や法人が顧客の企業は、営業所別売上高、顧客別売上高の年計推移をグラフ化し、営業拠点の増設や撤退の判断や、顧客のランク分け、顧客の重点化に活用しましょう。

2. 集客効率を見える化

2つ目の重要な数値は集客に関する指標です。

ポイントは集客数と集客効率の両面から指標化することです。集客効率とは「集客数に対する成約数の比率」や「集客の費用対効果」などの効率指標のことです。どうしても集客数の方に関心が向きがちですが、集客効率が低いとムダな行動や費用を発生させることになるので、入念なチェックが必要です。

集客媒体(チラシやDMやメール等)を複数使う場合は、媒体別の集客効率を指標化しましょう。

3. 顧客動向を見える化

3つ目の重要な指標は顧客の動向に関する数値です。

顧客の動向について、見える化すべき指標は次の4つです。

顧客数

顧客数は毎月の購買客の数です。新規客数と固定客数の合計で、この数を増やしていくことが売上の増加に直結します。この数値が停滞している場合、新規客の集客対策や固定客の再来店(再購入)促進策を企画する必要があります。

顧客単価

顧客単価は商品サービスのレベルを判断する指標になります。顧客単価が低下傾向であれば、商品サービスの改善や新しい魅力のある商品サービスの追加や導入を検討しなければならないでしょう。

リピーター率

リピーター率とは毎月の顧客数のうち、リピート客の占める割合のことで、経営の安定度を示す大事な指標です。一般的には70%以上が理想的な水準と言われています。

この数値が低水準だと、経営が安定せず、収益も悪化してきます。新規客の集客費用はリピート客の10倍以上もかかるからです。リピート率が低ければ、来店されたお客様へのフォローやファン客になってもらうためのサービスの強化が不可欠です(具体的な方法は次回に解説します)。

大事なことは「どんなお客様がどのような理由でリピートしてくれているか」をお客様の声を集めて見極めることです。その判断に基づいてリピート対策を考えましょう。

顧客満足度

顧客満足度は満足度を段階化してアンケートで調べましょう(非常に満足、満足、どちらでもない、不満足、非常に不満足のように段階化)。

大事なことは満足度の平均点ではなく、最高の満足度(非常に満足)が何%を占めるかを指標とすることです。この指標がリピートや紹介に連動するからです。合格レベルは40%です(経験則に基づく数値です)。

さらに、リピートや紹介に直結する指標があります。それは「企業やお店を友人や知人に紹介しますか?」という質問への肯定率です。この質問への肯定率の合格レベルは30%です(これも経験則に基づく数値です)

4. 営業の重要指標を見える化

どんな業種の企業であれ、営業力は企業の業績を決定づける大きなパワーになります。そこで提案したいのは「営業実績をあげるための重要指標の見える化」です。重要指標とは営業実績に直結する指標です。

例えば、私が在籍していた住宅メーカーの営業マンの重点指標は「アポイント面談数」でした。住宅のショールームである展示場で接客して、その場で面談のアポイントを取ることが、プランや見積りを提案できる見込み客になる確率が極めて高くなるからです。

そこで私が所属していた販売教育部では、営業マンの重点指標を「月間アポイント面談20件」と決めて見える化を図りました。そして、お客様とのアポイントを獲得するためのソフト(パソコン活用による住宅関連のシミュレーション)やツール(お客様ニーズ別小冊子)の活用を推進しました。その結果、アポイント面談数が飛躍的に増加し、業績向上に貢献しました。

このような営業の重点指標づくりは営業力を向上させる大きな動機付けになるのです。

経営の見える化を考えているあなたへ

このように「見える化」の導入は、状況の把握と業績UPに大きく役立ちます。

見える化で大事なのは、状況の把握と業績UPに関する数値が何なのか?をしっかり見極めることです。
ご紹介した4つのポイントをもとに、見える化に有効な指標を探してみましょう。

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(監修:株式会社サクセスウェイ 松本全司
(編集:創業手帳編集部)

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