面白コンテンツで話題のLIG代表に聞く、会社のPR方法と組織作り

広報手帳

株式会社LIG取締役社長 吉原ゴウ氏インタビュー

(2015/06/09更新)

社長を砂浜に埋めるというとんでもない見せ方で自社のデザイナーを募集したり、Web上で社員の花嫁候補を募るなど、一見本業とはかけ離れたようにも見えるブログ記事で注目を集めるWeb制作会社のLIG。
「LIGブログ」と呼ばれるこのユニークなメディアを発案し、立ち上げ当初から情報を発信し続けているのが、同社の取締役社長の1人である吉原ゴウ氏です。

アイディアを形にするためならすぐに行動に移すというゴウ氏に、メディア運営に対する考えや、創業期の会社が簡単に真似できる組織作りについて話を伺いました。

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吉原 ゴウ(よしわら・ごう)
株式会社LIG取締役社長。1982年生まれ、長野県出身。中学校を卒業後、農家、カヤックインストラクター、雀荘、アダルトショップ店員を経て、Webデザイナーに。その後独立し、2007年に株式会社アストロデオを設立。2012年に株式会社LIGと合併し現職。

LIGブログは会社紹介のためのツール

ーLIGの事業は現在Web制作事業とメディア事業の2つが大きな柱となっていますが、LIGを語る上で欠かせないのはやはり「LIGブログ」の存在ですよね。そもそもメディアを始めようと思ったきっかけは何だったんですか?

ゴウ:創業当時、自分たちの社名を知っている人がいない状況の中で、商品を売る前にいつも自己紹介から始めなくてはいけなかったんです。

我々はLIGという会社で強みはこうで……ということをイチから説明して、初めて検討の土台に乗る。その前段階をどうにかショートカットできないかと考え、立ち上げたのがLIGブログだったんです。

我々のことを知ってもらうための、いわば自己紹介のためのツールでした。

ー自己紹介をするにはブログが最適だと判断したんですか?

ゴウ:どこの企業もホームページを持っているじゃないですか。そこで自分たちの商品を紹介したり、いわゆる情報発信をしていますよね。でもみんなだいたい同じことを言っていて、それはユーザー側から見たら比較検討の対象にならないわけです。

商品の内容や価格は調べればすぐに分かることなので、そうではない部分、例えばどういう人柄の人たちが中にいて、日々どんな考えの元でやっているか。

それを常に情報発信しようと思ったら、ブログが一番良かったんです。

ーLIGブログは2012年1月から本格的に始めたそうですが、立ち上げ当初からPV数は順調に伸びていったのでしょうか?

ゴウ:最初の半年ぐらいは微々たるもので、でも徐々に自分たちの周りから巻き込んでいって少しずつPVも増えていきました。

FacebookやTwitterを使って周りに発信して、あとは検索流入ですね。プログラマーやデザイナーが技術的に行き詰まった時に分からないことを調べて、その検索結果からLIGのサイトに辿り着くということはありました。

でもそれだけだと弱いので、ユニークな記事を混ぜたりしましたね。

ーLIGブログが世の中に認知され始めてから、周りの反応はいかがでしたか?

ゴウ:「初めまして」から「ブログいつも見てます」とか「LIGって面白い会社だね」と言ってもらえる機会が徐々に増えていきました。名刺交換レベルのコミュニケーションから考えると、それはもうすごく楽ですよね。

初めて会った方でもLIGのことを知っている前提で話ができるので、僕が相手のことを聞けばいいだけなんですよ。それが双方向だと結構大変じゃないですか。

今はWeb業界の人にはほぼ知っていただけているので、「初めまして」がなくなっただけでも相当助かっています。それがブログを始めた当初からやりたかったことなんですよ。

それから、我々は常に世の中に対してこういう会社ですということを発信しているので、今はそれに合いそうだなという人しか声を掛けて来ません。それはリクルーティングでもマーケティングでも同じことです。

我々がすべてをさらけ出すことで、自然と相性が良さそうな人からしか問い合わせが来なくなる。そこは1つ大きいかな。

趣味趣向が合わない人から声を掛けられても、それはお互いにとって不幸なことですからね。

ー創業したばかりの会社がPRのためにLIGブログのようなメディアを作ろうとしたら、それは結構ハードルが高いと思うんです。何かアドバイスはありますか?

ゴウ:今は世の中に情報を発信するためのツールなんて腐るほどあって、しかもものすごく低コストでできますよね。ツールが無料で用意されているということは、あとは自分の根気とやる気だけじゃないですか。

得手不得手があるので全員が全員それをやったらいいとは思いませんが、少なくとも起業したからには自分の会社名を売っていかなくてはいけない。世間に認知させるというプロセスが最初で、まずは知ってもらわないとどうにもならないわけです。

うちの場合は商品を買ってもらってファンになってもらうという一般的なプロセスとは逆で、まずファンになってもらってその方たちから仕事がいただけるという流れなんですよね。

どちらかと言うと、芸能産業に近い売り方をしているんじゃないかなと思っています。

LIGブログの中身は面白ネタ2割に真面目系8割

LIGブログの中身は面白ネタ2割に真面目系8割

ーLIGブログは、面白ネタから実際の業務に役立ちそうなことまで実にバラエティに富んだ内容ですよね。内容に関して意識していることは?

ゴウ:基本的には、読んでいるユーザーにとってためになること。そこがなくなってしまうと何が何やらという感じでよく分からないことになってしまうので。

稀に洒落で何の意味もないことをやったりしますけど、それは遊びですね(笑)。

もともと心掛けていたのは、面白いことやふざけているネタは2割ぐらいにして、残り8割は真面目にしようということです。

ふざけるって人の印象に残りやすいんですよね。でもそれが10割だとさすがにやり過ぎなので、そのバランスは取っています。

ー文章はプロのライターが書いているのかと思うぐらい分かりやすいというか、直球な記事が多いですよね。運営はどのように?

ゴウ:今は全社員が持ち回りで月に1本記事を書いて、メディア全体としては1日3本更新しています。立ち上げ当初は1日1記事アップというスタンスでやっていましたが、当時はその数を確保するのが大変でしたね。僕らは商業ライターでもないので、通常業務の傍ら記事を書くというのはなかなかなもので、最初は力技でしたよ(笑)。

僕はもともと文章を書くのが好きでしたけど、当時周りにいたメンバーは特にそういったことをやっていたわけでもなく、そっちの方に長けていたわけではないんです。

ーそんな状況にも関わらず、続けられた秘訣は?

ゴウ:文章を書くスキル云々よりも、きちんと情報発信をするんだという意識、さらにそれが最終的に利益につながるということを、社長がどれだけ意識できるかだと思うんですよね。

情報発信してもすぐに結果が出るものではないので、やらされている社員からしたら費用対効果が分からず、やる意味を見出せない。なのでうちの場合は、「すぐにお金にならなくてもいいから情報を発信し続けよう」ということを僕がトップメッセージとしてずっと言い続けてきました。

ー立ち上げ当初、数字的な目標はあったんですか?

ゴウ:まったくないですね(笑)。

そういうところは感覚でやってしまうので、PV目標ぐらいでした。当時はまだLIGブログのようなメディアをコーポレートサイトとして作って認知させていくという前例がなかったので、特に参考にしていたサイトもなかったんですよ。

ただ、だいたいどこの会社もコーポレートブログは持っているじゃないですか。でもプレスリリースの延長線上のような、自分たちの伝えたい情報しか配信していなくて、それってユーザーからしたら全然面白くないんですよね。だから常に人を楽しませる文章を書いて、それを外に伝え続けようと思って始めました。

正直、最初はそれがマーケティングにつながるということは思っていなくて。ただ、読んでもらうには人に教えたくなる価値のある情報が条件だと思っていました。

どういうものなら読みたくなるかということを考えて、それを積み重ねていったら読者も増えて、1年ぐらい経って100万PVを越えたあたりからブログ単体で収益が上がるようになったんです。それは気付きとして面白かったですね。

もともとマーケティングの一環として始めたブログが、単体で収益を上げ始めたというのは会社にとって1つの転機だったと思います。

すべては「Life is Good」を実現するために

すべては「Life is Good」を実現するために

ーLIGはWeb制作事業とメディア事業以外に、シェアオフィスの「いいオフィス」や観光体験を販売する「TRIP」、長野での「LAMP」というゲストハウス運営など、さまざまな事業を展開しています。一見それぞれの事業は関連性がなさそうに見えますが、なぜやろうと思ったんですか?

ゴウ:自分たちがやりたいから、というのが一番です。LIGって「Life is Good」の略なんですけど、「わくわくをつくり、みんなを笑顔にする」というのが我々が掲げている理念なんです。

だから人生を素晴らしいものにする、みんなが笑顔になる事業だったら何でもやろうぜというのが会社の方針で、Webサイト制作の分野で日本一を目指そうとは思っていなくて。

LIGとしてどうありたいかというと、「Life is Good」を実現するためにどういうことができるかを常に考える会社でありたい。だからどんどん事業領域を広げていきたいと思っています。

もともとLIGはWebサイト制作から始まって、それを告知するためのマーケティングとしてLIGブログが生まれて、今はブログがあるおかげでいろいろな事業をやっても伸ばすことができる。

LIGブログによってWebサイト制作会社という立ち位置から脱却できただけでなく、何百万人が常に見てくれているので、新事業を始めたらそこで告知するだけで相当な宣伝になります。他社さんがPR広告を打つのだってお金をいただいてやっているわけですから。

ー今年に入ってからは、Web業界に特化した転職サイト「Poole」も立ち上げましたが、新規事業を始める時はその業界のプロフェッショナルがいなくても始めてしまうんですか?

ゴウ:そうですね。うちは基本的に「未経験上等」という感じで、たとえ分からなくても自分たちで考えればいいだろうという方針で始めてしまいます。

シェアオフィス事業は自分が中心となって立ち上げましたが、それまでシェアオフィスなんて行ったこともなかったですからね(笑)。

ー意外ですね。こちらのシェアオフィス「いいオフィス」はキッチンがあるのもいいですよね。

ゴウ料理ってコミュニケーションの基本だと思っていて、人と人の間に何が入ったら気持ちがいいかって考えると、やっぱり料理と酒だと思うんですよね。

LIGのオフィスも入ったらすぐにキッチンがあるんですけど、キッチンがあるってすごくいいことで、同じ釜の飯を食うじゃないですけど、それによってコミュニケーションが円滑になるというか。キッチンがあるだけで、誰かが作ったら誰かが寄って来て、自然と夕飯をみんなで食べたりするようになるんですよね。だから僕はすごくこだわっています。

ー他に何か会社としてこだわっていることはありますか?

ゴウ:LIGでは社員1人1人の顔と名前を売るということを考えているので、顔を出すということと名前を重要視しています。名前に関しては入社後すぐになんて呼ばれたいかを聞いて、ビジネス上もその名前で通してもらうんですよ。

例えば仲間内からキャサリンって呼ばれている女性がいて、でも名刺にキャサリンのキャの字も出ていなかったら打ち合わせの場で混乱するじゃないですか。それってすごくいらないコミュニケーションだと思っていて、だったら最初からキャサリンで通せばいいわけです。

Webサイトでは社員全員の名前と顔写真を公開していますが、「ツベルクリン良平」とか「ナッツ」「エリー」「マチルダ」って本名とはまったく違う名前が並んでいます。こんなに偽名の多い会社はなかなかないと思いますよ(笑)。

社外の方にはビックリされますが、それだけキャラを大切にしているということです。

そもそもLIGブログって何がユニークなのかというと、親近感、アットホーム感が全面に出ていることだと思うんですよね。

僕らは人にフォーカスしていて、その状態で1人1人がブログを書いて情報発信をしているので、個人に次々とファンが付く。ただ情報発信のツールを持っているだけでなく、そこに多数のファンがいるというところは何をやるにしても有利ですよね。

先日ドワンゴさんの通販サイト「ドワンゴジェイピーストア」に、LIGの社員の商品を載せたんです。新入社員によるお悩み相談とか、ある社員とのランチ権とか、コピーライターがラップを作ってあげますとか、それぞれのキャラクターに合った商品を出品したんですけど、これが8割方売れました。

普通こんなの売れないじゃないですか。でも我々は顔を出してキャラを立ててそれぞれにファンを作るということをやっているので、LIGの社員と何かやるというところに価値が出てくるんですよね。でも社員たちは別にそれが本業ではなく、Webディレクターだったりエンジニアだったりする。本業があるのにそういう売り方もできるというのはうちの強みで、社長以外の顔と名前がここまで見えるというのはなかなかユニークだと思っています。

ーWebサイトを拝見していると、かなりキャラが立った人が多いように感じます。

ゴウ:LIGではキャラが立っている人を採っているわけではなく、普通の人を採っていじっているだけなんです。例えば美男美女というわけではなくても、それっぽく見せるんですよ(笑)。

LIGではコミュニケーション設計にこだわっている

LIGではコミュニケーション設計にこだわっている

ー会社が大きくなる時に悩む会社も多いと思いますが、そういう時期に差し掛かった時のアドバイスはありますか?

ゴウ:組織というのは5人が最小の区切りだと思っていて、5人までである程度形作れるかというのが重要になってきます。

なぜ5人かと言うと、5人を超えると1つのテーブルで同じ話題で盛り上がれなくなって、絶対2つに分かれてしまうんですよね。

6〜10人ぐらいになると社長の右腕を用意しないといけなくなって、10〜15人ぐらいになるとある程度役割を作らないとダメになる。

今度そこから30〜40人になると体系化しないとコミュニケーションが取れなくなってくるので、次の区切りは30人だと思っています。これは学校の先生が1人で見られる生徒の数と同じなんですよね。だいたいどの学校でもそうだということを考えると、30人という人数が1人のリーダーが見る限界値かなと。

ーLIGはいくつの部署に分かれているんですか?

ゴウ:うちは今80人ぐらいいますが、経営陣の下に14のチームがあります。14のチームは5人前後で構成されていて、それぞれのリーダーが自分たちのチームの収支を見て独立採算でやっています。

ただし、1チーム当たりの利益はそれほど大きくなくてもいいと思っています。

例えば14のチームがそれぞれ月100万円の利益を上げたら、それだけで会社全体の利益は年間1億を越えますよね。

年間1億の最終利益を残すというとものすごく大変ですよ。でもそれを分解してあげると、1億という数字が急に現実的に見えてくる。それが自分のチームでしかも5人だったらマネージメントもしやすいし、5人で100万円の利益と考えるとそれぞれが理解しやすくなる。

いきなり大きな目標を掲げるより、分かりやすく噛み砕いてあげた方が人って動くと思いますよ。

ーなぜ14のチームに分けたんですか?

ゴウ:会社がある程度大きくなってリーダーを育てようと考えた時に、やはりまずは5人というのが最小の単位かなと。正直5人以上を見切れるリーダーはまだ育っていないんですよね。だから今は14人のリーダーの経験値を積んでいる状態です。

僕はその14人とだけコミュニケーションを取って、マインドや理念、数字の部分をそこでしっかり詰める。この組織作りがうまくいけば横に広げて行くことは可能だと思っているので、今はそこの土台作りをしている感じです。今後は頭1つ抜きん出てくるチームがどんどん大きくなって、また枝分かれしていくと思いますよ。

ーでは他に、起業したばかりの会社が真似できそうなことはありますか?

ゴウ:LIGではコミュニケーション設計にすごくこだわっていて、例えば名刺には出身地と趣味を書いています。初めて名刺をもらった時、その人に関する情報って名刺からしか分からないじゃないですか。その時に僕は少しでもパーソナルな情報を相手に与えたいと思っていて。

出身地と趣味って誰にでもあって共有できることですよね。だから出身地と趣味を入れたんです。同郷の人に出会ったら嬉しくないですか?それだけでビジネスの付き合いから地元の先輩後輩みたいな関係になって、一気に打ち解けられる。そういうのはすごく重要だなと思っています。

あとは自分のキャラクターが出るように、服装も自由ですね。僕自身いつもハットをかぶってピアスもしていて、社長がこういう風にしているとみんな許されるじゃないですか。そういった些細なコミュニケーションの積み重ねが、社外にファンを作ることにつながる。そんな気がします。

LIGではコミュニケーション設計にこだわっている

(取材先:株式会社LIG)
(創業手帳編集部)

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