「ナレッジ共有」で組織全体の生産性を高める。その方法と5つの必須ツールとは?
経営者が組織を拡大していくために必要な「ナレッジ共有」について徹底解説!おすすめツールとあわせてご紹介
(2020/08/02更新)
いくら経営者が優秀でも、社員が育たなければ組織は強くなりません。
これから組織を拡大していきたいと検討している経営者は、社内にある知識を存分に活用し、組織と社員の成長を促していく必要があります。
そのためには、「ナレッジ共有」することが非常に重要です。
経営者が取り組むべきナレッジ共有の考え方や、ナレッジ共有を円滑に進めるためのおすすめツールについてご紹介します。
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キャッシュフローや集客方法についても掲載しているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
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この記事の目次
仕事の生産性を高める「ナレッジ共有」とは?
ナレッジとは、個人が持っている経験値やノウハウ、知識のことを指します。経験の中で身につけたスキルもナレッジの1つといえます。
ナレッジ共有とは、「個人が持っている経験やノウハウなどを組織で共有し、生産性・効率性をよりアップさせていこう」という考え方なのです。
たとえば、営業マンであれば、お客様に商品を購入してもらうことが最大のミッションです。商品を購入したお客様がいる場合、その際に話していたセールストークは「ナレッジ」になります。
こうした営業活動のナレッジが蓄積されていけば、効率的に営業活動ができるだけではなく、新人営業マンの成長も早めることができます。
ナレッジ共有において重要な「暗黙知」と「形式知」
ナレッジ共有をより深く理解するためには、「暗黙知」と「形式知」について知っておく必要があります。
暗黙知とは
暗黙知とは、「個人が持っている知識やノウハウ」のことです。言葉で表しにくい行動や感覚、ビジネス勘のようなものが暗黙知とされています。
仕事ができる先輩と一緒に行動することで、スキルアップに繋がるといったことはよくありますよね。こういった「先輩の背中を見て学ぶ」ことは、暗黙知を学んでいることになります。
ただし、暗黙知は言葉や図になっていなければ、広く組織間で共有しにくいデメリットがあります。
形式知とは
暗黙知とは反対に、「言葉や表、図に表されている知識やノウハウのこと」を形式知といいます。
知識が見える化されているため、誰でも知ることができますし、スキルアップに活かすことができます。企業内に形式知を蓄積していくことができれば、それだけ組織が成長していくことに繋がるのです。
ナレッジ共有は、暗黙知の情報を形式知に変えて表現していくことを指しています。
ナレッジ共有するメリット
組織でナレッジ共有することによるメリットについて、いくつかご紹介します。
①仕事の属人化を防ぐことができる
ある特定の人がいなければ仕事が回らない、という属人化の課題は多くの企業が持っています。
ナレッジ共有しておくことで、特定の人がいなくても業務を止めることなく、進めることができるようになります。マニュアルを残すことと同じようなことですね。
ただし、ナレッジ共有しておくだけでは、急に担当者が抜けたときに品質が落ちてしまうことがあります。
ナレッジを共有していく中で、まずは属人化している業務があることを知り、他のメンバーでも一度実践する機会を作っておくことで、ナレッジ共有が効果的に稼働するようになります。
②仕事を標準化することができる
暗黙知が形式知になっていくと、同じカテゴリなのに全く違う仕事のやり方をしていることに気付くことがあります。
ナレッジ共有の過程で「より良い方法」を見つけて仕事を標準化していくことができるようになります。
仕事が標準化されると属人化を防ぐことにもつながりますし、仕事が安定した品質を保てるようになります。
③社員が自主的に学ぶようになる
身近にいる仕事がデキる人からOJTで学ぶことはスキルアップに繋がります。
しかし、いつまでもOJTからしか学べないようでは組織は強くなりません。形式知となってナレッジ共有されていると、社員が自主的に学ぶようになるのです。
・他の社員が経験した事例を見て自分も同じことをしてみよう、またはしないように気を付けよう。
・他の社員が試していた手法に肉付けてしてクオリティをさらにアップさせてみよう。
・他の社員の成功事例を自分も試してみよう。
共有されたナレッジは、組織内の全社員が成長するためのきっかけになります。スキルアップと同様に、モチベーションアップにも繋がっていくことでしょう。
④組織内の交流が増える
部門間、または部門を超えてコミュニケーションが良化されるのは、ナレッジ共有の大きなメリットです。
他の社員が何をしているのか、どのようなことを考えて仕事をしているのかがよく分かるようになります。分からないことがあれば聞けばいいですし、上司・部下関係なく会話が飛び交うようになります。
「もうちょっと詳しく聞かせて」
「あのやり方は違うと思うんだよね」
このように、組織内でコミュニケーションの機会が増えると、組織は活性化していきます。
ナレッジ共有が定着しない理由とは
ナレッジ共有することは、組織が強くなる上でとても大切なことなのですが、あまり定着していない企業が多いです。ナレッジ共有が定着しない理由について説明します。
①共有するのが面倒くさい
ナレッジ共有する時には、頭の中にある情報を文章や図形にしてアウトプットしていきます。
そのため、共有するための時間を設ける必要があります。
決して長い時間を確保しなくてもよいのですが、口頭で伝えた方が早いので、ナレッジ共有のために時間を割きたくないと考えてしまうのです。
②アウトプットが苦手である
日本人は、海外諸国と比べて特にアウトプットが苦手です。「アウトプットする=自慢する」という思考が先行し、謙虚に仕事へ取り組もうとしている人が多いのです。
自分の経験談を語ることを恥ずかしいと考えていると、ナレッジはいつまでも共有されません。
③ナレッジ共有の重要性を理解していない
「これまで特に仕事で困ったことがない」と思っている人は、ナレッジ共有の重要性を理解していません。
ナレッジ共有するメリットを感じていないので、積極的に取り組まないのです。
自分で考えて、失敗しながら仕事を覚えていくことはとても大切です。しかし、「組織としてどのように成長していくのか」という視点でナレッジを共有していってもらわなければなりません。
生産性を大幅にUPするナレッジ共有ツール5つ
ナレッジ共有を浸透させるためには、ツールを活用するといいでしょう。
ツールを用いることで、「ナレッジ共有が面倒だ」という人に対してハードルを下げることができます。
アウトプットが苦手だと思っていた人も、ナレッジ共有ツールを使うことで案外簡単なことだったと気付くことでしょう。ナレッジ共有に前向きになるのです。
ナレッジ共有ツールを選定する時には、使いやすさを最優先に考えるようにしましょう。
ツールの利用に抵抗がなければ、ナレッジ共有に消極的だった人も使ってくれるようになりますし、継続利用してくれるようになります。
①Dropbox Business(Dropbox Japan 株式会社)
世界中で利用されているナレッジ共有ツールの代表格が「Dropbox」です。
パソコンで利用するよりも、スマホやタブレットで利用する方が多いかもしれません。
マルチデバイスに対応しており、どのデバイスにおいても使いやすい設計になっているため、場所と時間を選ばずに使いこなすことができるでしょう。
Dropboxはオンラインストレージサービスとして知られています。そのため、データのサイズを気にすることなく、大容量のナレッジ共有スペースを手に入れることができるのです。
また、Dropboxは利用する容量によって様々なプランが用意されています。
削除してしまった情報などのファイルを復元できるのもDropboxの特徴です。Dropboxは、安全かつ使いやすいナレッジ共有ツールといえます。
②Dojo(株式会社テンダ)
「Dojo」はナレッジ共有ツールというよりも、マニュアル作成ツールとしての方が知名度は高いかもしれません。
Dojoは、画面操作した動画をそのままアウトプットすることができます。そのため、ナレッジ共有というジャンルを超えて様々な場面で活用することができるのです。
たとえば、営業活動においてアピールしたい商品を操作しているシーンを動画にすることで、使いやすさをアピールすることができます。
組織内の営業マンが提案しやすかった動画や、購入につながった動画を他の営業マンも使うことができるようになるでしょう。
また、社内研修にDojoを利用する企業も多いようです。一から隣で教えるよりも、Dojoに保存して共有しておけば、紙のマニュアルを読むよりも格段に分かりやすく、覚えも早くなります。
③Scrapbox(Nota, Inc.)
シンプルなデザインで使いやすいナレッジ共有ツールが「Scrapbox」です。
かぎかっこで単語を囲うことによって、ページ間をリンクできるため、手間がかからないという特徴があります。
画像や動画はドラッグ&ドロップで貼り付けることができますし、Googleマップの情報を貼ることも可能です。
シンプルで使いやすさにこだわったナレッジ共有ツールといえます。セキュリティも安心なので、企業の規模や業態を選ばずに利用することができるでしょう。
④kintone(サイボウズ株式会社)
「kintone」は、1つのソフトの中に複数のアプリケーションを追加することができ、汎用性に優れたナレッジ共有ツールです。
アプリを追加する方法も難しくなく、慣れれば誰でもカスタマイズすることができるという特徴があります。
拡張することができるAPIもあるため、使いながら組織としてベストなプラットフォームを作り出すことができるでしょう。
これまで点在していた情報をkintoneの中で管理し、情報を見える化できるので、メンバー間のコミュニケーションが良化されます。
社内SNSのように活用できるのは、ナレッジ共有ツールとしての大きなメリットといえます。
⑤esa(合同会社 esa)
最初から完璧なものはない、というコンセプトで展開されているナレッジ共有ツールが「esa」です。
esaの特徴は、中途半端な情報でも公開するということです。情報共有はスピードが大切なので、アップロードされてからみんなで育てていくことになります。
実は、完璧なものをアップしようとするのはナレッジ共有ツールで陥りやすいことです。
「まだ公開するほどでもない」と先延ばしにしていると、情報の鮮度は落ち、結局時間をかけた程の質のものが出来上がらないといったことが起こるのです。
esaはシンプルで使いやすく、コンセプトもしっかりとしているので、企業のタイプによってはマッチするナレッジ共有ツールといえるでしょう。
まとめ
ナレッジは企業にとって宝になりますし、武器にもなります。社員の持っているノウハウが漏れなく組織で共有されたとき、他社に負けない強い組織を作り出すことができるでしょう。
経営者は社員の個性を大切にするようになり、社員は活き活きと仕事ができるようになります。
集まったナレッジをどのように活かすのかは個人の裁量次第ですし、社内にナレッジ共有の文化を創り出すことが経営者には求められているのです。
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(編集:創業手帳編集部)