経営の立て直しをするには?経営が悪化した原因や実践すべきことをご紹介!

創業手帳

いざという時に知りたい経営が悪化した時の立て直し方について


安定性がある円滑な経営を実現するためには、慎重に慎重を重ねて経営戦略や施策を考えていく必要があります。
しかし、経営が悪化する原因はいくつもあるため、突然経営が苦しくなるケースも珍しくありません。
経営が悪化する原因を把握すれば、対処方法を考えられます。

そこで今回は、立て直しが必要なレベルで経営が悪化する原因から、実践するべきことまでをご紹介します。会社が経営難に陥った時の備えとして参考にしてください。

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立て直しが必要なほどに経営が悪化してしまう原因とは?


立て直しが必要なほどに経営が悪化してしまう原因は多岐にわたります。まずは、具体的にどのような原因が考えられるのかご紹介します。

売り上げの低迷

経営が悪化してしまうスタンダードな要因としては、売り上げの低迷が考えられます。
商品やサービスが売れず収益を上げられないのであれば、経営難に陥ってしまいます。

売り上げが低迷する理由は様々です。
競合の顧客を取られていたり、消費者のニーズが変化したことで自社商品・サービスのニーズがなくなっていたりしていて、売れないことがあります。
内的要因で売れない場合もあります。例えば、人手不足や業務効率の低下によって、開発や製造に支障が出ていることが業績の低下につながっているケースも少なくありません。

コスト増加による利益の減少

コストが増えたことで利益が減ることも経営難の原因です。例えば、原材料や燃費料、人件費など、経営に欠かせないコストが様々な要因で高騰化することがあります。
上昇したコストを販売価格に転嫁できない場合、利益よりも経費の方が高くなり、会社に残るお金が減ってしまいます。
その結果、資金繰りが悪化して経営難となってしまうのです。

安定した経営を続けるためには、必要経費を抑えて経費管理や改善に取り組むことが大切です。

人手不足

ビジネスでは、人員も大切な資産です。人手が足りなければ事業活動に支障が出てしまい、利益の創出の機会が減ってしまう可能性があります。

一人当たりの仕事量が多く負担が増えれば、離職率も高まるので人手不足倒産のリスクが高まります。
ほかにも、今後会社を引き継いでくれる後継者が見つからず、会社を存続できなくなる可能性があるかもしれません。
人手不足に陥っている原因を解明して改善していかなければ、いくら人材を採用しても早期離職となり、問題を解消できない可能性があります。
採用や育成にもコストがかかり、無駄に経費を浪費することにもつながります。

放漫経営

放漫経営は、経営者の慢心や十分な社内管理が行われていないことで、業績や資金繰りの悪化などが起きている状態です。
経営者に管理や運営能力が足りていない場合、ワンマン経営になりやすくなります。

ワンマン体制の場合、業績が悪化した場合には今までのやり方では適用しなくなります。
経営者の指示に従う社風であれば、社員は改善に向けた計画を提案しにくくなり、いつまで経っても状況を改善できない状態に陥りやすくなるので注意が必要です。

資金繰りの悪化

経営に必要な資金が不足すれば事業活動が行えず、ますます利益を出せない状態となってしまいます。
資金繰りが悪化する理由も多岐にわたります。

売り上げの低迷や経費の増加だけではなく、過剰な投資や取引先の倒産も資金繰りが悪化する原因です。
会社を成長させるためには、設備や人材などへの投資が求められます。しかし、費用対効果を考えずに闇雲に投資をすれば経費を無駄遣いするだけで終わってしまいます。

また、主要の取引先が倒産して売掛金が回収できなければ、連鎖的に資金繰りが悪化するかもしれません。
取引先に倒産の心配がなくても油断大敵です。支払いと売掛金を回収するタイミングが合わず、資金繰りが悪くなるケースもあります。

経営立て直しのためにすべきこと


経営難に陥ってしまったら、焦らず現状の把握や戦略・労働環境の見直しをすることが大切です。
ここで、経営立て直しのためにするべきことをご紹介します。

現状を把握するための分析を行う

経営を見直す前に分析を行い、現状を把握するところから始めます。なぜ経営難に陥っている原因を明らかにすることが、改善策を考える上でも重要です。

現状を分析する方法は多くあります。例えば、財務諸表から資金の状況を確認すれば、収入や支出の大小をか把握することが可能です。
収入が少ない理由や支出が多い理由を追及していきます。

フレームワークを使って分析を行う方法もあります。ビジネス分析で使われるフレームワークの例は以下のとおりです。

SWOT分析 強み、弱み、機会、脅威の観点から、内部環境と外部環境を分析する手法
3C分析 市場・顧客、自社、競合を分析して、自社を取り巻く環境を明確にする手法
4P分析 商品・製品、価格、立地・流通、広報・宣伝を分析し、商品・サービスの強みやアピールポイントなどを把握する手法
PEST分析 政治、経済、社会環境、技術を分析し、外部環境が自社に与える影響を把握する手法

これらのフレームワークを使いながら客観的に自社やその周りの環境などを分析し、どのような課題や問題が生じていくのか洗い出していきます。

ターゲットやペルソナを作りこむ

分析をした上で、次に販売戦略を検討する必要があります。
ターゲットやペルソナを作りこんでおくことで、自社商品・サービスを求める新規顧客の開拓がしやすくなります。
また、顧客視点で物事を考えられるようになるので、売り上げをアップさせるための具体的な対策を打ちやすくなることも、ターゲット・ペルソナを設定するメリットです。

ターゲットを決める際は、既存の顧客を分析して、どのような人が商品・サービスを買ってくれるのか洗い出していきます。
同時に競合の分析も行い、競合他社の顧客についても理解しておくことも大切です。

ターゲットが明確になったら、市場調査や顧客のデータを参考に性別・年齢・職種・収入など細かい人物像を設定していきます。
ペルソナ設定では、先入観や思い込みを入れないように気をつけてください。また、ユーザー像は社会の変化に合わせて変動するので、定期的に設定を見直すようにしましょう。

販売価格を見直す

資金繰りが悪い状態を改善するためには、販売価格の見直しが必要です。商品・サービスの価値に対して価格が高ければ、購入する人が減ってしまいます。
反対に、価格が安ければ購入者が増える反面、原材料などのコストの方が高くなり、経営に影響が出てしまう可能性があるかもしれません。

販売価格は、総原価から販売すると損をする下限の価格と、消費者が購入してくれる上限の価格の範囲で調整していきます。
その際、需給動向や競合の状況なども加味することも大切です。
原価と経費、市場価格、商品のライフサイクルを分析して、利益を出しつつ、顧客が購入しやすい価格に見直しましょう。

利率を見直す

売り上げに対して利益が確保できているかを把握し、利益の割合が低い場合は改善していきます。
利率を上げる方法は、売り上げの向上とかかっているコストを削減することです。

売り上げを上げるためには、新規顧客の開拓や既存顧客のリピート率を上げて販売数を増やしたり、販売単価を引き上げたりする方法が考えられます。

コストの削減は、減らせそうなところから現実的に取り組むようにしましょう。
材料費の調達元や調達方法を変える、水道や電気などの無駄な消費を抑えるといった方法があります。

複数の事業を行っているのであれば、利益が出ているコア事業だけを残し、他の事業を売却する方法もあります。
事業の売却は容易に判断できることではありませんが、赤字が出ている事業を手放し、利益が出ているコア事業に集中することも利率を上げる手段として有効です。

販売戦略を見直す

経営の立て直しでは、事業や販売戦略の見直しも必要です。
場合によってはビジネスモデルを変更したり、ターゲットとなる顧客を見直したり、業種の転換など思い切った方向転換が求められます。

ただし、思い切った方向転換は根本的な問題解決に至らない場合もあります。
事業が失敗した理由はどこにあるのか、他に講じられる施策があるかなど、徹底的に分析・検証した上で検討することが大切です。

方向転換の必要性を検討するタイミングは、戦略の仮説を立てて、それを実行して結果を検証する段階です。
検証によって現状の戦略では売り上げを見込めず、仮説の修正が必要と判断した場合、方向転換は有効と言えます。

採用手法や労働環境を見直す

人手不足によって売り上げが低迷しているのであれば、採用手法や労働環境の見直しを行います。
人材の応募が少ないのであれば、労働条件をより明確に説明するなど求人票の見直しを行うのがおすすめです。

自社ホームページやSNSから会社や事業内容をアピールし、求職者の集客につなげる方法もあります。

離職を減らすためには就業規則を整備して、社員が働きやすい環境に整えることも大切です。
ほかにも、業務効率化につながるITツール・システムを導入し、作業時間や業務の負担を抑えながら少ない人員でも業務を回せるようにするという方法もあります。

キャッシュフローを改善する手法を選ぶ

損益計算書上では黒字でも資金繰りが悪く運転資金が不足してしまうと、黒字倒産のリスクが高まります。そのため、早急にキャッシュフローの改善が必要です。
キャッシュフローを改善する方法はいくつもあるので、それぞれの特徴を理解して、現状に合った手法を選びましょう。

有価証券を売却する

自社の有価証券を売却することで資金調達ができます。調達した資金を事業に投資して収益化につながれば、資金繰りを改善できます。
保有している株式を売却する場合、発行済株式総数が変わることはありません。
新規株式と違って総数が減ることによる減益リスクがないので、有効な資金調達方法です。

ただし、外部の株主が株式を一定数保有している場合、株式総会で特別議決を成立できるようになり、経営に介入されるリスクがあります。
自社や経営陣が保有する株式が極端に少なくならないように注意してください。

整理解雇を行う

整理解雇とは、リストラのことです。経営が厳しい状態で雇用を続けていても、会社が倒産すれば社員も共倒れとなってしまいます。
非常な判断とはいえ、残業の抑制やコスト削減などの対策だけでは立て直しが難しい場合はリストラも有効な手段です。

リストラを実行するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 人員を削減しなければ経営の維持が難しい状態である
  • 役員報酬の削減や新規採用の抑制など解雇回避努力義務を履行している
  • 整理解雇するための人選基準が合理的かつ公正なものとなっている
  • 労働者や労働組合との協議・説明など正当な手順を踏んだ上で整理解雇する

これらの条件を満たさなければ不当な解雇と見なされ、リストラ対象となった社員から訴えられる可能性があるので注意してください。

経費や返済計画を見直す

経費や返済計画を見直すのもキャッシュフローの改善策になります。
財務諸表などから収入を圧迫させている経費は何か、削減できる経費であるか調査して検討してみてください。

経費は事業活動にも影響を与える資金であるため、極端に減らすと商品の品質が下がったり、販売活動ができなくなったりする事態を招く恐れがあります。
キャッシュフローを改善させるためとはいえ、必要以上に削減しないように注意してください。

返済計画を見直したい時は、金融機関にリスケジュールできないか相談します。
リスケジュールを受けると新規貸付の受け付けが困難になりますが、企業の破産を防ぐことが可能です。
リスケジュールについて金融機関と交渉する場合、経営の立て直しができることを証明しなければなりません。
そのため、現実的な経営改善計画書や資金繰り表を作り、「リスケジュールによって返済ができるようになる」と説得力を高めることが大切です。

ファクタリングを行う

ファクタリングとは、売掛債権を売却して資金調達をする方法です。売掛債権は、顧客に販売した商品・サービスの代金を請求する権利のことを指します。

売掛債権を売るとファクタリング会社から現金が渡され、ファクタリング会社が売掛金を支払う取引先から回収するという仕組みになっています。
取引先からの支払期日が先の場合、ファクタリングをすることで売掛金をすぐに回収できるので、資金繰りの悪化防止や改善につなげることが可能です。

ファクタリングは売掛金の売却によって資金を調達する方法であるため、融資と違って負債を増やさずに済むというメリットがあります。
ただし、手数料が高くつくケースが多いので、その点を考慮して慎重に判断してください。

まとめ・経営立て直しのためには原因把握と適切な対処が必要

経営難となる原因は様々ありますが、まずは問題点を特定して、それに合わせて対処策を考えていくことが大切です。
一方、外部の要因で経営が悪化してしまうケースもあります。
すぐに経営を立て直せるように資金管理に徹底し、定期的に分析・調査や戦略の見直しなどに取り組む努力を行って下さい。

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(編集:創業手帳編集部)

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